問い合わせ対応が属人化して、担当者不在時に困る...
B2B企業のカスタマーサポートや営業部門では、日々多くの問い合わせが寄せられます。しかし、「問い合わせがメール・電話・チャットに散在している」「担当者が不在だと対応履歴が分からない」「同じ顧客に複数の担当者が重複して対応してしまう」といった課題を抱えている企業は少なくありません。
この記事では、CRMを活用した問い合わせ管理の方法、一元管理によるメリット、主要システムの比較、導入のポイントまで、実践的な情報を解説します。
この記事のポイント:
- CRMは顧客情報と問い合わせ履歴を一元管理し、誰が・いつ・どんな内容で対応したかを可視化できる
- メール、電話、チャット、SNSなど複数チャネルからの問い合わせを統合し、対応漏れ・二重対応を防止
- ステータス管理とリアルタイム共有により、担当者交代時もスムーズに引き継ぎ可能
- 月額1,000円程度から利用可能な低価格・無料プランが提供されており、中小企業でも導入しやすい
- 他システム(SFA・CTI等)との連携で、カスタマーサポートの拡張性と効率性を高められる
1. CRMによる問い合わせ管理が求められる背景
(1) 問い合わせチャネルの多様化(メール・電話・チャット・SNS)
顧客からの問い合わせチャネルは年々多様化しています。
主要な問い合わせチャネル:
- メール: 従来からの主要チャネル
- 電話: 緊急性が高い問い合わせ
- チャット: リアルタイムでの質問対応
- SNS(LINE、Twitter、Facebook等): カジュアルな問い合わせ
- Webサイトフォーム: 資料請求、製品に関する質問
課題:
- チャネルごとに管理ツールが異なり、対応状況の把握が困難
- 同じ顧客からの問い合わせが複数チャネルに分散し、対応履歴が追えない
- チャネル間で情報共有ができず、顧客に一貫した対応ができない
(2) 問い合わせ管理の属人化・散在化による課題
問い合わせ管理が属人化・散在化すると、以下の問題が発生します。
属人化の課題:
- 特定の担当者しか対応履歴を把握していない
- 担当者が不在だと対応が遅れる、または対応できない
- 担当者の退職時に顧客情報・対応履歴が失われる
散在化の課題:
- 問い合わせがメールBOX・スプレッドシート・紙のメモに散在
- どこに何があるか分からず、検索に時間がかかる
- 過去の対応履歴を参照できず、同じ質問に何度も答える
こうした課題を解決する手段として、CRMによる問い合わせ一元管理が注目されています。
2. 問い合わせ管理の課題と解決策
(1) 二重対応・対応漏れの発生
課題:
- 複数の担当者が同じ問い合わせに重複して対応してしまう(二重対応)
- 問い合わせに対する返答が抜け落ちてしまう(対応漏れ)
- 顧客は「何度も同じ説明をさせられる」「返事が来ない」と不満を抱く
解決策:
- CRMで問い合わせのステータス(未対応、対応中、完了等)をリアルタイムで共有
- 担当者がアサインされている問い合わせが一目で分かる
- 対応漏れを防ぐアラート機能(一定時間経過した未対応問い合わせを通知)
(2) 担当者交代時の引き継ぎ困難
課題:
- 担当者が変わると、過去の対応履歴が引き継がれない
- 新担当者が一から情報収集し、顧客に同じ質問を繰り返す
- 顧客は「前の担当者に説明したのに」と不満を抱く
解決策:
- CRMで「誰が、いつ、どんな内容で」対応したかをスレッド形式で一元管理
- 新担当者が過去の対応履歴を即座に参照できる
- 担当者が変わっても対応品質を維持できる
(3) 顧客情報と問い合わせ履歴の分断
課題:
- 顧客情報(企業名、担当者名、導入製品等)と問い合わせ履歴が別々のシステムに保存されている
- 問い合わせ対応時に、顧客情報を別システムから探す手間がかかる
- 顧客の過去の購買履歴や利用状況を参照できず、的確な提案ができない
解決策:
- CRMで顧客情報と問い合わせ履歴を統合管理
- 問い合わせ画面から顧客の過去の問い合わせ・購買履歴を即時参照
- 顧客の状況に応じた的確な対応が可能に
3. CRMの問い合わせ管理機能とメリット
