インサイドセールスとマーケティングの違いとは?役割分担と連携のポイントを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/14

マーケティングとインサイドセールス、どちらも営業活動だがどう違うのか...

B2B企業のマーケティング担当者や営業マネージャーの多くが、「マーケティングとインサイドセールスの役割分担が曖昧で、連携がうまくいかない」「部門間で情報共有ができず、リードが活用されていない」といった課題を抱えています。

マーケティングとインサイドセールスはどちらも見込み客へのアプローチを行いますが、目的・対象・手法が異なります。両部門の役割を明確にし、効果的に連携することで、リード獲得から商談化までのプロセスが円滑になり、営業成果が大幅に向上する可能性があります。

この記事では、インサイドセールスとマーケティングの違い、役割分担、連携のポイント、THE MODELフロー、導入事例、KPI設定の実務をご紹介します。

この記事のポイント:

  • マーケティングは「リード獲得」、インサイドセールスは「リード育成・商談化」を担う
  • 目的・対象・手法・KPIがそれぞれ異なる(市場全体 vs 見込み客、広告・SEO vs 電話・メール)
  • THE MODEL型営業組織(マーケ→IS→FS→CS)で分業体制を構築
  • 共通KPI設定・CRM/SFAツール活用・相互フィードバックが連携の鍵
  • 成功事例では商談数2倍以上、受注率向上の成果

1. BtoB営業におけるマーケティングとインサイドセールスの重要性

(1) オンライン化・リモート商談の普及

コロナ禍を経て、BtoB営業におけるオンライン化・リモート商談の普及が加速しました。従来の対面営業だけでは顧客にリーチできなくなり、オンラインでのマーケティング活動とインサイドセールスによる遠隔での商談創出が重要になっています。

2025年現在、クラウドベースCRM・会話インテリジェンス・仮想アシスタント等のツールが発達し、インサイドセールスとマーケティングのコラボレーションが一層強化されています。リモート・オンライン商談ツールの普及により、インサイドセールスの重要性はさらに増加しています。

(2) 分業体制による生産性向上の必要性

BtoB企業では、営業担当者がリード獲得から商談・クロージングまですべてを担当する「ワンマン営業」では生産性に限界があります。マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの分業体制を構築することで、各部門が専門性を発揮し、全体の生産性が飛躍的に向上します。

インサイドセールスは移動不要で1日に多数の顧客に接触でき、生産性・効率性が飛躍的に向上する点が大きなメリットです。

2. インサイドセールスとマーケティングの基礎知識

(1) マーケティングとは(市場全体へのアプローチ、リード獲得)

マーケティングは、市場全体に広告・SEO・メルマガ等でアプローチし、見込み客を獲得する活動です。不特定多数の潜在顧客に対して情報を発信し、自社の製品・サービスに関心を持つ見込み客(リード)を集めることが主な目的です。

マーケティングの主な活動:

  • Web広告(Google広告、SNS広告等)
  • SEO対策(検索エンジンからの自然流入)
  • コンテンツマーケティング(ブログ記事、ホワイトペーパー等)
  • メールマーケティング(メルマガ配信、ナーチャリングメール)
  • ウェビナー・展示会(リード獲得施策)

(2) インサイドセールスとは(内勤営業、リード育成・商談創出)

インサイドセールスは、内勤営業として電話・メール・オンライン商談ツールで顧客にアプローチし、リード育成・商談創出を担います。マーケティングが獲得したリードに個別に接触し、顧客の課題やニーズをヒアリングし、購買意欲を高め、商談化します。

インサイドセールスの主な活動:

  • リード育成(リードナーチャリング): メール・電話で継続的にコミュニケーション
  • 課題ヒアリング: 顧客の課題・ニーズを深掘り
  • 商談設定: 受注確度の高いリードをフィールドセールスに引き渡し
  • リードスコアリング: リードの行動・属性を数値化し、優先順位付け

(3) フィールドセールスとの関係(THE MODEL型営業組織)

インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールス(外勤営業)の間に位置します。THE MODEL型営業組織では、以下の分業体制が標準的です。

THE MODEL型営業組織:

  1. マーケティング: リード獲得
  2. インサイドセールス: リード育成・商談化
  3. フィールドセールス: 商談・クロージング(顧客先を訪問)
  4. カスタマーサクセス(CS): 既存顧客のサポート・アップセル

この分業により、各部門が専門性を発揮し、全体の営業プロセスが効率化されます。

(4) SDR(インバウンド)とBDR(アウトバウンド)の違い

インサイドセールスには、SDR(Sales Development Representative)とBDR(Business Development Representative)の2つのタイプがあります。

