HubSpotワークフロー完全ガイド|作成手順・活用事例・最適化のコツ

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/5

HubSpot導入したものの、ワークフロー機能を使いこなせていない…

HubSpot導入済みのB2B企業のマーケティング担当者の多くが、「メール配信やタスク管理を自動化したいけれど、ワークフロー機能の使い方が分からない」「設定方法や効果的なシナリオ設計が不明確」と悩んでいます。ワークフローは強力な自動化機能ですが、その設定方法や活用パターンを理解していないと、せっかくの投資を活かしきれません。

この記事では、HubSpotワークフローの作成方法、業務シーン別の活用パターン、効果的な設計のコツを徹底解説します。トリガー設定、分岐条件、アクション選択の具体的な設定例と、よくあるエラーの回避方法も合わせてご紹介します。

この記事のポイント:

  • HubSpotワークフローはProfessionalとEnterpriseプランのみで利用可能(無料版・Starterプランでは使用不可)
  • 2024年4月にAIアクション自動生成機能、8月にインタラクティブな図機能が追加され、設定と効果測定が容易に
  • フォーム送信後の自動返信メールは最も頻繁に使われる基本シナリオで、導入初期から効果を実感しやすい
  • リードスコアリング自動化では、Webアクセス1pt、資料DL 2pt等の明確な配点ルールを設定すると効果的
  • 複雑なワークフローは管理が困難になるため、シンプルな設計とドキュメント化が重要

HubSpotワークフロー機能とは

(1) ワークフローの基本概念

HubSpotのワークフローとは、特定の条件やイベントに基づいて、メール送信、タスク作成、プロパティ更新などのアクションを自動実行する機能です。

ワークフローの基本構造:

  • トリガー(Trigger): ワークフローが動作する「開始条件」(フォーム送信、ページ閲覧、メール開封等)
  • 登録条件(Enrollment Criteria): ワークフローに自動登録されるレコードの条件
  • アクション(Action): ワークフローで自動実行されるタスク(メール送信、タスク作成、プロパティ更新等)

トリガーが満たされると、登録条件に合致したレコードがワークフローに登録され、設定したアクションが自動実行されます。

(2) ワークフローの種類(コンタクトベース・会社ベース・取引ベース・カスタムオブジェクトベース)

HubSpotワークフローには、対象となるオブジェクトに応じて4種類があります。

ワークフロータイプ 対象オブジェクト 主な用途
コンタクトベース コンタクト(個人) リードナーチャリング、自動メール送信、リードスコアリング
会社ベース 会社 企業情報の更新、担当者割り当て
取引ベース 取引(商談) 商談進捗管理、営業タスク自動化
カスタムオブジェクトベース カスタムオブジェクト 独自のビジネスロジックに応じた自動化

どれを選ぶべきか?

  • マーケティング活動(リード獲得・育成)ならコンタクトベース
  • 営業活動(商談管理)なら取引ベース
  • 企業単位での管理なら会社ベース

(3) 利用可能なプラン(Professional・Enterprise)

HubSpotワークフローは、ProfessionalとEnterpriseプランのみで利用可能です。無料版やStarterプランでは使用できないため、導入前の確認が必須です。

プラン別の機能差:

  • Professional: 基本的なワークフロー機能が利用可能
  • Enterprise: 複雑な分岐、カスタムオブジェクトベースワークフロー、高度な分析機能が追加

※この記事の情報は2025年1月時点のものです。最新のプラン情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

(4) 2024年の主要アップデート(AI自動生成、インタラクティブな図)

2024年はHubSpotワークフローに重要な機能強化が行われました。

2024年4月のアップデート:

  • AIアクション自動生成機能: AIを使ってワークフローのアクションを自動生成できるようになり、設定作業の効率化が進んだ
  • 特定日付での自動オフ機能: 公開したワークフローを特定の日付に自動オフでき、期間限定キャンペーンの管理が容易に

2024年8月のアップデート:

