HubSpotの料金、複雑すぎて分からない...
B2B企業のマーケティング・営業担当者の多くが、HubSpotの導入を検討する際に料金体系の複雑さに悩まされています。「無料プランと有料プランの違いは?」「うちの会社だと月額いくらかかるの?」「途中でプラン変更できる?」といった疑問は尽きません。
2024年3月の料金改定により「シート」ベースの価格体系に変更され、さらに分かりにくくなったという声も多く聞かれます。
この記事では、HubSpotの料金体系を図解で整理し、プラン別の機能・料金比較、費用対効果の試算、自社に最適なプラン選定のポイントを徹底解説します。
この記事のポイント:
- 2024年3月の料金改定で「シート」ベースに変更、最低利用人数の制約が撤廃された
- 料金の決定要素はシート数・マーケティングコンタクト数・オプション利用状況
- 無料プランは閲覧のみ、編集・更新には有料のコアシートが必要
- Professionalプランは月額106,800円〜、初回導入時に360,000円の支援サービスが必要
- 企業規模・利用目的に応じて段階的に導入するのが推奨される
1. HubSpot料金プランの基礎知識
(1) HubSpotとは(CRM・MAツールの統合プラットフォーム)
HubSpotは、米国HubSpot社が提供する、マーケティング・営業・カスタマーサービスを統合したCRMプラットフォームです。インバウンドマーケティングの概念を提唱し、顧客から自発的に接触してもらうマーケティング手法を実現するツールとして広く利用されています。
HubSpotの主な特徴:
- CRM・MA・SFAを統合した包括的なプラットフォーム
- 無料プランから始められる導入しやすさ
- 直感的なUI/UXで、専門知識がなくても使いやすい
- マーケティング・営業・カスタマーサービスのデータを一元管理
(2) 主要な用語解説(Hub・シート・コアシート・マーケティングコンタクト)
HubSpotの料金体系を理解するためには、以下の用語を押さえておく必要があります。
Hub:
HubSpotの製品カテゴリを指します。Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub、CMS Hub、Operations Hub、Commerce Hubの6つがあり、それぞれ独立して契約・利用できます。
シート:
2024年3月の料金改定で導入された概念です。特定の機能にアクセスできるユーザーアカウントを指します。
コアシート:
編集や更新が可能な有料のユーザーアカウントです。無料プランのユーザーはデータの「閲覧」のみが許可され、編集・更新にはコアシートが必要です。
マーケティングコンタクト:
HubSpotで管理するリード(見込み客)の数です。料金に影響する要素の一つで、契約プランによって含まれるコンタクト数が異なります。追加する場合は別途費用がかかります。
(3) 料金体系が複雑と言われる理由
HubSpotの料金体系が複雑と言われる主な理由は以下の3点です。
① Hub別・プラン別の組み合わせ:
6つのHub × 4つのプラン(無料・Starter・Professional・Enterprise)の組み合わせがあり、それぞれ料金が異なります。
② シート数・マーケティングコンタクト数による変動:
利用人数(コアシート数)と管理するリード数(マーケティングコンタクト数)により、月額料金が変動します。
③ 導入支援サービスの追加費用:
Professionalプランは初回導入時に360,000円、Enterpriseプランは720,000円の導入支援サービスが必要となり、初期費用が高額になります。
2. HubSpotの料金体系の全体像(2024年3月改定対応)
(1) 2024年3月の料金改定の詳細(シートベースへの移行)
2024年3月5日より、HubSpotは新しい料金形態に移行しました。主な変更点は以下の通りです。
変更前(ユーザー単位):
- ユーザー数に応じて料金が決定
- 最低利用人数の制約があった(例: 5ユーザー以上)
変更後(シート単位):
- シート数に応じて料金が決定
- 最低利用人数の制約が撤廃され、小規模チーム(1-5人)でも導入しやすくなった
- 無料ユーザーはデータの「閲覧」のみが許可され、編集・更新には有料のコアシートが必要
この改定により、小規模企業でも導入しやすくなった一方、料金体系の理解がさらに複雑になったという声もあります。
(2) 料金の決定要素(シート数・マーケティングコンタクト数・オプション)
HubSpotの料金は以下の3つの要素で決定されます。
① シート数(コアシート数):
編集・更新が可能な有料ユーザーアカウント数です。プラン別の追加コアシート料金は以下の通りです。
- Starter: 月額2,400円/人
- Professional: 月額6,000円/人
- Enterprise: 月額9,000円/人
② マーケティングコンタクト数:
管理するリード(見込み客)の数です。各プランに含まれるコンタクト数を超えると、追加料金が発生します。
③ オプション利用状況:
追加機能やアドオンの利用により、料金が変動します。
