セグメントとは?マーケティングにおける意味・分類方法・活用事例を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

「セグメント」という言葉、正しく理解できていますか?

マーケティングや営業の現場で「セグメント」という言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか。しかし、「セグメントとターゲットの違いは?」「どのように分類すればいいの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。

この記事では、セグメントの基本的な意味から、マーケティングにおける分類方法、具体的な活用ステップまでを解説します。B2B企業の顧客分析やターゲティング施策の精度向上に役立つ内容です。

この記事のポイント:

  • セグメントは「市場や顧客を一定の基準で細分化した各グループ」を意味する
  • ターゲットは「セグメントの中で注力する特定のグループ」であり、両者は異なる概念
  • セグメンテーションの4つの分類変数:人口動態、地理的、心理的、行動
  • 4Rフレームワーク(Rank、Realistic、Reach、Response)でセグメントを評価する
  • 細分化しすぎると費用対効果が低下するため、3-5セグメントが目安

1. なぜ今、セグメンテーションが求められるのか

消費者ニーズの多様化に伴い、かつてのマスマーケティング(市場全体を単一の大きな市場として捉える手法)では、効果的なアプローチが難しくなってきています。特にB2B領域では、企業規模や業種、購買検討段階によってニーズが大きく異なるため、画一的なアプローチでは成果が出にくい傾向があります。

セグメンテーションが必要とされる背景:

  • 顧客ニーズの多様化: 同じ製品・サービスでも、顧客によって求める価値が異なる
  • マーケティングリソースの最適配分: 限られたリソースを有望なセグメントに集中させたい
  • 施策の精度向上: セグメントごとに最適なメッセージ・チャネルを選択できる
  • 営業・マーケ連携の効率化: 共通のセグメント定義があることで、部門間の連携がスムーズになる

2024年現在、心理的変数(サイコグラフィック)の重要性が高まっており、ライフスタイルや価値観に基づくセグメンテーションが注目されています。デモグラフィック(年齢・性別など)だけでなく、顧客の行動や関心に基づく分類が求められるようになっています。

2. セグメントの基礎知識:定義とターゲットとの違い

(1) セグメントとは何か(区分・部分の意味)

セグメント(segment)は、英語で「区分」「部分」を意味する言葉です。マーケティングにおいては、市場や顧客を一定の基準で細分化した各グループを指します。

セグメントの例:

  • 「従業員100-500名のIT企業」というセグメント
  • 「導入検討段階の見込み顧客」というセグメント
  • 「過去3ヶ月以内にWebサイトを訪問した顧客」というセグメント

セグメンテーション(segmentation)は、市場や顧客をセグメントに分ける行為そのものを指します。「市場細分化」とも呼ばれます。

(2) セグメントとターゲットの違い

セグメントとターゲットは混同されがちですが、両者は異なる概念です。

用語 定義
セグメント 市場を分類した各グループ 「大企業」「中堅企業」「中小企業」
ターゲット セグメントの中で注力する特定のグループ 「中堅企業」に注力する

STP分析における位置づけ:

  1. S(Segmentation): 市場をセグメントに分ける
  2. T(Targeting): どのセグメントを狙うか決める
  3. P(Positioning): 選んだセグメントでどう差別化するか決める

セグメンテーションは「分ける」行為、ターゲティングは「選ぶ」行為と整理すると理解しやすいでしょう。

3. セグメンテーションの4つの分類変数

セグメンテーションには、主に4つの分類変数が使われます。どの変数を使うかは、商材や市場特性によって異なります。

(1) 人口動態変数(デモグラフィック):年齢・性別・役職

人口動態変数は、客観的に測定できる属性に基づく分類です。最も基本的なセグメンテーション変数として広く使われています。

BtoCの例:

  • 年齢(20代、30代、40代など)
  • 性別(男性、女性)
  • 所得(年収400万円未満、400-800万円、800万円以上)
  • 職業(会社員、自営業、学生など)

BtoBの例:

  • 企業規模(従業員数、売上規模)
  • 業種(IT、製造、金融など)
  • 役職(経営者、部長、担当者)
  • 設立年数(創業10年未満、10年以上)

(2) 地理的変数(ジオグラフィック):地域・都市規模

地理的変数は、地域や立地に基づく分類です。営業対応可能なエリアや、地域特性による違いを考慮する際に使われます。

分類例:

  • 地域(関東、関西、九州など)
  • 都市規模(政令指定都市、その他)
  • 気候(温暖、寒冷など)
  • 都市部/地方

活用例:

  • 営業拠点がある地域に絞った施策
  • 地域特性に応じたメッセージの変更

(3) 心理的変数(サイコグラフィック):価値観・関心

心理的変数は、顧客のライフスタイルや価値観に基づく分類です。近年重要性が高まっている変数で、デモグラフィックだけでは捉えられないニーズの違いを把握できます。

分類例:

  • 価値観(コスト重視、品質重視、時間重視)
  • 関心事(DX推進に積極的、現状維持志向)
  • ライフスタイル(新しいツールを積極導入、慎重に検討)

BtoBでの活用:

  • 「イノベーター層」「アーリーアダプター層」などの採用姿勢による分類
  • 「経営課題に敏感」「現場課題に注力」などの関心軸による分類

(4) 行動変数(ビヘイビアル):購買履歴・利用頻度

行動変数は、顧客の実際の行動に基づく分類です。過去の購買履歴やWebサイトでの行動など、具体的なデータに基づくため、精度の高いセグメンテーションが可能です。

分類例:

  • 購買履歴(過去購入あり、未購入)
  • 利用頻度(ヘビーユーザー、ライトユーザー)
  • 購買検討段階(認知、興味、比較検討、購入直前)
  • サイト行動(料金ページ閲覧、資料ダウンロード済み)

RFM分析: 行動変数を活用した代表的な手法として、RFM分析があります。

  • R(Recency): 最終購買日からの経過日数
  • F(Frequency): 購買頻度
  • M(Monetary): 購買金額

この3軸で顧客をセグメント化し、優良顧客の特定や離反予測に活用します。

4. セグメント作成の具体的ステップと4Rフレームワーク

(1) セグメント作成の手順

ステップ1: 目的の明確化

  • 何のためにセグメントを作成するのか(ターゲティング、施策最適化、顧客理解など)
  • どのような意思決定に活用するのか

ステップ2: 分類軸の選定

  • 4つの変数のうち、自社のビジネスに適した軸を選ぶ
  • BtoBでは「企業規模×業種×購買検討段階」の組み合わせが一般的

ステップ3: データ収集と分析

  • CRM、MA、Webアクセス解析などからデータを収集
  • 過去の受注データを分析し、有望セグメントの特徴を把握

ステップ4: セグメントの定義

  • 具体的な条件を設定してセグメントを定義
  • 命名ルールを決めて、社内で共通認識を持てるようにする

ステップ5: ターゲットの選定

  • 作成したセグメントの中から、注力するターゲットを選ぶ
  • 4Rフレームワークで妥当性を検証

(2) 4Rフレームワークでセグメントを評価する

4Rフレームワークは、セグメントの妥当性を評価するための4つの基準です。

基準 意味 チェックポイント
Rank(優先順位) セグメント間に優先順位が付けられるか どのセグメントが最も有望か判断できる
Realistic(規模の妥当性) 十分な市場規模があるか 投資に見合う売上が見込めるか
Reach(到達可能性) そのセグメントにアプローチできるか 適切なチャネルで接触できるか
Response(測定可能性) 施策の効果を測定できるか セグメント別のKPIを追跡できるか

評価例:

  • 「従業員500名以上のIT企業」→ Realistic(規模)とReach(アプローチ可能性)は高いが、Response(測定可能性)はCRMの整備状況による
  • 「DX推進に積極的な企業」→ Rank(優先順位)は明確だが、Reach(到達方法)の検討が必要

5. 導入時の注意点とよくある失敗パターン

(1) 過度な細分化による費用対効果の低下

セグメントを細分化しすぎると、各グループの規模が小さくなり、施策の費用対効果が低下するケースがあります。

失敗パターン:

  • 10個以上のセグメントを作成し、それぞれに異なる施策を実施しようとした
  • セグメントごとの顧客数が少なすぎて、統計的に有意な分析ができなくなった
  • リソース不足で、すべてのセグメントに対応しきれなかった

対策:

  • セグメント数は3-5個を目安とする
  • 各セグメントに十分な顧客数(母数)があることを確認
  • 4RのRealistic(規模の妥当性)でチェックする

