HubSpot CRMの使い方|初期設定から営業活用までの実践ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/11

HubSpot CRMの使い方を学ぶ意義と本記事の目的

「営業の案件管理をExcelでやっているけれど、誰がどの案件を担当しているか分からない」「商談の進捗が可視化できず、売上予測が立てられない」——こうした課題を抱えるB2B企業の営業担当者は少なくありません。

HubSpot CRMは、無料プランから使える顧客関係管理ツールで、コンタクト管理・商談管理・営業レポートなどの機能を備えています。Excelでの煩雑な管理から脱却し、営業活動を効率化できます。

この記事では、HubSpot CRMの基本的な使い方を、初期設定から営業活動への実践活用まで、ステップバイステップで解説します。

この記事のポイント:

  • HubSpot CRMは無料プランで基本機能が利用可能(顧客管理・フォーム・Eメールトラッキング)
  • 初期設定は30分〜1時間で完了(ユーザー追加・タイムゾーン・トラッキングコード)
  • コンタクト・取引・パイプライン管理で営業プロセスを可視化
  • Gmail・Outlook、Slack・Zoomなど1,500以上のアプリと連携可能
  • 2024年の新機能でAI機能群「Breeze」が搭載され、さらに便利に

HubSpot CRMとは?基本機能と料金プラン

(1) HubSpot CRMの概要と5つのHub構成

HubSpot CRMは、HubSpot社が提供する顧客関係管理(CRM)プラットフォームで、マーケティング・営業・カスタマーサービスを統合管理できます。

HubSpotの5つのHub:

  • CRM(無料): 顧客・商談管理の基盤。すべてのHubの土台となる
  • Marketing Hub: メール配信、LP作成、リード獲得などのマーケティング機能
  • Sales Hub: 商談管理、見積作成、営業自動化などの営業支援機能
  • Service Hub: ヘルプデスク、チケット管理などのカスタマーサービス機能
  • Content Hub: Webサイト・コンテンツ管理(旧CMS Hub、2024年4月リニューアル)
  • Operations Hub: データ品質管理、外部連携などの統合管理機能

これらのHubを組み合わせることで、マーケティングから営業、カスタマーサポートまでの一連の顧客体験を一元管理できます。

(2) 無料プランでできること(顧客管理・フォーム・Eメールトラッキング)

HubSpot CRMは無料プランから利用可能で、以下の基本機能が使えます。

無料プランの主な機能:

  • コンタクト管理: 顧客・見込み客情報を登録・管理(登録数無制限)
  • 取引管理: 商談・案件の進捗を管理
  • パイプライン管理: 商談プロセスを可視化
  • フォーム作成: ドラッグ&ドロップで簡単作成、データは自動でCRMに登録
  • Eメールトラッキング: メール開封・リンククリックを追跡
  • レポート機能: 営業KPIの可視化
  • Gmail・Outlook連携: メールクライアントと連携
  • モバイルアプリ: スマートフォンからアクセス可能

無料プランでも十分に実用的な機能が揃っているため、まずは無料で試してみるのが推奨されます。

(3) 有料プランとの違い(2024年3月の料金改訂反映)

2024年3月にHubSpotの料金体系が変更され、シートベースの課金に移行しました。

無料プランと有料プランの主な違い:

項目 無料プラン 有料プラン(Starter以上)
基本機能 CRM・フォーム・Eメールトラッキング 無料機能 + 高度な機能
ユーザー数 閲覧のみは無料、編集・作成は有料シート必要 シート数に応じて課金
自動化機能 制限あり ワークフロー自動化が充実
レポート 基本レポート カスタムレポート・ダッシュボード
連携 基本連携 高度な連携・API利用
サポート コミュニティ・ナレッジベース チャット・電話サポート

料金の目安(2024年11月時点):

  • Sales Hub Starter: 月額2,160円〜(年払い、シート数により変動)
  • Sales Hub Professional: 月額13,200円〜(年払い、シート数により変動)
  • Sales Hub Enterprise: 月額20,400円〜(年払い、シート数により変動)

