GA4に移行したけれど、活用できていない...
BtoB企業のマーケティング担当者・Web担当者の多くが「GA4に移行したものの、使い方が分からない」「UAとの違いが理解できていない」という悩みを抱えています。2024年7月にUAが完全サービス終了し、GA4が標準となった今、GA4を効果的に活用することが求められています。
この記事では、GA4(Google アナリティクス 4)の基礎知識から、UAとの違い、主要機能、BtoB企業特有の活用ポイント、設定方法まで、実務担当者の目線で解説します。
この記事のポイント:
- GA4は次世代のアクセス解析ツールで、Web×アプリのクロスプラットフォーム計測が可能
- UAはセッションベース、GA4はイベントベースで計測方法が根本的に異なる
- BigQuery連携が無料化され、高度なデータ分析が可能に
- AI・機械学習による予測機能(購入可能性・離脱可能性)を活用できる
- BtoB企業はリード獲得計測・長い検討期間のトラッキング・オフラインコンバージョン連携に注力
1. GA4とは:次世代のアクセス解析ツール
(1) GA4の定義と登場背景
GA4(Google Analytics 4)は、Googleが提供する次世代アクセス解析ツールです。Webサイトとアプリのユーザー行動を横断的に計測・分析できる無料ツールとして、2020年10月に登場しました。
GA4が登場した背景:
- プライバシー規制の強化: GDPR、CCPA等により、サードパーティCookieの規制が強化
- クロスデバイス行動の増加: ユーザーがPC・スマートフォン・アプリを横断して行動するようになった
- AI・機械学習の進化: 予測機能により、将来のユーザー行動を予測できるようになった
GA4は、これらの変化に対応するため、「将来の測定ツールを考慮して設計された新しいタイプのプロパティ」として開発されました(Google公式「次世代のアナリティクス、Google アナリティクス 4 のご紹介」より)。
(2) UAサービス終了とGA4への移行完了
UA(Universal Analytics/ユニバーサルアナリティクス)は、GA4以前のGoogleアナリティクスの旧バージョンです。
UAのサービス終了スケジュール:
- 2023年7月1日: UAのデータ計測終了
- 2024年7月1日: UAの完全サービス終了(データにアクセス不可)
現在はすべての企業がGA4への移行を完了している状況です。UAで収集した過去データはGA4に引き継げないため、移行前に必要なデータをエクスポートしておく必要がありました。
(3) GA4が目指す将来のアクセス解析
GA4は、以下の方向性を目指しています。
プライバシーファースト:
- クッキーレス測定、行動モデリング、キーイベントモデリングなどのプライバシーコントロール機能
- Google Consent Mode V2(2024年3月6日から必須)により、ユーザーの同意に基づいたデータ収集を実現
クロスプラットフォーム計測:
- Web×アプリのユーザー行動を一元的に計測・分析
- PCで情報を見た後にスマートフォンのアプリで商品を購入するユーザーの行動を1ユーザーとして集計
AI・機械学習の活用:
- 「購入の可能性」「離脱の可能性」「予測収益」の3つの予測機能
- データから自動的にインサイトを抽出し、意思決定を支援
2. UAとGA4の主な違い
(1) 計測方法の根本的変更(セッションベース→イベントベース)
UAとGA4の最も大きな違いは、計測方法が根本的に異なる点です。
UA(セッションベース):
- Webサイトへの訪問(セッション)を基準に計測
- ページビュー、直帰率、セッション時間等をセッション単位で集計
GA4(イベントベース):
- ユーザーのあらゆる行動(ページビュー、クリック、スクロール等)を「イベント」として計測
- 「スクロール数」「離脱クリック」「サイト内検索」「動画エンゲージメント」などを自動計測
- 追加の設定なしで詳細なユーザー行動を把握できる
重要な注意点: UAとGA4で計測方法が異なるため、並行で収集した値が一致しません。過去のUAデータと単純比較できない点に注意が必要です。
(2) クロスプラットフォーム計測(Web×アプリ統合)
GA4では、Webサイトとアプリのユーザー行動を一元的に計測できます。
メリット:
- PCで情報収集→スマートフォンアプリで購入、といったクロスデバイス行動を1ユーザーとして集計
- Web・iOS・Androidのデータストリームを統合し、全体のユーザージャーニーを把握
BtoB企業での活用:
- Webサイトでホワイトペーパーをダウンロード→営業アプリで商談、といった行動を追跡
- 営業担当者向けアプリとマーケティングWebサイトのデータを統合し、リード育成プロセスを可視化
(3) BigQuery連携の無料化
GA4では、BigQuery(Googleのクラウド型データウェアハウス)との連携が無料で利用できます。
UAとの違い:
- UA: BigQuery連携は有料版(Google Analytics 360)のみ
