kintoneをCRMとして活用したいけれど、専用CRMとどう違うの?
B2B企業の業務改善担当者の多くが、CRM(顧客関係管理)システムの導入を検討する際、kintoneと専用CRM(Salesforce、Zoho CRM等)のどちらを選ぶべきか迷っています。「kintoneでCRMは作れるの?」「専用CRMより安いの?」「カスタマイズは簡単?」といった疑問は尽きません。
この記事では、kintoneをCRMとして活用する方法、専用CRMとの比較、導入事例、注意点を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- kintoneはCRM専用ツールではなく、CRMアプリを開発できるノーコードプラットフォーム
- ドラッグ&ドロップで自社に最適な顧客管理システムを構築できる柔軟性が強み
- ライトコース月額780円/ユーザー、スタンダードコース月額1,500円/ユーザー(10ユーザーから利用可能)
- 専用CRMはカスタマイズ性よりも統合機能(営業分析・マーケティングオートメーション等)が充実
- データ入力を4-5回→1-2回に削減(導入事例:リノベる)、約30分/件の時間削減を実現
kintoneをCRMとして活用する背景
B2B企業がkintoneをCRM代わりに活用する背景には、ノーコードプラットフォームの需要拡大とカスタマイズ性の高さがあります。
(1) kintoneとは何か
kintoneは、サイボウズが提供する業務アプリ構築プラットフォームです。CRM専用ツールではなく、CRMを含む様々な業務アプリをノーコード(プログラミング知識不要)で開発できる点が特徴です。
kintoneの基本情報:
- 提供元:サイボウズ株式会社
- 導入企業数:30,000社以上(日本、2024年時点)、14,000社以上(グローバル、2024年時点)
- 主要機能:顧客管理、案件管理、業務プロセス管理、データ分析、外部連携 (出典: kintone公式「CRM & Sales Management solution」2024年版)
(2) ノーコードプラットフォームとしての位置づけ
kintoneは「ノーコード・ローコードプラットフォーム」に分類されます。ドラッグ&ドロップの直感的な操作で業務アプリを開発でき、ITスキルが限られた担当者でも自社に最適なCRMを構築できます。
ノーコードのメリット:
- 開発期間の短縮(数週間〜1ヶ月程度で基本的なCRMが完成)
- 初期コストの削減(外部開発ベンダーへの委託が不要)
- 自社の業務プロセスに合わせた柔軟なカスタマイズ
(3) CRM市場における需要の高まり
2024年8月にはAI Assistant機能が追加され、RAG(Retrieval Augmented Generation)技術によりCRMデータを活用した高度な問い合わせ対応が可能になるなど、kintoneは進化を続けています。 (出典: kintone公式ブログ「Build Your AI Assistant In Kintone」)
kintoneのCRM機能と特徴
kintoneでCRMアプリを構築する際の主要機能と特徴を解説します。
(1) 顧客情報の一元管理機能
顧客管理アプリでは、企業名、担当者、連絡先、業種、所在地、問い合わせ履歴を一元記録できます。履歴の自動更新により常に最新情報にアクセス可能で、人為的ミスを防止します。 (出典: Toyokumo kintone Blog「kintoneのCRM(顧客管理)機能は?活用方法についても解説」)
(2) 営業活動管理(SFAパック)
SFAパック(Sales Force Automation:営業支援システム)を活用することで、顧客管理、案件管理、行動履歴を一元管理し、営業活動全体を効率化できます。
SFAパックの主要機能:
- 案件管理:商談進捗、受注見込み、契約金額の記録
- 行動履歴:訪問記録、電話対応、メール履歴の一元管理
- レポート機能:案件状況をグラフ化し、営業チームの進捗を可視化
(3) ドラッグ&ドロップによる柔軟なカスタマイズ
kintoneの最大の強みは、ドラッグ&ドロップで直感的にCRMアプリをカスタマイズできる点です。プログラミング知識不要で、自社に最適な顧客管理システムを構築できます。
カスタマイズ例:
- 自社独自の項目追加(業界別の営業フロー、製品別の問い合わせ種別等)
- ワークフロー設定(承認フロー、通知ルール等)
