なぜMAとCRMの違いが重要なのか:混同がもたらすリスク
「MAとCRMって何が違うの?」「どっちを先に導入すればいいの?」
B2B企業でマーケティングや営業の効率化を検討する際、こうした疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。MAツールとCRMは、どちらも顧客管理に関わるシステムですが、役割・使用タイミング・目的が大きく異なります。
この記事では、MAとCRMの違い、連携メリット、主要ツール比較、企業規模別の導入判断基準を解説します。
この記事のポイント:
- MAは見込み客の獲得・育成に、CRMは既存顧客の管理・分析に使用する明確な役割分担がある
- MAとCRMを連携することで、顧客情報と行動データを一元管理でき、部門間連携が強化される
- HubSpotは統合型プラットフォーム、Salesforce + Marketo等は個別ツール連携の代表例
- リード数が月50件以下ならCRM優先、50件以上ならMAとCRMの同時導入を検討
- 連携によりROIは導入後6ヶ月〜1年で回収できるケースが多い
(1) MAとCRMの混同で起こる導入失敗パターン
よくある失敗例:
- CRMだけ導入したが、新規リード獲得が進まず営業活動が停滞
- MAだけ導入したが、商談化後の顧客管理ができず受注率が低迷
- 両方導入したがデータが分断され、リード管理の全体像が見えない
- 高額なツールを導入したが使いこなせず、スプレッドシートに逆戻り
これらの失敗は、MAとCRMの役割の違いを理解せずに導入したことが原因です。
(2) カスタマージャーニーにおけるMA・CRMの役割
B2Bのカスタマージャーニーは、以下のように分類できます:
見込み客フェーズ(MA担当):
- リード獲得(Webサイト訪問、資料請求、展示会)
- リード育成(メール配信、セミナー案内、コンテンツ提供)
- 商談創出(スコアリングで関心度を定量化、営業へパス)
顧客フェーズ(CRM担当): 4. 商談管理(提案、見積、契約交渉) 5. 受注後の顧客管理(アップセル、クロスセル提案) 6. 顧客満足度の維持・向上(問い合わせ対応、継続率向上)
MAとCRMは、このカスタマージャーニーの異なるフェーズを担当します。
(3) 本記事で解説する内容
本記事では以下の内容を解説します:
- MAとCRMの定義と役割の違い
- MAとCRM連携がもたらす3つのメリット
- 主要ツール比較(HubSpot、Salesforce、Marketo、Pardot)
- 企業規模別の導入判断ポイントと失敗事例
- 次のアクション(無料トライアル、デモ依頼)
MAとCRMの基礎知識:それぞれの定義と役割の違い
(1) MA(マーケティングオートメーション)とは:見込み客の獲得・育成
**MA(Marketing Automation)**は、見込み客(リード)の獲得・育成・管理を自動化するツールです。
主要機能:
- リード獲得(Webフォーム、ランディングページ作成)
- メール配信自動化(セグメント配信、ステップメール)
- リードスコアリング(Webサイト訪問、メール開封などの行動を数値化)
- リードナーチャリング(見込み客を育成し、商談化する活動)
- キャンペーン管理(展示会、セミナー、ウェビナー等の効果測定)
使用目的:
- 新規リードの獲得数を増やす
- リードの関心度を定量化し、優先順位をつける
- 営業担当に商談化可能なリードを渡す
(2) CRM(顧客関係管理)とは:既存顧客の管理・分析
**CRM(Customer Relationship Management)**は、顧客情報を一元管理し、長期的な関係を構築するシステムです。
主要機能:
- 顧客情報管理(企業情報、担当者、商談履歴)
- 商談管理(提案、見積、契約交渉のフェーズ管理)
- 顧客分析(購買履歴、趣味・嗜好の把握)
- 問い合わせ管理(カスタマーサポート履歴)
- レポート・ダッシュボード(売上予測、成約率の可視化)
使用目的:
- 既存顧客との関係を維持・強化
- アップセル・クロスセル提案
- リピート購入の促進
- 顧客満足度の向上
(3) SFAとの関係:営業支援システムの位置づけ
**SFA(Sales Force Automation)**は、営業活動を効率化し、案件管理や商談進捗を管理するツールです。
MA・CRM・SFAの関係:
| ツール | 対象 | 主要機能 | 使用部門 |
|---|---|---|---|
| MA | 見込み客 | リード獲得・育成・スコアリング | マーケティング |
| SFA | 商談中の顧客 | 案件管理・商談進捗管理 | 営業 |
| CRM | 既存顧客 | 顧客情報管理・分析・関係構築 | 営業・カスタマーサクセス |