- GA4: 無料版でもBigQuery連携が可能
BigQuery連携のメリット:
- 生データをエクスポートし、SQLで高度な分析が可能
- 複雑なセグメント分析(例: 3回以上訪問したユーザーの商談化率)
- 他データとの統合(SFA・MAデータと結合してROIを測定)
- 長期データ保管(GA4のデータ保持期間は最大14ヶ月だが、BigQueryなら無期限)
(4) 過去データ引き継ぎ不可の注意点
UAからGA4への移行では、過去データを引き継げません。
対応策:
- 移行前にUAの過去データをエクスポートし、CSV・Excel形式で保管
- BigQueryにUAデータをエクスポートし、長期保管
- UAとGA4を並行運用し、移行前後のデータを比較(ただし値は一致しない)
3. GA4の主要機能と指標
(1) イベントベース計測と自動計測機能
GA4では、ユーザーのあらゆる行動を「イベント」として計測します。
自動計測されるイベント:
- ページビュー(page_view): ページが表示されたとき
- スクロール(scroll): ページを90%スクロールしたとき
- 離脱クリック(click): 外部リンクをクリックしたとき
- サイト内検索(view_search_results): サイト内検索を実行したとき
- 動画エンゲージメント(video_start, video_progress, video_complete): 動画を再生・視聴したとき
カスタムイベント:
- 問い合わせフォーム送信、資料請求、ホワイトペーパーダウンロード等、ビジネス上重要な行動を独自に設定
(2) キーイベント(旧コンバージョン)の設定
GA4では、ビジネス上重要なユーザー行動を「キーイベント」として設定します。
名称変更の経緯: 2024年3月に、「コンバージョン」の名称が「キーイベント」に変更されました。これは、Google広告と紐付かないものについて、より適切な名称に変更されたためです。
BtoB企業でのキーイベント例:
- 問い合わせ完了
- 資料請求
- ホワイトペーパーダウンロード
- セミナー申込
- 無料トライアル申込
(3) AI・機械学習による予測機能(購入可能性・離脱可能性・予測収益)
GA4では、Google製のAI技術を活用した3つの予測機能を利用できます。
1. 購入の可能性(Purchase Probability):
- 過去7日間にアクティブだったユーザーが、今後7日間以内に購入する確率を予測
- BtoB企業では「商談化の可能性」として活用できる
2. 離脱の可能性(Churn Probability):
- 過去7日間にアクティブだったユーザーが、今後7日間以内に離脱する確率を予測
- 離脱リスクの高いユーザーに対してリテンション施策を実行
3. 予測収益(Predicted Revenue):
- 過去28日間にアクティブだったユーザーが、今後28日間以内に生成する収益を予測
- BtoB企業では「予測契約金額」として活用できる
(4) 2024年の新機能(異常検出・保存された比較等)
2024年には、GA4に以下の新機能が追加されました。
異常検出(Anomaly Detection):
- データの予期しないスパイクや低下を自動的にフラグ表示
- トラフィック急増・急減の原因を素早く特定
保存された比較(Saved Comparisons):
- レポート内で時間枠を並べて表示し保存
- 前年同期比、前月比などの定点観測が容易に
トレンド変化検出インサイト(Trend Change Detection Insights):
- Webサイトやアプリデータの重要で長期的な変化を特定
- マーケティング施策の効果を自動的に検出
4. BtoB企業のためのGA4活用ポイント
(1) リード獲得計測の最適化
BtoB企業にとって、リード獲得の計測が最優先事項です。
計測すべきキーイベント:
- 問い合わせフォーム送信完了
- 資料請求完了
- ホワイトペーパーダウンロード完了
- セミナー・ウェビナー申込完了
- 無料トライアル申込完了
流入元別のリード獲得率:
- オーガニック検索、有料広告、SNS、メールマガジン等、流入元別のリード獲得率を測定
- 効果の高い流入元に予算を集中
(2) 長い検討期間のトラッキング(マルチタッチアトリビューション)
BtoB企業では、検討期間が数ヶ月〜1年と長いため、マルチタッチアトリビューション(複数接点の貢献度測定)が重要です。
GA4のマルチタッチアトリビューション:
- ユーザーが初回訪問から商談化・契約までに接触したすべてのチャネル(検索、広告、SNS等)の貢献度を測定
- 最初のタッチポイント、最後のタッチポイント、すべてのタッチポイントの重み付けを変更可能
活用例:
- オーガニック検索で初回訪問→有料広告でホワイトペーパーダウンロード→メールマガジンで商談化、といったジャーニーを可視化
- 各チャネルの真の貢献度を測定し、マーケティング予算を最適化
(3) オフラインコンバージョンの連携
