MAツール導入を検討中、Marketoと他のツールどちらが自社に合うのか
マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入を検討しているBtoB企業のマーケティング責任者から、「Marketoが良いと聞くけど、他のツールとの違いがわからない」という声を聞くことがあります。
MAツールは多数存在し、それぞれに特徴があります。高機能であれば良いというわけではなく、自社の規模・業種・予算・運用体制に合ったツールを選ぶことが導入成功のカギとなります。
この記事では、Marketoの特徴を解説した上で、HubSpot、Account Engagement(旧Pardot)、SATORI等の主要MAツールと比較し、機能・料金・選定ポイントについて実践的な情報を提供します。
この記事のポイント:
- MAツール選定は「獲得・育成・分類」のどのフェーズに注力したいかを明確にすることが重要
- Marketoはカスタマイズ性が高く700社以上のパートナーと連携可能だが、専任担当者が必要
- HubSpotは無料プランから開始可能で使いやすさに強み、SATORIは日本語サポートが充実
- 料金はMarketo年間200万円程度〜、HubSpot月1,800円〜、SATORI月14.8万円〜と幅広い
- デモやトライアルで事前に操作性を確認し、SFA/CRMとの連携可否もチェックすることが重要
1. MAツール選定で比較すべき理由とポイント
MAツールは多機能であり、ツールによって得意分野が異なります。「どのツールが一番良いか」ではなく、「自社の課題・目的に合ったツールはどれか」という視点で比較することが重要です。
比較すべき理由:
機能の過不足を防ぐ: 高機能なツールを導入しても、使いこなせなければ投資対効果が下がります。逆に、機能が不足していると後から別ツールへの移行コストが発生します。
運用体制とのマッチング: Marketoのような高機能ツールは専任担当者が必要なケースが多いです。運用体制に合ったツールを選ぶことで、導入後の「使いこなせない」問題を防げます。
コスト最適化: MAツールは月額数千円〜年間数百万円と価格帯が幅広いです。自社に必要な機能を見極めることで、適切な投資判断ができます。
比較のポイント:
| 比較項目 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 機能 | リード管理、スコアリング、メール配信、SFA/CRM連携の充実度 |
| 料金 | 初期費用、月額費用、従量課金の有無、契約期間 |
| 操作性 | UI/UXの使いやすさ、習熟に必要な期間 |
| サポート | 日本語サポートの有無、導入支援の内容 |
| 連携 | SFA/CRM、広告プラットフォームとの連携可否 |
| 拡張性 | リード数・ユーザー数増加への対応力 |
2. Marketoの特徴とできること
Marketo Engageは、Adobe社が提供するエンタープライズ向けMAプラットフォームです。高度なカスタマイズ性と豊富な連携パートナーが特徴で、大企業・エンタープライズ企業での導入実績が多いと言われています。
(1) Marketo Engageの主要機能10カテゴリ
Marketoは以下の10個のアプリケーション(機能カテゴリ)で構成されています。
| カテゴリ | 機能概要 |
|---|---|
| リード管理 | リードの一元管理、セグメンテーション |
| メールマーケティング | 一斉配信、シナリオメール、A/Bテスト |
| リードスコアリング | 属性・行動に基づく見込み度の数値化 |
| キャンペーン管理 | マルチチャネルキャンペーンの設計・実行 |
| ランディングページ | フォーム・LP作成機能 |
| マーケティング分析 | ROI分析、アトリビューション分析 |
| Web行動トラッキング | サイト訪問者の行動追跡 |
| アカウントベースドマーケティング(ABM) | 特定企業へのターゲティング |
| ソーシャルマーケティング | SNS連携、ソーシャルリスニング |
| モバイルマーケティング | モバイルアプリ連携、SMS配信 |
(2) 700社以上のパートナー連携とカスタマイズ性
Marketoの大きな特徴は、700社以上のパートナーとの連携が可能なエコシステムです。
主な連携先:
- SFA/CRM: Salesforce、Microsoft Dynamics等
- BIツール: Tableau、Looker等
- 広告プラットフォーム: Google Ads、LinkedIn Ads等
- コンテンツ管理: Adobe Experience Manager等
カスタマイズ性:
- REST APIによる柔軟な連携開発
- カスタムオブジェクトの作成
- 独自のスコアリングロジック設計
このカスタマイズ性により、自社のビジネスプロセスに合わせた運用が可能になりますが、設定・運用には専門知識が必要となるケースが多いです。
(3) Marketoのメリット・デメリット
メリット:
- 高度なカスタマイズ性(自社ビジネスに合わせた設計が可能)
- 豊富な連携パートナー(700社以上)
- スケーラビリティ(大規模なリード数にも対応)
- 高度な分析・レポーティング機能
デメリット:
- 専任担当者が必要(活用できるまでに時間がかかる)
- 習熟に時間がかかる(機能が多く複雑)
- コストが高め(年間200万円程度〜)
- CRMは別途必要(単独ではCRM機能なし)