実務では、SFAとCRMは統合されているケース(Salesforce Sales Cloud等)が多く、「CRM」と総称されることが一般的です。
(4) 使用タイミングの違い:顧客化前 vs 顧客化後
MAの使用タイミング:
- 顧客化前(見込み客フェーズ)
- Webサイト訪問、資料請求、展示会で獲得したリードの育成
- メール配信、セミナー案内で関心度を高める
CRMの使用タイミング:
- 顧客化後(商談〜受注〜既存顧客フェーズ)
- 商談管理、契約交渉、受注後のフォロー
- アップセル・クロスセル提案、問い合わせ対応
この「顧客化前 vs 顧客化後」の違いを理解することが、MAとCRM選定の第一歩です。
MAとCRM連携がもたらす3つのメリット
(1) 顧客情報・行動データの一元管理
MAとCRMを連携することで、Webサイト訪問、メール開封、商談履歴、受注情報などの幅広いデータを一元管理できます。
連携前:
- MAにはWebサイト訪問、メール開封のデータ
- CRMには商談履歴、受注情報
- 両者が分断され、顧客の全体像が見えない
連携後:
- リード獲得から受注までの行動履歴を時系列で確認
- 「Webサイトで製品Aのページを3回閲覧→資料請求→セミナー参加→商談化→受注」という流れを可視化
- 営業担当が顧客の関心度を把握し、適切なタイミングで提案できる
(2) 部門間連携の強化(マーケ・営業・カスタマーサクセス)
MAとCRMの連携により、部門間の垣根を越えて顧客情報を共有できます。
マーケティング部門:
- MAでスコアリングしたリードを営業に渡す
- CRMの受注データを分析し、効果的なキャンペーンを設計
営業部門:
- MAのリードスコアで優先順位をつけて商談化
- CRMで商談進捗を管理
カスタマーサクセス部門:
- CRMで既存顧客の満足度を把握
- MAで既存顧客向けのアップセル提案メールを配信
部門間の連携により、リード獲得から受注、顧客維持までの一貫したマーケティング施策を実施できます。
(3) ROI測定の精度向上:リード獲得から受注までの可視化
MAとCRMを連携することで、マーケティング施策のROI(投資対効果)を正確に測定できます。
連携前のROI測定:
- 「展示会で100件のリードを獲得」まではMAで把握
- その後の商談化率・受注率は不明
- 施策の費用対効果が見えない
連携後のROI測定:
- 「展示会で100件のリードを獲得→30件が商談化→10件が受注→売上3,000万円」
- 展示会の費用が200万円なら、ROIは15倍
- どのキャンペーンが効果的かを定量的に判断できる
ROI測定の精度向上により、予算配分の最適化が可能になります。
主要ツール比較:HubSpot・Salesforce・Marketo・Pardotの特徴
(1) HubSpot:MA/CRM統合プラットフォーム(中小〜中堅企業向け)
特徴:
- MAとCRMの機能を一つのプラットフォームで提供
- 無料プランあり(CRM機能のみ)
- 使いやすさ重視、導入ハードルが低い
料金(2024-2025年時点):
- 無料プラン: CRM機能のみ
- Starter: 月額2,000円〜(MA機能追加)
- Professional: 月額96,000円〜(本格的なMA機能)
適する企業:
- 中小〜中堅企業(従業員50〜500名)
- MA/CRM連携の技術的なハードルを下げたい
- 統合ツールでシンプルに運用したい
(2) Salesforce Pardot + Sales Cloud:大企業向けフル機能
特徴:
- Pardot(MA)とSales Cloud(CRM)をSalesforce製品内で連携
- 大企業の複雑な要件に対応
- 高度なカスタマイズが可能
料金(2024-2025年時点):
- Sales Cloud: 月額3,000円〜39,600円(ユーザーあたり)
- Pardot: 月額150,000円〜(10,000リードまで)
適する企業:
- 大企業(従業員500名以上)
- 複雑な承認フロー、セキュリティ要件がある
- Salesforce製品で統一したい
(3) Marketo + Salesforce:ベストオブブリード型連携
特徴:
- Marketo(MA)とSalesforce(CRM)を個別ツールとして連携
- それぞれのベストプラクティスを活用
- API連携が必要
料金(2024-2025年時点):
- Marketo: 月額150,000円〜(10,000リードまで)
- Salesforce: 月額3,000円〜39,600円(ユーザーあたり)
適する企業:
- 中堅〜大企業(従業員100名以上)
- MAとCRMそれぞれで最高性能を求める
- 導入パートナーのサポートを受けられる
(4) 統合型 vs 個別ツール連携:どちらを選ぶべきか
