インサイドセールスのリスト作成方法|質の高いターゲットリストの構築術

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/15

「インサイドセールスのリスト作成に時間がかかりすぎる..."

B2B企業でインサイドセールスを担当していると、「どこから営業リストを作ればいいか分からない」「リストの質が低くて架電しても成果につながらない」「リスト管理が煩雑で情報が古くなっている」といった課題を抱えることがあります。

この記事では、インサイドセールスの営業リストの基礎知識から、質の高いリストの作成手法(5ステップ)、リスト作成・管理ツールの比較と選び方、運用の注意点とよくある失敗パターンまで解説します。

この記事のポイント:

  • 営業リストは営業ターゲットとなる見込み顧客の情報をまとめたもので、インサイドセールスの成果を左右する重要な要素
  • ハウスリスト(既存顧客・過去接点あり)とコールドリスト(新規・接点なし)を目的に応じて使い分け
  • リスト作成5ステップ:ICP定義→データソース選定→抽出・スクリーニング→企業情報付加→MA・SFA・CRM一元管理
  • 無料ツール(BIZMAPS月100件、FUMA完全無料)とAI活用ツール(スマリス)を比較
  • 個人情報保護法・GDPR準拠のリスト作成・管理が必須

1. インサイドセールスの営業リストとは?成果を左右する重要性

インサイドセールスの営業リストとは、営業のターゲットとなる見込み顧客の情報(企業名・担当者名・役職・連絡先・業界等)をまとめたリストです(Scene Live「インサイドセールスに活用したい営業リストとは?作成ツールも紹介」、2024年)。

なぜ営業リストが重要なのか?

インサイドセールスでは、以下のような課題が発生しがちです:

  • ターゲット選定の曖昧さ: 誰に架電・メールすべきか分からず、効率が低い
  • リストの質の低さ: 退職者・異動者への架電で企業イメージを損なう
  • リスト管理の煩雑さ: 情報が古くなり、重複が多く、活用できない

質の高い営業リストを作成することで、以下のメリットが得られます:

ビジネスメリット:

  • 業務効率化: ターゲットが明確になり、架電・メール配信の工数を削減
  • 成果向上: ICP(理想的な顧客像)に適合したリストで商談化率が向上
  • 営業生産性の向上: 優先度の高いリードにリソースを集中
  • 企業イメージの維持: 正確な情報で不適切なアプローチを回避

2. 営業リストの基礎知識(種類・要素・質の定義)

(1) 営業リストの構成要素

営業リストには以下の情報が含まれます:

必須項目:

  • 企業名: 正式名称(株式会社、Co., Ltd.等の表記統一)
  • 担当者名: 架電・メール送信対象の氏名
  • 役職: 決裁権の有無を判断(部長以上、経営層等)
  • 連絡先: 電話番号・メールアドレス

推奨項目:

  • 業界: 製造、IT、金融、医療等
  • 企業規模: 従業員数、売上規模
  • 所在地: 都道府県、エリア
  • 過去のアプローチ履歴: 対応済み・未対応、商談化有無

(2) ハウスリスト(既存顧客・過去接点あり)vs.コールドリスト(新規・接点なし)

営業リストは大きく2種類に分類されます。

ハウスリスト:

  • 定義: 既存顧客や過去に接点のあった企業・個人のリスト
  • データソース: 名刺交換、問い合わせフォーム、セミナー参加者、過去の商談先
  • 特徴: 商談化率が高い(既に自社を認知している)
  • 活用シーン: 既存顧客へのアップセル・クロスセル、過去の見込み客への再アプローチ

コールドリスト:

  • 定義: 自社と接点のない新規企業・個人のリスト
  • データソース: 企業データベース(SPEEDA、帝国データバンク)、LinkedInセールスナビゲーター
  • 特徴: 新規開拓に活用、初回アプローチは難易度が高い
  • 活用シーン: 新市場開拓、競合からのシェア奪取

使い分けのポイント:

  • 短期的な成果を求める: ハウスリストを優先(商談化率が高い)
  • 中長期的な市場拡大: コールドリストで新規開拓
  • バランス型: ハウスリスト70% + コールドリスト30%の割合で運用

(3) 質の高いリストの定義

質の高い営業リストとは、以下の3つの要素を満たすリストです:

① ICP適合度:

  • 自社の理想的な顧客像(ICP)に合致しているか
  • 業界・企業規模・地理的位置・技術スタック・決裁者役職が定義された基準に適合

② 情報鮮度:

  • 連絡先(電話番号・メールアドレス)が有効か
  • 担当者が在籍しているか(退職・異動していないか)
  • 企業情報が最新か(統廃合・事業内容変更がないか)

