CRM Gigとは?ギグワーカー向けCRM活用法と営業効率化のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/9

ギグエコノミーの拡大と顧客管理の課題

フリーランスやギグワーカーとして活動する人が増える中、顧客管理の課題に直面している方は少なくありません。「複数のクライアントとやり取りしているうちに、誰にどこまで対応したか分からなくなった」「請求書の発行を忘れて支払いが遅れた」「案件ごとの進捗管理が煩雑」といった悩みは、ギグワーカー特有のものです。

CRM(顧客関係管理)は、こうした課題を解決するために設計されたツールです。従来は大企業向けのイメージが強かったCRMですが、最近ではフリーランス・ギグワーカー向けの軽量で低価格なソリューションが増えています。

この記事のポイント:

  • CRMはギグワーカーの顧客情報管理、請求書作成、プロジェクト管理を効率化するツール
  • フリーランス向けCRMは請求・契約管理が統合され、企業向けは大規模チーム対応に特化
  • HubSpot CRMは5名まで無料、Zoho CRMは個人事業主向け機能が充実
  • 2024年の国内CRM市場は2,174億円規模で前年比17.0%増の高成長(IDC Japan調査)
  • CRM導入時はデータ移行・学習コストを考慮し、段階的に機能を活用するのが推奨される

CRMの基礎知識(役割と種類)

(1) CRMとは何か

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報を一元管理し、関係性を強化するためのシステムです。主に以下の機能を持ちます。

主要機能:

  • 顧客情報の管理(連絡先・案件履歴・取引記録)
  • コミュニケーション履歴の記録(メール・電話・会議メモ)
  • タスク管理・リマインダー(フォローアップ漏れ防止)
  • 請求書作成・契約管理(ギグワーカー向け機能)
  • レポート・分析(売上予測・案件進捗可視化)

IDC Japanの調査によれば、2024年の国内CRM市場は2,174億円規模に達し、前年比17.0%増の高成長を記録しています。AI機能の搭載が進み、業務効率化の期待が高まっています。

(2) CRMとSFAの違い

CRMとSFA(営業支援システム)は混同されることが多いですが、対象範囲が異なります。

CRM:

  • 顧客関係管理全般(営業・マーケティング・カスタマーサポート)
  • 長期的な顧客との関係構築を目的とする
  • フリーランスの場合、既存顧客との関係維持・リピート受注に強み

SFA:

  • 営業活動支援に特化(商談管理・見積作成・案件進捗)
  • 短期的な受注・売上管理を目的とする
  • 企業の営業チーム向けに最適化されている

ギグワーカー・フリーランスの場合、「顧客との長期的な関係構築」が重要なため、CRMのほうが適していると言われています。

(3) フリーランス向けと企業向けCRMの違い

フリーランス向けCRMと企業向けCRMは、機能とターゲットが異なります。

フリーランス向けCRM:

  • 請求書作成・契約管理が統合されている
  • UI・操作性がシンプルで学習コストが低い
  • 料金は無料〜月数千円程度(利用人数が少ないため)
  • 代表例: HubSpot無料プラン、Zoho CRM、Moxie、myGigCRM

企業向けCRM:

  • 大規模チーム対応、権限管理、カスタマイズ性が高い
  • マーケティング自動化、SFA連携、高度な分析機能
  • 料金は月数万円〜数十万円(利用人数・機能により変動)
  • 代表例: Salesforce、Microsoft Dynamics 365、HubSpot有料プラン

フリーランスや小規模事業者は、まず軽量なフリーランス向けCRMから始め、事業規模の拡大に応じて企業向けCRMへ移行するケースが一般的です。

ギグワーカー・フリーランス向けCRMの選び方

ギグワーカー・フリーランスがCRMを選ぶ際、以下の4つのポイントを重視することが推奨されます。

(1) タレントソーシング機能

タレントソーシングとは、案件に適した人材(または自分自身のスキル)を管理する機能です。ギグワーカーの場合、以下の用途があります。

活用方法:

