MAと営業の連携がうまくいかない...データが活かせていない
マーケティングオートメーション(MA)を導入したものの、「営業部門との連携がスムーズでない」「せっかく集めたリードが放置されている」という悩みを抱えるB2B企業は少なくありません。MAツールは導入すれば自動的に成果が出るわけではなく、営業部門との連携設計が成否を分けます。
この記事では、MAを営業に活かすための具体的な仕組み(スコアリング活用、リード引き渡し基準、フィードバックループ構築)と、部門間連携を成功させるポイントを解説します。
この記事のポイント:
- MAと営業連携では、ホットリードの自動抽出と最適なタイミングでのフォローが可能になる
- MA・SFA・CRMの違いを理解し、連携することで顧客データの一元管理が実現
- スコアリング機能で購買確度を可視化し、営業に引き渡す基準を明確化することが重要
- 営業へのリード引き渡し時は5つの情報(検討状況・予算・課題感など)をまとめて共有
- 部門間のフィードバックループと継続的な改善が、MA活用の成否を分ける
MA・SFA・CRMの違いと連携の必要性
(1) MA(マーケティングオートメーション)の役割
MAは、マーケティング業務を自動化し、見込み客の獲得から育成、購買促進までを一元管理するツールです。主な機能には以下があります:
- リード獲得(Webフォーム、ランディングページ作成)
- リードナーチャリング(メール配信、シナリオ設定)
- リードスコアリング(行動・属性を数値化)
- Webアクセス履歴の可視化
MAはマーケティング部門が主に活用し、「まだ購買意欲が顕在化していない見込み客」を段階的に育成する役割を担います。
(2) SFA(営業支援システム)の役割
SFA(セールスフォースオートメーション)は、営業活動を効率化・自動化する営業支援システムです。主な機能:
- 商談管理(商談フェーズ、確度、金額)
- 案件管理(営業プロセスの進捗状況)
- 行動管理(訪問・架電履歴)
- 売上予測・レポート機能
SFAは営業部門が主に活用し、「商談が始まった後」の営業プロセスを効率化する役割を担います。
(3) CRM(顧客関係管理)の役割
CRMは、顧客データを一元管理し、顧客との関係構築・維持を支援するシステムです。主な機能:
- 顧客データの一元管理(属性、購買履歴、問い合わせ履歴)
- 顧客セグメント管理
- カスタマーサポート・問い合わせ管理
- 顧客満足度の向上施策
CRMは営業・マーケティング・カスタマーサクセス部門が共通で活用し、「顧客との長期的な関係構築」を支援します。
(4) なぜ連携が必要なのか(データ一元化・機会損失防止)
MAとSFA/CRMを連携させることで、以下のメリットがあります:
データの一元化:
- マーケティング部門が獲得したリード情報が、そのまま営業部門のSFA/CRMに引き継がれる
- 営業担当者は、リードのWebアクセス履歴やメール開封状況をリアルタイムで確認できる
機会損失の防止:
- スコアリングで「ホットリード」を自動抽出し、購買意欲が高まっているタイミングで営業がアプローチできる
- 部門間で情報が分断されず、リードが放置されるリスクが減る
営業効率の向上:
- 営業担当者は、購買確度が低いリードに時間を割かず、ホットリードに集中できる
- 営業プロセスの自動化により、残業代・経費の削減が可能
(5) 2024年のトレンド(CRMとMAの統合・オムニチャネル戦略)
2024年はCRMとMAの統合が重要トピックとなっています。リードスコアリング自動化で成約可能性の高いリードだけを営業に引き渡し、営業効率と成約率が大幅に向上する事例が増えています。
また、オムニチャネル戦略でMAがSNS・メール・Webサイト・実店舗データを統合し、シームレスな顧客体験を提供する動きが加速しています。日本国内MA市場は年間20-30%成長しており、企業のデジタルマーケティング戦略において中心的な役割を担うようになっています。
MAを営業に活かすメリット(ホットリード抽出・タイミング最適化)
(1) ホットリードの自動抽出
MAの最大の強みは、リードスコアリング機能で購買確度を可視化できることです。リードの行動(Webページ閲覧、資料ダウンロード、メール開封)や属性(企業規模、役職)を数値化し、一定スコアを超えたリードを「ホットリード」として営業部門に自動的に引き渡します。