③ 接触可能性:

  • 電話番号が有効か(代表番号 vs 直通番号)
  • メールアドレスが有効か(バウンスしないか)
  • 過去にオプトアウト(配信停止)していないか

これらの要素を定期的に確認し、リストの質を維持することが重要です。

3. 質の高い営業リストの作成手法(5ステップ)

実務で活用できる営業リストの作成手法を5ステップで紹介します。

(1) ICP(理想的な顧客像)の定義

**ICP(Ideal Customer Profile)**とは、理想的な顧客像を定義したものです(株式会社3MA「インサイドセールスの活動に重要な営業リストの作り方とは? 種類や作成方法、ツールも紹介」、2024年)。

ICP定義の項目:

  • 業界: 製造、IT、金融、医療等(自社製品・サービスが最も価値を提供できる業界)
  • 企業規模: 従業員数100人以上、売上規模10億円以上等
  • 地理的位置: 国内(東京・大阪・名古屋等)、海外(アジア・北米等)
  • 技術スタック: 使用している技術・ツール(例:Salesforce導入企業、AWS利用企業)
  • 購買決定者の役職: 部長以上、経営層、IT部門責任者等

ICP定義の方法:

  1. 既存顧客の分析: 売上上位20%の顧客の共通点を抽出
  2. 商談実績の分析: 受注に至った商談の共通点を特定
  3. 営業・マーケ部門へのヒアリング: 現場の知見を反映

(2) データソースの選定

ICP定義に基づいて、適切なデータソースを選定します。

① 自社データ(ハウスリスト):

  • 名刺データ: 名刺管理ツール(Sansan、Eight等)から抽出
  • 問い合わせフォーム: Webサイト経由の問い合わせ情報
  • セミナー・ウェビナー参加者: イベント運営ツール(Peatix、Zoom等)から抽出
  • 過去の商談先: SFA・CRMから抽出

② 企業データベース:

  • SPEEDA: 国内外の企業情報・財務情報を網羅(有料)
  • 帝国データバンク: 企業信用情報・倒産リスク評価(有料)
  • 東京商工リサーチ: 企業情報・決算情報(有料)
  • BIZMAPS: 登録企業数170万社以上、月100件まで無料ダウンロード可能
  • FUMA: 全国160万社のデータから最短5秒でオリジナルリスト作成、完全無料・ログイン不要

③ LinkedInセールスナビゲーター:

  • 役職・業界・地域でターゲットを検索
  • 決裁権のある人物に直接コンタクト可能
  • 有料プラン(月額数万円)

(3) リスト抽出とスクリーニング

データソースからリストを抽出し、スクリーニング(精査)を行います。

抽出条件の設定:

  • ICPに基づいて条件を設定(業界=IT、従業員数=100人以上等)
  • データベースツールの検索機能で一括抽出

スクリーニング項目:

  • 重複排除: 同一企業・同一担当者の重複を削除
  • 情報鮮度確認: 連絡先が有効か確認(電話番号・メールアドレスの検証)
  • バウンスメール除外: 過去にメール送信してバウンスしたアドレスを除外
  • オプトアウト確認: 過去に配信停止を申し出た顧客を除外

(4) 外部サービス連携で企業情報を付加

リストの質を高めるため、外部サービスと連携して企業情報を付加します。

付加可能な情報:

  • 業種分類: 詳細な業種コード(日本標準産業分類)
  • 従業員数: 正確な従業員数・従業員数レンジ
  • 財務情報: 売上高、営業利益、資本金
  • 企業ニュース: 最新のプレスリリース、M&A情報、新規事業

連携方法:

  • API連携(SPEEDA、帝国データバンク等)
  • CSVインポート(外部サービスからエクスポート→MA・SFAにインポート)

(5) MA・SFA・CRMツールでの一元管理

作成したリストをMA・SFA・CRMツールで一元管理します(シャノンのマーケティングオートメーション「インサイドセールスが商談を増やすためのリスト管理」、2024年)。

主要ツール:

  • MA(マーケティングオートメーション): List Finder、Marketo、HubSpot
  • SFA(Sales Force Automation): Salesforce Sales Cloud
  • CRM(Customer Relationship Management): Salesforce、Zoho CRM、kintone

一元管理のメリット:

  • アプローチ履歴(架電日時、メール送信履歴)を記録
  • 顧客ステータス(対応済み・未対応、商談化有無)を追跡
  • 営業・マーケティング部門間で情報共有を円滑化

4. リスト作成・管理ツールの比較と選び方

リスト作成・管理に活用できる主要ツールを比較します。

(1) 無料ツール:BIZMAPS(月100件無料)・FUMA(完全無料)

