Looker StudioとBigQueryの連携方法|接続設定から活用事例まで解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/18

BigQueryのデータをLooker Studioで可視化したいけれど、設定方法がわからない...

データ分析基盤としてBigQueryを導入しているBtoB企業では、蓄積したデータをダッシュボード化して社内で共有したいというニーズが高まっています。「BigQueryとLooker Studioをどう連携させるの?」「クエリコストが心配...」「設定手順が複雑そう...」といった疑問や不安を抱えている担当者は少なくありません。

この記事では、Looker StudioとBigQueryの連携方法を、接続設定の具体的な手順からコスト管理のポイント、実務での活用事例まで解説します。

この記事のポイント:

  • Looker StudioとBigQueryの連携により、大容量データを安定的に可視化できる
  • 接続方法は「テーブル直接接続」「カスタムクエリ」「サービスアカウント認証」の3つがある
  • BigQueryは有料サービスで、クエリ実行ごとに課金される(1TB処理あたり約$5-6)
  • 日付パーティション分割テーブルを使用することで、クエリコストを大幅に削減できる
  • GA4データをBigQueryに連携してLooker Studioで可視化すると、閾値適用を回避できる

1. Looker StudioとBigQuery連携のメリット:大容量データの可視化を実現

Looker Studio(旧Google データポータル)は、Googleが提供する無料のセルフサービスBIツールです。BigQueryと連携することで、大容量データの可視化が実現します。

(1) 大容量データの安定処理と高速表示

BigQueryは、Googleが提供するペタバイト規模のクラウドデータウェアハウスサービスです。大量のデータを高速に処理・分析できるため、Looker Studioと連携することで以下のメリットがあります:

  • 大容量データの安定処理: 数百万〜数千万行のデータでも安定的に可視化
  • 高速表示: BigQuery側で事前に集計しておくことで、ダッシュボードの表示速度を大幅に改善
  • リアルタイム分析: データ更新頻度を15分〜12時間の範囲で設定可能(デフォルトは12時間)

(2) 複数データソースの統合と一元管理

BigQueryには、複数のデータソースを統合して格納できます。Looker Studioで可視化することで、以下が可能になります:

  • GA4データ: ウェブサイトのアクセス解析データ
  • 広告データ: Google広告、Facebook広告などの広告パフォーマンスデータ
  • CRM/MAデータ: 顧客管理システムやマーケティングオートメーションのデータ
  • その他業務データ: 売上データ、在庫データなど

これらを一元的に可視化することで、データドリブンな意思決定が可能になります。

(3) GA4の閾値適用回避とデータ保持期間の延長

GA4(Google Analytics 4)は、プライバシー保護のため、データ量が少ない場合に一部データを除外する「閾値」という仕組みがあります。また、データ保持期間も14ヶ月(無料版)に制限されています。

BigQueryに連携することで:

  • 閾値適用回避: BigQueryに格納された全データを分析できる
  • データ保持期間の延長: BigQuery側で無期限に保存可能

これにより、より正確なデータ分析が実現します。

(4) 他のBIツール(Tableau、Power BI、Looker)との違い

BigQueryのデータを可視化できるBIツールは複数ありますが、それぞれ特徴が異なります:

ツール 料金 特徴 適している企業規模
Looker Studio 無料 ドラッグ&ドロップで直感的、Googleサービスとの親和性が高い 中小〜中堅企業
Tableau 有料(月額約$70〜) 強力なデータビジュアライゼーション機能、高度な分析が可能 中堅〜大企業
Power BI 有料(月額約$10〜) Microsoftサービスとの親和性が高い、データモデリングが強力 中堅〜大企業
Looker 有料(見積もり) BigQueryとシームレスに統合、リアルタイム分析に強い 大企業

Looker Studioは無料で使いやすいため、まずは試してみるのが適切です。

2. Looker StudioからBigQueryへの接続設定手順

Looker StudioからBigQueryに接続する手順を解説します。

(1) BigQuery APIの有効化と課金アカウント設定

BigQueryを使用するには、まずGoogle Cloud Consoleでプロジェクトを作成し、BigQuery APIを有効化する必要があります。

手順:

  1. Google Cloud Consoleにアクセス
  2. プロジェクトを作成(または既存のプロジェクトを選択)
  3. APIライブラリから「BigQuery API」を検索して有効化
  4. 課金アカウントを設定(クレジットカード情報の登録が必要)

※BigQueryは有料サービスで、クエリ実行ごとに課金されます。事前に予算設定をしておくことをおすすめします。

(2) テーブル・ビュー・カスタムクエリでの接続方法

Looker StudioからBigQueryに接続する方法は、以下の3つがあります:

① テーブル直接接続(最も簡単)

  1. Looker Studioで「データを追加」→「BigQuery」を選択
  2. プロジェクト、データセット、テーブルを選択
  3. 「接続」をクリック

この方法は、SQLの知識がなくても接続できるため、初心者におすすめです。

② カスタムクエリ(高度な分析)

