MAツール(マーケティングオートメーション)の選び方と主要製品比較

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/10

MAツール導入を検討しているが、どれを選べばいいか分からない...

「リード管理を効率化したい」「営業へのホットリード提供を自動化したい」といった課題を抱えるB2Bマーケティング担当者にとって、MAツール(マーケティングオートメーション)の導入は有力な選択肢です。しかし、国内外で多数のMAツールが提供されており、「どれを選べばいいか分からない」という声は少なくありません。

この記事では、MAツールの基本概念から選定基準、主要製品の比較、導入時の注意点まで、B2B企業のマーケティング担当者が知っておくべきポイントを網羅的に解説します。

この記事のポイント:

  • MAツールは見込み顧客の獲得・育成・選別を自動化するツール
  • 国内MA市場は2024年に612億円、2033年には1,272億円まで拡大見込み(CAGR 8.5%)
  • ツール選定では自社の課題との適合性、既存システムとの連携可否、UI・操作性、予算と機能のバランスが重要
  • 国内シェア1位はBowNow(14,000社以上)、2位はMarketing Cloud Account Engagement、3位はHubSpot
  • 導入前に目的・目標を明確にし、無料トライアルで実際に試すことが推奨される

MAツールが注目される背景とビジネス課題

MAツールの導入が進む背景には、B2B企業が抱えるリード管理の課題があります。

(1) リード管理の課題と営業効率化の必要性

B2Bマーケティングにおいて、以下のような課題が顕在化しています:

リード管理の課題:

  • 展示会・ウェビナー・Webサイトなど複数チャネルからのリード情報が一元管理できない
  • 獲得したリードの優先順位付けができず、営業が非効率
  • 見込み顧客へのフォローアップが属人化し、漏れが発生
  • リードの育成(ナーチャリング)が不十分で、商談化率が低い

営業効率化の必要性:

  • 営業リソースが限られる中、ホットリードに集中したい
  • リードの興味関心度合いを可視化し、適切なタイミングでアプローチしたい
  • マーケティング施策の効果測定を定量的に行いたい

MAツールはこれらの課題を解決する手段として注目されています。

(2) 国内MA市場の成長動向(2024年612億円 → 2033年1,272億円予測)

日本国内のMA市場は急成長を続けています:

市場規模予測:

  • 2024年時点で約612億円
  • 2033年には約1,272億円まで拡大見込み
  • 年平均成長率(CAGR)8.5%

成長要因:

  • DX推進の加速
  • リモートワークの普及によるオンラインマーケティング需要の増加
  • 生成AIを活用した新機能の登場
  • 中小企業向けの低価格帯ツールの充実

このような市場環境の中、自社に最適なMAツールを選定することが重要です。

MAツール(マーケティングオートメーション)の基礎知識

MAツールとは何か、基本概念を整理します。

(1) MAツールとは何か(定義と基本概念)

MAツールの定義: マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客の獲得から育成までのマーケティング業務を自動化するツール・概念です。

主な目的:

  • 見込み顧客(リード)の獲得と一元管理
  • リードの興味関心度合いに応じた育成(ナーチャリング)
  • 購買意欲の高いホットリードの営業への引き渡し
  • マーケティング活動の効果測定と改善

(2) MA・SFA・CRMの違いと役割分担

MA・SFA・CRMは連携して活用されることが多いですが、それぞれ役割が異なります:

MA(マーケティングオートメーション):

  • 担当部門:マーケティング
  • 主な機能:リード獲得・育成・スコアリング
  • 目的:ホットリードの創出

SFA(営業支援システム):

  • 担当部門:営業
  • 主な機能:商談管理、顧客管理、売上予測
  • 目的:営業活動の効率化・売上最大化

CRM(顧客関係管理):

  • 担当部門:営業・カスタマーサポート
  • 主な機能:顧客情報の一元管理、顧客対応履歴
  • 目的:顧客との長期的な関係構築

MAとSFA/CRMを連携することで、マーケティングから営業へのスムーズなリード引き渡しが実現します。

(3) MAツールの主要機能(リードジェネレーション・ナーチャリング・スコアリング)