(3) 6つのHub(Marketing・Sales・Service・CMS・Operations・Commerce)
HubSpotは6つのHubを提供しており、それぞれ独立して契約・利用できます。
Marketing Hub:
マーケティング活動の自動化・効率化(メール配信、ランディングページ作成、リードスコアリング等)
Sales Hub:
営業活動の支援(商談管理、営業シーケンス、営業レポート等)
Service Hub:
カスタマーサービスの効率化(チケット管理、ナレッジベース、カスタマーフィードバック等)
CMS Hub:
ウェブサイト構築・運用(CMSエンジン、SEO最適化、セキュリティ対策等)
Operations Hub:
データ統合・自動化(データ同期、ワークフロー自動化等)
Commerce Hub:
ECサイト運営支援(決済処理、請求書発行等)
まず重要度の高い1つのHubから導入し、段階的に拡張する戦略が推奨されます。
(4) 無料プランと有料プランの違い
無料プラン:
- CRM基本機能(顧客情報の管理)
- メール送信(月2,000件まで)
- フォーム作成
- ランディングページ作成(簡易版)
- データの「閲覧」のみ(編集・更新には有料のコアシートが必要)
有料プラン(Starter・Professional・Enterprise):
- 編集・更新が可能(コアシート)
- メール送信件数の制限が緩和または無制限
- 高度な分析・レポート機能
- リードスコアリング(Professional以上)
- ABMツール連携(Enterprise)
- SFA/CRM連携
リード数が月50件以上なら有料プランの導入効果が期待できると言われています。
3. プラン別機能・料金の詳細比較
(1) 無料プランでできること(メール送信2,000件/月等の制限)
無料プランでは以下の機能が利用できますが、制限があります。
利用可能な機能:
- CRM基本機能(コンタクト・企業・商談管理)
- メール送信(月2,000件まで)
- フォーム作成
- ランディングページ作成(簡易版)
- ライブチャット
主な制限:
- データの閲覧のみ(編集・更新には有料のコアシートが必要)
- メール送信件数が月2,000件に制限
- 高度な分析・レポート機能が使えない
- リードスコアリング機能が使えない
- SFA/CRM連携が限定的
無料プランはHubSpotの基本機能を試すのに適していますが、本格的なマーケティング活動には有料プランが必要です。
(2) Starterプラン(月額料金・追加コアシート2,400円/人)
Starterプランは、小規模企業向けの入門プランです。
主な機能:
- メール送信件数の制限が緩和(プランにより異なる)
- 編集・更新が可能(コアシート)
- 基本的なレポート機能
- フォーム・ランディングページ作成(高度な機能)
料金:
- 月額料金: Hubごとに異なる(公式サイトで確認)
- 追加コアシート: 月額2,400円/人
- 初期費用: なし
Starterプランは、小規模チーム(1-10人)でマーケティング・営業活動を効率化したい企業に適しています。
(3) Professionalプラン(月額106,800円〜・追加コアシート6,000円/人・導入支援360,000円)
Professionalプランは、中堅企業向けの本格プランです。
主な機能:
- リードスコアリング(見込み客の関心度を数値化)
- 高度な分析・レポート機能
- ワークフロー自動化
- A/Bテスト機能
- SFA/CRM連携
料金:
- 月額料金: Marketing Hubの場合、月額106,800円〜(2024年時点)
- 追加コアシート: 月額6,000円/人
- 初回導入支援: 360,000円(必須)
Professionalプランは、本格的なマーケティング自動化・営業支援を実現したい中堅企業に適しています。初期費用が高額になる点に注意が必要です。
(4) Enterpriseプラン(追加コアシート9,000円/人・導入支援720,000円)
Enterpriseプランは、大企業向けの最上位プランです。
主な機能:
- ABMツール連携(アカウントベースドマーケティング)
- 高度なカスタマイズ機能
- 専任サポート
- セキュリティ対策の強化
- 階層別のレポート機能
料金:
- 月額料金: Hubごとに異なる(公式サイトで確認)
- 追加コアシート: 月額9,000円/人
- 初回導入支援: 720,000円(必須)
Enterpriseプランは、大企業や複雑な営業プロセスを持つ企業に適しています。初期費用・月額費用ともに高額なため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
(5) Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub別の料金と機能
各Hubは独立して契約できますが、料金と機能が異なります。
Marketing Hub:
- 無料プラン: 基本機能のみ
- Starter: メール配信・フォーム作成の強化
- Professional: 月額106,800円〜、リードスコアリング・ワークフロー自動化