導入事例:
東京商工リサーチの事例では、Marketo導入後にメルマガ開封率が最大23%増加し、年間130回以上のウェビナー開催を実現したと報告されています。ただし、これらの成果は企業規模・業種・運用体制により異なります。
3. 主要MAツールとの機能比較
Marketoと他の主要MAツールの違いを解説します。
(1) HubSpotとの比較(無料プラン〜エンタープライズ)
HubSpotは、CRM・MA・SFA・CMSを統合したオールインワンプラットフォームです。無料プランから始められ、成長に合わせてアップグレードできる点が特徴です。
HubSpotの強み:
- 無料CRMをベースにした段階的な導入が可能
- 直感的なUI(専門知識がなくても使いやすい)
- 充実した日本語コンテンツ・サポート
- コストパフォーマンスが高い(無料〜月額数万円から開始可能)
比較ポイント:
| 項目 | Marketo | HubSpot |
|---|---|---|
| 主なターゲット | 大企業・エンタープライズ | 中小〜大企業 |
| 導入ハードル | 高い(専任担当者必要) | 低い(初心者でも使いやすい) |
| カスタマイズ性 | 非常に高い | 中程度 |
| CRM機能 | 別途必要 | 無料で統合 |
| 料金目安 | 年間200万円〜 | 無料〜月額10万円〜 |
(2) Account Engagement(旧Pardot)との比較
Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforce社が提供するBtoB向けMAツールです。Salesforce CRMとのネイティブ連携が最大の特徴です。
Account Engagementの強み:
- Salesforce CRMとのシームレスな連携
- BtoB向けに最適化されたリードスコアリング
- Salesforceエコシステムとの統合
比較ポイント:
| 項目 | Marketo | Account Engagement |
|---|---|---|
| CRM連携 | 複数CRMと連携可能 | Salesforceとネイティブ連携 |
| 独立運用 | 可能 | Salesforce契約が前提 |
| カスタマイズ性 | 非常に高い | 中程度 |
| 料金目安 | 年間200万円〜 | 年間150万円〜(Salesforce別途) |
選び方の目安:
- 既にSalesforceを導入している場合: Account Engagementが連携しやすい
- 複数のCRM/SFAと連携したい場合: Marketoが柔軟
(3) SATORI・BowNowなど国産ツールとの比較
国産MAツールは、日本語サポートの充実と導入ハードルの低さが特徴です。
SATORIの特徴:
- 匿名顧客へのアプローチ機能(IPアドレスからの企業特定)
- 日本語サポートが充実
- 中小〜中堅企業向け
- 初期費用30万円、月額14.8万円〜
BowNowの特徴:
- 無料プランから開始可能
- シンプルな機能設計(初心者向け)
- 国内MAツールシェア1位(2023年11月時点、22.8%)
国産ツールとの比較ポイント:
| 項目 | Marketo | SATORI | BowNow |
|---|---|---|---|
| 対象企業規模 | 大企業 | 中小〜中堅 | 中小企業 |
| サポート | 日本語対応 | 日本語充実 | 日本語充実 |
| 導入ハードル | 高い | 中程度 | 低い |
| 料金目安 | 年間200万円〜 | 月額14.8万円〜 | 無料〜 |
4. 料金・価格帯の比較と費用試算
MAツール選定において、コストは重要な検討要素です。ただし、料金は利用規模(リード数、ユーザー数)により変動するため、正確な見積もりは各社へ問い合わせることをお勧めします。
(1) Marketoの料金プラン(年間200万円〜の目安)
Marketoには複数の料金プランがあり、機能とデータベースサイズによって異なります。
料金プラン構成:
| プラン | 特徴 | 料金目安 |
|---|---|---|
| Select | 基本機能 | 年間約200万円〜 |
| Prime | ABM機能追加 | 年間約300万円〜 |
| Ultimate | 全機能+優先サポート | 要問い合わせ |
| Enterprise | 大規模向け | 要問い合わせ |
※料金は2025年12月時点の目安です。実際の料金はリード数・契約内容により変動します。最新情報はAdobe公式サイトをご確認ください。
(2) 他ツールとの価格帯比較表
主要MAツールの料金比較表です。
| ツール | 初期費用 | 月額費用目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Marketo | 要問い合わせ | 約17万円〜(年間約200万円〜) | 年間契約 |
| HubSpot Marketing Hub | なし | 無料〜約10万円〜 | 無料プランあり |
| Account Engagement | 要問い合わせ | 約12.5万円〜(年間約150万円〜) | Salesforce契約が前提 |
| SATORI | 30万円 | 14.8万円〜 | 国産ツール |
| BowNow | なし | 無料〜 | フリープランあり |
※料金は2025年12月時点の目安であり、リード数・機能オプションにより変動します。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