  1. Looker Studioで「データを追加」→「BigQuery」→「カスタムクエリ」を選択
  2. Standard SQL(またはLegacy SQL)を記述
  3. 「接続」をクリック

例:

SELECT
  DATE(event_timestamp) AS date,
  event_name,
  COUNT(*) AS event_count
FROM
  `project_id.dataset_id.events_*`
WHERE
  _TABLE_SUFFIX BETWEEN '20250101' AND '20251231'
GROUP BY
  date, event_name
ORDER BY
  date DESC

この方法は、SQLの知識が必要ですが、より柔軟なデータ抽出が可能です。

③ サービスアカウント認証(組織的なアクセス制御)

組織でアクセス制御する場合、専用のサービスアカウントを作成し、指定のBigQueryデータセットのみにアクセス権を付与してLooker Studioユーザーと紐付ける方法があります。

  1. Google Cloud Consoleでサービスアカウントを作成
  2. BigQueryデータセットに対する権限(BigQuery Data Viewer等)を付与
  3. Looker Studioでサービスアカウントを使用して接続

この方法は、セキュリティを重視する企業に適しています。

(3) サービスアカウント認証による組織的なアクセス制御

サービスアカウントは、Googleアカウントとは独立した、アプリケーションやサービス用のアカウントです。組織的なアクセス制御に使用することで、以下のメリットがあります:

  • アクセス権限の一元管理: 特定のデータセットのみにアクセスを制限
  • 監査ログの記録: 誰がいつどのデータにアクセスしたかを記録
  • セキュリティの向上: 個人アカウントではなく、組織管理のアカウントで接続

(4) 日付パーティション分割テーブルの活用

日付パーティション分割テーブルは、DATE、DATETIME、またはTIMESTAMPフィールドでパーティション分割されたテーブルです。これを使用することで、クエリコストを大幅に削減できます。

仕組み:

  • Looker Studioのチャートで日付範囲を指定すると、BigQueryは該当するパーティションのみをスキャン
  • スキャン範囲が限定されるため、クエリコストが削減される

例えば、1年分のデータ(365日分)が格納されているテーブルで、過去30日分のデータのみを分析する場合:

  • パーティション分割なし: 全期間のデータをスキャン(365日分)
  • パーティション分割あり: 過去30日分のみをスキャン(30日分)

これにより、クエリコストを約90%削減できます。

3. BigQueryクエリ最適化とコスト管理のポイント

BigQueryは有料サービスで、クエリ実行ごとに課金されます(2025年11月時点:1TB処理あたり約$5-6)。コスト管理が重要です。

(1) BigQueryでの事前集計による表示速度改善

Looker Studioのチャートで可視化できる行数は最大5,000行です。大量のデータをそのまま接続すると、表示速度が低下します。

推奨方法:

BigQueryで必要なデータを事前に抽出・集計しておくことで、Looker Studioの表示速度を大幅に改善できます。

例:

-- 日次集計テーブルを作成
CREATE OR REPLACE TABLE `project_id.dataset_id.daily_summary` AS
SELECT
  DATE(event_timestamp) AS date,
  event_name,
  COUNT(*) AS event_count,
  COUNT(DISTINCT user_pseudo_id) AS unique_users
FROM
  `project_id.dataset_id.events_*`
GROUP BY
  date, event_name;

これにより、Looker Studioでは集計済みのテーブルに接続するだけで、高速に表示できます。

(2) パーティション分割テーブルでクエリコスト削減

前述の通り、日付パーティション分割テーブルを使用することで、クエリコストを大幅に削減できます。

設定方法:

BigQueryでテーブル作成時に、パーティション分割フィールドを指定します。

CREATE TABLE `project_id.dataset_id.events`
PARTITION BY DATE(event_timestamp)
AS
SELECT * FROM `source_table`;

(3) Looker Studioのデータ更新頻度の最適化

Looker Studioのデフォルトのデータ更新頻度は12時間です。更新頻度を上げると、BigQueryのクエリコストが増加します。

推奨設定:

  • リアルタイム分析が必要: 15分〜1時間
  • 日次レポート: 12時間(デフォルト)
  • 週次・月次レポート: 24時間

データソースの設定から「データの鮮度」を変更できます。

(4) クエリ実行コストの監視と予算設定

BigQueryのコストを監視し、予算超過を防ぐことが重要です。

監視方法:

  1. Google Cloud Consoleの「請求」→「レポート」でコスト推移を確認
  2. BigQueryの「ジョブ履歴」でクエリ実行コストを確認
  3. 予算アラートを設定(例: 月額$100超過で通知)

これにより、予期せぬコスト超過を防ぐことができます。

4. Looker Studioでダッシュボード作成のコツ

Looker Studioでダッシュボードを作成する際のポイントを解説します。

(1) 5,000行制限を考慮したチャート設計

Looker Studioのチャートで可視化できる行数は最大5,000行です。大量のデータを扱う場合は、BigQueryで事前に集計しておくことが重要です。

設計のポイント:

  • 日次集計: 数年分のデータでも5,000行以内に収まる
  • 週次・月次集計: さらに行数を削減できる
  • トップN: 上位100件のみを表示するなど、行数を制限

(2) 計算フィールドとフィルタリングの活用

Looker Studioでは、計算フィールドを使用して、新しい指標を作成できます。

例:

CVR = SAFE_DIVIDE(conversions, clicks) * 100

また、フィルタリング機能を使用して、特定の条件に合致するデータのみを表示できます。

(3) ドラッグ&ドロップでの直感的なレポート作成

Looker Studioは、ドラッグ&ドロップで直感的にレポートを作成できます。

主要なチャートタイプ:

  • 時系列グラフ: 期間別の推移を表示
  • 棒グラフ: カテゴリ別の比較
  • 円グラフ: 構成比率の表示
  • : 詳細なデータの表示
  • スコアカード: KPIの表示

(4) 権限設定とセキュリティ管理

適切な権限設定をしないと、誰でもデータを編集できてしまうため、セキュリティ設定が重要です。

権限設定:

  • 閲覧者: レポートを閲覧できるが、編集はできない
  • 編集者: レポートを編集できる
  • オーナー: レポートを削除・共有設定を変更できる

組織でダッシュボードを共有する場合は、閲覧者権限での共有が推奨されます。

5. GA4データをBigQueryに連携してLooker Studioで可視化する活用事例

GA4データをBigQueryに連携してLooker Studioで可視化する活用事例を紹介します。

(1) GA4の閾値適用回避による正確なデータ分析

GA4は、プライバシー保護のため、データ量が少ない場合に一部データを除外する「閾値」という仕組みがあります。これにより、正確なデータ分析ができないケースがあります。

BigQueryに連携することで:

  • 全データを分析: 閾値適用されずに全データを分析できる
  • カスタム分析: SQLを使用して、GA4の管理画面ではできない高度な分析が可能

(2) 広告データ・CRM・MAデータとの統合ダッシュボード

BigQueryに複数のデータソースを統合することで、一元的なダッシュボードを作成できます。

統合例:

  • GA4データ: ウェブサイトのアクセス解析データ
  • Google広告データ: 広告のクリック数・コンバージョン数
  • CRMデータ: リード情報・商談情報
  • MAデータ: メール開封率・クリック率

これらを統合することで、マーケティング全体のROIを可視化できます。

(3) 無料テンプレート活用による迅速な導入

一部の企業やコミュニティでは、GA4×BigQuery×Looker Studioの無料テンプレートを提供しています(例: UNCOVER TRUTHなど)。

これらを活用することで:

  • 迅速な導入: テンプレートをコピーするだけで、すぐに使用できる
  • ベストプラクティスの学習: プロが作成したダッシュボードの構造を学べる

テンプレートをベースに、自社に合わせてカスタマイズするのが効率的です。

6. まとめ:Looker Studio×BigQueryで実現する低コストデータ分析

Looker StudioとBigQueryの連携により、大容量データを低コストで可視化できます。接続設定の手順、クエリ最適化のポイント、実務での活用事例を理解することが重要です。

次のアクション:

  • Google Cloud ConsoleでBigQuery APIを有効化し、課金アカウントを設定する
  • Looker StudioからBigQueryに接続し、まずはテーブル直接接続で試してみる
  • 日付パーティション分割テーブルを作成し、クエリコストを削減する
  • GA4データをBigQueryに連携し、Looker Studioで可視化する(該当する場合)
  • クエリ実行コストを監視し、予算設定をする

※料金や機能は変更される可能性があります。最新情報はGoogle Cloud公式サイトおよびLooker Studio公式サイトをご確認ください。 (この記事は2025年11月時点の情報です)

よくある質問

Q1Looker StudioとBigQueryの連携は無料ですか?

A1Looker Studioは無料で使用できますが、BigQueryは有料サービスです。クエリ実行ごとに課金され(2025年11月時点:1TB処理あたり約$5-6)、課金アカウントの設定が必要です。日付パーティション分割テーブルを使用するなど、クエリを最適化することでコストを削減できます。

Q2BigQuery APIの有効化はどうすればいいですか?

A2Google Cloud Consoleでプロジェクトを作成後、APIライブラリから「BigQuery API」を検索して有効化します。この手順を完了しないと、Looker StudioからBigQueryに接続できません。また、課金アカウントの設定も必要です。

Q3Looker Studioのデータ更新頻度はどのくらいですか?

A3デフォルトは12時間です。データソースの設定から「データの鮮度」を変更でき、15分〜12時間の範囲で設定可能です。更新頻度を上げるとBigQueryのクエリコストが増加するため、リアルタイム分析が必要な場合のみ短く設定するのが推奨されます。

Q4カスタムクエリを使う場合、どのSQLを使えばいいですか?

A4Standard SQLまたはLegacy SQLを使用可能ですが、Standard SQLが推奨されます。より多くの機能をサポートしており、将来的にもサポートが継続される見込みです。SQLの知識が必要なため、初心者はまずテーブル直接接続から始めるのがおすすめです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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