(1) スレッド形式での一元管理(誰が、いつ、どんな内容で対応したか)
CRMの問い合わせ管理機能では、問い合わせをスレッド形式で管理します。
スレッド形式の特徴:
- 「誰が、いつ、どんな内容で」対応したかを時系列で追跡できる
- メール・電話・チャット・SNSなど複数チャネルからの問い合わせを統合表示
- 過去の対応履歴を遡って確認できる
メリット:
- 担当者交代時もスムーズに引き継ぎできる
- 同じ顧客からの問い合わせがあった際、過去の対応を参照して一貫した回答ができる
- 対応品質のばらつきを防止
(2) ステータス管理とリアルタイム共有
CRMでは問い合わせのステータスをリアルタイムで確認・更新できます。
ステータス管理:
- 未対応、対応中、完了、保留など、問い合わせの状態を可視化
- 担当者がアサインされているかどうかを一目で確認
- 一定時間経過した未対応問い合わせを自動アラート
リアルタイム共有:
- チームメンバー全員が最新の対応状況を確認できる
- 二重対応や対応漏れを回避
- 上司・マネージャーが対応状況を監視し、必要に応じてサポート
(3) 顧客情報との統合と過去履歴の即時参照
CRMは顧客情報と問い合わせ履歴を統合管理します。
統合管理のメリット:
- 問い合わせ対応時に、顧客の企業名・担当者名・導入製品・過去の購買履歴を即時参照
- 顧客の状況を理解した上で、的確な提案・回答ができる
- 営業担当者と情報共有し、アップセル・クロスセルの機会を逃さない
過去履歴の活用:
- 「この顧客は以前にこういう質問をしていた」という情報を基に対応
- 顧客にとって「自分のことを理解してくれている」と感じられる体験
- 顧客満足度向上とリピート率向上
(4) 他システム連携(SFA・CTI等)
CRMは他システムと連携することで、カスタマーサポートの拡張性を高められます。
SFA(営業支援システム)連携:
- 営業担当者がカスタマーサポートの問い合わせ履歴を参照
- 顧客の課題を把握し、提案に活かす
- 部署をまたいでサポート履歴をスムーズに共有
CTI(電話システム)連携:
- 電話着信時に顧客情報と過去の問い合わせ履歴を自動表示
- コールセンターの応対品質向上
- 応対履歴を自動記録し、入力工数削減
その他の連携:
- チャットツール(Slack、Microsoft Teams等)との連携
- MAツール(マーケティングオートメーション)との連携
4. 主要な問い合わせ管理システムの比較
(1) 包括型CRM(Zoho CRM・Salesforceなど)
営業・マーケティング・カスタマーサポートを統合管理するCRMです。
特徴:
- 顧客情報を一元管理し、営業活動と問い合わせ対応を連携
- 問い合わせ管理以外にも、商談管理・見積作成・レポート機能などを提供
- 大規模企業向けの高機能プラン、中小企業向けの低価格プランがある
適している企業:
- 営業とカスタマーサポートの連携が重要なB2B企業
- 顧客情報を部署横断で活用したい企業
(2) 問い合わせ管理特化型(Synergy!・メールディーラーなど)
問い合わせ対応に特化したシステムです。
特徴:
- メール・電話・チャット・SNSからの問い合わせを一元管理
- スレッド形式、ステータス管理、権限設定など問い合わせ管理に必要な機能を網羅
- 営業管理機能は限定的、または非提供
適している企業:
- カスタマーサポート部門が独立している企業
- 営業連携は不要で、問い合わせ管理だけを強化したい企業
(3) コールセンター向けCRM(CTI連携型)
コールセンター業務に特化したCRMです。
特徴:
- CTI(電話システム)連携により、着信時に顧客情報を自動表示
- 応対履歴管理、リアルタイム情報共有、オペレーター管理機能
- 大量の電話問い合わせを効率的に処理
適している企業:
- コールセンターを運営している企業
- 電話問い合わせが主要チャネルの企業
(4) 低価格・無料プラン提供ツール(月額1,000円程度から)
中小企業向けの低価格・無料プラン提供ツールも増えています。
特徴:
- 月額1,000円程度から利用可能