(3) 導入・運用コストの試算方法
MAツールの総コストは、ツール費用だけでなく運用コストも含めて試算する必要があります。
総コスト構成:
| 費用項目 | 内容 | 試算のポイント |
|---|---|---|
| ツール費用 | 初期費用+月額費用 | リード数増加時の追加費用も確認 |
| 導入支援費用 | 初期設定、移行作業 | ベンダー・パートナーに見積もり |
| 運用人件費 | 専任担当者の人件費 | 高機能ツールほど工数が必要 |
| 外部委託費用 | 運用代行、コンサル | 内製化できない場合の費用 |
| コンテンツ制作費 | メール、LP、資料 | MA運用に必要なコンテンツ |
試算例(年間):
| 項目 | Marketo(大企業) | HubSpot(中小企業) |
|---|---|---|
| ツール費用 | 約200万円 | 約60万円 |
| 導入支援 | 約100万円 | 約30万円 |
| 運用人件費 | 約600万円(専任1名) | 約200万円(兼任0.3名) |
| 年間総コスト目安 | 約900万円 | 約290万円 |
※あくまで目安であり、実際のコストは企業規模・運用体制・利用状況により異なります。
5. 企業規模・業種別の選定ガイド
自社に合ったMAツールを選ぶための目安を解説します。
(1) BtoB中小企業に向くツール
推奨条件:
- 月間リード数が500件未満
- MA専任担当者を置けない(兼任で運用)
- 予算が月額10万円以下
選択肢の例:
| ツール | 理由 |
|---|---|
| HubSpot | 無料CRMから開始可能、使いやすい |
| BowNow | 無料プランあり、国産でサポート充実 |
| SATORI | 日本語サポート充実、匿名顧客アプローチ |
避けた方がよいケース:
- Marketoは高機能だが、専任担当者なしでは活用が難しい
- Account EngagementはSalesforce契約が前提となる
(2) BtoB大企業・エンタープライズに向くツール
推奨条件:
- 月間リード数が1,000件以上
- MA専任担当者を配置可能
- 複雑なシナリオ設計やABMが必要
- 予算が年間200万円以上
選択肢の例:
| ツール | 理由 |
|---|---|
| Marketo | 高度なカスタマイズ、スケーラビリティ |
| Account Engagement | Salesforceと統合運用する場合 |
| HubSpot Enterprise | オールインワンで統合管理する場合 |
選定のポイント:
- 既存のSFA/CRMとの連携可否を最優先で確認
- 運用体制(専任担当者の確保)を事前に計画
- デモ・トライアルで実際の操作性を確認
6. まとめ:MAツール選定チェックリスト
Marketoは高度なカスタマイズ性と豊富な連携パートナーを持つエンタープライズ向けMAツールですが、専任担当者が必要で導入コストも高めです。自社の規模・予算・運用体制に合ったツールを選ぶことが、MA導入成功のカギとなります。
MAツール選定チェックリスト:
- 自社の課題(獲得・育成・分類のどこに注力したいか)を明確にしたか
- 月間リード数・メール配信数の目安を把握したか
- 運用体制(専任 or 兼任、工数確保)を計画したか
- 既存SFA/CRMとの連携要件を確認したか
- 予算(初期+月額+運用人件費)を試算したか
- 3社以上のツールを比較検討したか
- デモ・トライアルで操作性を確認したか
次のアクション:
- 自社の課題・目的を整理する
- 予算と運用体制の計画を立てる
- 候補ツールの公式サイトで最新料金・機能を確認する
- デモ・無料トライアルに申し込む
- SFA/CRMとの連携要件を技術担当と確認する
※ツールの料金・機能は変更される可能性があります。最新情報は各ツールの公式サイトをご確認ください。
よくある質問:
Q: Marketoの年間費用はどのくらいですか? A: 年間約200万円〜が目安と言われていますが、利用するプラン、リード数、オプション機能により変動します。正確な見積もりはAdobe公式サイトから問い合わせることをお勧めします。Select、Prime、Ultimate、Enterpriseの4プランがあり、上位プランほど機能が充実します。
Q: Marketoと国産ツール(SATORI等)の最大の違いは何ですか? A: Marketoはカスタマイズ性・連携パートナーの豊富さに優れますが、活用には専任担当者と習熟期間が必要です。SATORIなど国産ツールは日本語サポートが充実しており、導入ハードルが比較的低いと言われています。自社の運用体制とサポート要件に合わせて選択することが重要です。
Q: MAツール導入後にツール変更は可能ですか? A: 変更は可能ですが、データ移行・シナリオ再設計・運用フロー変更などのコストが発生します。移行期間として3〜6ヶ月程度を見込むケースが多いです。導入前にデモやトライアルで操作性を十分に確認し、ミスマッチを防ぐことが重要です。
Q: HubSpotとMarketoどちらを選ぶべきですか? A: 企業規模・予算・運用体制により異なります。専任担当者を置けず予算が限られている場合はHubSpotから始めるのが適切なケースが多いです。大規模なリード数があり、高度なカスタマイズや複雑なシナリオ設計が必要な場合はMarketoが適しています。まずは無料トライアルで両方の操作性を比較することをお勧めします。