BIZMAPS:

  • 特徴: 登録企業数170万社以上の国内最大級ツール
  • 料金: 月100件まで無料ダウンロード可能、有料プランあり
  • 情報: 企業名、住所、電話番号、業種、従業員数等
  • 注意点: 月間件数制限あり、情報鮮度は有料プランが優位

FUMA:

  • 特徴: 全国160万社のデータから最短5秒でオリジナルリスト作成
  • 料金: 完全無料・ログイン不要
  • 情報: 企業名、住所、電話番号、業種等
  • 注意点: 無料のため情報鮮度に限界あり、定期更新が推奨

(2) リスト自動生成ツール:スマリス(AI活用)

スマリス:

  • 特徴: AIを活用してリスト自動生成、クラウド管理(スマリス公式サイト、2024年)
  • 料金: 有料プラン(詳細は公式サイトで確認)
  • 機能: ICP条件に基づく自動抽出、リスト鮮度の自動更新、MA・SFA連携
  • メリット: リスト作成時間を大幅短縮、情報鮮度が高い

(3) セールスエンゲージメントツール:BALES CLOUD

BALES CLOUD:

  • 特徴: 電話営業・インサイドセールス業務の型化・自動化を実現(SALES TIMES「おすすめインサイドセールスツール8選!リスト作成・電話・メール配信など機能別に紹介」、2024年)
  • 料金: 有料プラン(詳細は公式サイトで確認)
  • 機能: リスト管理、架電自動化、スクリプト管理、トークログ記録
  • メリット: リスト作成から架電まで一気通貫で管理

(4) MA・SFA・CRM:List Finder・Marketo・Salesforce

List Finder(MA):

  • 特徴: 国産MAツール、リスト管理・メール配信・スコアリング機能
  • 料金: 月額数万円〜(初期費用別)

Marketo(MA):

  • 特徴: Adobe社のMAツール、大規模リスト管理・高度なセグメンテーション
  • 料金: 月額数十万円〜(企業規模による)

Salesforce(SFA・CRM):

  • 特徴: 世界最大級のSFA・CRM、リスト管理・商談管理を統合
  • 料金: 月額数千円〜(ユーザー数・エディションによる)

(5) 選定基準(料金・月間件数制限・情報鮮度・機能)

小規模企業(予算月5万円未満):

  • BIZMAPS(月100件無料)+ FUMA(完全無料)
  • 手動でのリスト管理(Excel、Googleスプレッドシート)

中堅企業(予算月5〜20万円):

  • スマリス(AI活用)+ List Finder(MA)
  • リスト作成の効率化と管理の一元化

大企業(予算月20万円以上):

  • Marketo(MA)+ Salesforce(SFA・CRM)
  • 大規模リスト管理と営業・マーケ部門の統合運用

※料金は2025年1月時点の情報です。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

5. リスト運用の注意点とよくある失敗パターン

リスト運用で陥りやすい失敗パターンと、その回避方法を紹介します。

(1) リスト更新を怠ると退職者・異動者へアプローチし企業イメージを損なう

失敗パターン:

  • リスト作成後、更新を怠り、1年後に架電したら「担当者が退職している」「部署が異動している」と言われる
  • 結果として企業イメージを損ない、二度とアプローチできなくなる

回避方法:

  • 定期的なリスト更新: 3〜6ヶ月ごとにリストを見直し、情報を最新化
  • 架電時の確認: 「○○様はご在籍でしょうか?」と事前確認
  • バウンスメールのチェック: メール送信後にバウンスしたアドレスを削除

(2) 個人情報保護法・GDPR準拠のリスト作成・管理

法的リスク:

  • 個人情報保護法(日本): 個人情報の取得・利用・第三者提供には本人同意が必要
  • GDPR(EU): EU居住者の個人データ保護、違反時は高額罰金

準拠のポイント:

  • 適法な取得: 名刺交換、問い合わせフォーム、セミナー参加等で本人同意を得た情報のみ使用
  • 無断名簿購入の禁止: 第三者から購入した名簿は法的リスクが高い
  • オプトアウト対応: 配信停止を申し出た顧客は即座にリストから削除
  • プライバシーポリシーの明示: 個人情報の利用目的を明示

(3) 無料ツールの月間件数制限・情報鮮度の注意点

無料ツールの制約:

  • BIZMAPS: 月100件まで無料(それ以上は有料プラン)
  • FUMA: 完全無料だが情報鮮度に限界あり

対応策:

  • 無料ツールは初期段階のリスト構築に活用
  • 本格運用時は有料ツール(スマリス、SPEEDA等)に移行
  • 複数の無料ツールを併用して件数制限を回避

(4) リストの質が低いと架電・メール配信の効率が下がる

失敗パターン:

  • ICP定義が曖昧なまま大量のリストを作成
  • 架電しても「興味がない」と断られる率が高く、成果につながらない

回避方法:

  • ICP定義の徹底: 既存顧客の分析に基づいて明確なICP基準を設定
  • スクリーニングの強化: 重複排除・情報鮮度確認を徹底
  • 少数精鋭アプローチ: 大量のリストより、質の高い100件のリストで成果を出す

(5) 2024年トレンド:AI活用リスト自動生成・インサイドセールスツール26種

2024年の最新トレンド:

① AI活用リスト自動生成:

  • スマリス等のツールがAIを活用してリスト作成時間を短縮
  • ICP条件に基づく自動抽出、リスト鮮度の自動更新

② インサイドセールスツールの多様化:

  • 2024年版ツール比較記事では26種類のインサイドセールスツールが紹介され、選択肢が拡大(SALES TIMES「おすすめインサイドセールスツール8選!リスト作成・電話・メール配信など機能別に紹介」、2024年)
  • リスト作成、架電、メール配信、商談管理を統合的にサポート

③ インサイドセールス市場の拡大:

  • 2024年にimmedio「インサイドセールス白書2024」、Smart Camp「インサイドセールス業界レポート2023〜2024」が発表され、市場規模・最新トレンドを公開

6. まとめ:効果的な営業リストで成果を最大化するポイント

インサイドセールスの営業リストは、成果を左右する重要な要素です。

この記事の要点:

  • 営業リストは営業ターゲットとなる見込み顧客の情報をまとめたもので、質の高いリストで業務を効率化し成果につながる
  • ハウスリスト(既存顧客・過去接点あり)とコールドリスト(新規・接点なし)を目的に応じて使い分け
  • リスト作成5ステップ:ICP定義→データソース選定→抽出・スクリーニング→企業情報付加→MA・SFA・CRM一元管理
  • 無料ツール(BIZMAPS月100件、FUMA完全無料)とAI活用ツール(スマリス)を比較
  • 個人情報保護法・GDPR準拠のリスト作成・管理が必須、リスト更新を怠ると企業イメージを損なう

次のアクション:

  • 既存顧客の分析に基づいてICP(理想的な顧客像)を明確に定義
  • BIZMAPS(月100件無料)またはFUMA(完全無料)で初期リストを作成
  • リスト抽出後、重複排除・情報鮮度確認のスクリーニングを徹底
  • MA・SFA・CRMツールでリストを一元管理し、アプローチ履歴を記録
  • 3〜6ヶ月ごとにリストを見直し、情報を最新化して質を維持

営業リストは一度作成して終わりではなく、継続的に更新・改善していくことが成功のカギです。まずはICP定義から始め、小規模なリストで成果を確認してから拡大していきましょう。

よくある質問

Q1営業リストとは何か?

A1営業のターゲットとなる見込み顧客の情報(企業名・担当者名・役職・連絡先・業界等)をまとめたリストです。インサイドセールスの成果を左右する重要な要素で、質の高いリストで業務を効率化し成果につながります。

Q2どうやって作成するか?

A2①ICP(理想的な顧客像)を定義、②BIZMAPS(月100件無料)・FUMA(完全無料)等のツールで抽出、③自社データ(名刺・問い合わせ・セミナー参加者)を活用、④外部サービス連携で企業情報を付加、⑤MA・SFA・CRMで一元管理します。

Q3ハウスリストとコールドリストの違いは?

A3ハウスリストは既存顧客・過去に接点のあった企業リストで商談化率が高いです。コールドリストは自社と接点のない新規企業リストで新規開拓に活用します。目的に応じて使い分けることが重要です。

Q4どのツールを使うべきか?

A4リスト作成:スマリス(AI活用)・BALES CLOUD(型化・自動化)、無料:BIZMAPS(月100件)・FUMA(完全無料)。管理:MA(List Finder、Marketo)・SFA(Salesforce)・CRM。料金・月間件数制限・情報鮮度・機能で選定してください。最新の料金・機能は公式サイトでご確認ください。

Q5リスト運用で注意すべき点は?

A5①リスト更新を怠ると退職者・異動者へアプローチし企業イメージを損なう、②個人情報保護法・GDPR準拠が必須(無断名簿購入は法的リスク)、③無料ツールの月間件数制限・情報鮮度に注意、④リストの質が低いと架電・メール配信の効率が下がります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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