BtoB企業では、オフラインの商談・契約がコンバージョンとなるケースが多いです。
GA4とSFA・CRMの連携:
- Measurement Protocol APIを使い、オフラインコンバージョン(商談化・契約)をGA4に送信
- Webサイト訪問→オフライン商談→契約、といったジャーニー全体を測定
活用例:
- Salesforce・HubSpot等のSFAと連携し、「Webサイトから流入したリードが商談化・契約に至った割合」を測定
- マーケティングROI(広告費用対効果)を正確に算出
(4) BtoB特有の指標設定(問い合わせ・資料請求・セミナー申込等)
BtoB企業では、以下の指標をKPIとして設定します。
リード獲得関連:
- 問い合わせ数
- 資料請求数
- ホワイトペーパーダウンロード数
- セミナー・ウェビナー申込数
- 無料トライアル申込数
エンゲージメント関連:
- サービス詳細ページ閲覧数
- 料金ページ閲覧数
- 導入事例ページ閲覧数
- サイト滞在時間
5. GA4の設定とレポート作成
(1) 初期設定の手順(データストリーム作成・トラッキングコード設置)
GA4の初期設定は以下の手順で行います。
1. GA4プロパティの作成:
- Googleアナリティクス管理画面で「プロパティを作成」
- プロパティ名、タイムゾーン、通貨を設定
2. データストリームの作成:
- Webサイト、iOSアプリ、Androidアプリのいずれかを選択
- Webサイトの場合、URLとストリーム名を入力
3. トラッキングコードの設置:
- Googleタグマネージャー(GTM)経由での設置が推奨
- または、直接Webサイトのタグ内にGA4測定コードを設置
4. データ収集の確認:
- GA4管理画面の「リアルタイム」レポートで、データが正しく収集されているか確認
(2) キーイベント(コンバージョン)の設定方法
キーイベントは以下の手順で設定します。
1. イベントの作成:
- GA4管理画面の「イベント」で、既存のイベントを確認
- カスタムイベントを作成する場合は、GTMでイベントタグを設定
2. キーイベントとしてマーク:
- 該当イベントの横にある「キーイベントとしてマーク」をオン
3. 目標値の設定:
- リード1件あたりの価値を金額で設定(例: 問い合わせ1件 = 10,000円)
(3) カスタムレポートとダッシュボード作成
GA4では、カスタムレポートとダッシュボードを作成できます。
カスタムレポートの作成:
- 「探索」メニューで、自由形式、目標到達プロセス、経路の探索等のレポートを作成
- ディメンション(流入元、デバイス、ページ等)とメトリクス(セッション数、キーイベント数等)を組み合わせて分析
ダッシュボード作成:
- Looker Studio(旧Googleデータポータル)と連携し、ダッシュボードを作成
- 経営層・マーケティングチーム向けにカスタマイズしたレポートを自動生成
(4) BigQuery連携の設定と活用
BigQuery連携は以下の手順で設定します。
1. BigQueryプロジェクトの作成:
- Google Cloud Console でBigQueryプロジェクトを作成
2. GA4からBigQueryへのエクスポート設定:
- GA4管理画面の「BigQueryリンク」でプロジェクトを選択
- データのエクスポート頻度(日次・ストリーミング)を設定
3. BigQueryでのデータ分析:
- SQLを使って、複雑なセグメント分析、ファネル分析、コホート分析等を実行
- BIツール(Tableau、Looker等)と連携し、高度なダッシュボードを作成
6. まとめ:GA4で実現するデータドリブンマーケティング
GA4(Google アナリティクス 4)は、次世代のアクセス解析ツールとして、Web×アプリのクロスプラットフォーム計測、イベントベースの詳細な行動分析、AI・機械学習による予測機能を提供します。BtoB企業では、リード獲得計測、長い検討期間のトラッキング、オフラインコンバージョン連携に注力することで、マーケティングROIを最大化できます。
活用成功のポイント:
- キーイベント(問い合わせ・資料請求等)を設定し、リード獲得を正確に計測する
- マルチタッチアトリビューションで、各チャネルの真の貢献度を測定する
- BigQuery連携で、高度なデータ分析を実現する
- カスタムレポートとダッシュボードで、経営層・チームに分かりやすく情報共有する
次のアクション:
- GA4の初期設定を完了し、データ収集を開始する
- キーイベントを設定し、リード獲得計測を最適化する
- BigQuery連携を設定し、長期データ保管と高度な分析の基盤を構築する
- Looker Studioでダッシュボードを作成し、チーム内でデータを共有する
GA4を効果的に活用し、データドリブンマーケティングを実現しましょう。
※GA4の仕様・機能は継続的にアップデートされています。最新情報はGoogle公式サイトをご確認ください(この記事は2024-2025年時点の情報です)。