統合型ツール(HubSpot等)のメリット:
- データ連携が不要(最初からリアルタイム同期)
- 設定が簡単、導入ハードルが低い
- 料金体系がシンプル
統合型ツールのデメリット:
- 個別機能の専門性は個別ツールに劣る場合がある
- 企業成長に伴い、機能不足を感じる可能性
個別ツール連携(Marketo + Salesforce等)のメリット:
- MAとCRMそれぞれのベストプラクティスを活用
- 高度なカスタマイズが可能
- 大企業の複雑な要件に対応
個別ツール連携のデメリット:
- API連携の技術的なハードルがある
- 導入・運用コストが高額
- データ同期に遅延が発生する場合がある
選定基準:
- 中小〜中堅企業(従業員50〜500名): 統合型ツール(HubSpot等)
- 大企業(従業員500名以上): 個別ツール連携(Marketo + Salesforce等)
※この記事は2024-2025年時点の情報です。最新の料金・機能は各社公式サイトでご確認ください。
導入判断のポイント:企業規模別の最適パターンと失敗事例
(1) 小規模企業(〜50名):CRM優先、MAは後回し
推奨パターン:
- まずCRM導入(HubSpot無料版、Zoho CRM等)
- リード数が月50件を超えたらMA機能を追加
理由:
- リード数が少ない段階では、MAの自動化効果が限定的
- 既存顧客管理(商談管理、受注後フォロー)が優先
- スプレッドシートやメールでリード管理できる範囲
(2) 中堅企業(50〜500名):MA/CRM同時導入または連携
推奨パターン:
- 統合ツール(HubSpot Professional等)
- または個別ツール連携(Marketo + Salesforce等)
理由:
- リード数が月50件以上なら、MAの自動化効果が高い
- マーケティング・営業の部門間連携が必要
- ROI測定の精度向上が求められる
(3) 大企業(500名以上):専用ツール + カスタマイズ連携
推奨パターン:
- Salesforce Pardot + Sales Cloud
- またはMarketo + Salesforce
理由:
- 複雑な承認フロー、セキュリティ要件がある
- 高度なカスタマイズが必要
- 大量のリード・顧客データを管理
(4) よくある失敗事例:ツールを入れただけで使いこなせない
失敗パターン1: 高額ツールを導入したが設定が複雑で放置
- 原因: 営業・マーケ担当のITリテラシーを考慮せず、高機能ツールを導入
- 対策: 無料トライアルで実際に試す、導入パートナーの伴走支援を依頼
失敗パターン2: MAとCRMのデータが分断され、連携できない
- 原因: API連携の技術的なハードルを過小評価
- 対策: 統合ツール(HubSpot等)を選択、または導入パートナーに依頼
失敗パターン3: ツール導入後のROI測定をせず、効果が不明
- 原因: KPI設定をせず、リード獲得数・商談化率・受注率を計測しない
- 対策: 導入前にKPIを設定、定期的にレポートを作成
まとめ:MA・CRM導入の優先順位と次のステップ
MAは見込み客の獲得・育成に、CRMは既存顧客の管理・分析に使用する明確な役割分担があります。両者を連携することで、顧客情報と行動データを一元管理でき、部門間連携が強化されます。
企業規模・リード数に応じて、導入の優先順位を判断しましょう。
(1) リード数が月50件以下:CRMのみでOK
推奨ツール:
- HubSpot無料版(CRM機能のみ)
- Zoho CRM(月額1,680円〜)
理由:
- MAの自動化効果が限定的
- スプレッドシートやメールでリード管理できる範囲
- まず既存顧客管理(商談管理、受注後フォロー)を優先
(2) リード数が月50件以上:MAとCRMの連携を検討
推奨ツール:
- 統合型: HubSpot Professional(月額96,000円〜)
- 個別ツール連携: Marketo + Salesforce(月額150,000円〜 + ユーザーあたり3,000円〜)
理由:
- リード育成の自動化効果が高い
- マーケティング・営業の部門間連携が必要
- ROI測定の精度向上が求められる
(3) 次のアクション:無料トライアル・デモ依頼
推奨する次のステップ:
- 自社のリード数、企業規模を確認
- HubSpot、Salesforce、Marketo等の公式サイトで無料トライアルを申し込む
- 導入パートナーにデモを依頼し、実際の画面を確認
- KPI設定(リード獲得数、商談化率、受注率)
- 詳細見積もりを依頼(カスタマイズ費用、API連携費用含む)
自社の課題(新規リード獲得 vs 既存顧客管理)を明確にし、無料トライアルで実際に試してから導入を決定しましょう。
(参考: SATORI「MAとCRMの違いとは?」)
