Googleアナリティクスとタグマネージャー、どう使い分ければいいの?
Webサイトのアクセス解析を始めようとすると、「Googleアナリティクス(GA4)」と「Googleタグマネージャー(GTM)」という2つのツールに出会います。どちらもGoogleが提供する無料ツールですが、「違いが分からない」「どう連携させればいいの?」「本当に両方必要なの?」と疑問を感じるWeb担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、GoogleアナリティクスとGoogleタグマネージャーの役割の違いから、連携方法、活用術まで、実務で使える情報を分かりやすく解説します。
この記事のポイント:
- Googleアナリティクス(GA4)はデータ収集・分析ツール、タグマネージャー(GTM)はタグ管理ツールで役割が異なる
- GTMを使うとHTMLを直接編集せずにタグの追加・変更・削除が可能になる
- GTMなしでもGA4は使えるが、GTM経由で管理すると運用効率が向上する
- 既存のHTMLタグとGTMタグが共存すると二重計測が発生するため、移行時は注意が必要
- 2024年6月にYahoo!タグマネージャーがサービス終了し、GTMへの移行が進んでいる
1. GoogleアナリティクスとGoogleタグマネージャーの役割の違い
2つのツールは名前が似ていますが、役割は明確に異なります。それぞれの機能を理解することで、効果的な活用が可能になります。
(1) Googleアナリティクス(GA4)の役割:データ収集と分析
Googleアナリティクス(GA4)は、Webサイトのアクセスデータを収集・分析するためのツールです。
GA4の主な機能:
- ユーザー数・セッション数・ページビュー数の計測
- ユーザーの行動分析(どのページを見たか、どこから来たか)
- コンバージョン(問い合わせ、資料ダウンロードなど)の計測
- レポート作成とデータの可視化
GA4は「どのようなユーザーがサイトに来て、どのような行動をしたか」を把握するためのツールです。
(2) Googleタグマネージャー(GTM)の役割:タグの一元管理
Googleタグマネージャー(GTM)は、Webサイトに埋め込む様々な計測タグを一元管理するためのツールです。
GTMの主な機能:
- GA4、広告タグ、ヒートマップツールなど複数のタグを一括管理
- HTMLを直接編集せずにタグの追加・変更・削除が可能
- プレビュー機能で公開前にテスト
- バージョン管理で過去の設定に復元可能
GTMは「どのタグを、どのタイミングで、どのページに配信するか」を管理するためのツールです。
(3) 2つのツールの関係性と使い分け
2つのツールは競合するものではなく、連携して使うことで効果を発揮します。
| 項目 | Googleアナリティクス(GA4) | Googleタグマネージャー(GTM) |
|---|---|---|
| 役割 | データ収集・分析 | タグ管理 |
| 主な用途 | アクセス解析、レポート作成 | タグの追加・変更・削除 |
| 技術的な難易度 | 低〜中 | 中 |
| 料金 | 無料(有料版もあり) | 無料 |
連携のイメージ:
- GTMがGA4タグを含む様々なタグをWebサイトに配信
- GA4がGTM経由で配信されたタグでデータを収集・分析
(4) GTMなしでもGA4は使えるのか
結論から言うと、GTMなしでもGA4は使えます。GA4のタグを直接HTMLに埋め込む方法でも計測は可能です。
直接埋め込みの場合:
- GA4のタグをHTMLのheadタグ内に設置
- シンプルな構成で設定が容易
- タグの追加・変更時にHTMLの編集が必要
GTM経由の場合:
- GTMのコンテナタグをHTMLに設置し、GA4タグはGTM内で管理
- HTMLを編集せずにタグの追加・変更が可能
- 複数のタグを一元管理できる
計測のみであれば直接埋め込みでも問題ありませんが、複数のタグを管理したり、カスタムイベントを設定したりする場合は、GTM経由での管理が効率的です。
2. Googleタグマネージャーを使うメリット
GTMを導入することで、タグ管理の効率が大幅に向上します。主なメリットを解説します。
(1) HTMLを直接編集せずにタグ管理が可能
GTMの最大のメリットは、HTMLを直接編集せずにタグの追加・変更・削除ができることです。
従来の方法(直接埋め込み):
- 新しいタグを追加するたびにHTMLを編集
- エンジニアやWeb制作会社への依頼が必要なケースも
