営業とマーケティング、どうすれば連携できる?
B2B企業で「営業とマーケティングの連携がうまくいかない」という悩みは珍しくありません。「マーケティングが獲得したリードが商談につながらない」「営業が何をしているか見えない」「顧客情報が部門間で共有されていない」といった課題を抱える企業は多いものです。
こうした課題を解決するツールとして注目されているのが、MA(Marketing Automation)とSFA(Sales Force Automation)です。この記事では、MAとSFAの違い、それぞれの機能、連携するメリット、導入の進め方まで徹底解説します。
この記事のポイント:
- MAはリード獲得・育成・選別を担当し、SFAは商談管理・営業活動を担当する
- MAとSFAを連携することで、営業・マーケ間のデータ共有がシームレスになる
- 導入順序は企業の課題によって異なり、オールインワン型と個別ツールの選択肢がある
- 連携方法は「標準連携」「iPaaS」「API・Webhook」の3パターン
- CRMを含めた3ツールの統合運用が営業効率を最大化する
1. MAとSFAとは?基本的な定義と役割の違い
まずは、MAとSFAの基本的な定義と、それぞれが担う役割の違いを理解しましょう。
(1) MA(Marketing Automation)の定義と役割
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化し、リード(見込み客)の獲得・育成・選別を効率化するツールです。
MAの主な役割:
- リードの獲得(Webフォーム、ランディングページ作成)
- リードの育成(メール配信、コンテンツ提供)
- リードの選別(スコアリング、行動トラッキング)
- マーケティング施策の分析・効果測定
主に使用する部門: マーケティング部門
担当する営業プロセス: 見込み客の発掘から、商談化の手前まで
米国では2000年頃からMAツールが登場し、日本では2010年頃から本格的に普及が始まりました。
(2) SFA(Sales Force Automation)の定義と役割
SFA(セールスフォースオートメーション)は、営業活動を効率化し、顧客情報・商談進捗をデータベース化して情報共有を促進するツールです。
SFAの主な役割:
- 顧客・案件情報の一元管理
- 商談の進捗管理・ステータス管理
- 営業活動の記録・共有
- 売上予測・パイプライン管理
主に使用する部門: 営業部門
担当する営業プロセス: 商談の開始から、受注・契約完了まで
2. MAとSFAの機能比較:担当領域と主要機能
MAとSFAはそれぞれ異なる営業プロセスを担当し、主要機能も異なります。また、CRM(顧客関係管理)との関係性も理解しておくことが重要です。
(1) MAの主要機能(リード獲得・育成・スコアリング)
リード獲得機能:
- ランディングページ作成・管理
- Webフォーム作成・データ収集
- 広告・SNS連携
リード育成(ナーチャリング)機能:
- メールマーケティング(ステップメール、セグメント配信)
- コンテンツ配信の自動化
- シナリオ設計・ワークフロー
リード選別機能:
- リードスコアリング(行動履歴に基づく点数化)
- 行動トラッキング(Web閲覧、メール開封など)
- ホットリードの自動抽出
(2) SFAの主要機能(商談管理・売上予測・活動管理)
商談管理機能:
- 案件・商談のステータス管理
- 商談履歴の記録・共有
- 見積もり・提案書管理
売上予測・分析機能:
- パイプライン管理(売上予測)
- 目標達成率のモニタリング
- 営業レポート・ダッシュボード
活動管理機能:
- 訪問・電話・メールの活動記録
- スケジュール・タスク管理
- 上司・チームへの報告・共有
(3) CRMとの関係性と3ツールの位置づけ
MA・SFA・CRMは、それぞれ営業・マーケティングプロセスの異なる段階を担当します。
3ツールの役割分担:
| ツール | 担当領域 | 主な目的 |
|---|---|---|
| MA | リード獲得〜育成〜選別 | 見込み客を商談化する |
| SFA | 商談開始〜受注・契約 | 営業活動を効率化する |
| CRM | 顧客関係全体 | 顧客情報を一元管理する |
顧客接点の流れ: MA(リード獲得) → MA(リード育成) → SFA(商談化) → SFA(受注) → CRM(顧客管理)
3つのツールは独立して使うことも可能ですが、連携することで効果を最大化できます。
3. MAとSFAを連携するメリットと効果
MAとSFAを連携することで、営業・マーケティング部門間の協力が強化され、より効率的な活動が実現できます。
(1) 営業・マーケ間のデータ共有とシームレスな引き継ぎ
連携によるメリット:
- MAが獲得・育成したリードをSFAに自動連携
- 「商談見込みが高い」と判断したリードを営業に自動通知
- マーケティング活動の履歴が営業にも共有される
- 営業からのフィードバックがマーケ施策に反映される
具体的な効果:
- リードの引き渡し漏れがなくなる
- 営業が商談時にリードの関心事を把握できる
- マーケは営業結果から施策を改善できる
(2) 二重入力の排除とリアルタイム可視化
業務効率化の効果:
- 顧客情報の二重入力が不要になる
- リアルタイムで顧客活動を可視化できる
- 部門間でのデータ整合性が保たれる
連携がない場合の問題:
- マーケと営業で別々に顧客情報を管理
- データの転記ミス・入力漏れが発生
- 部門間で情報のタイムラグが生じる
4. 導入パターン:どのツールをどの順序で導入すべきか
MAとSFAの導入順序は、企業の課題や状況によって異なります。
(1) 課題別の導入優先度
MA優先のパターン:
- リード数が不足している
- Webマーケティングを強化したい