- ダッシュボードのカスタマイズ(重要指標の可視化)
(4) モバイル対応とリアルタイム共有
モバイル対応により外出先からスマートフォンで商談報告や進捗管理が可能で、リアルタイムで情報共有できます。営業担当者が外出中でもデータ入力・確認ができるため、報告業務の負担を軽減します。 (出典: Toyokumo kintone Blog「kintoneのCRM(顧客管理)機能は?活用方法についても解説」)
(5) プラグインと外部連携(200種類以上)
kintoneは200種類以上のプラグインや外部サービスと連携できます。基本機能では不足する部分を柔軟に拡張できる点が特徴です。
主な連携先:
- Zapier(他のSaaSツールとの自動連携)
- Slack(営業活動の通知・アラート)
- Googleカレンダー(商談予定の同期)
- kintone API(独自システムとの連携) (出典: kintone公式「CRM & Sales Management solution」2024年版)
(6) AI Assistant機能(RAG技術活用)
2024年8月に追加されたAI Assistant機能では、RAG(Retrieval Augmented Generation)技術を活用し、CRMデータに基づいた高度な問い合わせ対応が可能です。ソース参照付きで回答が生成されるため、信頼性の高い情報を提供できます。 (出典: kintone公式ブログ「Build Your AI Assistant In Kintone」)
kintone CRMの導入事例と効果
実際にkintoneをCRMとして導入した企業の事例と効果を紹介します。
(1) エスクリ(ブライダル):案件管理効率化とコスト削減
ブライダル業界のエスクリでは、案件管理の効率化とランニングコスト削減を実現しました。従来は複数のシステムで管理していた顧客情報・商談状況を一元化し、営業担当者の負担を軽減しました。
(2) 小田急不動産:初期コスト低減と全店舗アクセス
小田急不動産では、初期コスト低減と自由なカスタマイズを重視してkintoneを導入。全店舗からアクセス可能な顧客管理システムを構築し、店舗間の情報共有を効率化しました。
(3) リノベる:データ入力削減(4-5回→1-2回)
リノベるでは、データ入力を4-5回から1-2回に削減し、約30分/件の時間削減を実現しました。営業担当者の負担を大幅に軽減し、商談活動に集中できる環境を整備しました。 (出典: コムデックラボ「kintoneを活用したCRMの成功事例5選」)
(4) 導入効果の共通パターン
上記の事例に共通する導入効果として、以下のパターンが見られます。
共通する導入効果:
- データ入力業務の削減(約30分/件)
- 営業担当者の負担軽減(報告業務の効率化)
- 顧客情報の一元管理による情報共有の強化
- 初期コスト・ランニングコストの削減
※導入事例の成果は企業規模・業種・運用体制により異なります。
専用CRMツールとの比較(Salesforce・Zoho CRM等)
kintoneと専用CRMツール(Salesforce、Zoho CRM等)の違いを比較します。
(1) kintone vs 専用CRMの基本的な違い
kintone:
- 業務アプリ構築プラットフォーム(CRMアプリを開発)
- 導入企業数:30,000社以上(日本、2024年時点)
- カスタマイズ性重視
専用CRM(Zoho CRM):
- CRM/SFA専用ツール(営業支援に特化)
- 導入企業数:300,000社以上(グローバル)
- 統合機能(営業分析・マーケティングオートメーション等)が充実 (出典: Zoho CRM公式「kintoneとZoho CRMの機能・料金の違い」)
(2) カスタマイズ性の比較
kintone:
- ドラッグ&ドロップで柔軟にカスタマイズ可能
- 自社の業務プロセスに合わせた独自アプリを構築
- プログラミング知識不要(基本機能)、高度なカスタマイズにはJavaScriptやAPIの知識が必要
Salesforce:
- 統合SFA・マーケティング製品として機能が充実
- カスタマイズには専門知識(Apex、Visualforce等)が必要
- パートナー企業による導入支援が一般的 (出典: コムデックラボ「kintoneとSalesforce、どちらを導入すべき?違いを比較し判断基準を解説」)
(3) 料金体系の違い
kintone(2024年11月時点):
