マネージドサービスとは?種類・メリット・選び方・主要サービスを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

ITインフラの運用負荷に悩んでいませんか?

中小企業から大企業まで、ITインフラの運用・保守は常に課題です。「システム監視に人員を割けない」「セキュリティ対策の専門知識が不足している」「運用コストが見えにくい」といった悩みを抱える企業は少なくありません。

この記事では、マネージドサービスの基本概念、種類、メリット・デメリット、選び方、最新動向をIT・インフラ担当者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • マネージドサービスはサーバー・ネットワークの運用・保守を専門業者に委託する仕組み
  • クラウド型(IaaS/PaaS/SaaS)とMSP(運用代行)の2種類に大別される
  • IT運用負荷を軽減し、コア業務にリソースを集中できる
  • ベンダーロックインや社内知識蓄積の減少がデメリット
  • 2024年マネージドセキュリティサービス市場は114.9%成長見込み

1. マネージドサービスとは?基本概念と注目される背景

(1) マネージドサービスの定義

マネージドサービスとは、サーバーやネットワークの運用・保守・管理を外部の専門業者に委託するサービスです。ネットワーク監視・セキュリティ管理・バックアップ運用など、IT運用に関わる業務を外部委託することで、自社のIT運用負荷を軽減できます。

(2) フルマネージドサービスとの違い

マネージドサービスとフルマネージドサービスの違いは、委託する範囲の広さです。

マネージドサービス:

  • 一部の運用業務(監視・保守等)を委託
  • 自社でも一定の運用を担当

フルマネージドサービス:

  • より広範囲のサーバ管理業務を代行
  • 運用のほぼすべてを委託

ただし、境界は曖昧で、提供者により定義が異なります。サービス範囲は契約前に詳細を確認する必要があります。

(3) 企業がマネージドサービスを導入する背景

企業がマネージドサービスを導入する主な背景は以下の通りです:

  • IT人材不足: 専門知識を持つエンジニアの確保が困難
  • セキュリティ対策の高度化: サイバー攻撃の増加に伴う対策の専門性向上
  • コア業務への集中: 情報システム部門のリソースをアプリケーション開発等に集中

これらの課題に対応するため、運用業務を専門業者に委託する企業が増えています。

2. マネージドサービスの種類と対象範囲

(1) クラウド型マネージドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)

クラウド型マネージドサービスは、クラウドベンダーが提供するインフラ・プラットフォーム・ソフトウェアの管理を代行するサービスです。

IaaS(Infrastructure as a Service):

  • サーバー・ストレージ等のインフラを提供
  • AWS・Azure・GCP等が該当

PaaS(Platform as a Service):

  • アプリケーション開発・実行環境を提供
  • AWS Elastic Beanstalk、Google App Engine等が該当

SaaS(Software as a Service):

  • クラウド上でソフトウェアを提供
  • Salesforce・Microsoft 365等が該当

これらのサービスは、インフラの管理をクラウドベンダーが担当し、企業は利用に集中できます。

(2) MSP(マネージドサービスプロバイダー)による運用代行

MSPは、マネージドサービスを提供する専門業者です。クラウドサービスだけでなく、オンプレミス環境の運用代行も行います。

MSPが提供する主なサービス:

  • システム監視・障害対応
  • バックアップ・リストア
  • セキュリティ監視・対応
  • パッチ適用・アップデート

企業は、自社のIT運用の一部または全部をMSPに委託できます。

(3) マネージドセキュリティサービス(EDR・SASE・SIEM)

2024年にはマネージドセキュリティサービス市場が大きく成長しています。

主要なセキュリティ監視対象:

  • EDR(Endpoint Detection and Response): エンドポイントの脅威検知・対応
  • SASE(Secure Access Service Edge): ネットワークとセキュリティを統合
  • SIEM(Security Information and Event Management): セキュリティ情報・イベント管理

サイバー攻撃の増加に伴い、これらの専門的なセキュリティ対策を外部委託する企業が増えています。

(4) 対象範囲の例(監視・保守・バックアップ等)