- マーケティング部門の業務を効率化したい
SFA優先のパターン:
- 商談管理ができていない
- 営業活動の可視化が必要
- 売上予測の精度を上げたい
同時導入のパターン:
- 営業・マーケ連携を一気に改善したい
- 新規事業で営業プロセスを構築する
- 既存ツールからの移行を検討している
(2) オールインワン型と個別ツール組み合わせの選択
オールインワン型:
- MA・SFA・CRMが一体になった統合プラットフォーム
- 連携設定が不要で、導入がスムーズ
- 機能のカスタマイズ性は限定される場合がある
個別ツールの組み合わせ:
- 各領域で最適なツールを選択できる
- 連携設定が必要(標準連携、iPaaS、APIなど)
- 柔軟性が高いが、運用コストが上がる可能性
選択のポイント:
- 企業規模・予算に応じて判断
- 既存システムとの連携要件を確認
- 将来的な拡張性も考慮する
5. MA・SFAツールの選定基準と主要製品
MA・SFAツールを選定する際のチェックポイントと、主要製品の概要を紹介します。
(1) ツール選定の5つのチェックポイント
1. 連携性:
- 他ツールとの連携方法(標準連携、API、iPaaS)
- 既存システムとの互換性
2. 機能の充実度:
- 自社の業務フローに必要な機能があるか
- カスタマイズの柔軟性
3. 操作性・UI:
- 現場担当者が使いこなせるか
- 導入・定着のしやすさ
4. サポート体制:
- 日本語サポートの有無
- 導入支援・トレーニングの充実度
5. コスト:
- 初期費用・月額費用の総額
- ユーザー数・データ量による変動
(2) 主要MA・SFAツールの概要
主要MAツール:
| ツール名 | 特徴 |
|---|---|
| HubSpot Marketing Hub | CRM統合、無料プランあり、中小企業向け |
| Marketo Engage | 大企業向け、高機能、カスタマイズ性高い |
| Pardot(Account Engagement) | Salesforce連携、B2B特化 |
| SATORI | 国産、匿名リード対応、日本語サポート充実 |
| List Finder | 国産、BtoB特化、コスパ重視 |
主要SFAツール:
| ツール名 | 特徴 |
|---|---|
| Salesforce Sales Cloud | 業界標準、高機能、拡張性高い |
| HubSpot Sales Hub | CRM統合、無料プランあり、使いやすさ重視 |
| Mazrica Sales(旧Senses) | 国産、AI営業支援、UIシンプル |
| kintone | 国産、カスタマイズ自由、グループウェア統合 |
| eセールスマネージャー | 国産、定着率重視、サポート充実 |
連携方法の比較:
| 方法 | 難易度 | コスト | 柔軟性 |
|---|---|---|---|
| 標準連携 | 低 | 低 | 低 |
| iPaaS | 中 | 中 | 中 |
| API・Webhook | 高 | 高 | 高 |
※各ツールの料金・機能は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
6. まとめ:営業・マーケ連携を実現する運用ポイント
MAとSFAは、営業・マーケティングプロセスの異なる段階を担当する補完的なツールです。MAがリード獲得・育成・選別を担当し、SFAが商談管理・営業活動を担当することで、営業プロセス全体を効率化できます。
運用成功のポイント:
- MA・SFA・CRMを連携し、データを一元管理する
- 営業・マーケ間でKPIを共有し、定期的にレビューする
- ツール導入だけでなく、部門間の連携プロセスも設計する
- 現場担当者の定着・活用を重視する
導入前の確認事項:
- 自社の課題(リード不足?商談管理?)を明確にする
- 既存システムとの連携要件を洗い出す
- オールインワン型か個別ツールかを検討する
- 複数ツールの見積もりを取得して比較する
次のアクション:
- 自社の営業・マーケプロセスを可視化する
- 優先課題を特定し、MA/SFAどちらを先に導入するか決める
- 主要ツールの公式サイトで詳細を確認する
- 無料トライアルやデモで操作性を確認する
営業とマーケティングの連携は、ツール導入だけでは実現しません。組織的な協力体制と、継続的な改善が重要です。まずは自社の課題を整理し、適切なツール選定から始めてみてください。
(この記事は2025年1月時点の情報です。最新の料金・機能は各社公式サイトでご確認ください。)
よくある質問:
Q: MAとSFAとCRMの違いは?全部必要? A: MAはリード育成、SFAは商談管理、CRMは顧客関係管理を担当します。3つは営業プロセスの異なる段階を担っており、連携することで効果を最大化できます。すべて必須ではありませんが、営業・マーケ連携を強化したい場合は3ツールの統合運用が効果的です。
Q: MAとSFAはどちらを先に導入すべき? A: 課題によって異なります。リード数が不足しているならMA優先、商談管理が課題ならSFA優先です。多くの場合、オールインワンツールや同時導入が効率的ですが、予算や既存システムとの兼ね合いで判断してください。
Q: MAとSFAを両方導入する必要はある? A: 必須ではありませんが、連携により営業効率が大幅に向上します。マーケから営業へのリード引き渡しがシームレスになり、部門間協力が強化されます。企業規模や業務フローに応じて検討してください。
Q: MAとSFAのデータ連携方法は? A: 主に3つの方法があります。(1)標準連携機能(簡単だが機能制限あり)、(2)iPaaS(柔軟だが別コストがかかる)、(3)API・Webhook(自由度は高いが開発工数が必要)。自社のIT体制と予算に応じて選択してください。
