インサイドセールスとルート営業の違いと使い分け:最適な営業体制の構築
「ルート営業の効率が上がらない」「インサイドセールスを導入すべきか悩んでいる」――営業体制の見直しを検討するB2B企業の営業マネージャーや経営者から、こうした声をよく耳にします。
インサイドセールスとルート営業は、それぞれ異なる強みと弱みを持ち、適切に使い分けることで営業効率を大幅に向上できます。この記事では、両者の定義・役割の違い、強み・弱みの比較、役割分担の方法、ルート営業の効率化手法、業種・商材別の使い分けまで、実務担当者が知っておくべきポイントを解説します。
この記事のポイント:
- インサイドセールスは非対面、ルート営業は既存顧客への定期訪問
- インサイドセールスは移動時間削減・接触頻度向上、ルート営業は深い関係構築が強み
- 分業により、インサイドセールスがリード育成・既存顧客フォロー、フィールドセールスが商談・クロージングを担当
- 既存顧客フォローを非対面化し、「1:5の法則」に基づきコスト削減
- CRM・SFA・MAツールとBtoB ECで効率化を実現
1. インサイドセールスとルート営業の定義と役割
インサイドセールスとルート営業は、営業手法として異なる役割を持ちます。
(1) インサイドセールス:非対面による営業活動
インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン商談ツールを活用した非対面の営業活動です。
主な活動:
- リード育成(見込み客との継続的なコミュニケーション)
- アポイント獲得(商談設定)
- 既存顧客フォロー(契約更新・アップセル・クロスセル)
Salesforceの記事「インサイドセールスとは?基礎知識や役割、成功事例など詳しく解説」では、インサイドセールスの包括的な解説がされています。
(2) ルート営業(得意先営業):既存顧客への定期訪問
ルート営業とは、既存の取引先を定期的に訪問し、関係を維持・強化する営業手法です。
主な活動:
- 定期訪問(月1回、週1回等)
- 顧客との関係構築(雑談・情報交換)
- 受注・納品・クレーム対応
- アップセル・クロスセル提案
Sansanの記事「ルート営業とは?メリット・デメリットや成功のポイントを解説」では、ルート営業の基礎知識とCRM/SFA活用のポイントが詳しく解説されています。
(3) フィールドセールス:対面による商談活動
フィールドセールスとは、顧客を直接訪問して行う対面の営業活動です。ルート営業と重なる部分もありますが、フィールドセールスは新規顧客も含め、商談・クロージングに重点を置きます。
主な活動:
- 新規顧客への初回訪問
- 商談(提案・デモ・見積もり提示)
- クロージング(契約締結)
- 重要顧客への対面フォロー
(4) 非対面営業の普及と営業DXの動向
総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、企業のデジタル化・営業DXは年々進んでおり、非対面営業の普及が加速しています。
背景:
- コロナ禍を機にオンライン商談が一般化
- 移動時間削減による営業効率の向上
- 全国の顧客に効率的にアプローチ可能
イノーバの記事「次世代BtoB営業⑤|ルートセールス ―デジタル時代に求められる営業改革とは―」によると、2024年の調査でBtoB購買の67%が営業担当者外の経路から決定されており、デジタル化が加速しています。
2. 両者の違いと強み・弱みの比較
インサイドセールスとルート営業は、活動範囲やアプローチ方法が大きく異なります。
(1) 活動範囲・アプローチ方法の違い
| 項目 | インサイドセールス | ルート営業 |
|---|---|---|
| 活動場所 | オフィス(非対面) | 顧客先訪問(対面) |
| 対象 | 新規リード・既存顧客両方 | 主に既存顧客 |
| アプローチ | 電話・メール・オンライン | 対面訪問 |
| 移動時間 | なし | あり(1訪問あたり往復1〜2時間) |
| 接触頻度 | 高い(週1回以上も可能) | 低い(月1回程度) |
| 1日の対応件数 | 多い(10〜20件) | 少ない(3〜5件) |
(2) インサイドセールスの強み:移動時間削減・接触頻度向上
インサイドセールスの主な強みは以下の通りです:
移動時間削減:
- 1日に10〜20件の顧客対応が可能
- 全国の顧客に効率的にアプローチ