  • 自分のスキルセット・実績をCRMに登録
  • クライアントごとに「どのスキルを提供したか」を記録
  • 案件ごとの受注履歴・単価履歴を管理

この機能により、「過去にどのクライアントにどんな仕事をしたか」が可視化され、リピート提案がしやすくなります。

(2) コミュニケーション管理機能

クライアントとのコミュニケーション履歴を一元管理する機能です。

主要機能:

  • メール・チャット履歴の自動記録
  • 会議メモ・電話メモの保存
  • マルチチャネル対応(メール・Slack・Zoom連携)

メリット:

  • 「誰にいつ何を伝えたか」が明確になる
  • 対応漏れ・重複対応を防止
  • クライアントごとの過去のやり取りをすぐに参照できる

(3) 自動化機能(請求書・フォローアップ)

ギグワーカーにとって、請求書作成やフォローアップの自動化は大きなメリットです。

自動化できる業務:

  • 請求書の自動発行(案件完了時に自動生成)
  • リマインダー送信(支払い期限・納品期限のアラート)
  • フォローアップメール(案件完了後の満足度確認・リピート提案)

導入効果:

  • 請求書作成にかかる時間が50%以上短縮される
  • 支払い遅延が減少し、キャッシュフロー改善
  • クライアントとの関係維持が自動化される

(4) UI・操作性と学習コスト

フリーランスは専任のシステム管理者がいないため、UI・操作性が重要です。

選定ポイント:

  • 直感的に操作できるか(マニュアルなしで使えるか)
  • モバイルアプリ対応(移動中でも更新できるか)
  • 日本語サポートの有無(海外ツールは要確認)

推奨される検証方法:

  • 無料トライアル期間中に実際の業務で使ってみる
  • 顧客情報の登録・案件管理・請求書作成を一通り試す
  • 分からない点があった場合のサポート対応速度を確認

主要CRMツールの機能・料金比較

(1) 無料プラン対応ツール(HubSpot CRM)

HubSpot CRMは、5名まで無料で利用できるCRMツールとして人気があります。

HubSpot CRM 無料プラン:

  • 顧客情報管理(無制限)
  • 取引・案件管理
  • メール追跡機能
  • タスク管理・リマインダー
  • モバイルアプリ対応

有料プランへの移行:

  • Starter: 月2,400円〜(追加機能:マーケティング自動化、カスタムレポート)
  • Professional: 月12,000円〜(高度な分析、ワークフロー自動化)

こんな人に向いている:

  • 初めてCRMを導入するフリーランス
  • コストをかけずに顧客管理を始めたい
  • 将来的に事業拡大を見据えている(有料プランへの移行が容易)

※料金は2025年3月時点のものです。最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

(2) 国内シェア上位ツール(Salesforce、Zoho CRM)

Salesforce:

  • 国内CRM市場シェアNo.1
  • 高度なカスタマイズ性・拡張性
  • 料金: Starter Suite 月3,000円〜、Professional 月9,600円〜
  • 大企業向け機能が充実しているため、フリーランスには過剰な場合もある

Zoho CRM:

  • 個人事業主・フリーランス向け機能が充実
  • 請求書作成、契約管理、納品管理が統合
  • 料金: 無料プラン(3ユーザーまで)、Standard 月1,680円/ユーザー〜
  • 日本語サポートあり、国内導入事例も豊富

こんな人に向いている:

  • Salesforce: 将来的に法人化・チーム拡大を計画している
  • Zoho CRM: 請求書作成・契約管理をワンストップで行いたい個人事業主

(3) フリーランス特化型ツール(Moxie、myGigCRM)

Moxie:

  • フリーランス向けに最適化されたCRM
  • プロジェクト管理・請求書作成・契約管理が統合
  • 海外製のため、日本語サポートは要確認

myGigCRM:

  • ギグワーカー向けに設計されたCRMツール
  • 支払い追跡、予約管理機能
  • 海外製のため、国内導入事例は限定的

こんな人に向いている:

  • 英語に抵抗がなく、海外クライアントとの取引が多い
  • フリーランス特化の機能を優先したい

※海外製ツールは日本語サポートや国内導入事例の確認を推奨します。

CRM導入時の注意点と段階的活用法

(1) データ移行と学習コストへの対応

CRM導入時には、既存の顧客情報をどう移行するかが課題となります。

推奨される移行手順:

  1. 現在の顧客情報を整理(Excel・スプレッドシート等)
  2. CRMのインポート機能でデータ一括登録
  3. 不足情報を段階的に追記(優先度の高いクライアントから)

学習コストの軽減:

  • まず基本機能(顧客情報登録・案件管理)のみ使い始める
  • 慣れてから自動化機能(請求書作成・フォローアップ)を追加
  • 無料トライアル期間中に操作性を確認

(2) 事業拡大時のスケールアップ計画

フリーランスから法人化、チーム拡大を計画している場合、将来的なスケールアップを考慮してCRMを選ぶことが重要です。

スケールアップの選択肢:

  • HubSpot: 無料プランから有料プランへ段階的に移行可能
  • Zoho CRM: ユーザー数課金のため、チーム拡大に応じて柔軟に拡張
  • Salesforce: 法人化後も長期利用可能な高機能CRM

事業規模の目安:

  • 個人〜3名: HubSpot無料プラン、Zoho CRM無料プラン
  • 3〜10名: HubSpot Starter、Zoho CRM Standard
  • 10名以上: Salesforce、HubSpot Professional

(3) 日本語サポートと国内導入事例の確認

海外製ツールは機能が充実している一方、日本語サポートや国内導入事例が不足している場合があります。

確認すべきポイント:

  • 日本語マニュアル・ヘルプセンターの有無
  • 日本語でのカスタマーサポート対応(チャット・メール・電話)
  • 国内のフリーランス・小規模事業者の導入事例

推奨される検証方法:

  • 無料トライアル期間中にサポートへ問い合わせてみる
  • 国内のレビューサイト(ITreview、BOXIL等)で評価を確認
  • SNS・コミュニティで実際の利用者の声を探す

まとめ:働き方・規模別おすすめCRM

ギグワーカー・フリーランス向けCRMは、働き方と事業規模に応じて最適な選択肢が異なります。

働き方別のおすすめ:

個人フリーランス(年収〜500万円):

  • HubSpot CRM無料プラン、Zoho CRM無料プラン
  • 低コストで顧客管理・請求書作成を効率化

個人事業主(年収500万〜1,000万円):

  • Zoho CRM Standard、HubSpot Starter
  • 請求書作成・契約管理の自動化でキャッシュフロー改善

小規模チーム(3〜10名):

  • HubSpot Professional、Salesforce Starter Suite
  • チーム間の情報共有・案件管理の効率化

法人化・チーム拡大予定:

  • Salesforce、HubSpot Professional
  • 長期的な拡張性・カスタマイズ性を重視

次のアクション:

  • 自社の働き方・事業規模を整理する
  • 3〜5社の公式サイトで詳細を確認する
  • 無料トライアルで実際に使いやすさ・機能を検証する
  • 日本語サポート・国内導入事例を確認する

CRMを適切に選定・活用することで、顧客管理の効率化とリピート受注の増加を実現しましょう。

よくある質問

Q1ギグワーカーがCRMを導入するメリットは何か?

A1時間節約、対応漏れ防止、請求書作成の効率化、顧客情報の整理が主なメリットです。CRMを導入することで、案件管理と請求書発行がワンストップで行え、クライアントごとのコミュニケーション履歴が可視化されます。結果として、リピート受注の提案がしやすくなり、支払い遅延も減少します。

Q2無料のCRMで十分か?

A2HubSpot CRMは5名まで無料で利用可能で、個人・小規模事業者には十分な機能を備えています。顧客情報管理、案件管理、タスク管理、メール追跡が無料で利用できます。事業規模が拡大した際は、有料プランへの移行を検討することで、マーケティング自動化や高度な分析機能を追加できます。

Q3CRM導入の初期コストはどれくらい?

A3無料プランから月数千円〜数万円まで幅広い選択肢があります。初期費用は無料のクラウド型CRMが主流です。ただし、データ移行(既存顧客情報の整理・登録)や学習コスト(操作習得にかかる時間)も考慮する必要があります。無料トライアル期間中に実務で試し、自社に合うかを検証することが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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