BigQueryのデータをLooker Studioで可視化したいけれど、設定方法がわからない...
データ分析基盤としてBigQueryを導入しているBtoB企業では、蓄積したデータをダッシュボード化して社内で共有したいというニーズが高まっています。「BigQueryとLooker Studioをどう連携させるの?」「クエリコストが心配...」「設定手順が複雑そう...」といった疑問や不安を抱えている担当者は少なくありません。
この記事では、Looker StudioとBigQueryの連携方法を、接続設定の具体的な手順からコスト管理のポイント、実務での活用事例まで解説します。
この記事のポイント:
- Looker StudioとBigQueryの連携により、大容量データを安定的に可視化できる
- 接続方法は「テーブル直接接続」「カスタムクエリ」「サービスアカウント認証」の3つがある
- BigQueryは有料サービスで、クエリ実行ごとに課金される(1TB処理あたり約$5-6)
- 日付パーティション分割テーブルを使用することで、クエリコストを大幅に削減できる
- GA4データをBigQueryに連携してLooker Studioで可視化すると、閾値適用を回避できる
1. Looker StudioとBigQuery連携のメリット:大容量データの可視化を実現
Looker Studio(旧Google データポータル)は、Googleが提供する無料のセルフサービスBIツールです。BigQueryと連携することで、大容量データの可視化が実現します。
(1) 大容量データの安定処理と高速表示
BigQueryは、Googleが提供するペタバイト規模のクラウドデータウェアハウスサービスです。大量のデータを高速に処理・分析できるため、Looker Studioと連携することで以下のメリットがあります:
- 大容量データの安定処理: 数百万〜数千万行のデータでも安定的に可視化
- 高速表示: BigQuery側で事前に集計しておくことで、ダッシュボードの表示速度を大幅に改善
- リアルタイム分析: データ更新頻度を15分〜12時間の範囲で設定可能(デフォルトは12時間)
(2) 複数データソースの統合と一元管理
BigQueryには、複数のデータソースを統合して格納できます。Looker Studioで可視化することで、以下が可能になります:
- GA4データ: ウェブサイトのアクセス解析データ
- 広告データ: Google広告、Facebook広告などの広告パフォーマンスデータ
- CRM/MAデータ: 顧客管理システムやマーケティングオートメーションのデータ
- その他業務データ: 売上データ、在庫データなど
これらを一元的に可視化することで、データドリブンな意思決定が可能になります。
(3) GA4の閾値適用回避とデータ保持期間の延長
GA4(Google Analytics 4)は、プライバシー保護のため、データ量が少ない場合に一部データを除外する「閾値」という仕組みがあります。また、データ保持期間も14ヶ月(無料版)に制限されています。
BigQueryに連携することで:
- 閾値適用回避: BigQueryに格納された全データを分析できる
- データ保持期間の延長: BigQuery側で無期限に保存可能
これにより、より正確なデータ分析が実現します。
(4) 他のBIツール(Tableau、Power BI、Looker)との違い
BigQueryのデータを可視化できるBIツールは複数ありますが、それぞれ特徴が異なります:
| ツール | 料金 | 特徴 | 適している企業規模 |
|---|---|---|---|
| Looker Studio | 無料 | ドラッグ&ドロップで直感的、Googleサービスとの親和性が高い | 中小〜中堅企業 |
| Tableau | 有料(月額約$70〜) | 強力なデータビジュアライゼーション機能、高度な分析が可能 | 中堅〜大企業 |
| Power BI | 有料(月額約$10〜) | Microsoftサービスとの親和性が高い、データモデリングが強力 | 中堅〜大企業 |
| Looker | 有料(見積もり) | BigQueryとシームレスに統合、リアルタイム分析に強い | 大企業 |
Looker Studioは無料で使いやすいため、まずは試してみるのが適切です。
2. Looker StudioからBigQueryへの接続設定手順
Looker StudioからBigQueryに接続する手順を解説します。
(1) BigQuery APIの有効化と課金アカウント設定
BigQueryを使用するには、まずGoogle Cloud Consoleでプロジェクトを作成し、BigQuery APIを有効化する必要があります。
手順:
- Google Cloud Consoleにアクセス
- プロジェクトを作成(または既存のプロジェクトを選択)
- APIライブラリから「BigQuery API」を検索して有効化
- 課金アカウントを設定(クレジットカード情報の登録が必要)
※BigQueryは有料サービスで、クエリ実行ごとに課金されます。事前に予算設定をしておくことをおすすめします。