※最新の料金はHubSpot公式サイトでご確認ください。

(4) 2024年の新機能(AI機能群Breeze)

2024年のINBOUND(HubSpotの年次カンファレンス)で、200以上の新機能が発表されました。特に注目すべきは**AI機能群「Breeze」**の搭載です。

Breezeの3つの構成要素:

  • Breeze Copilot: AIアシスタント。コンテンツ作成、データ分析、タスク自動化を支援
  • Breeze Agents: 特定業務を自動化するAIエージェント(コンテンツ作成、見込み客育成、顧客サポートなど)
  • Breeze Intelligence: 顧客データを強化・分析し、インサイトを提供

2024年の主な新機能:

  • Content Hub(旧CMS Hub)のリニューアル(2024年4月): AIでコンテンツ作成・SEO対策が強化
  • SNSモニタリング機能(2024年4月): Facebook、Instagram、LinkedInでメンション時にAIが返信原案作成
  • Breeze AI連携: 営業メール作成、レポート自動生成などが可能に

初期設定のステップ(ユーザー追加・タイムゾーン・トラッキング)

(1) アカウント作成とユーザー追加

HubSpot CRMを利用するには、まずアカウントを作成します。

アカウント作成の手順:

  1. HubSpot公式サイトにアクセス
  2. 「無料で始める」をクリック
  3. メールアドレス・会社名・氏名を入力
  4. アカウント作成完了(数分で完了)

ユーザー追加の手順:

  1. 右上の設定アイコンをクリック
  2. 「ユーザーとチーム」を選択
  3. 「ユーザーを追加」をクリック
  4. メールアドレス・権限を設定して招待

(2) タイムゾーン・言語・通貨設定

アカウント作成後、基本設定を行います。

基本設定の手順:

  1. 設定 > アカウントの基本設定
  2. タイムゾーン: 「東京(日本)」を選択
  3. 言語: 「日本語」を選択
  4. 通貨: 「JPY(日本円)」を選択
  5. 保存

この設定により、レポートやタイムスタンプが日本時間で表示されるようになります。

(3) トラッキングコードの設置

Webサイトの訪問者を追跡するため、トラッキングコードを設置します。

トラッキングコード設置の手順:

  1. 設定 > トラッキングとアナリティクス > トラッキングコード
  2. 表示されたコードをコピー
  3. Webサイトの全ページの</head>タグ直前に貼り付け
  4. (または)WordPressプラグインやGTM(Google Tag Manager)経由で設置

トラッキングコードの役割:

  • Webサイト訪問者の行動を追跡
  • フォーム送信時にコンタクトを自動作成
  • メール開封・リンククリックを追跡

(4) パイプライン(商談プロセス)の初期設定

パイプラインは、商談プロセスを可視化する仕組みです。自社の営業フローに合わせてカスタマイズします。

パイプライン設定の手順:

  1. 設定 > オブジェクト > 取引 > パイプライン
  2. デフォルトのパイプライン「Sales Pipeline」を編集
  3. ステージ名を自社の営業プロセスに合わせて変更

ステージ名の例:

  • 初回接触
  • 提案中
  • 見積提示
  • 契約交渉中
  • 成約
  • 失注

各ステージに「確度」を設定すると、売上予測がより正確になります。

(5) 所要時間の目安(30分〜1時間)

上記の初期設定は、設定ガイドに沿って進めれば30分〜1時間程度で完了します。初回は時間をかけて丁寧に設定することで、後の運用がスムーズになります。

主要機能の使い方(コンタクト・取引・パイプライン管理)

(1) コンタクト(顧客情報)の登録・管理

コンタクトは、HubSpotにおける顧客・見込み客の情報レコードです。

コンタクト登録の手順:

  1. 左メニューから「コンタクト」を選択
  2. 「コンタクトを作成」をクリック
  3. 必須項目(名前、メールアドレスなど)を入力
  4. その他の情報(会社名、役職、電話番号など)を追加
  5. 保存

コンタクト管理のポイント:

  • フォーム送信やメール返信で自動的にコンタクトが作成される
  • コンタクトレコードには過去のやり取り(メール、商談、タスク)がすべて記録される
  • カスタムプロパティを追加して、自社に必要な情報を記録可能