接触頻度向上:
- 週1回、隔週1回など、高頻度でコミュニケーション可能
- タイムリーな情報提供(新商品案内、キャンペーン告知等)
データ蓄積:
- CRM・SFAで顧客情報をリアルタイム共有
- メール・電話の履歴を自動記録
(3) ルート営業の強み:顧客との深い関係構築
ルート営業の主な強みは以下の通りです:
深い関係構築:
- 対面でのコミュニケーションにより信頼関係を築きやすい
- 顧客の現場の状況を直接確認できる
潜在ニーズの発掘:
- 雑談の中から顧客の課題・ニーズを把握
- 顧客の表情・態度から真意を読み取る
クレーム対応:
- 緊急時に即座に訪問し、対応できる
(4) それぞれの弱みと課題
インサイドセールスの弱み:
- 対面でないため、深い信頼関係の構築が難しい
- 電話・メールの対応率が低い場合がある
- 顧客の現場の状況を直接確認できない
ルート営業の弱み:
- 移動時間がかかり、効率が悪い
- マンネリ化・形骸化しやすい(雑談だけで終わる等)
- 接触頻度が低く、タイムリーな情報提供が難しい
3. インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担
インサイドセールスとフィールドセールスを分業することで、営業効率を大幅に向上できます。
(1) 分業による効率化のメリット
Salesforceの記事「インサイドセールスとフィールドセールスの連携ポイント!」によると、分業により以下のメリットがあります:
効率化:
- インサイドセールスがリード育成を担当し、フィールドセールスは商談に集中
- 移動時間の削減により、フィールドセールスの商談件数が増加
専門性の向上:
- 各役割に特化することで、専門性が高まる
- インサイドセールスは電話・メールの対応力、フィールドセールスは商談力を強化
(2) インサイドセールスの役割(リード育成・既存顧客フォロー)
インサイドセールスの主な役割は以下の通りです:
リード育成(リードナーチャリング):
- 見込み客との継続的なコミュニケーション
- 資料送付、メール配信、電話フォロー
- 購買意欲が高まったリードをフィールドセールスに引き渡し
既存顧客フォロー:
- 定期的な情報提供(新商品案内、キャンペーン告知等)
- 契約更新の確認
- アップセル・クロスセルの提案
(3) フィールドセールスの役割(商談・クロージング)
フィールドセールスの主な役割は以下の通りです:
商談:
- 顧客訪問による提案・デモ・見積もり提示
- 顧客のニーズヒアリング
- 複雑な商談への対応
クロージング:
- 契約締結
- 重要顧客への対面フォロー
(4) 連携を成功させるポイントとKPI設定
インサイドセールスとフィールドセールスの連携を成功させるポイントは以下の通りです:
役割分担の明確化:
- どの段階でインサイドセールスからフィールドセールスに引き継ぐかを明確化
- 引き継ぎ基準(リードスコア、BANT条件等)を設定
CRM・SFAでの情報共有:
- 顧客情報、商談履歴、メール・電話履歴をリアルタイム共有
- 引き継ぎ時の情報伝達ミスを防ぐ
KPI設定:
- インサイドセールス:リード育成件数、アポイント獲得件数、商談化率
- フィールドセールス:商談件数、受注率、売上
SALES ROBOTICSの記事「インサイドセールスとフィールドセールス~それぞれの違いと役割」では、それぞれの役割とKPIの違いが詳しく解説されています。
4. ルート営業の効率化にインサイドセールスを活用する方法
ルート営業の非効率(移動時間、マンネリ化)を解消するため、インサイドセールスを活用できます。
(1) 既存顧客フォローを非対面化する(1:5の法則)
「1:5の法則」によると、新規顧客獲得コストは既存顧客維持の5倍かかります。既存顧客フォローを効率化することで、コスト削減とリソース最適化が可能です。
非対面化のメリット:
- 移動時間削減により、1日に対応できる顧客数が増加
- 接触頻度を高めることで、顧客との関係を維持・強化
- 重要顧客には対面、その他の顧客には非対面という使い分けが可能
アースリンクの記事「インサイドセールスは新規開拓だけじゃなく既存顧客をフォローすべき理由」では、既存顧客フォローにインサイドセールスを活用する具体的な方法が解説されています。
(2) 定期的な情報提供によるアップセル・クロスセル
インサイドセールスで既存顧客に定期的な情報提供を行い、アップセル・クロスセルにつなげます。