(2) テーブル・ビュー・カスタムクエリでの接続方法
Looker StudioからBigQueryに接続する方法は、以下の3つがあります:
① テーブル直接接続(最も簡単)
- Looker Studioで「データを追加」→「BigQuery」を選択
- プロジェクト、データセット、テーブルを選択
- 「接続」をクリック
この方法は、SQLの知識がなくても接続できるため、初心者におすすめです。
② カスタムクエリ(高度な分析)
- Looker Studioで「データを追加」→「BigQuery」→「カスタムクエリ」を選択
- Standard SQL(またはLegacy SQL)を記述
- 「接続」をクリック
例:
SELECT
DATE(event_timestamp) AS date,
event_name,
COUNT(*) AS event_count
FROM
`project_id.dataset_id.events_*`
WHERE
_TABLE_SUFFIX BETWEEN '20250101' AND '20251231'
GROUP BY
date, event_name
ORDER BY
date DESC
この方法は、SQLの知識が必要ですが、より柔軟なデータ抽出が可能です。
③ サービスアカウント認証(組織的なアクセス制御)
組織でアクセス制御する場合、専用のサービスアカウントを作成し、指定のBigQueryデータセットのみにアクセス権を付与してLooker Studioユーザーと紐付ける方法があります。
- Google Cloud Consoleでサービスアカウントを作成
- BigQueryデータセットに対する権限(BigQuery Data Viewer等)を付与
- Looker Studioでサービスアカウントを使用して接続
この方法は、セキュリティを重視する企業に適しています。
(3) サービスアカウント認証による組織的なアクセス制御
サービスアカウントは、Googleアカウントとは独立した、アプリケーションやサービス用のアカウントです。組織的なアクセス制御に使用することで、以下のメリットがあります:
- アクセス権限の一元管理: 特定のデータセットのみにアクセスを制限
- 監査ログの記録: 誰がいつどのデータにアクセスしたかを記録
- セキュリティの向上: 個人アカウントではなく、組織管理のアカウントで接続
(4) 日付パーティション分割テーブルの活用
日付パーティション分割テーブルは、DATE、DATETIME、またはTIMESTAMPフィールドでパーティション分割されたテーブルです。これを使用することで、クエリコストを大幅に削減できます。
仕組み:
- Looker Studioのチャートで日付範囲を指定すると、BigQueryは該当するパーティションのみをスキャン
- スキャン範囲が限定されるため、クエリコストが削減される
例えば、1年分のデータ(365日分)が格納されているテーブルで、過去30日分のデータのみを分析する場合:
- パーティション分割なし: 全期間のデータをスキャン(365日分)
- パーティション分割あり: 過去30日分のみをスキャン(30日分)
これにより、クエリコストを約90%削減できます。
3. BigQueryクエリ最適化とコスト管理のポイント
BigQueryは有料サービスで、クエリ実行ごとに課金されます(2025年11月時点:1TB処理あたり約$5-6)。コスト管理が重要です。
(1) BigQueryでの事前集計による表示速度改善
Looker Studioのチャートで可視化できる行数は最大5,000行です。大量のデータをそのまま接続すると、表示速度が低下します。
推奨方法:
BigQueryで必要なデータを事前に抽出・集計しておくことで、Looker Studioの表示速度を大幅に改善できます。
例:
-- 日次集計テーブルを作成
CREATE OR REPLACE TABLE `project_id.dataset_id.daily_summary` AS
SELECT
DATE(event_timestamp) AS date,
event_name,
COUNT(*) AS event_count,
COUNT(DISTINCT user_pseudo_id) AS unique_users
FROM
`project_id.dataset_id.events_*`
GROUP BY
date, event_name;
これにより、Looker Studioでは集計済みのテーブルに接続するだけで、高速に表示できます。
(2) パーティション分割テーブルでクエリコスト削減
前述の通り、日付パーティション分割テーブルを使用することで、クエリコストを大幅に削減できます。
設定方法:
BigQueryでテーブル作成時に、パーティション分割フィールドを指定します。
CREATE TABLE `project_id.dataset_id.events`
PARTITION BY DATE(event_timestamp)
AS
SELECT * FROM `source_table`;
(3) Looker Studioのデータ更新頻度の最適化
Looker Studioのデフォルトのデータ更新頻度は12時間です。更新頻度を上げると、BigQueryのクエリコストが増加します。