- 無料トライアルや無料プラン(機能制限あり)を提供
- 中小企業でも導入しやすい価格設定
注意点:
- 無料プランは機能制限があるため、必要機能を事前確認
- ユーザー数制限や容量制限がある場合あり
- まずは無料トライアルで試してから本契約が推奨
※具体的なツール名や料金は変更される可能性があるため、導入時は各公式サイトで最新情報を確認してください。
5. CRM導入のポイントと注意点
(1) 必要機能の洗い出し(一元管理・ステータス管理・セキュリティ等)
CRM導入前に、自社に必要な機能を明確にしましょう。
必須機能:
- 複数チャネルからの問い合わせ一元管理(メール・電話・チャット・SNS)
- ステータス管理とリアルタイム共有
- 顧客情報と問い合わせ履歴の統合
- 検索機能(過去の問い合わせを素早く検索)
セキュリティ機能:
- アカウント認証、データ暗号化、アクセス制限
- フォルダやメールBOX単位での権限設定
- 情報漏洩リスクを最小化
(2) 既存システムとの連携可否の確認
既存システムとの連携可否を事前に確認しましょう。
確認すべきポイント:
- SFA・CRM・MA等の既存システムとAPI連携できるか
- CTI(電話システム)と連携できるか
- チャットツール(Slack・Microsoft Teams等)と連携できるか
注意点:
- 連携機能がない場合、カスタマーサポートの成長に合わせた拡張が難しくなる
- 既存システムとの互換性を事前確認し、スムーズな移行を実現
(3) セキュリティ要件の確認(データ暗号化・アクセス制限等)
顧客情報を扱うため、セキュリティ要件を厳格に確認しましょう。
確認すべきセキュリティ機能:
- データ暗号化(通信暗号化、保存データ暗号化)
- アクセス制限(部署・役職別の権限設定)
- ログ管理(誰がいつアクセスしたかを記録)
- 二段階認証、IPアドレス制限
注意点:
- セキュリティ機能のレベルはツールにより異なる
- 導入前に自社のセキュリティポリシーと照合する
- 情報漏洩リスクを最小化するための体制構築が重要
(4) 無料トライアルでの試用と段階的導入
CRM導入は段階的に進めることが推奨されます。
段階的導入のステップ:
- 無料トライアル: 3〜5社のツールを無料トライアルで試用
- 小規模テスト: 一部の部署やチームで試験導入
- 効果測定: 対応スピード、顧客満足度、工数削減効果を測定
- 本格導入: 効果が確認できたら全社展開
注意点:
- いきなり全社導入せず、小規模で試して課題を洗い出す
- ユーザーからのフィードバックを収集し、運用ルールを改善
- 段階的に機能を拡張し、最適な体制を構築
6. まとめ:効果的な問い合わせ管理を実現するために
CRMを活用した問い合わせ管理は、顧客対応の品質向上と業務効率化を同時に実現する有力な手段です。複数チャネルからの問い合わせを一元管理し、ステータスをリアルタイムで共有することで、二重対応・対応漏れを防ぎ、顧客満足度を向上できます。
成功させるポイント:
- 目的を明確にする: 二重対応防止か、担当者交代時の引き継ぎ改善か、目的を明確にする
- 必要機能を洗い出す: 一元管理、ステータス管理、セキュリティ等、自社に必要な機能を整理
- 無料トライアルで試す: 3〜5社のツールを試用し、操作性・機能を比較
- 段階的に導入: 小規模テストで効果を測定してから本格導入
- 他システムと連携: SFA・CTI等と連携し、カスタマーサポートの拡張性を高める
次のアクション:
- 自社の問い合わせ管理の課題を整理する(二重対応・対応漏れ・属人化等)
- 必要機能をリストアップする
- 無料トライアルで3〜5社のツールを試す
- 小規模テストで効果を測定し、本格導入を判断する
CRMによる問い合わせ管理を適切に活用し、顧客満足度の向上と業務効率化を実現しましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。CRMや問い合わせ管理システムの機能・料金は変更される可能性があるため、導入時は各公式サイトで最新情報を確認してください。