- 変更の反映に時間がかかる
GTMを使う場合:
- GTMの管理画面からタグを追加・変更
- マーケティング担当者でも操作可能
- 変更が即座に反映される(公開後)
(2) プレビュー機能で事前にテスト可能
GTMにはプレビューモードという機能があり、公開前に設定をテストできます。
プレビューモードでできること:
- タグが正しく発火しているかを確認
- トリガー(発火条件)の動作を検証
- 変数の値を確認
- 本番環境に影響を与えずにテスト
この機能により、設定ミスによるデータ計測エラーを事前に防ぐことができます。
(3) バージョン管理機能で設定の復元が容易
GTMには設定のバージョン管理機能があり、過去の設定に簡単に戻すことができます。
バージョン管理のメリット:
- 変更履歴がすべて記録される
- 問題が発生した場合、以前のバージョンに復元可能
- 誰がいつ変更したかを追跡できる
(4) 複数のタグを一括で統合管理できる
GTMでは、GA4以外にも様々なタグを一元管理できます。
GTMで管理できるタグの例:
- GA4(Googleアナリティクス)
- Google広告タグ(コンバージョン計測)
- Facebook広告タグ(ピクセル)
- ヒートマップツール(Clarity、Hotjarなど)
- チャットツール
- その他のサードパーティタグ
3. GoogleタグマネージャーでGA4を設定する手順
GTMを使ってGA4を設定する基本的な手順を解説します。
(1) GTMアカウントの作成とコンテナの設定
まず、Googleタグマネージャーのアカウントを作成します。
手順:
- GTM公式サイト(tagmanager.google.com)にアクセス
- Googleアカウントでログイン
- 「アカウントを作成」をクリック
- アカウント名(会社名など)を入力
- コンテナ名(サイト名など)を入力
- ターゲットプラットフォームで「ウェブ」を選択
- 利用規約に同意して作成
コンテナとは: コンテナは、GTMでタグを管理する単位です。通常、1サイト=1コンテナで設定します。
(2) GTMコンテナスニペットをサイトに設置
アカウント作成後、GTMのコンテナスニペット(コード)をWebサイトに設置します。
設置場所:
- headタグ内にスクリプトコードを設置(必須)
- bodyタグ直後にnoscriptコードを設置(JavaScriptが無効な環境用)
この設置は一度行えば、以降はHTMLを編集する必要はありません。
(3) GA4タグの設定とトリガーの作成
GTM内でGA4タグを設定します。
手順:
- GTM管理画面で「タグ」→「新規」をクリック
- タグタイプで「Googleタグ」を選択
- 測定ID(G-XXXXXXXXXX)を入力
- トリガーで「All Pages」(全ページ)を選択
- タグに名前を付けて保存
測定IDの確認方法: GA4の管理画面 → 「データストリーム」 → 該当のストリームを選択 → 測定IDを確認
(4) プレビューモードでテスト
公開前にプレビューモードでテストします。
手順:
- GTM管理画面で「プレビュー」をクリック
- 対象サイトのURLを入力して接続
- サイトを操作し、タグが正しく発火しているか確認
- 問題がなければプレビューを終了
(5) 設定の公開と動作確認
テストが完了したら、設定を公開します。
手順:
- GTM管理画面で「公開」をクリック
- バージョン名と説明を入力(変更内容が分かるように)
- 「公開」をクリックして本番環境に反映
- GA4のリアルタイムレポートでデータが計測されているか確認
4. Googleタグマネージャーの活用事例と便利機能
GTMをより効果的に活用するための機能と事例を紹介します。
(1) タグの発火条件の設定(トリガー)
トリガーとは、タグを発火させる条件のことです。様々な条件でタグを配信できます。
代表的なトリガーの例:
- ページビュー(特定のページを表示したとき)
- クリック(ボタンやリンクをクリックしたとき)
- フォーム送信(お問い合わせフォームを送信したとき)
- スクロール(ページを一定割合スクロールしたとき)
- 要素の表示(特定の要素が画面に表示されたとき)
(2) 変数を使った動的なデータ取得
変数とは、トリガーやタグで使用する動的な値のことです。
代表的な変数の例:
- Page URL(現在のページのURL)
- Click Text(クリックした要素のテキスト)