- Enterprise: ABMツール連携・高度なカスタマイズ
Sales Hub:
- 無料プラン: 商談管理の基本機能
- Starter: 営業シーケンス・テンプレート機能
- Professional: 営業レポート・予測分析
- Enterprise: カスタムオブジェクト・階層別レポート
Service Hub:
- 無料プラン: チケット管理の基本機能
- Starter: ヘルプデスク・ナレッジベース
- Professional: カスタマーフィードバック・アンケート機能
- Enterprise: カスタマイズ可能なサポートポータル
自社の利用目的(マーケティング重視・営業重視・統合)に応じて、必要なHubを選定することが重要です。
4. 費用対効果の試算とROI測定
(1) HubSpot導入による効果(リード獲得単価・営業工数削減)
HubSpot導入により、以下のような効果が期待できます。
リード獲得単価の削減:
- メール配信の自動化により、手動配信の工数が削減される
- フォーム・ランディングページの最適化により、コンバージョン率が向上する
- リードスコアリングにより、見込みの高いリードに集中できる
営業工数の削減:
- CRMによる顧客情報の一元管理で、情報検索の時間が削減される
- 営業シーケンスの自動化により、フォローアップの工数が削減される
- 商談管理の可視化により、営業プロセスが効率化される
カスタマーサクセスの向上:
- チケット管理により、問い合わせ対応が効率化される
- ナレッジベースにより、顧客の自己解決率が向上する
ただし、効果は企業規模・業種・業務内容により異なります。
(2) 総所有コスト(TCO)の考え方
HubSpot導入時の総所有コスト(TCO)は、以下の要素で構成されます。
初期費用:
- 導入支援サービス(Professional: 360,000円、Enterprise: 720,000円)
- データ移行費用(既存CRM・MAツールからのデータ移行)
- 初期設定・カスタマイズ費用
月額費用:
- プラン基本料金(Hub別・プラン別に異なる)
- 追加コアシート料金(利用人数に応じて)
- マーケティングコンタクト追加料金(リード数に応じて)
運用費用:
- 運用担当者の人件費
- 外部サポート費用(コンサルティング、運用代行等)
- トレーニング費用
ツール費用だけでなく、運用コストも考慮して総所有コストを見積もることが重要です。
(3) 導入による想定効果(企業規模別の例)
企業規模別の一般的な効果例を見てみましょう。以下は想定事例であり、実際の効果は企業ごとに大きく異なります。
小規模企業(従業員50人未満)の想定例:
- リード獲得数が増加(例: 月50件→200件程度)
- メール配信の工数が削減(例: 週10時間→2時間程度)
- 無料プランから開始し、数ヶ月後にStarterプランに移行するケースが多い
中堅企業(従業員50〜500人)の想定例:
- リード獲得単価の削減(例: 30〜60%程度)
- 営業の商談化率の向上(例: 1.5〜2倍程度)
- Professionalプランを導入し、1〜2年でROIを達成するケースが多い
大企業(従業員500人以上)の想定例:
- マーケティング・営業・サービスのデータ統合により、顧客満足度が向上
- 営業サイクルの短縮(例: 20〜30%程度)
- Enterpriseプランを導入し、1〜2年でROIを達成するケースが多い
※上記は一般的な想定値です。実際の効果は企業の業種・規模・既存システム・運用体制により大きく異なるため、導入前に自社の状況に応じた試算を行うことが重要です。
(4) CAC・ROIの測定方法
HubSpot導入の費用対効果は、以下の指標で測定できます。
CAC(Customer Acquisition Cost: 新規顧客獲得単価):
- CAC = マーケティング・営業費用合計 ÷ 新規顧客数
- HubSpot導入前後でCACを比較し、削減効果を測定
ROI(Return On Investment: 投資対効果):
- ROI = (利益 - 投資額) ÷ 投資額 × 100%
- HubSpot導入費用(初期費用 + 月額費用 × 期間)を投資額とし、削減された工数・増加した売上を利益として計算
測定のポイント:
- HubSpotのアナリティクス機能を活用してリード獲得数・コンバージョン率等を追跡
- 導入前の数値(ベースライン)を明確にする
- ROIは6ヶ月〜1年で評価するのが適切
5. 自社に最適なプラン選定のポイント
(1) 企業規模別の推奨プラン(小規模・中堅・大企業)
企業規模に応じた推奨プランは以下の通りです。
小規模企業(従業員50人未満、リード数月100件未満):
- まず無料プランで基本機能を試す
- リード数が増えたらStarterプランに移行
- 月額費用: 数万円程度
中堅企業(従業員50〜500人、リード数月100〜1,000件):
- Starterプランで開始し、必要に応じてProfessionalプランに移行
- リードスコアリング・ワークフロー自動化が必要ならProfessionalプランを検討