情報提供の例:
- 新商品・新サービスの案内
- 活用事例の紹介
- キャンペーン・値引き情報
- 業界動向レポート
(3) 契約更新月の管理と解約防止施策
契約更新月の半年前にインサイドセールスから確認の電話を入れることで、解約防止に効果的です。
解約防止施策:
- 契約更新月の6ヶ月前:インサイドセールスから電話で状況確認
- 契約更新月の3ヶ月前:利用状況・満足度のヒアリング
- 契約更新月の1ヶ月前:更新の最終確認、不満があれば対応
ブリッジインターナショナルの記事「事例にみる インサイドセールス導入で既存顧客のフォローを強化する方法」では、実際の導入事例が紹介されています。
(4) CRM・SFA・MAツールによる顧客情報の一元管理
CRM・SFA・MAツールを活用し、顧客情報をリアルタイム共有することで、ルート営業の効率化が可能です。
ツール活用のメリット:
- 顧客の商談履歴・購買履歴を一元管理
- 訪問スケジュールの最適化
- 契約更新月の自動リマインド
(5) BtoB ECサイトの活用
アラジンECの記事「ルート営業を驚くほど効率化できるBtoB ECサイトの魅力とは」によると、BtoB ECサイトを活用した非対面ルート営業の効率化が一般化しつつあります。
BtoB EC活用のメリット:
- 定期発注をオンライン化し、営業担当者の工数削減
- 24時間いつでも発注可能
- 受発注業務の効率化
5. 業種・商材別の使い分けとハイブリッド体制
インサイドセールスとルート営業の使い分けは、業種・商材により異なります。
(1) インサイドセールス向きの業種・商材
インサイドセールス向き:
- SaaS・IT製品(オンライン完結しやすい)
- 標準化された商材(説明が簡単)
- 単価が比較的低い商材(1件あたり数万円〜数十万円)
- 全国展開している企業(移動コスト削減のメリット大)
(2) ルート営業向きの業種・商材
ルート営業向き:
- 製造業(現場確認が必要)
- 高額商材(1件あたり数百万円以上)
- カスタマイズが必要な商材(詳細なヒアリングが必要)
- 顧客との深い信頼関係が重要な商材
(3) ハイブリッド体制の構築パターン
多くの企業では、インサイドセールスとルート営業を組み合わせたハイブリッド体制を構築しています。
パターン1(顧客重要度で分ける):
- 重要顧客:対面でのルート営業
- その他の顧客:インサイドセールスで非対面フォロー
パターン2(フェーズで分ける):
- リード育成:インサイドセールス
- 商談・クロージング:フィールドセールス
- 既存顧客フォロー:インサイドセールス
パターン3(商材で分ける):
- 標準商材:インサイドセールス
- カスタマイズ商材:フィールドセールス
(4) 導入時の組織変更と役割調整
インサイドセールス導入時は、既存のルート営業担当者の役割調整が必要です。
役割調整のポイント:
- 定期訪問業務を減らし、商談・クロージングに集中
- インサイドセールスとの連携方法を明確化
- 顧客との関係が希薄にならないよう、重要顧客には継続的な対面フォロー
6. まとめ:最適な営業体制の構築ポイント
インサイドセールスとルート営業は、それぞれ異なる強みと弱みを持ち、適切に使い分けることで営業効率を大幅に向上できます。
最適な営業体制の構築ポイント:
役割分担の明確化
- インサイドセールス:リード育成・既存顧客フォロー
- フィールドセールス:商談・クロージング
- ルート営業:重要顧客への対面フォロー
既存顧客フォローの効率化
- 「1:5の法則」に基づき、既存顧客維持にリソースを配分
- インサイドセールスで非対面フォローを強化
- 契約更新月の管理と解約防止施策を実施
ツール活用とデータ共有
- CRM・SFA・MAツールで顧客情報を一元管理
- BtoB ECサイトで受発注業務を効率化
- インサイドセールスとフィールドセールスの情報共有を徹底
次のアクション:
- 自社の営業課題を整理(移動時間の無駄、接触頻度不足等)
- インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担を設計
- CRM・SFAツールを導入し、顧客情報を一元管理
- 重要顧客とその他の顧客で対応方法を使い分ける
インサイドセールスとルート営業を適切に組み合わせ、営業効率の最大化と顧客満足度の向上を実現しましょう。