  • インタラクティブな図機能: 個々のレコードがワークフローでたどった道筋を視覚的に表示し、効果測定・改善が容易に

これらのアップデートにより、ワークフロー作成の敷居が大幅に下がり、初心者でも活用しやすくなっています。

ワークフロー作成の基本手順

(1) トリガーの設定(イベントトリガー・フィルタートリガー)

ワークフロー作成の第一歩は、トリガーの設定です。

イベントトリガー:

  • 特定のイベントが発生したときにワークフローを開始
  • 例:フォーム送信、ページ閲覧、メール開封、リンククリック

フィルタートリガー:

  • 特定の条件に合致したときにワークフローを開始
  • 例:リードスコアが50点以上、ライフサイクルステージが「MQL」、特定の業種

設定例(フォーム送信後の自動返信):

  • トリガー:フォーム「資料請求フォーム」が送信された
  • 登録条件:全てのコンタクト(特定の条件なし)

(2) 登録条件の設定

登録条件は、トリガーと組み合わせて、ワークフローに登録されるレコードを絞り込むために使います。

設定例:

  • トリガー:フォームが送信された
  • 登録条件:業種が「IT・ソフトウェア」かつ従業員規模が「50名以上」

これにより、IT・ソフトウェア業界の50名以上の企業からのフォーム送信のみがワークフローに登録されます。

(3) アクションの追加(メール送信・タスク作成・プロパティ更新等)

トリガーと登録条件を設定したら、実行するアクションを追加します。

主なアクションの種類:

  • マーケティングメール送信: リードナーチャリング、サンクスメール等
  • タスク作成: 営業担当者へのリード通知、フォローアップタスク
  • プロパティ更新: ライフサイクルステージ変更、リードスコア加算
  • レコード割り当て: 特定の営業担当者に自動割り当て
  • 通知送信: Slack、メール等での通知

設定例(フォーム送信後の自動返信メール):

  1. アクション:マーケティングメール「資料請求サンクスメール」を送信
  2. 遅延:送信なし(即座に送信)

(4) 分岐条件の設定

ワークフロー内で条件分岐を設定することで、より柔軟な自動化が可能になります。

設定例(メール開封状況による分岐):

  • メール送信 → 3日待機 → 分岐
    • 分岐A(メール開封した場合):フォローアップメール送信
    • 分岐B(メール未開封の場合):リマインドメール送信

(5) テストと有効化

ワークフローを公開する前に、必ずテストを実施します。

テスト手順:

  1. テスト用のコンタクトを作成
  2. テストコンタクトでトリガーを発火させる(フォーム送信等)
  3. ワークフロー履歴で正しく動作しているか確認
  4. 問題なければワークフローを有効化

注意点: 公開前のテストを怠ると、意図しないタイミングでメール送信や通知が実行され、顧客体験を損なうリスクがあります。

業務シーン別ワークフロー活用パターン

(1) リードナーチャリング(フォーム送信後の自動返信・サンクスメール)

フォーム送信後の自動返信メールやサンクスメールは、ワークフローで最も頻繁に使われる基本シナリオです。

活用例:

  • フォーム「ホワイトペーパーダウンロード」送信 → サンクスメール即座送信 → 3日後にフォローアップメール送信

効果:

  • 即座に返信することで顧客体験を向上
  • 定期的なフォローアップでリード育成

(2) リードスコアリング自動化(Webアクセス1pt、資料DL 2pt等)

リードスコアリングを自動化する際は、明確な配点ルールを設定すると効果的です。

配点ルール例:

  • Webサイトアクセス:1ポイント
  • ホワイトペーパーダウンロード:2ポイント
  • ウェビナー参加:3ポイント
  • 価格ページ閲覧:5ポイント

ワークフロー設定例:

  • トリガー:フォーム「ホワイトペーパーダウンロード」送信
  • アクション:プロパティ「リードスコア」に2ポイント加算

効果:

  • 見込み客の関心度を数値化し、営業優先度を自動判定
  • リードスコア50点以上を営業チームに自動通知

(3) タスク割り当て(営業担当者へのリード通知)