- 月額費用: 10〜30万円程度
大企業(従業員500人以上、リード数月1,000件以上):
- ProfessionalプランまたはEnterpriseプランを検討
- ABMツール連携・高度なカスタマイズが必要ならEnterpriseプラン
- 月額費用: 30万円以上
(2) 利用目的別の推奨Hub(マーケティング重視・営業重視・統合)
利用目的に応じた推奨Hubは以下の通りです。
マーケティング重視:
- Marketing Hubを優先導入
- メール配信・ランディングページ作成・リードスコアリングを活用
- リード獲得・育成が主目的
営業重視:
- Sales Hubを優先導入
- 商談管理・営業シーケンス・営業レポートを活用
- 営業プロセスの効率化が主目的
統合(マーケティング + 営業 + カスタマーサービス):
- Marketing Hub + Sales Hub + Service Hubを段階的に導入
- データ統合により、顧客ライフサイクル全体を管理
- 総合的な顧客体験の向上が主目的
まず重要度の高い1つのHubから始めて、段階的に拡張する戦略が推奨されます。
(3) 無料プランから有料プランへの移行タイミング
無料プランから有料プランへの移行タイミングは以下の通りです。
移行を検討すべきタイミング:
- リード数が月50件を超えた
- メール送信件数が月2,000件を超えそう
- リードスコアリングで見込み客を優先順位付けしたい
- ワークフロー自動化で業務効率を上げたい
- 高度な分析・レポート機能が必要になった
移行時の注意点:
- プラン変更は契約期間中いつでも可能(アップグレード)
- ダウングレードは契約更新時のみ
- 移行前に必要機能と総コストを整理する
(4) 段階的導入戦略(1つのHubから始めて拡張)
段階的導入戦略は以下のステップで実施します。
ステップ1: まず無料プランで試す(1-3ヶ月)
- CRM基本機能・メール送信・フォーム作成を試す
- 操作性・自社業務への適合性を確認
ステップ2: 1つのHubから有料プランを開始(3-6ヶ月)
- 最も重要度の高いHub(Marketing HubまたはSales Hub)をStarterプランで導入
- データを蓄積し、効果を測定
ステップ3: 必要に応じてプランをアップグレード(6-12ヶ月)
- リードスコアリング・ワークフロー自動化が必要ならProfessionalプランに移行
- ROIを評価し、投資対効果を確認
ステップ4: 他のHubを追加して統合(12ヶ月以降)
- Service HubやOperations Hubを追加し、データ統合を実現
- 顧客ライフサイクル全体を管理
この段階的アプローチにより、初期費用を抑えつつ、自社に最適な構成を見つけることができます。
6. まとめ:導入前に確認すべき事項
(1) 自社の規模・必要機能の整理
HubSpot導入前に、以下を整理しましょう。
企業規模:
- 従業員数(利用人数の目安)
- 現在のリード数・月間の問い合わせ件数
- マーケティング・営業・カスタマーサービスの体制
必要機能:
- メール配信(月間送信件数の目安)
- リードスコアリングの必要性
- ワークフロー自動化の必要性
- SFA/CRM連携の必要性
- ABMツール連携の必要性
これらを明確にすることで、最適なプランを選定できます。
(2) 総コストの見積もり(初期費用・月額・運用コスト)
総コストは以下の要素で構成されます。
初期費用:
- 導入支援サービス(Professional: 360,000円、Enterprise: 720,000円)
- データ移行費用
- 初期設定・カスタマイズ費用
月額費用:
- プラン基本料金
- 追加コアシート料金(利用人数 × 単価)
- マーケティングコンタクト追加料金
運用費用:
- 運用担当者の人件費
- 外部サポート費用
- トレーニング費用
総コストを見積もり、予算内に収まるか確認しましょう。
(3) 社内稟議・予算確保のポイント
社内稟議・予算確保のポイントは以下の通りです。
稟議に必要な情報:
- 導入目的(課題・期待する効果)
- 総コストの見積もり(初期費用・月額・運用コスト)
- ROI試算(導入効果の数値化)
- 競合ツールとの比較(なぜHubSpotを選ぶのか)
予算確保のポイント:
- 無料プランから始めて、効果を実証してから有料プランに移行する
- 段階的導入により、初期費用を抑える
- ROI測定により、費用対効果を定量的に示す
導入後の運用体制づくり、継続的なデータ分析と改善が費用対効果を左右するため、ツール費用だけでなく運用コストも考慮することが重要です。
次のアクション:
- 自社の規模・必要機能を整理する
- HubSpot公式サイトで最新の料金・機能を確認する
- 無料プランで実際に試してみる
- 総コストを見積もり、ROI試算を実施する
- 社内稟議資料を作成し、予算確保を進める
自社に合ったプラン選定と段階的な導入戦略で、HubSpotの費用対効果を最大化しましょう。
※この記事は2025年11月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