項目 SDR(インバウンド) BDR(アウトバウンド)
対象リード 問い合わせ・資料DL等の既存リード 新規開拓対象の企業リスト
アプローチ 既存リードに対応(受動的) 新規リードを開拓(能動的)
主な活動 リード育成、商談設定 新規リスト作成、初回接触
KPI アポ数、商談化率 コール数、接続率、アポ数

SDRとBDRはどちらもインサイドセールスの役割ですが、対象とするリードと活動内容が異なります。

3. インサイドセールスとマーケティングの違い

(1) 目的の違い(リード獲得 vs リード育成・商談化)

マーケティングとインサイドセールスの最大の違いは目的です。

項目 マーケティング インサイドセールス
目的 リード獲得(量) リード育成・商談化(質)
ゴール MQL(Marketing Qualified Lead)創出 SQL(Sales Qualified Lead)創出、商談設定

マーケティングは「量」を重視し、できるだけ多くのリードを獲得します。インサイドセールスは「質」を重視し、見込み客を育成して商談可能な状態にします。

MQL(Marketing Qualified Lead): マーケティング部門が獲得した、一定の条件を満たす見込み客(例: 資料ダウンロード、ウェビナー参加等)

SQL(Sales Qualified Lead): インサイドセールスが育成し、商談可能と判断した見込み客(例: 課題ヒアリング完了、購買意欲が高い)

(2) 対象の違い(市場全体 vs 見込み客)

マーケティングとインサイドセールスでは、アプローチする対象が異なります。

マーケティング:

  • 市場全体(不特定多数の潜在顧客)
  • 自社の製品・サービスを知らない層にもリーチ
  • マス向けの情報発信

インサイドセールス:

  • 見込み客(マーケティングが獲得したリード)
  • 自社の製品・サービスに一定の関心を示した層
  • 個別対応、パーソナライズされたコミュニケーション

マーケティングが「認知拡大」、インサイドセールスが「関係構築」を担う構造です。

(3) アプローチ手法の違い(広告・SEO・メルマガ vs 電話・メール・オンライン商談)

アプローチ手法も異なります。

マーケティング:

  • 広告(Google広告、SNS広告)
  • SEO対策(ブログ記事、ホワイトペーパー)
  • メルマガ配信(セグメント別配信)
  • ウェビナー・展示会

インサイドセールス:

  • 電話(架電、ヒアリング)
  • メール(個別フォローアップ)
  • オンライン商談(Zoom、Teams等)
  • リードスコアリング(優先順位付け)

マーケティングは「1対多」のコミュニケーション、インサイドセールスは「1対1」のコミュニケーションが中心です。

(4) KPIの違い(リード数・獲得単価 vs アポ数・商談化率・受注率)

KPI(重要業績評価指標)も異なります。

項目 マーケティング インサイドセールス
主要KPI リード数、MQL数、リード獲得単価、Webサイト訪問数 コール数、接続率、アポ数、商談化率、受注率、受注金額
重視する指標 「量」(できるだけ多くのリード獲得) 「質」(商談化率・受注率の向上)

マーケティングは獲得したリードの「数」を、インサイドセールスは商談化・受注に至った「割合」を重視します。

4. 効果的な連携のポイントとTHE MODELフロー

(1) THE MODELとは(マーケ→IS→FS→CSの分業体制)

THE MODEL(ザ・モデル)は、Salesforceが提唱する営業プロセスモデルで、マーケ→IS→FS→CSの分業体制を指します。

THE MODELの各部門の役割:

  1. マーケティング: リード獲得、MQL創出
  2. インサイドセールス: リード育成、SQL創出、商談設定
  3. フィールドセールス: 商談、クロージング、受注
  4. カスタマーサクセス: 既存顧客のサポート、アップセル・クロスセル

この分業により、営業プロセスが可視化され、各部門が専門性を発揮できます。THE MODEL型営業組織の理解が前提となり、営業プロセス可視化なしでは分業効果が出にくいです。

(2) 共通KPI設定(MQL定義、コール対象リード基準等)

効果的な連携には、共通KPI設定が不可欠です。各チームが同じ方向を向いて進むため、以下のKPIを部門間で合意します。

共通KPI設定の例:

  • MQL定義: どのような条件を満たしたリードをMQLとするか(例: 資料DL + メール開封2回以上)
  • コール対象リード基準: どのようなリードをインサイドセールスがコールするか(例: スコア50点以上)
  • SQL転換率: MQLからSQLへの転換率(例: 20%)
  • 商談化率: SQLから商談への転換率(例: 50%)
  • 受注率: 商談から受注への転換率(例: 30%)

