インサイドセールスとルート営業の違いと使い分け|最適な営業体制の構築

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/9

インサイドセールスとルート営業の違いと使い分け:最適な営業体制の構築

「ルート営業の効率が上がらない」「インサイドセールスを導入すべきか悩んでいる」――営業体制の見直しを検討するB2B企業の営業マネージャーや経営者から、こうした声をよく耳にします。

インサイドセールスとルート営業は、それぞれ異なる強みと弱みを持ち、適切に使い分けることで営業効率を大幅に向上できます。この記事では、両者の定義・役割の違い、強み・弱みの比較、役割分担の方法、ルート営業の効率化手法、業種・商材別の使い分けまで、実務担当者が知っておくべきポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • インサイドセールスは非対面、ルート営業は既存顧客への定期訪問
  • インサイドセールスは移動時間削減・接触頻度向上、ルート営業は深い関係構築が強み
  • 分業により、インサイドセールスがリード育成・既存顧客フォロー、フィールドセールスが商談・クロージングを担当
  • 既存顧客フォローを非対面化し、「1:5の法則」に基づきコスト削減
  • CRM・SFA・MAツールとBtoB ECで効率化を実現

1. インサイドセールスとルート営業の定義と役割

インサイドセールスとルート営業は、営業手法として異なる役割を持ちます。

(1) インサイドセールス:非対面による営業活動

インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン商談ツールを活用した非対面の営業活動です。

主な活動:

  • リード育成(見込み客との継続的なコミュニケーション)
  • アポイント獲得(商談設定)
  • 既存顧客フォロー(契約更新・アップセル・クロスセル)

Salesforceの記事「インサイドセールスとは?基礎知識や役割、成功事例など詳しく解説」では、インサイドセールスの包括的な解説がされています。

(2) ルート営業(得意先営業):既存顧客への定期訪問

ルート営業とは、既存の取引先を定期的に訪問し、関係を維持・強化する営業手法です。

主な活動:

  • 定期訪問(月1回、週1回等)
  • 顧客との関係構築(雑談・情報交換)
  • 受注・納品・クレーム対応
  • アップセル・クロスセル提案

Sansanの記事「ルート営業とは?メリット・デメリットや成功のポイントを解説」では、ルート営業の基礎知識とCRM/SFA活用のポイントが詳しく解説されています。

(3) フィールドセールス:対面による商談活動

フィールドセールスとは、顧客を直接訪問して行う対面の営業活動です。ルート営業と重なる部分もありますが、フィールドセールスは新規顧客も含め、商談・クロージングに重点を置きます。

主な活動:

  • 新規顧客への初回訪問
  • 商談(提案・デモ・見積もり提示)
  • クロージング(契約締結)
  • 重要顧客への対面フォロー

(4) 非対面営業の普及と営業DXの動向

総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、企業のデジタル化・営業DXは年々進んでおり、非対面営業の普及が加速しています。

背景:

  • コロナ禍を機にオンライン商談が一般化
  • 移動時間削減による営業効率の向上
  • 全国の顧客に効率的にアプローチ可能

イノーバの記事「次世代BtoB営業⑤|ルートセールス ―デジタル時代に求められる営業改革とは―」によると、2024年の調査でBtoB購買の67%が営業担当者外の経路から決定されており、デジタル化が加速しています。

2. 両者の違いと強み・弱みの比較

インサイドセールスとルート営業は、活動範囲やアプローチ方法が大きく異なります。

(1) 活動範囲・アプローチ方法の違い

項目 インサイドセールス ルート営業
活動場所 オフィス(非対面) 顧客先訪問(対面)
対象 新規リード・既存顧客両方 主に既存顧客
アプローチ 電話・メール・オンライン 対面訪問
移動時間 なし あり(1訪問あたり往復1〜2時間)
接触頻度 高い(週1回以上も可能) 低い(月1回程度)
1日の対応件数 多い(10〜20件) 少ない(3〜5件)

(2) インサイドセールスの強み:移動時間削減・接触頻度向上

インサイドセールスの主な強みは以下の通りです:

移動時間削減:

  • 1日に10〜20件の顧客対応が可能
  • 全国の顧客に効率的にアプローチ

接触頻度向上:

  • 週1回、隔週1回など、高頻度でコミュニケーション可能
  • タイムリーな情報提供(新商品案内、キャンペーン告知等)

データ蓄積:

  • CRM・SFAで顧客情報をリアルタイム共有
  • メール・電話の履歴を自動記録

(3) ルート営業の強み:顧客との深い関係構築

ルート営業の主な強みは以下の通りです:

深い関係構築:

  • 対面でのコミュニケーションにより信頼関係を築きやすい
  • 顧客の現場の状況を直接確認できる

潜在ニーズの発掘:

  • 雑談の中から顧客の課題・ニーズを把握
  • 顧客の表情・態度から真意を読み取る

クレーム対応:

  • 緊急時に即座に訪問し、対応できる

(4) それぞれの弱みと課題

インサイドセールスの弱み:

  • 対面でないため、深い信頼関係の構築が難しい
  • 電話・メールの対応率が低い場合がある
  • 顧客の現場の状況を直接確認できない

ルート営業の弱み:

  • 移動時間がかかり、効率が悪い
  • マンネリ化・形骸化しやすい(雑談だけで終わる等)
  • 接触頻度が低く、タイムリーな情報提供が難しい

3. インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担

インサイドセールスとフィールドセールスを分業することで、営業効率を大幅に向上できます。

(1) 分業による効率化のメリット

Salesforceの記事「インサイドセールスとフィールドセールスの連携ポイント!」によると、分業により以下のメリットがあります:

効率化:

  • インサイドセールスがリード育成を担当し、フィールドセールスは商談に集中
  • 移動時間の削減により、フィールドセールスの商談件数が増加

専門性の向上:

  • 各役割に特化することで、専門性が高まる
  • インサイドセールスは電話・メールの対応力、フィールドセールスは商談力を強化

(2) インサイドセールスの役割(リード育成・既存顧客フォロー)

インサイドセールスの主な役割は以下の通りです:

リード育成(リードナーチャリング):

  • 見込み客との継続的なコミュニケーション
  • 資料送付、メール配信、電話フォロー
  • 購買意欲が高まったリードをフィールドセールスに引き渡し

既存顧客フォロー:

  • 定期的な情報提供(新商品案内、キャンペーン告知等)
  • 契約更新の確認
  • アップセル・クロスセルの提案

(3) フィールドセールスの役割(商談・クロージング)

フィールドセールスの主な役割は以下の通りです:

商談:

  • 顧客訪問による提案・デモ・見積もり提示
  • 顧客のニーズヒアリング
  • 複雑な商談への対応

クロージング:

  • 契約締結
  • 重要顧客への対面フォロー

(4) 連携を成功させるポイントとKPI設定

インサイドセールスとフィールドセールスの連携を成功させるポイントは以下の通りです:

役割分担の明確化:

  • どの段階でインサイドセールスからフィールドセールスに引き継ぐかを明確化
  • 引き継ぎ基準(リードスコア、BANT条件等)を設定

CRM・SFAでの情報共有:

  • 顧客情報、商談履歴、メール・電話履歴をリアルタイム共有
  • 引き継ぎ時の情報伝達ミスを防ぐ

KPI設定:

  • インサイドセールス:リード育成件数、アポイント獲得件数、商談化率
  • フィールドセールス:商談件数、受注率、売上

SALES ROBOTICSの記事「インサイドセールスとフィールドセールス~それぞれの違いと役割」では、それぞれの役割とKPIの違いが詳しく解説されています。

4. ルート営業の効率化にインサイドセールスを活用する方法

ルート営業の非効率(移動時間、マンネリ化)を解消するため、インサイドセールスを活用できます。

(1) 既存顧客フォローを非対面化する(1:5の法則)

「1:5の法則」によると、新規顧客獲得コストは既存顧客維持の5倍かかります。既存顧客フォローを効率化することで、コスト削減とリソース最適化が可能です。

非対面化のメリット:

  • 移動時間削減により、1日に対応できる顧客数が増加
  • 接触頻度を高めることで、顧客との関係を維持・強化
  • 重要顧客には対面、その他の顧客には非対面という使い分けが可能

アースリンクの記事「インサイドセールスは新規開拓だけじゃなく既存顧客をフォローすべき理由」では、既存顧客フォローにインサイドセールスを活用する具体的な方法が解説されています。

(2) 定期的な情報提供によるアップセル・クロスセル

インサイドセールスで既存顧客に定期的な情報提供を行い、アップセル・クロスセルにつなげます。

情報提供の例:

  • 新商品・新サービスの案内
  • 活用事例の紹介
  • キャンペーン・値引き情報
  • 業界動向レポート

(3) 契約更新月の管理と解約防止施策

契約更新月の半年前にインサイドセールスから確認の電話を入れることで、解約防止に効果的です。

解約防止施策:

  1. 契約更新月の6ヶ月前:インサイドセールスから電話で状況確認
  2. 契約更新月の3ヶ月前:利用状況・満足度のヒアリング
  3. 契約更新月の1ヶ月前:更新の最終確認、不満があれば対応

ブリッジインターナショナルの記事「事例にみる インサイドセールス導入で既存顧客のフォローを強化する方法」では、実際の導入事例が紹介されています。

(4) CRM・SFA・MAツールによる顧客情報の一元管理

CRM・SFA・MAツールを活用し、顧客情報をリアルタイム共有することで、ルート営業の効率化が可能です。

ツール活用のメリット:

  • 顧客の商談履歴・購買履歴を一元管理
  • 訪問スケジュールの最適化
  • 契約更新月の自動リマインド

(5) BtoB ECサイトの活用

アラジンECの記事「ルート営業を驚くほど効率化できるBtoB ECサイトの魅力とは」によると、BtoB ECサイトを活用した非対面ルート営業の効率化が一般化しつつあります。

BtoB EC活用のメリット:

  • 定期発注をオンライン化し、営業担当者の工数削減
  • 24時間いつでも発注可能
  • 受発注業務の効率化

5. 業種・商材別の使い分けとハイブリッド体制

インサイドセールスとルート営業の使い分けは、業種・商材により異なります。

(1) インサイドセールス向きの業種・商材

インサイドセールス向き:

  • SaaS・IT製品(オンライン完結しやすい)
  • 標準化された商材(説明が簡単)
  • 単価が比較的低い商材(1件あたり数万円〜数十万円)
  • 全国展開している企業(移動コスト削減のメリット大)

(2) ルート営業向きの業種・商材

ルート営業向き:

  • 製造業(現場確認が必要)
  • 高額商材(1件あたり数百万円以上)
  • カスタマイズが必要な商材(詳細なヒアリングが必要)
  • 顧客との深い信頼関係が重要な商材

(3) ハイブリッド体制の構築パターン

多くの企業では、インサイドセールスとルート営業を組み合わせたハイブリッド体制を構築しています。

パターン1(顧客重要度で分ける):

  • 重要顧客:対面でのルート営業
  • その他の顧客:インサイドセールスで非対面フォロー

パターン2(フェーズで分ける):

  • リード育成:インサイドセールス
  • 商談・クロージング:フィールドセールス
  • 既存顧客フォロー:インサイドセールス

パターン3(商材で分ける):

  • 標準商材:インサイドセールス
  • カスタマイズ商材:フィールドセールス

(4) 導入時の組織変更と役割調整

インサイドセールス導入時は、既存のルート営業担当者の役割調整が必要です。

役割調整のポイント:

  • 定期訪問業務を減らし、商談・クロージングに集中
  • インサイドセールスとの連携方法を明確化
  • 顧客との関係が希薄にならないよう、重要顧客には継続的な対面フォロー

6. まとめ:最適な営業体制の構築ポイント

インサイドセールスとルート営業は、それぞれ異なる強みと弱みを持ち、適切に使い分けることで営業効率を大幅に向上できます。

最適な営業体制の構築ポイント:

  1. 役割分担の明確化

    • インサイドセールス:リード育成・既存顧客フォロー
    • フィールドセールス:商談・クロージング
    • ルート営業:重要顧客への対面フォロー
  2. 既存顧客フォローの効率化

    • 「1:5の法則」に基づき、既存顧客維持にリソースを配分
    • インサイドセールスで非対面フォローを強化
    • 契約更新月の管理と解約防止施策を実施
  3. ツール活用とデータ共有

    • CRM・SFA・MAツールで顧客情報を一元管理
    • BtoB ECサイトで受発注業務を効率化
    • インサイドセールスとフィールドセールスの情報共有を徹底

次のアクション:

  • 自社の営業課題を整理(移動時間の無駄、接触頻度不足等)
  • インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担を設計
  • CRM・SFAツールを導入し、顧客情報を一元管理
  • 重要顧客とその他の顧客で対応方法を使い分ける

インサイドセールスとルート営業を適切に組み合わせ、営業効率の最大化と顧客満足度の向上を実現しましょう。

よくある質問

Q1ルート営業にインサイドセールスを導入するメリットは何ですか?

A1移動時間の削減、接触頻度の向上、既存顧客への定期的なフォロー強化により、アップセル・クロスセル・解約防止に効果的です。1日に対応できる顧客数が増加し、全国の顧客に効率的にアプローチできます。

Q2インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担はどうすべきですか?

A2インサイドセールスがリード育成と既存顧客フォローを担当し、フィールドセールスが商談とクロージングを担当する分業が一般的です。役割分担を明確にし、CRM・SFAで情報をリアルタイム共有することが重要です。

Q3既存顧客フォローはインサイドセールスでどこまで対応できますか?

A3定期的な情報提供、契約更新の確認、軽微な問い合わせ対応、アップセル・クロスセルの提案はインサイドセールスで対応可能です。ただし、重要顧客には対面でのフォローも必要です。

Q4ルート営業の効率化に必要なツールは何ですか?

A4CRM・SFA・MAツールで顧客情報を一元管理し、リアルタイム共有することで効率化が可能です。また、BtoB ECサイトを活用することで定期発注をオンライン化し、受発注業務を効率化できます。

Q5インサイドセールス導入で営業担当者の役割はどう変わりますか?

A5定期訪問業務が減り、商談やクロージングなど付加価値の高い業務に集中できるようになります。ただし、重要顧客には継続的な対面フォローが必要で、顧客との関係が希薄にならないよう注意が必要です。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。