- ライトコース:月額780円/ユーザー(5ユーザーまで)
- スタンダードコース:月額1,500円/ユーザー(10ユーザーから)
- ワイドコース:月額3,000円/ユーザー(高度なカスタマイズ向け) (出典: GENIEE's library「kintone(キントーン)の利用料金は高い?料金プランや機能を徹底解説」)
専用CRM(Zoho CRM、Salesforce等):
- 月額数千円〜数万円/ユーザー(プランにより変動)
- 高度な機能を利用する場合は上位プランが必要
※料金は2024年11月時点の情報です。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
(4) 機能の充実度(営業分析・MA機能等)
kintone:
- 基本的なレポート機能(グラフ化・ダッシュボード)
- 高度な営業分析機能やマーケティングオートメーション(MA)機能は標準搭載されていない
- プラグインや外部連携で機能拡張が可能
専用CRM:
- 高度な営業分析機能(予測分析、AIによる商談見込み判定等)
- マーケティングオートメーション(リードナーチャリング、メール配信等)が標準搭載
- CRM専用ツールとして開発されているため、営業支援機能が充実
(5) どちらを選ぶべきか:判断基準
kintoneが適している企業:
- 自社の業務プロセスに合わせたカスタマイズが必要
- 初期コストを抑えたい(月額780円〜)
- ITスキルが限られた担当者でも運用したい
- CRM以外の業務アプリも構築したい
専用CRM(Salesforce等)が適している企業:
- 高度な営業分析・マーケティングオートメーションが必要
- 大規模な営業組織(数百人以上)
- 専門ベンダーのサポートを受けたい
- グローバルでの導入実績を重視する
kintone CRM導入時の注意点とリスク
kintoneをCRMとして導入する際の注意点とリスクを解説します。
(1) 初期設計の重要性(後々の運用混乱を防ぐ)
カスタマイズの自由度が高い反面、初期設計を誤ると後々の運用で混乱が生じる可能性があります。導入前に業務プロセスを整理し、必要な機能・項目を明確にすることが重要です。
初期設計のポイント:
- 現行の業務フローを可視化する
- 必要な顧客情報・案件情報を整理する
- 承認フロー・通知ルールを明確にする
- 運用ルール(データ入力ルール、更新頻度等)を策定する
(2) 大規模組織での料金増加リスク
ユーザー数に応じた従量課金のため、大規模組織(数百人以上)では他のCRMツールより割高になる場合があります。導入前に総コスト(ユーザー数 × 月額料金)を試算し、他のCRMツールと比較することを推奨します。
(3) 高度な営業分析機能の不足
CRM専用ツールと比較して、高度な営業分析機能やマーケティングオートメーション機能は標準搭載されていません。高度な分析が必要な場合は、プラグインや外部ツール(BIツール等)との連携を検討する必要があります。
(4) 運用体制とデータ入力ルールの整備
kintoneは柔軟性が高い反面、運用ルールが曖昧だとデータ品質が低下します。データ入力ルール、更新頻度、データクレンジングの責任者を明確にし、定期的な運用レビューを実施することが重要です。
まとめ:kintoneをCRMとして活用すべき企業とは
kintoneをCRMとして活用する方法、専用CRMとの比較、導入事例、注意点を解説しました。
kintoneの強み:
- ドラッグ&ドロップで自社に最適なCRMアプリを構築できる柔軟性
- ライトコース月額780円/ユーザー、スタンダードコース月額1,500円/ユーザーの明確な料金体系
- モバイル対応とリアルタイム共有で営業担当者の負担を軽減
- 200種類以上のプラグインで機能拡張が可能
専用CRMとの違い:
- kintoneはカスタマイズ性重視、専用CRMは統合機能が充実
- 自社の業務プロセスに合わせたい場合はkintone、高度な営業分析が必要ならSalesforce等が適切
次のアクション:
- 自社の業務プロセスと必要機能を整理する
- kintoneと専用CRMの料金を比較する(ユーザー数 × 月額料金)
- 30日間無料トライアルで実際に操作性を試す
- 導入実績のある企業の事例を参考にする
自社に合ったCRMツールで、顧客管理と営業活動の効率化を実現しましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