KPI設定を誤ると、各部門がバラバラの方向に進み、全体最適できません。慎重に設定し、定期的に見直すことが重要です。

(3) CRM・SFAツールによる情報共有体制

CRM・SFAツールで情報共有体制を整備し、営業活動を可視化することで属人化を防止します。

CRM・SFAツールの役割:

  • リード情報の一元管理: マーケティングが獲得したリードをインサイドセールスが即座に確認
  • 活動履歴の記録: 電話・メールの履歴を記録し、誰がいつ何をしたか可視化
  • リードスコアリング: リードの行動・属性を数値化し、優先順位付け
  • 商談進捗の共有: フィールドセールスの商談状況をマーケティング・インサイドセールスが把握

CRM・SFAツール導入は不可欠で、システム整備に初期費用・運用コストがかかります。ただし、導入により部門間の情報共有が円滑になり、長期的にはROIが向上します。

(4) 相互フィードバック(リードの質・コンテンツ改善)

マーケティング←→インサイドセールス間で相互フィードバックを行い、リードの質を継続改善します。

相互フィードバックの例:

  • インサイドセールス→マーケティング: 「今月獲得したリードは課題が曖昧で商談化しづらい」→ マーケティングがコンテンツを改善
  • マーケティング→インサイドセールス: 「ホワイトペーパーDL後のリードは購買意欲が高い」→ インサイドセールスが優先的にコール
  • フィールドセールス→全体: 「〇〇業界のリードは受注率が高い」→ マーケティングが当該業界向けの広告を強化

相互フィードバックにより、各部門がPDCAを回し、全体の営業成果が向上します。

(5) 分業のメリット(生産性向上、属人化防止、商談品質向上、コスト削減)

分業体制のメリットは以下の通りです。

メリット1:生産性向上

  • インサイドセールスは移動不要で1日に多数の顧客に接触可能(訪問営業の3〜5倍の接触数)
  • マーケティングはリード獲得に専念、インサイドセールスは育成に専念できる

メリット2:属人化防止

  • CRM・SFAツールで営業活動を可視化し、担当者の退職・異動でもノウハウが引き継がれる
  • チーム全体で情報共有され、特定の担当者に依存しない体制

メリット3:商談品質向上

  • 育成済みリードのみフィールドセールスに渡すため、商談の受注率が向上
  • フィールドセールスは受注確度の高い商談に集中できる

メリット4:コスト削減

  • 訪問回数が削減され、交通費・時間コストが削減
  • 効率的なリソース配分により、全体の営業コストが最適化

ただし、中小企業では「分業」より「省略」が適切な場合もあります。リソース・リード数によって判断する必要があります。

5. 導入事例とKPI設定の実務

(1) 成功事例(Salesforce・Sansan・LIFULL・Panasonic Industry等)

インサイドセールス導入の成功事例をご紹介します。

Salesforce:

  • THE MODELを提唱した企業として、自社でもマーケ→IS→FS→CSの分業体制を実践
  • グローバルで高い成長率を実現

Sansan:

  • 名刺管理サービスで、インサイドセールスを早期から導入
  • リード育成を徹底し、商談化率を大幅に向上

LIFULL:

  • 不動産情報サービスで、インサイドセールスを活用
  • 顧客の課題をヒアリングし、最適なソリューションを提案

Panasonic Industry:

  • BtoB製造業でインサイドセールスを導入
  • 訪問営業と併用し、効率的なリソース配分を実現

(2) 成果データ(商談数2倍以上、受注率向上)

導入企業の成果データは以下の通りです。

成果データ:

  • 商談数2倍以上: インサイドセールス導入前と比較して商談設定数が2倍以上に増加
  • 受注率向上: 育成済みリードのみ商談化するため、受注率が10〜30%向上
  • 生産性向上: 営業担当者1人あたりの生産性が1.5〜2倍に向上

ただし、これらの成果は企業規模・業種・リード数・運用体制により異なります。自社の状況に応じて、どの程度の効果が期待できるかを慎重に評価する必要があります。

(3) インサイドセールスの主要KPI(コール数、アポ数、商談化率、受注率、受注金額)

インサイドセールスの主要KPIは以下の通りです。

主要KPI:

  1. コール数: 1日あたりの架電数(例: 50件/日)
  2. 接続率: 架電に対して実際に会話できた割合(例: 30%)
  3. アポ数: 商談設定数(例: 5件/週)
  4. 商談化率: アポから商談への転換率(例: 70%)
  5. 受注率: 商談から受注への転換率(例: 30%)
  6. 受注金額: 1件あたりの受注金額、総受注金額

これらのKPIを定期的に測定し、改善施策を実施します。

(4) マーケティングとの連携KPI設定手順

マーケティングとインサイドセールスの連携KPIを設定する手順は以下の通りです。

KPI設定手順:

  1. 最終目標(KGI)の設定: 売上高、利益率等
  2. プロセスKPIの設定: リード数→MQL数→SQL数→商談数→受注数
  3. 部門間での合意形成: MQL定義、SQL定義、コール対象リード基準を決定
  4. 測定・改善: 定期的(月次・四半期ごと)にKPIを測定し、改善施策を実施

部門間で合意形成が不可欠で、設定を誤ると逆効果になる可能性があります。

(5) 2025年トレンド(AI活用、クラウドCRM、会話インテリジェンス)

2025年のトレンドは、AI活用とツールの進化です。

2025年トレンド:

  • AI活用: 最適なコンタクトタイミング予測、パーソナライズアプローチ自動化、生産性向上
  • クラウドベースCRM: リアルタイムでの情報共有、リモートワーク対応
  • 会話インテリジェンス: 電話・オンライン商談の内容を自動分析、トーク改善に活用
  • 仮想アシスタント: AIがリード対応を補助、効率化

これらのツールを活用することで、マーケティングとインサイドセールスのコラボレーションが一層強化されます。

6. まとめ:分業と連携で成果を最大化

マーケティングとインサイドセールスは、目的・対象・手法・KPIが異なります。マーケティングは「リード獲得(量)」を、インサイドセールスは「リード育成・商談化(質)」を担う分業体制が基本です。

THE MODEL型営業組織(マーケ→IS→FS→CS)を構築し、共通KPI設定・CRM/SFAツール活用・相互フィードバックを実施することで、部門間の連携が強化され、営業成果が大幅に向上します。成功事例では商談数2倍以上、受注率向上の成果が報告されています。

分業のメリットは、生産性向上・属人化防止・商談品質向上・コスト削減です。ただし、中小企業ではリソース・リード数によって「分業」より「省略」が適切な場合もあるため、自社の状況に応じて判断することが重要です。

次のアクション:

  • 自社の営業プロセスを整理し、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの役割を明確化する
  • MQL定義・SQL定義・コール対象リード基準を部門間で合意する
  • CRM・SFAツールを導入し、情報共有体制を整備する
  • インサイドセールスの主要KPI(コール数・アポ数・商談化率等)を設定し、定期的に測定する
  • マーケティング←→インサイドセールス間で相互フィードバックを実施し、リードの質を継続改善する
  • 成功事例を参考に、自社に合った分業体制を構築する

分業と連携を実現し、BtoB営業の生産性向上と成果最大化を目指しましょう。

よくある質問

Q1インサイドセールスとマーケティングの違いは何ですか?

A1目的・対象・手法が異なります。マーケティングは「リード獲得」が目的で、市場全体に広告・SEO・メルマガでアプローチします。インサイドセールスは「リード育成・商談化」が目的で、見込み客に電話・メール・オンライン商談で個別対応します。マーケティングが「量」、インサイドセールスが「質」を担う分業体制です。

Q2どのように連携すべきですか?

A24つのポイントで連携します。(1)共通KPI設定(MQL定義、コール対象リード基準等を部門間で合意)、(2)CRM・SFAツールで情報共有体制を整備し営業活動を可視化、(3)相互フィードバック(リードの質・コンテンツ改善を継続的に実施)、(4)THE MODELフロー(マーケ→IS→FS→CS)を構築し営業プロセスを可視化。部門間の合意形成が成功の鍵です。

Q3分業のメリットは何ですか?

A34つのメリットがあります。(1)生産性向上:インサイドセールスは移動不要で1日に多数接触可能(訪問営業の3〜5倍)、(2)属人化防止:CRM・SFAで営業活動を可視化し担当者退職でもノウハウ引き継ぎ、(3)商談品質向上:育成済みリードのみフィールドセールスに渡すため受注率向上、(4)コスト削減:訪問回数削減、効率的なリソース配分。

Q4インサイドセールス導入の成功事例を教えてください。

A4Salesforce・Sansan・LIFULL・Panasonic Industry等で導入成功しています。成果は商談数2倍以上、受注率向上、生産性向上です。成功要因は共通KPI設定、CRM・SFAツール活用、マーケティングとの密な連携、継続的な相互フィードバックです。ただし成果は企業規模・業種・リード数・運用体制により異なるため、自社の状況に応じて評価してください。

Q5KPIは何を設定すべきですか?

A5インサイドセールスの主要KPIはコール数、接続率、アポ数、商談化率、受注率、受注金額です。マーケティングとの連携KPIはMQL数、MQL→SQL転換率、リード獲得単価です。部門間で合意形成し、各チームが同じ方向を向いて進むことが重要です。設定を誤ると各部門がバラバラの方向に進み全体最適できないため、慎重に設定し定期的に見直してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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