(2) ターゲット未選定のままの施策実施

セグメンテーションを行っただけで満足し、どのセグメントに注力するか(ターゲティング)を決めないまま施策を実施してしまう失敗パターンもあります。

失敗パターン:

  • セグメントを作成したが、すべてのセグメントに同じ施策を実施した
  • 営業・マーケ間でターゲットの認識が異なり、施策がバラバラになった
  • セグメント作成後、定期的な見直しを行わず、古いセグメント定義を使い続けた

対策:

  • セグメンテーション後は必ずターゲティングを行う
  • 営業・マーケ・経営で共通のターゲット認識を持つ
  • 四半期に1回を目安にセグメント定義を見直す

6. まとめ:セグメンテーション成功のチェックリスト

セグメンテーションは、顧客ニーズの多様化に対応し、マーケティング施策の精度を高める重要な手法です。正しく設計・運用することで、限られたリソースを有望な顧客層に集中させることができます。

セグメンテーション成功のチェックリスト:

  • セグメンテーションの目的を明確にしたか
  • 4つの分類変数から適切な軸を選んだか
  • セグメント数は3-5個に収まっているか
  • 各セグメントに十分な規模(母数)があるか
  • 4Rフレームワークで妥当性を検証したか
  • ターゲットを明確に選定したか
  • 営業・マーケで共通認識を持てているか
  • 定期的な見直しスケジュールを設定したか

次のアクション:

  • 自社の顧客データを確認し、セグメンテーションに使える変数を洗い出す
  • 過去の受注データを分析し、有望セグメントの特徴を把握する
  • 営業・マーケ間でターゲットセグメントを合意する
  • 四半期に1回のセグメント見直しスケジュールを設定する

※この記事は2025年時点の情報に基づいています。市場環境や顧客行動の変化に応じて、セグメント定義は適宜見直すことをおすすめします。

よくある質問:

Q: セグメントは何個に分けるのが適切ですか? A: 一般的に3-5セグメントが目安とされています。細分化しすぎると各グループの規模が小さくなり、施策の費用対効果が低下する可能性があります。4RのRealistic(規模の妥当性)で検証しながら決めることをおすすめします。

Q: セグメントとペルソナの違いは何ですか? A: セグメントは市場を分類したグループを指し、ペルソナはセグメント内の代表的な架空の顧客像を指します。両者は補完関係にあり、セグメントで大枠を分類した後、ターゲットセグメント内のペルソナを設定することで、より具体的なマーケティング施策を立案できます。

Q: セグメントはどれくらいの頻度で見直すべきですか? A: 四半期に1回を目安に見直すことが一般的です。市場環境や顧客行動に大きな変化があった場合は、随時更新を検討してください。定期的な見直しにより、セグメント定義の陳腐化を防げます。

Q: B2Bでおすすめのセグメント変数は何ですか? A: 企業規模、業種、役職、購買検討段階の4軸が基本とされています。これに加えて、行動データ(サイト閲覧、資料ダウンロードなど)を組み合わせると、セグメンテーションの精度が向上します。自社の商材や営業プロセスに合わせて選択してください。

よくある質問

Q1セグメントは何個に分けるのが適切ですか?

A1一般的に3-5セグメントが目安とされています。細分化しすぎると各グループの規模が小さくなり、施策の費用対効果が低下する可能性があります。4RのRealistic(規模の妥当性)で検証しながら決めることをおすすめします。

Q2セグメントとペルソナの違いは何ですか?

A2セグメントは市場を分類したグループを指し、ペルソナはセグメント内の代表的な架空の顧客像を指します。両者は補完関係にあり、セグメントで大枠を分類した後、ターゲットセグメント内のペルソナを設定することで、より具体的なマーケティング施策を立案できます。

Q3セグメントはどれくらいの頻度で見直すべきですか?

A3四半期に1回を目安に見直すことが一般的です。市場環境や顧客行動に大きな変化があった場合は、随時更新を検討してください。定期的な見直しにより、セグメント定義の陳腐化を防げます。

Q4B2Bでおすすめのセグメント変数は何ですか?

A4企業規模、業種、役職、購買検討段階の4軸が基本とされています。これに加えて、行動データ(サイト閲覧、資料ダウンロードなど)を組み合わせると、セグメンテーションの精度が向上します。自社の商材や営業プロセスに合わせて選択してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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