- Click URL(クリックしたリンクのURL)
- Form ID(送信したフォームのID)
変数を活用することで、より詳細なデータを取得できます。
(3) カスタムイベントの計測設定
GA4のカスタムイベントをGTM経由で設定できます。
カスタムイベントの例:
- 資料ダウンロードボタンのクリック
- 動画の再生開始
- 商品のカート追加
- 特定ページへの到達
(4) 広告タグやヒートマップツールの統合管理
GTMでは、GA4以外のタグも同じ管理画面で管理できます。
統合管理のメリット:
- 全てのタグを一箇所で確認・管理
- タグ間の発火順序を制御可能
- 不要なタグの削除が容易
5. 設定時の注意点とトラブルシューティング
GTM導入時によくある問題と対策を解説します。
(1) 既存のHTMLタグとGTMタグの二重計測を防ぐ
既存のGA4タグがHTMLに設置されている状態でGTMを導入すると、データが二重に計測されてしまいます。
対策:
- GTM導入時に既存のHTMLタグを必ず削除する
- 削除前にGTMでの設定をテストし、正しく動作することを確認
- 移行期間を設け、慎重に切り替える
(2) 設定変更の公開忘れに注意
GTMでは、設定変更を「公開」しないと本番環境に反映されません。
よくあるミス:
- 設定を変更したが公開を忘れる
- プレビューモードでテストしたまま公開しない
- 複数人で作業していて公開タイミングがずれる
対策:
- 作業後は必ず公開状況を確認
- 定期的にGTM管理画面をチェック
- チーム内で公開ルールを決めておく
(3) 複数人管理時のワークスペース運用
GTMには「ワークスペース」という機能があり、複数人が同時に作業できます。
ワークスペースの注意点:
- デフォルトワークスペースは複数人で共有しない
- 作業ごとにワークスペースを分ける
- マージ時にコンフリクトが発生する可能性があるため、コミュニケーションを取る
(4) タグの発火順序の制御
複数のタグを設定している場合、発火順序が重要になることがあります。
発火順序の制御方法:
- タグの設定でシーケンス(順序)を指定
- 「〇〇タグが発火した後に発火」という条件を設定
- トリガーのタイミングを調整
6. まとめ:効果的なタグ管理を実現するポイント
GoogleアナリティクスとGoogleタグマネージャーは、それぞれ異なる役割を持つツールですが、連携することで効果的なWebサイト分析と運用が可能になります。
押さえておきたいポイント:
- GA4はデータ収集・分析、GTMはタグ管理という役割の違いを理解する
- GTMを使うとHTMLを編集せずにタグ管理が可能になる
- プレビューモードで必ずテストしてから公開する
- 既存のHTMLタグとの二重計測に注意する
- バージョン管理機能を活用し、変更履歴を管理する
次のアクション:
- GTM公式サイトでアカウントを作成する
- GTMのコンテナスニペットをサイトに設置する
- GA4タグをGTM経由で設定し、プレビューモードでテストする
- 既存のHTMLタグがある場合は削除し、二重計測を防ぐ
※この記事は2024〜2025年時点の情報を基に作成しています。GTMやGA4の機能・仕様は変更される可能性がありますので、最新情報はGoogle公式ドキュメントでご確認ください。
よくある質問:
Q: 既存のGA4タグがHTMLに設置されている場合、GTMと二重計測にならないか? A: 既存のHTMLタグを削除せずにGTMを導入すると二重計測が発生します。移行時は必ず既存のGA4タグをHTMLから削除し、GTM経由のみでタグを配信するよう設定してください。
Q: GTMを導入するとサイトの表示速度に影響はないか? A: GTMは非同期読み込みのため、表示速度への影響は最小限に抑えられています。ただし、GTM内に大量のタグを設定すると読み込みが遅くなる可能性があるため、不要なタグは削除し、最適化を心掛けましょう。
Q: GTMのコンテナスニペットはどこに設置すればよいか? A: headタグ内とbodyタグ直後の2箇所に設置します。headタグ内が主要なコードで、bodyタグ直後はJavaScriptが無効な環境用のバックアップです。Google公式の設置手順に従って設置してください。
Q: 複数のサイトを運営している場合、コンテナはどう分けるべきか? A: 基本は1サイト=1コンテナです。同一ドメイン内の複数サブディレクトリであれば1コンテナで管理可能ですが、異なるドメインの場合は別コンテナを作成するのが推奨されます。