推奨設定:
- リアルタイム分析が必要: 15分〜1時間
- 日次レポート: 12時間(デフォルト)
- 週次・月次レポート: 24時間
データソースの設定から「データの鮮度」を変更できます。
(4) クエリ実行コストの監視と予算設定
BigQueryのコストを監視し、予算超過を防ぐことが重要です。
監視方法:
- Google Cloud Consoleの「請求」→「レポート」でコスト推移を確認
- BigQueryの「ジョブ履歴」でクエリ実行コストを確認
- 予算アラートを設定(例: 月額$100超過で通知)
これにより、予期せぬコスト超過を防ぐことができます。
4. Looker Studioでダッシュボード作成のコツ
Looker Studioでダッシュボードを作成する際のポイントを解説します。
(1) 5,000行制限を考慮したチャート設計
Looker Studioのチャートで可視化できる行数は最大5,000行です。大量のデータを扱う場合は、BigQueryで事前に集計しておくことが重要です。
設計のポイント:
- 日次集計: 数年分のデータでも5,000行以内に収まる
- 週次・月次集計: さらに行数を削減できる
- トップN: 上位100件のみを表示するなど、行数を制限
(2) 計算フィールドとフィルタリングの活用
Looker Studioでは、計算フィールドを使用して、新しい指標を作成できます。
例:
CVR = SAFE_DIVIDE(conversions, clicks) * 100
また、フィルタリング機能を使用して、特定の条件に合致するデータのみを表示できます。
(3) ドラッグ&ドロップでの直感的なレポート作成
Looker Studioは、ドラッグ&ドロップで直感的にレポートを作成できます。
主要なチャートタイプ:
- 時系列グラフ: 期間別の推移を表示
- 棒グラフ: カテゴリ別の比較
- 円グラフ: 構成比率の表示
- 表: 詳細なデータの表示
- スコアカード: KPIの表示
(4) 権限設定とセキュリティ管理
適切な権限設定をしないと、誰でもデータを編集できてしまうため、セキュリティ設定が重要です。
権限設定:
- 閲覧者: レポートを閲覧できるが、編集はできない
- 編集者: レポートを編集できる
- オーナー: レポートを削除・共有設定を変更できる
組織でダッシュボードを共有する場合は、閲覧者権限での共有が推奨されます。
5. GA4データをBigQueryに連携してLooker Studioで可視化する活用事例
GA4データをBigQueryに連携してLooker Studioで可視化する活用事例を紹介します。
(1) GA4の閾値適用回避による正確なデータ分析
GA4は、プライバシー保護のため、データ量が少ない場合に一部データを除外する「閾値」という仕組みがあります。これにより、正確なデータ分析ができないケースがあります。
BigQueryに連携することで:
- 全データを分析: 閾値適用されずに全データを分析できる
- カスタム分析: SQLを使用して、GA4の管理画面ではできない高度な分析が可能
(2) 広告データ・CRM・MAデータとの統合ダッシュボード
BigQueryに複数のデータソースを統合することで、一元的なダッシュボードを作成できます。
統合例:
- GA4データ: ウェブサイトのアクセス解析データ
- Google広告データ: 広告のクリック数・コンバージョン数
- CRMデータ: リード情報・商談情報
- MAデータ: メール開封率・クリック率
これらを統合することで、マーケティング全体のROIを可視化できます。
(3) 無料テンプレート活用による迅速な導入
一部の企業やコミュニティでは、GA4×BigQuery×Looker Studioの無料テンプレートを提供しています(例: UNCOVER TRUTHなど)。
これらを活用することで:
- 迅速な導入: テンプレートをコピーするだけで、すぐに使用できる
- ベストプラクティスの学習: プロが作成したダッシュボードの構造を学べる
テンプレートをベースに、自社に合わせてカスタマイズするのが効率的です。
6. まとめ:Looker Studio×BigQueryで実現する低コストデータ分析
Looker StudioとBigQueryの連携により、大容量データを低コストで可視化できます。接続設定の手順、クエリ最適化のポイント、実務での活用事例を理解することが重要です。
次のアクション:
- Google Cloud ConsoleでBigQuery APIを有効化し、課金アカウントを設定する
- Looker StudioからBigQueryに接続し、まずはテーブル直接接続で試してみる
- 日付パーティション分割テーブルを作成し、クエリコストを削減する
- GA4データをBigQueryに連携し、Looker Studioで可視化する(該当する場合)
- クエリ実行コストを監視し、予算設定をする
※料金や機能は変更される可能性があります。最新情報はGoogle Cloud公式サイトおよびLooker Studio公式サイトをご確認ください。 (この記事は2025年11月時点の情報です)