マネージドサービスの対象範囲は提供者によって異なりますが、一般的には以下が含まれます:

  • 監視: サーバー・ネットワーク・アプリケーションの稼働監視
  • 保守: 障害対応・パッチ適用・アップデート
  • バックアップ: データバックアップ・リストア
  • セキュリティ: ファイアウォール管理・ウイルス対策・脆弱性診断

希望する委託内容が実現可能か、契約前に確認することが重要です。

3. マネージドサービスのメリット・デメリット

(1) メリット①:IT運用負荷の軽減と専門性の活用

マネージドサービスを導入すると、自社のIT運用負荷を軽減できます。専門業者に委託することで、以下のメリットがあります:

  • 24時間365日の監視体制
  • 専門知識を持つエンジニアによる対応
  • 最新のセキュリティ対策の適用

自社で専門人材を確保・育成するコストを削減できます。

(2) メリット②:コア業務へのリソース集中

情報システム部門のリソースをコア業務(アプリケーション開発等)に集中できます。

リソース配分の例:

  • 運用業務: マネージドサービスに委託
  • 開発業務: 自社リソースを集中

これにより、事業成長に直接貢献する業務に人員を配分できます。

(3) メリット③:運用コストの見える化

マネージドサービスは月額固定料金のケースが多く、運用コストを見える化できます。

コスト構造の比較:

  • 内製: 人件費・設備費が変動しやすい
  • マネージドサービス: 月額固定で予算管理が容易

コストの予測可能性が高まり、経営判断がしやすくなります。

(4) デメリット①:ベンダーロックインのリスク

マネージドサービスプロバイダーへの依存度が高くなり、ベンダーロックインに陥る可能性があります。

ベンダーロックインのリスク:

  • 他のベンダーへの切り替えが困難
  • 料金改定に対応しにくい
  • サービス品質低下時の選択肢が限定的

契約時にSLA(サービスレベル契約)や解約条件を確認することが重要です。

(5) デメリット②:社内知識・ノウハウの蓄積減少

運用を外部委託すると、自社内にIT管理の知識やノウハウが蓄積されにくくなります。

知識蓄積減少の影響:

  • 緊急時の自己対応力が低下
  • 将来的な内製化が困難
  • 業務の属人化リスク

部分的な委託から始め、必要なノウハウは社内に残す工夫が推奨されます。

(6) デメリット③:サービス範囲の差異

サービス範囲は提供者によって大きく異なるため、契約前に詳細を確認する必要があります。

確認すべきポイント:

  • 監視対象の範囲
  • 障害対応の手順・スピード
  • 報告・レポートの頻度

希望する委託内容が含まれていない場合、追加費用が発生する可能性があります。

4. マネージドサービスの選び方と導入判断基準

(1) 委託範囲の明確化(部分委託 vs 全面委託)

マネージドサービスを導入する際は、委託範囲を明確にします。

部分委託:

  • 監視・バックアップのみ委託
  • 社内に一定の運用リソースが残る

全面委託:

  • 運用業務のほぼすべてを委託
  • 社内リソースをコア業務に集中

部分的な運用委託から始め、効果を確認しながら必要に応じて管理範囲を拡大するのが推奨されます。

(2) サービスレベル(SLA)・対応スピードの確認

SLA(Service Level Agreement)は、サービス品質の保証基準です。

確認すべきSLA項目:

  • 稼働率(99.9%等)
  • 障害対応時間(初動30分以内等)
  • サポート時間(24時間365日等)

対応スピードや実績も含めて、総合的に判断することが重要です。

(3) コスト構造の比較(内製 vs 外部委託)

費用対効果を見極め、単なる見積額比較ではなく、サービス内容・対応スピード・実績等を総合的に判断します。

コスト比較の例:

  • 内製: 人件費(年間500万円〜)+ 設備費
  • マネージドサービス: 月額数万円〜数百万円

サービス範囲や対象システムにより費用は幅広く変動します。

(4) 段階的導入のアプローチ

マネージドサービスの導入は、段階的に進めるのが適切です。

段階的導入の例:

  1. 監視サービスのみ試験導入(1〜3ヶ月)
  2. 効果・対応品質を評価
  3. バックアップ・セキュリティ等に拡大
  4. 必要に応じて全面委託を検討

これにより、リスクを抑えながら効果を確認できます。

5. 主要マネージドサービスと最新動向

(1) 国内主要MSP・クラウドベンダー

国内で利用されている主要マネージドサービスプロバイダーとクラウドベンダーの例:

主要MSP:

  • NTTコミュニケーションズ
  • 富士通
  • 日立システムズ
  • カゴヤ・ジャパン

主要クラウドベンダー:

  • AWS(Amazon Web Services)
  • Microsoft Azure
  • Google Cloud Platform(GCP)

各サービスの料金・サポート体制・実績は異なるため、公式サイトで最新情報を確認することが推奨されます。

(2) 2024年マネージドセキュリティサービス市場(114.9%成長)

2024年のマネージドセキュリティサービス市場は114.9%成長が見込まれています。サイバー攻撃の増加が背景にあり、企業のセキュリティ対策強化が進んでいます。

市場成長の背景:

  • ランサムウェア・標的型攻撃の増加
  • EDR・SASE・SIEM等の監視対象の拡大
  • セキュリティ人材の不足

(出典: デロイト トーマツ ミック経済研究所「マネージドセキュリティサービス市場の現状と展望 2024年度版」)

(3) CrowdStrike Falcon Complete Next-Gen MDR(2024年7月発表)

2024年7月にCrowdStrikeがFalcon Complete Next-Gen MDR(Managed Detection and Response)を発表しました。

主な特徴:

  • 次世代のマネージド脅威検知・対応サービス
  • AI・機械学習による高度な脅威検知
  • 24時間365日のセキュリティ監視

これらの動向により、マネージドサービスの専門性・自動化が進んでいます。

※マネージドサービスの提供範囲や料金体系は各プロバイダーで異なるため、執筆時点(2025年11月)の情報です。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

6. まとめ:マネージドサービス導入のポイント

マネージドサービスは、IT運用負荷を軽減し、コア業務にリソースを集中できる有効な手段です。ただし、ベンダーロックインや社内知識蓄積の減少といったデメリットもあります。

導入を検討すべき企業:

  • IT部門のリソースが不足している中小企業
  • 専門性の高いセキュリティ対策が必要な企業
  • コア業務に集中したい企業

次のアクション:

  • 委託したい範囲を明確にする(監視・保守・バックアップ等)
  • SLA・対応スピード・実績を確認する
  • 部分委託で試験導入し、効果を確認する
  • 内製コストとマネージドサービスのコストを比較する

自社の状況に合ったマネージドサービスで、IT運用の効率化とセキュリティ強化を実現しましょう。

よくある質問

Q1マネージドサービスの費用はどのくらいかかりますか?

A1サービス範囲や対象システムにより数万円〜数百万円/月と幅広く変動します。まずは部分委託(監視のみ等)で試し、費用対効果を確認してから拡大するのが推奨されます。詳細な料金は各プロバイダーの公式サイトでご確認ください。

Q2フルマネージドサービスとの違いは何ですか?

A2マネージドサービスは一部の運用業務を委託、フルマネージドサービスはより広範囲のサーバ管理業務を代行します。ただし境界は曖昧で、提供者により定義が異なるため、契約前にサービス範囲を詳細に確認することが重要です。

Q3どのような企業にマネージドサービスが向いていますか?

A3IT部門のリソースが不足している中小企業、専門性の高いセキュリティ対策が必要な企業、コア業務に集中したい企業に向いています。部分委託から始め、効果を確認しながら範囲を拡大するのが適切です。

Q4ベンダーロックインを避けるにはどうすればよいですか?

A4契約時にSLA(サービスレベル契約)や解約条件を確認し、複数のプロバイダーを比較することが重要です。また、部分委託にとどめ、コア部分は社内に残すことで依存度を下げることができます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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