リードが一定のスコアに達したとき、または特定のアクションを起こしたときに、営業担当者に自動でタスクを割り当てます。

ワークフロー設定例:

  • トリガー:リードスコアが50点以上になった
  • アクション:営業担当者にタスク「リードフォローアップ」を作成

効果:

  • ホットリードを見逃さない
  • 営業チームの対応スピード向上

(4) データ更新(ライフサイクルステージ変更等)

リードの状態に応じて、ライフサイクルステージを自動更新します。

ワークフロー設定例:

  • トリガー:リードスコアが50点以上になった
  • アクション:ライフサイクルステージを「リード」から「MQL(Marketing Qualified Lead)」に変更

効果:

  • リードの状態を常に最新に保つ
  • 営業・マーケティングチーム間の連携を円滑化

(5) 通知配信(期間限定キャンペーン自動オフ等)

2024年4月に追加された「特定日付での自動オフ機能」を活用すると、期間限定キャンペーンの管理が容易になります。

ワークフロー設定例:

  • トリガー:フォーム「期間限定キャンペーン応募」送信
  • アクション:サンクスメール送信
  • 自動オフ日付:2025-02-28(キャンペーン終了日)

効果:

  • 期間限定キャンペーン終了後の誤配信を防止
  • 手動オフ忘れのリスクを排除

効果的なワークフロー設計のコツ

(1) シンプルな設計を心がける

複雑なワークフローを設計しすぎると、管理が困難になり、後続の担当者が理解・メンテナンスできなくなります。

ベストプラクティス:

  • 1つのワークフローで1つの目的を達成する(多機能化しない)
  • 分岐は最小限に抑える(3段階以上の分岐は避ける)
  • ワークフロー名とその目的をドキュメント化する

(2) テンプレート活用(初心者向け)

ワークフロー作成時は、テンプレートを活用することで初心者でも簡単にスタートできます。

HubSpot提供のテンプレート例:

  • フォーム送信後の自動返信
  • リードナーチャリング(段階的メール配信)
  • 商談成立後のサンクスメール

テンプレートを選択すると、トリガーとアクションが事前設定されており、細部をカスタマイズするだけで利用可能です。

(3) AIアクション生成機能の活用(2024年4月〜)

2024年4月に追加されたAIアクション生成機能を活用すると、設定作業を大幅に効率化できます。

活用方法:

  • ワークフロー作成画面で「AIを使用してアクションを生成」を選択
  • 目的を入力(例:「フォーム送信後にサンクスメールを送信したい」)
  • AIが自動的にトリガーとアクションを生成

推奨: 初心者や定型的なワークフローはAI自動生成機能が便利で時間短縮できます。複雑な分岐条件や独自のビジネスロジックが必要な場合は手動設定が推奨されます。

(4) インタラクティブな図機能での効果測定(2024年8月〜)

2024年8月に追加されたインタラクティブな図機能を活用すると、ワークフローの実行結果を視覚的に追跡できます。

活用方法:

  • ワークフロー詳細画面で「インタラクティブな図」を表示
  • 個々のレコードがたどった道筋を視覚的に確認
  • どの分岐でドロップオフが発生しているかを分析

効果測定のポイント:

  • メール開封率、クリック率の確認
  • 各分岐の通過率を分析し、ボトルネックを特定
  • ワークフローの改善ポイントを可視化

(5) Zapier等の外部ツールとの使い分け

HubSpotワークフローとZapier等の外部自動化ツールは、使い分けが重要です。

HubSpotワークフローが適している場合:

  • HubSpot内で完結する自動化(メール送信、タスク作成、プロパティ更新等)
  • リードナーチャリング、スコアリング等のマーケティング自動化

Zapier等が適している場合:

  • HubSpot外部のツール(Slack、Google Sheets、Salesforce等)との連携
  • 複雑なデータ変換・加工が必要な自動化

よくあるエラーとトラブルシューティング

(1) 無限ループの回避方法

ワークフローのアクションがトリガー条件を満たし、再度ワークフローが発火してしまう無限ループを回避します。

回避方法:

  • 登録条件に「このワークフローに登録されていない」を追加
  • または、ワークフロー設定で「同じレコードの再登録を許可しない」を選択

(2) 重複配信の防止

複数のワークフローが同時に動作し、同じメールが重複配信されるのを防ぎます。

防止方法:

  • ワークフロー複製時は、元のワークフローを無効化してから有効化
  • 登録条件で「特定のメールを受信していない」を追加

(3) ワークフロー履歴の確認とデバッグ

ワークフローが意図通り動作しているかを確認します。

確認方法:

  • ワークフロー詳細画面で「履歴」タブを開く
  • 登録されたレコード、実行されたアクション、エラー発生箇所を確認
  • インタラクティブな図機能で視覚的に追跡

(4) 設定ミスによる意図しないメール送信の対処

ワークフロー設定ミスにより、意図しないタイミングでメール送信が実行された場合の対処です。

対処方法:

  1. ワークフローを即座に無効化
  2. ワークフロー履歴で影響を受けたレコードを特定
  3. 必要に応じて顧客にお詫びの連絡
  4. ワークフロー設定を修正してから再度有効化

予防策: 公開前の十分なテスト実施が最も重要です。

まとめ:ワークフロー活用のポイント

HubSpotワークフローは、マーケティング・営業活動の自動化に欠かせない強力な機能です。2024年のAI自動生成機能やインタラクティブな図機能により、初心者でも活用しやすくなっています。

次のアクション:

  • 自社のHubSpotプランを確認する(ProfessionalまたはEnterprise必須)
  • 最初はフォーム送信後の自動返信メールから始める(最も効果を実感しやすい)
  • テンプレートまたはAI自動生成機能を活用して設定を簡略化
  • インタラクティブな図機能で効果測定し、PDCAサイクルを回す

ワークフロー活用成功のポイント:

  • シンプルな設計を心がける(1ワークフロー1目的)
  • 公開前の十分なテスト実施
  • ドキュメント化で後続の担当者も理解できるようにする
  • Zapier等の外部ツールと使い分ける

HubSpotワークフローを効果的に活用し、マーケティング・営業活動の自動化と効率化を実現しましょう。

※この記事の情報は2025年1月時点のものです。HubSpotの機能や料金は変更される可能性があるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q1HubSpotワークフローは無料版で利用できますか?

A1ワークフローはProfessionalとEnterpriseプランのみで利用可能です。無料版やStarterプランでは使用できないため、事前にプラン確認が必須です。

Q2ワークフローのトリガーとアクションの違いは何ですか?

A2トリガーはワークフローが動作する「開始条件」(フォーム送信、ページ閲覧等)、アクションは「実行内容」(メール送信、タスク作成、プロパティ更新等)です。トリガーが満たされるとアクションが自動実行されます。

Q3Marketing Hub、Sales Hub、Service Hubのワークフローの違いは何ですか?

A3各Hubで利用可能なトリガーとアクションが異なります。Marketing Hubはマーケティングメール送信・リードスコアリングに強み、Sales Hubは商談管理・タスク割り当て、Service Hubはチケット管理・顧客対応に特化したワークフローが利用可能です。

Q4ワークフロー作成時、AIを使用する方法と手動設定の方法、どちらを選ぶべきですか?

A4初心者や定型的なワークフローはAI自動生成機能(2024年4月〜)が便利で時間短縮できます。複雑な分岐条件や独自のビジネスロジックが必要な場合は手動設定が推奨されます。

Q5既存のワークフローを複製・編集する際の注意点は何ですか?

A5複製前にワークフローを無効化し、複製後は登録条件やトリガーを確認してから有効化してください。誤って元のワークフローと同時に動作すると、重複配信のリスクがあります。また、複製時にワークフロー履歴はコピーされないため、効果測定は新規で開始されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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