MAツールの主要機能は以下の通りです:

1. リードジェネレーション(見込み顧客の獲得):

  • フォーム作成・埋め込み
  • ランディングページ作成
  • Webサイト訪問者の行動トラッキング

2. リードナーチャリング(見込み顧客の育成):

  • メール配信の自動化
  • セグメント別のシナリオ設計
  • コンテンツ提供の最適化

3. リードスコアリング(見込み顧客の優先順位付け):

  • 行動履歴に基づくスコアリング(Webページ閲覧、メール開封、資料ダウンロード等)
  • 属性情報によるスコアリング(企業規模、役職、業種等)
  • 一定スコアに達したリードの営業への通知

4. 効果測定・レポート:

  • マーケティング施策別のリード獲得数
  • リードの商談化率・受注率
  • ROI(投資対効果)の可視化

(4) BtoB向けとBtoC向けの違い(管理リード数:約1万件 vs 約10万件)

MAツールはBtoB向けとBtoC向けで特性が異なります:

BtoB向けMAツール:

  • 管理リード数:約1万件が目安
  • 特徴:リードの詳細な属性管理、長期的な育成(数ヶ月〜数年)
  • 代表例:Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)、HubSpot、SATORI

BtoC向けMAツール:

  • 管理リード数:約10万件が目安
  • 特徴:大量のリード処理、短期的な育成(数日〜数週間)
  • 代表例:Marketing Cloud(Salesforce)、Adobe Marketo Engage

自社のビジネスモデルに合わせて選定することが重要です。

MAツール選定のポイントと比較軸

MAツール選定で重視すべきポイントを整理します。

(1) 自社の課題との適合性を最優先にする理由

高機能ツールの落とし穴: MAツール選定では、高機能なツールを導入しても一部機能しか使わないケースが多いと言われています。

適合性を優先する理由:

  • 自社の課題(リード獲得・育成・選別のどれを優先するか)が明確でないと、ツールを使いこなせない
  • 高機能ツールは月額料金が高額で、投資対効果が低くなる可能性がある
  • 既存の業務フローに合わないツールは定着しない

選定前に明確にすべきこと:

  • 現状のリード管理フローと課題点
  • MAツール導入で解決したい優先課題(3つ以内)
  • 導入後の目標(リード獲得数、商談化率、受注率等)

(2) 既存システム(SFA/CRM/名刺管理)との連携可否

MAツールは単独で効果を発揮するものではなく、既存システムとの連携が重要です。

連携すべきシステム:

  • SFA/CRM(Salesforce、HubSpot CRM、Zoho CRM等)
  • 名刺管理ツール(Sansan、Eight等)
  • Webサイト(Google Analytics、Search Console等)
  • 広告プラットフォーム(Google広告、Facebook広告等)

連携のメリット:

  • リード情報の二重入力を回避
  • マーケティングから営業へのスムーズなリード引き渡し
  • 全体のリード獲得〜受注までのデータ可視化

選定時の確認事項:

  • 既存システムとの連携機能が標準で提供されているか
  • API連携が可能か
  • 連携設定の難易度(ノーコードで設定可能か、開発が必要か)

(3) UI・操作性(ノーコード操作の重要性)

MAツールを定着させるには、担当者が使いこなせることが前提です。

ノーコード操作の重要性:

  • 初めて導入する場合、直感的なUIやノーコード操作が可能なツールを選ぶとツール定着に好影響
  • マーケティング担当者がエンジニアの支援なしで設定・運用できる
  • 施策の検証サイクルを高速化できる

確認すべきポイント:

  • フォーム作成、メール配信設定、シナリオ設計がノーコードで可能か
  • ダッシュボード・レポートが見やすいか
  • 無料トライアルで実際に操作してみる

(4) 予算と機能のバランス(高機能ツールの落とし穴)

MAツールの料金体系は幅広く、選定時には予算と機能のバランスを検討する必要があります。

料金相場(2024年時点):

  • 初期費用:0円〜数十万円
  • 月額費用:数万円〜数十万円
  • 管理リード数や機能により変動

価格だけを重視するリスク:

  • 必要な機能(SFA連携、ABM機能等)が含まれない
  • サポート体制が不十分で運用に困る
  • 管理リード数の上限が低く、すぐに追加費用が発生

推奨される選定プロセス:

  1. 予算上限を設定(初期費用+月額費用×12ヶ月)
  2. 予算内で候補ツールを3〜5個リストアップ
  3. 無料トライアルで実際に試す
  4. 機能・操作性・サポート体制を総合的に評価

主要MAツールの機能・料金比較

国内で導入実績のある主要MAツールを比較します。

(1) 国内シェアランキング(BowNow・Marketing Cloud Account Engagement・HubSpot)

2024年時点の国内MAツールシェアランキング(導入社数ベース)は以下の通りです:

1位:BowNow(バウナウ)

  • 導入社数:14,000社以上
  • 特徴:低コスト(無料プランあり)、ノーコードで操作可能、中小企業向け

2位:Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)

  • 提供元:Salesforce
  • 特徴:Salesforceとのシームレスな連携、BtoB向けMA機能が充実、中堅〜大手企業向け

3位:HubSpot

  • 提供元:HubSpot
  • 特徴:無料プランあり、CRM・SFA・MAが一体化、グローバル対応、中小〜中堅企業向け

その他の主要ツール:

  • SATORI(国産MA、日本語サポート充実)
  • Marketo Engage(Adobe製品との連携、大手企業向け)
  • List Finder(低価格帯、中小企業向け)

(2) 料金体系の違い(初期費用・月額費用・従量課金)

MAツールの料金体系は大きく以下の3タイプに分かれます:

1. 月額固定型(管理リード数上限あり):

  • 例:SATORI(初期費用30万円、月額14.8万円)
  • メリット:予算が立てやすい
  • デメリット:リード数上限を超えると追加費用

2. ユーザー課金型:

  • 例:HubSpot(利用ユーザー数に応じた課金)
  • メリット:小規模スタートしやすい
  • デメリット:ユーザー増加で料金が高額化

3. 従量課金型(リード数・メール送信数等):

  • 例:Marketing Cloud Account Engagement(管理リード数により料金変動)
  • メリット:使った分だけの支払い
  • デメリット:月額料金が予測しにくい

※2024年時点の料金です。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

(3) 企業規模別おすすめツール(中小・中堅・大手)

企業規模別の選定目安は以下の通りです:

中小企業(従業員30〜100名):

  • 推奨ツール:BowNow、HubSpot(無料〜Starterプラン)、List Finder
  • 理由:低コスト、ノーコード操作、スモールスタート可能

中堅企業(従業員100〜500名):

  • 推奨ツール:HubSpot(Professionalプラン)、SATORI、Marketing Cloud Account Engagement
  • 理由:SFA/CRM連携、ABM機能、レポート機能が充実

大手企業(従業員500名以上):

  • 推奨ツール:Marketo Engage、Marketing Cloud Account Engagement、HubSpot(Enterpriseプラン)
  • 理由:大規模リード管理、グローバル対応、高度な分析機能

(4) 目的別比較(リード獲得重視・育成重視・分析重視)

目的別の選定目安は以下の通りです:

リード獲得重視:

  • 推奨ツール:BowNow、HubSpot
  • 理由:フォーム作成、LP作成、広告連携が充実

育成重視:

  • 推奨ツール:SATORI、Marketing Cloud Account Engagement
  • 理由:シナリオ設計、セグメント配信、スコアリング機能が充実

分析重視:

  • 推奨ツール:Marketo Engage、Marketing Cloud Account Engagement
  • 理由:高度なレポート機能、ダッシュボード、ROI分析

導入時の注意点とよくある失敗パターン

MAツール導入で失敗しないためのポイントを整理します。

(1) 導入前に目的・目標を明確にする重要性

よくある失敗: 「とりあえずMAツールを導入すれば効果が出るだろう」という期待で導入し、効果が出ない

成功のポイント:

  • 導入前にMAツールでできることを認識し、目的・目標を明確にする
  • 目標例:「3ヶ月後にリード獲得数を月100件→200件に増やす」「商談化率を5%→10%に改善」
  • 現状の課題を数値で把握しておく(現在のリード獲得数、商談化率、受注率等)

(2) ツール導入で自動的にホットリードが生まれるわけではない

よくある誤解: MAツールを導入すれば自動的にホットリードが生まれる

実際: MAツールは顧客フェーズに応じたコンテンツ提供が必要で、コンテンツがなければ効果は限定的

必要な準備:

  • ペルソナ設計(ターゲット顧客像の明確化)
  • カスタマージャーニーマップ(顧客の購買プロセスの可視化)
  • フェーズ別コンテンツの準備(認知段階→興味関心段階→比較検討段階)
  • シナリオ設計(どのタイミングでどのコンテンツを提供するか)

(3) 価格だけを重視すると必要な機能やサポートがない

よくある失敗: 価格だけを重視して低価格帯のツールを選び、必要な機能やサポートがなく効果が得られない

確認すべきポイント:

  • 必要な機能がすべて含まれているか(SFA連携、ABM機能、ABテスト機能等)
  • サポート体制(日本語サポート、オンボーディング支援、コミュニティの有無)
  • 管理リード数の上限と超過時の追加費用

(4) 導入後の効果測定(導入前後のリード獲得数・商談化率・受注率の比較)

MAツール導入後は、効果測定を定期的に行うことが重要です。

測定すべき指標:

  • リード獲得数(月次)
  • リードの商談化率(マーケティング qualified lead → sales accepted lead)
  • 商談の受注率
  • マーケティングROI(投資対効果)

効果が出るまでの期間:

  • リード獲得数の増加:3〜6ヶ月
  • 商談化率・受注率の改善:6ヶ月〜1年
  • ツールの効果は企業規模・業種・運用体制により異なるため、焦らず継続的に改善することが重要

まとめ:目的に合ったMAツールの選び方

MAツールは見込み顧客の獲得・育成・選別を自動化し、営業効率化を実現する有力なツールです。ただし、ツール選定では自社の課題との適合性、既存システムとの連携可否、UI・操作性、予算と機能のバランスを総合的に評価することが重要です。

選定のポイント:

  • 導入前に目的・目標を明確にする
  • 自社の企業規模・予算に合ったツールを選定する
  • 既存システム(SFA/CRM)との連携可否を確認する
  • 無料トライアルで実際に試してから判断する

次のアクション:

  • 現状のリード管理フローと課題を整理する
  • 予算上限を設定し、候補ツールを3〜5個リストアップする
  • 各ツールの公式サイトで最新の料金・機能を確認する
  • 無料トライアルで実際に操作してみる
  • 導入実績のある企業の事例を参考にする

自社の目的に合ったMAツールを選定し、マーケティング活動の効率化とリード獲得の最大化を目指しましょう。

よくある質問

Q1MAツールの導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

A1初期費用0円〜数十万円、月額数万円〜数十万円が一般的です。企業規模・機能・管理リード数により変動します。無料トライアルで試してから判断するのが推奨されます。

Q2BtoB向けとBtoC向けでツールの選び方は違いますか?

A2管理できるリード数が大きく異なります。BtoB向けは約1万件、BtoC向けは約10万件が目安です。自社のビジネスモデルに合わせて選定してください。

Q3導入後どのくらいで効果が出始めますか?

A3効果は企業規模・業種・運用体制により異なりますが、一般的にはリード獲得数の増加は3〜6ヶ月、商談化率・受注率の改善は6ヶ月〜1年で評価されます。

Q4社内にマーケティング専任者がいなくても運用できますか?

A4直感的なUIやノーコード操作が可能なツールを選べば、専任者がいなくても運用できます。ただし、効果を最大化するには専任者の配置が理想的です。

Q5既存のSFAやCRMとの連携は可能ですか?

A5主要なMAツールは主要SFA/CRMとの連携機能を提供していますが、連携可否や連携方法はツールにより異なります。導入前に必ず確認してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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