従来の課題:
- マーケティング部門が獲得したリードを手動で振り分け→営業への引き渡しが遅れる
- リードの購買意欲が不明→営業が効率的にアプローチできない
MA導入後:
- スコアリングで自動的にホットリードを抽出→営業はすぐにアプローチできる
- 購買意欲が数値化される→営業は確度の高いリードに集中できる
(2) 最適なタイミングでのフォロー(Webアクセス・メール開封)
MAツールは、リードのWebアクセス履歴やメール開封状況をリアルタイムで把握できます。例えば、「料金ページを複数回閲覧している」「導入事例のメールを開封した」といった行動は、購買意欲が高まっているサインです。
営業担当者は、こうした「興味が高まっているタイミング」でアプローチすることで、成約率を大幅に向上させることができます。
(3) 営業コストの削減(人員・残業代・経費)
MAを適切に運用すれば、営業担当の数削減、残業代・経費の大幅削減が可能です。購買確度の低いリードに時間を割かず、ホットリードに集中することで、営業プロセス全体が効率化されます。
ただし、効果が出るまでには時間がかかります。軌道に乗せるまでの運用体制と継続的な改善が不可欠です。
(4) 機会損失の防止
MAとSFA/CRMを連携させることで、マーケティング部門が獲得したリードが営業部門で放置されるリスクが減ります。部門間の情報共有がスムーズになり、「せっかく集めたリードが活かされない」という機会損失を防止できます。
(5) 顧客接点全体での一貫した顧客体験
MAツールはマーケティング→営業→カスタマーサービスまでの顧客接点全体で一貫した顧客体験を提供することを可能にします。顧客が「どの部門と接しても同じ情報が共有されている」と感じることで、信頼関係が構築されやすくなります。
営業連携の具体的な仕組み(スコアリング・引き渡し・フィードバック)
(1) スコアリング機能でリードの購買確度を可視化
リードスコアリングは、見込み客の行動や属性を数値化し、購買確度を評価する機能です。スコアリングの設計例:
行動スコア(Webアクセス・メール開封など):
- 料金ページ閲覧: +10点
- 導入事例ダウンロード: +15点
- メール開封: +5点
- セミナー参加: +20点
属性スコア(企業規模・役職など):
- 従業員100名以上: +10点
- 役職が部長以上: +15点
- 業種がターゲット業界: +10点
スコアが一定値(例: 50点以上)を超えたリードを「ホットリード」として営業に引き渡します。
(2) ホットリード判定基準(一定スコア超過)
ホットリード判定基準は、自社の営業プロセスに合わせて設定します。一般的な基準:
- スコアが50点以上
- 直近1週間で料金ページを2回以上閲覧
- 資料ダウンロード後にメールを3回以上開封
判定基準は、営業からのフィードバックをもとに継続的に調整することが重要です。
(3) 営業へのリード引き渡し時の5つの情報(検討状況・予算・課題感等)
マーケティング部門から営業部門にリードを引き渡す際は、以下の5つの情報をまとめて共有することが重要です:
- 検討状況: どの段階か(情報収集中、比較検討中、導入直前など)
- 予算: 予算感が把握できているか
- 課題感: どんな課題を抱えているか
- 時期: いつ頃の導入を検討しているか
- 行動履歴: Webアクセス履歴、メール開封履歴、資料ダウンロード履歴
これらの情報を共有することで、営業担当者は初回アプローチから的確な提案ができます。
(4) MAとSFA/CRMの連携設定と注意点
MAとSFA/CRMの連携設定では、以下の点に注意が必要です:
連携項目の選定:
- どの情報を双方向で同期するか(リード情報、行動履歴、商談情報など)
- どの情報はMAのみ、SFAのみで管理するか
連携タイミング:
- リアルタイム同期か、1日1回のバッチ同期か
- ホットリード判定後、何分以内に営業に通知するか
注意点:
- MAとSFAの連携機能がすべてシームレスに動くわけではない
- 導入前に仕様確認・カスタマイズ要否の検討が必要
(5) 営業からのフィードバックループ構築