(2) Excelからのデータインポート

既存のExcelデータをHubSpotにインポートできます。

データインポートの手順:

  1. 左メニューから「コンタクト」を選択
  2. 右上の「インポート」をクリック
  3. 「ファイルから開始」を選択
  4. Excelファイル(CSVまたはXLSX)をドラッグ&ドロップ
  5. 列のマッピング(Excelの列とHubSpotのプロパティを対応付け)
  6. インポート実行

インポート時の注意点:

  • メールアドレスが必須項目(重複チェックのキーになる)
  • 日付や数値の形式を確認(HubSpotの形式に合わせる)
  • インポート前にバックアップを取っておく

(3) 取引(商談)の作成と進捗管理

取引は、商談・案件の情報レコードです。コンタクトと関連付けて管理します。

取引作成の手順:

  1. 左メニューから「取引」を選択
  2. 「取引を作成」をクリック
  3. 取引名、金額、ステージ、担当者を入力
  4. 関連するコンタクト・会社を選択
  5. 保存

取引ボードでの進捗管理:

  • 取引ボード(カンバン形式)で商談の進捗を可視化
  • ドラッグ&ドロップでステージを移動
  • 各ステージの金額合計・案件数が一目で分かる

活用例:

  • 週次営業会議で取引ボードを画面共有し、各案件の進捗を報告
  • 成約見込みの高い案件を優先的にフォロー
  • 長期滞留している案件を特定し、アクションを決定

(4) フォームの作成とCRM自動登録

HubSpotのフォーム機能を使うと、送信データが自動的にCRMに登録されます。

フォーム作成の手順:

  1. 左メニューから「マーケティング」>「フォーム」を選択
  2. 「フォームを作成」をクリック
  3. ドラッグ&ドロップで入力項目を配置
  4. サンクスメッセージまたはリダイレクト先を設定
  5. 埋め込みコードをコピーして、Webサイトに貼り付け

フォーム送信後の自動処理:

  • 送信データが自動的にコンタクトとして登録される
  • 担当者に通知メールが送信される
  • ワークフローで自動フォローアップメールを送信(有料プラン)

(5) パイプラインのカスタマイズ方法

パイプラインは、商談の種類や事業部ごとに複数作成できます。

パイプラインのカスタマイズ例:

  • 新規顧客向けパイプライン: 初回接触→提案→契約
  • 既存顧客向けアップセルパイプライン: 提案→見積→契約
  • 代理店向けパイプライン: 代理店選定→契約→稼働

自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズすることで、より正確な進捗管理が可能になります。

営業活動への実践活用(レポート・連携・効率化)

(1) レポート機能でKPI可視化

HubSpot CRMでは、営業KPIを可視化するレポート機能が利用できます。

無料プランで利用可能な主なレポート:

  • 取引レポート: ステージ別の案件数・金額
  • 営業担当者別パフォーマンス: 担当者ごとの成約数・売上
  • ファネル分析: リードから成約までの転換率
  • 時系列分析: 月次・四半期での推移

レポート活用のポイント:

  • ダッシュボードに重要なレポートを配置し、一目で状況把握
  • 週次・月次でレポートをレビューし、課題を特定
  • 目標達成に向けたアクションを決定

(2) Gmail・Outlook連携

HubSpotは、GmailやOutlookと連携できます。

連携のメリット:

  • メールクライアントからHubSpotの情報にアクセス
  • メール送信時に、相手のコンタクト情報や過去のやり取りを確認
  • 送信したメールが自動的にHubSpotに記録される
  • メール開封・リンククリックを追跡

連携設定の手順:

  1. HubSpotの設定 > 統合 > メール統合
  2. GmailまたはOutlookを選択
  3. 認証してアカウントを接続
  4. ブラウザ拡張機能をインストール(推奨)

(3) Slack・Zoom等1,500以上のアプリ連携

HubSpotは1,500以上のアプリと連携可能です。

主な連携アプリ:

  • Slack: 取引の進捗や新規リードをSlackに通知
  • Zoom: ミーティング予約とHubSpotを連携、録画を自動記録
  • Zapier: HubSpotと他のツールを自動連携
  • LinkedIn Sales Navigator: LinkedIn上での活動をHubSpotに記録

連携のメリット:

  • 既存ツールを活かしたままHubSpotを導入できる
  • データの二重入力を削減
  • リアルタイムで情報共有できる

(4) 運用ルールの設計(データ記録ルール・更新担当者)

HubSpot CRMを活用するには、運用ルールを事前に設計することが重要です。

運用ルール設計のポイント:

  1. どのデータを記録するか: 必須項目、任意項目を定義
  2. 誰がいつ記録するか: 営業担当者が商談後24時間以内に更新など
  3. ステージ移行の基準: 各ステージに進む条件を明確化
  4. データ品質管理: 定期的にデータをレビューし、重複・欠落を修正

よくある失敗パターン:

  • 「どの機能を使い、どの課題を解決するか」戦略を立てずに導入 → 活用が進まない
  • データ記録ルールが曖昧 → データが属人化し、レポートが使えない

(5) HubSpot Academyでの学習

HubSpot Academyは、HubSpotが提供する無料の学習プラットフォームです。

HubSpot Academyで学べる内容:

  • CRMの基本的な使い方
  • 営業プロセスの最適化
  • インバウンドマーケティングの基礎
  • レポート・分析の活用法

推奨コース:

  • 「HubSpotのCRMを設定してビジネス成長を促す」
  • 「HubSpot Sales Hub ソフトウェア認定資格」

コースを修了すると認定資格が取得でき、実務に活かせる知識が身につきます。

まとめ:HubSpot CRMを使いこなすために

HubSpot CRMは、無料プランから使える強力な顧客管理ツールです。初期設定を丁寧に行い、自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズすることで、営業活動を大幅に効率化できます。

この記事のまとめ:

  • HubSpot CRMは無料プランで基本機能が充実(コンタクト・取引・パイプライン管理)
  • 初期設定は30分〜1時間で完了(ユーザー追加・タイムゾーン・トラッキングコード・パイプライン)
  • コンタクト・取引・パイプライン管理で営業プロセスを可視化
  • Gmail・Outlook、Slack・Zoomなど1,500以上のアプリと連携可能
  • 運用ルールを事前に設計し、HubSpot Academyで継続的に学習することが成功の鍵

次のアクション:

  • HubSpotの無料アカウントを作成する
  • 初期設定(ユーザー追加・タイムゾーン・パイプライン)を完了させる
  • 既存の顧客データをExcelからインポートする
  • 運用ルール(データ記録ルール・更新担当者)を決める
  • HubSpot Academyで体系的に学習する

HubSpot CRMを使いこなして、営業活動の効率化と売上向上を実現しましょう。

よくある質問

Q1無料プランでどこまで使えますか?

A1CRM基本機能、フォーム作成、Eメールトラッキング、コンタクト・取引管理などが利用可能です。ただし2024年3月以降、閲覧のみのユーザーは無料ですが、編集・作成には有料シートが必要です。

Q2初期設定で何をすればいいですか?

A2ユーザー追加、タイムゾーン・言語・通貨設定、トラッキングコード設置、パイプライン作成が主要項目です。設定ガイドに沿って進めれば30分〜1時間程度で完了します。

Q3Excelからデータをインポートできますか?

A3インポート機能があります。CSVまたはXLSXファイルをドラッグ&ドロップするだけで、簡単にコンタクト・取引データを取り込めます。列のマッピング機能で柔軟に対応できます。

Q4どのくらいの規模の企業に向いていますか?

A4スタートアップから大企業まで対応しています。無料プランから始めて、ビジネスの成長に応じて有料プランに拡張できるため、幅広い規模の企業で活用されています。

Q5学習リソースはありますか?

A5HubSpot Academy(無料学習プラットフォーム)と公式ナレッジベースが利用可能です。体系的なコースや認定資格プログラムが用意されており、初心者でも効率的に学べる環境が整っています。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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