営業からマーケティングへのフィードバックループは、MA活用の成否を分ける重要な要素です。
フィードバック内容:
- 引き渡されたリードの質(ホットリード判定が適切か)
- どのリードが成約に至ったか
- どのリードが失注したか、その理由
改善サイクル:
- 営業が週次でリードの質をフィードバック
- マーケティングがスコアリング基準を調整
- 引き渡し基準を最適化
- 成約率が向上
このサイクルを回すことで、MAの精度が継続的に向上します。
MA導入で営業はどう変わるか(活用シーン・効果測定)
(1) BtoB営業の具体的な活用シーン
BtoB企業におけるMA活用の具体的なシーン:
シーン1: 展示会後のフォロー
- 展示会で名刺交換したリードをMAに登録
- 自動でフォローメールを配信
- Webアクセス履歴から興味度を把握し、ホットリードを営業に引き渡し
シーン2: 資料請求後のナーチャリング
- 資料請求したリードに段階的にメールを配信(導入事例→活用方法→料金案内)
- スコアが一定値を超えたタイミングで営業がアプローチ
シーン3: 既存顧客のアップセル
- 既存顧客の行動履歴から新機能への興味を検知
- カスタマーサクセス担当がアップセル提案
(2) インサイドセールスとの連携
インサイドセールス(電話・メール・Web会議を活用した内勤型営業)とMAの連携は、BtoB企業で特に効果的です。
連携の流れ:
- MAがホットリードを抽出
- インサイドセールスが電話・メールでアプローチ
- 商談化したリードをフィールドセールス(訪問営業)に引き渡し
インサイドセールスがMAと連携することで、リード対応のスピードが上がり、機会損失が減ります。
(3) 効果測定のポイント(成約率・営業効率向上)
MA導入後の効果測定では、以下の指標を追跡します:
定量指標:
- ホットリード数(月次)
- ホットリード→商談化率
- 商談→成約率
- 営業担当者1人あたりの商談数
- リード獲得コスト(CPL)
定性指標:
- 営業部門からの満足度(リードの質)
- 部門間の情報共有スムーズさ
効果が出るまでには3〜6ヶ月かかるのが一般的です。短期的な成果を求めず、継続的に改善していくことが重要です。
(4) 部門間の認識ズレを解消する方法
MAツールを導入しても、営業部門とマーケティング部門の認識ズレがあると、せっかく獲得したリードが放置され機会損失が発生します。
解消方法:
- 両部門が信頼できるオールインワンツール(MA・SFA・CRMが統合されたツール)の導入
- データ共有による可視化(ダッシュボードで両部門がリアルタイムで状況を確認)
- 定期的なフィードバックミーティング(週次または月次)
- SLA(Service Level Agreement)の設定(例: マーケはホットリードを月100件提供、営業は48時間以内にアプローチ)
(5) 継続運用と改善のポイント
MAツール導入だけでは効果が出ません。施策の核となる部分(シナリオ作成、コンテンツ作成、効果測定、改善策)は人が考える必要があります。
継続運用のポイント:
- 専任担当者の配置(マーケティング・営業双方から1名ずつ)
- 週次の効果測定とスコアリング基準の調整
- コンテンツの定期的な更新(導入事例、ホワイトペーパー)
- 営業からのフィードバックを反映
軌道に乗せるまでの運用体制と継続的な改善が、MA活用の成否を分けます。
まとめ:MAを営業に活かすために
MAツールを営業に活かすには、ツールを導入するだけでなく、営業部門との連携設計(スコアリング基準、リード引き渡しフロー、フィードバックループ)をしっかり構築することが重要です。
次のアクション:
- MAとSFA/CRMの連携設定を確認する
- スコアリング基準を営業と一緒に設計する
- リード引き渡し時の5つの情報(検討状況・予算・課題感など)を整理する
- 営業からのフィードバックループを構築する
- 週次で効果測定と改善を継続する
MAと営業の連携を強化し、ホットリードの成約率向上と営業効率化を実現しましょう。
※この記事は2024年12月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、各ツールの公式サイトで最新情報をご確認ください。
