CRM Analyticsとは?Salesforceのデータ分析機能を活用して営業成果を可視化する方法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/7

Salesforceの標準レポートでは、営業データの分析に限界を感じていませんか?

Salesforceを導入しているB2B企業の営業マネージャーやデータ分析担当者の多くが、「標準のレポート・ダッシュボードでは、大量のデータを高速に分析できない」「売上予測の精度を上げたい」「より高度な可視化がしたい」といった課題を抱えています。

こうしたニーズに応えるのがCRM Analyticsです。この記事では、CRM Analyticsとは何か、標準機能との違い、実践的な活用方法から導入手順まで解説します。

この記事のポイント:

  • CRM AnalyticsはAI搭載のSalesforce分析プラットフォームで、大量データの高速処理と予測分析が可能
  • 標準レポート・ダッシュボードでは対応しきれない高度な分析ニーズに対応
  • 導入企業ではレポート作成時間を2-3週間からほぼゼロに短縮した事例も
  • データ品質の維持と学習コストへの対応が成功の鍵

CRM Analyticsとは?Salesforceデータ分析の新標準

CRM Analyticsは、Salesforceが提供するAI搭載の分析プラットフォームです。Salesforceに蓄積された顧客データや営業データを高度に分析・可視化し、データドリブンな意思決定を支援します。

(1) AI搭載のSalesforce分析プラットフォームの概要

CRM Analyticsは、単なるレポートツールではなく、BIツール(Business Intelligence)として位置づけられています。Salesforceで得た顧客データを分析するための専用プラットフォームであり、以下のような特徴があります。

CRM Analyticsの主な特徴:

  • Salesforceとの直接連携: データのインポート・エクスポートが不要
  • AI(Einstein)による予測分析: 売上予測、成約確度の算出
  • 大量データの高速処理: 数百万件のデータでも高速にクエリ実行
  • 高度な可視化機能: インタラクティブなダッシュボード作成
  • モバイル対応: 外出先からもデータにアクセス可能

Salesforce公式のサクセスナビによると、CRM AnalyticsはEinstein AnalyticsとTableauの機能が統合されたプラットフォームとして位置づけられています。

(2) 名称変更の経緯(Einstein Analytics→Tableau CRM→CRM Analytics)

CRM Analyticsは、何度か名称変更を経ています。この経緯を理解しておくと、過去の情報を参照する際に混乱を避けられます。

名称変更の経緯:

  1. Einstein Analytics(旧称): Salesforce独自のAI分析ツールとして提供
  2. Tableau CRM(2020年頃): SalesforceがTableau社を買収後、製品統合に伴い改称
  3. CRM Analytics(現在): 現在の正式名称

このため、「Tableau CRM」や「Einstein Analytics」という名称で言及されている記事や資料は、現在のCRM Analyticsと同じ製品を指していると考えて問題ありません。

標準レポート・ダッシュボードとの違い

Salesforceには標準でレポート・ダッシュボード機能が搭載されています。CRM Analyticsを導入すべきかどうかは、標準機能との違いを理解した上で判断することが重要です。

(1) 大量データの高速処理能力

標準のレポート・ダッシュボードは、日常的な業務レポートには十分な機能を持っています。しかし、データ量が増加すると、処理速度やパフォーマンスに課題が出てくることがあります。

CRM Analyticsの強み:

  • 数百万件規模のデータでも高速にクエリ実行
  • 複数のオブジェクトを横断した複雑な分析が可能
  • リアルタイムに近いデータ更新と分析

標準機能で十分なケース:

  • 月次・週次の定型レポートが中心
  • データ量が比較的少ない(数万件程度)
  • シンプルな集計・グラフ作成が目的

(2) AIによる予測分析機能

CRM Analyticsの大きな差別化ポイントは、AI(Einstein)による予測分析機能です。

予測分析でできること:

  • 売上予測: 過去のデータパターンから将来の売上を予測
  • 成約確度の算出: 商談ごとの成約可能性をスコア化
  • 顧客の離反予測: 解約リスクの高い顧客を事前に検知
  • レコメンデーション: 次に取るべきアクションの提案

2024年のCRM市場では、生成AI(チャットボット、予測分析、コンテンツ作成)が最大のトレンドとなっており、65%の企業がすでに生成AI搭載のCRMシステムを導入しているとされています(WPForms「CRM Statistics 2024」より)。

(3) 高度な可視化・インタラクティブ機能

標準のダッシュボードでも基本的なグラフは作成できますが、CRM Analyticsではより高度な可視化が可能です。

CRM Analyticsの可視化機能:

  • ドリルダウン・ドリルアップによる階層的な分析
  • フィルタリングやセグメント切り替えのインタラクティブ操作
  • 地図上でのデータ可視化
  • 時系列データのトレンド分析
  • カスタムチャートの作成

CRM Analyticsの主要機能と活用シーン

CRM Analyticsを実際にどのように活用できるのか、具体的なユースケースを紹介します。

(1) 売上予測・パイプライン分析

営業マネージャーにとって最も重要な活用シーンの一つが、売上予測とパイプライン分析です。

売上予測の活用例:

  • 四半期・年間の売上着地予測
  • 商談ステージ別の進捗状況把握
  • 営業担当者別のパフォーマンス比較
  • 目標達成に必要なアクションの特定

パイプライン分析の活用例:

  • 商談の滞留期間分析
  • ボトルネックとなっているステージの特定
  • 案件の優先度付け
  • 予測精度の向上

(2) 顧客セグメント分析

マーケティング部門やカスタマーサクセス部門では、顧客セグメント分析が有効です。

顧客セグメント分析の活用例:

  • 業種・企業規模別の顧客分布
  • 購買パターン・利用頻度の分析
  • 顧客ライフタイムバリュー(LTV)の算出
  • アップセル・クロスセルの機会特定
  • 解約リスクの高い顧客の早期発見

(3) Analytics Studioの操作方法

CRM Analyticsの操作は、Analytics Studioというインターフェースで行います。

Analytics Studioの基本操作:

  1. CRM Analyticsの設定完了後、ホーム画面から「Analytics Studio」をクリック
  2. データセットの作成・インポート
  3. レンズ(データの絞り込み・集計)の作成
  4. ダッシュボードの作成・編集
  5. 共有・アクセス権限の設定

ADXCの解説によると、Analytics Studioを使用してデータ加工からダッシュボード作成までの一連のフローを実践することが推奨されています。

導入事例と効果(時間短縮・コスト削減)

実際にCRM Analyticsを導入した企業では、どのような効果が得られているのでしょうか。

(1) レポート作成時間を2-3週間からほぼゼロに短縮した事例

株式会社ユーザベースの導入事例(Tableau公式サイトより)では、以下のような効果が報告されています。

導入効果:

  • レポート・ダッシュボード作成時間: 2-3週間 → ほぼゼロ
  • マネージャー1人あたりの工数削減: 月数十時間
  • データドリブン文化の醸成

この事例では、従来は複数のシステムからデータを抽出・加工してレポートを作成していたのが、CRM Analyticsの導入によりSalesforceのデータを直接分析できるようになり、大幅な時間短縮を実現しています。

(2) データ分析の内製化によるコスト削減

toBeマーケティング株式会社の資料によると、CRM Analytics導入により外部委託していたデータ分析を内製化することで、以下の効果が期待できるとされています。

内製化のメリット:

  • 外部委託コストの削減
  • 分析スピードの向上(依頼から納品までのリードタイム短縮)
  • 自社のビジネスに精通した担当者による分析
  • 分析ノウハウの社内蓄積

ただし、内製化には従業員のトレーニングが必要で、学習コストと時間が発生する点は考慮が必要です。

導入手順と注意点

CRM Analyticsの導入を検討する際に押さえておくべきポイントを解説します。

(1) エディション別の利用可否と追加料金

CRM Analyticsは、Salesforceの全てのエディションで利用できるわけではありません。また、追加ライセンスが必要な場合があります。

導入前の確認事項:

  • 現在利用しているSalesforceエディションでの利用可否
  • 追加ライセンス費用の確認
  • データボリューム(行数)の制限
  • 導入支援サービスの費用

ライセンス費用と導入支援費用はエディション・データボリュームにより変動するため、導入前にROI(投資対効果)を検討し、見積もりを取得することが推奨されます。

(2) データ品質の重要性とメンテナンス

CRM Analyticsを効果的に活用するためには、分析の元となるデータの品質が重要です。

データ品質の重要性:

  • 不正確なデータは誤った分析結果につながる(「ゴミデータではインサイトが得られない」)
  • AIによる予測機能を活用するには、十分な量と質のデータが必要
  • 継続的なデータメンテナンス(重複削除、項目統一)が必要

データ品質向上のアクション:

  • データ入力ルールの策定と徹底
  • 定期的なデータクレンジング
  • データオーナーの明確化
  • 入力漏れ・入力ミスの検知ルールの設定

(3) Trailheadでの学習リソース

CRM Analyticsの学習には、Salesforce公式の無料オンライン学習プラットフォーム「Trailhead」が有効です。

Trailheadの特徴:

  • 無料で利用可能
  • 体系的なカリキュラム(初心者から上級者まで)
  • ハンズオン形式の実践学習
  • バッジ・ポイント制度によるモチベーション維持
  • CRM Analytics専用のラーニングパス

Trailheadを活用することで、外部研修に依存せず、社内でCRM Analyticsのスキルを習得できます。

まとめ:CRM Analytics活用の次のステップ

CRM AnalyticsはAI搭載のSalesforce分析プラットフォームであり、標準のレポート・ダッシュボードでは対応しきれない高度な分析ニーズに応えます。大量データの高速処理、AIによる予測分析、高度な可視化機能により、データドリブンな意思決定を支援します。

次のアクション:

  • 自社の分析ニーズを整理する(標準機能で十分か、高度な分析が必要か)
  • 現在のSalesforceエディションでの利用可否を確認する
  • Trailheadで基本を学習する(無料)
  • 導入費用とROIを検討する
  • データ品質の現状を把握し、改善計画を立てる

CRM Analytics市場は2024年の89.4億ドルから2031年には209.5億ドルに成長する見込み(CAGR 11.23%、Verified Market Research調べ)とされており、今後もデータ分析の重要性は高まっていくと考えられます。自社のデータ活用レベルを引き上げるために、CRM Analyticsの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

Q: CRM AnalyticsとTableau CRMの違いは何ですか? A: 同じ製品です。Tableau CRMは旧称で、現在はCRM Analyticsに改称されています。Einstein Analyticsも同様にCRM Analyticsに統合されました。過去の資料で異なる名称が使われていても、同じ製品を指しています。

Q: 標準のレポート・ダッシュボードで十分ではないですか? A: 月次・週次の定型レポートが中心で、データ量も比較的少ない場合は標準機能で十分です。大量データの高速処理、AI予測、高度な可視化が必要な場合はCRM Analyticsが有効です。自社の分析ニーズに応じて判断してください。

Q: CRM Analyticsの学習方法は? A: Salesforce公式の無料学習プラットフォーム「Trailhead」で体系的に学習できます。Analytics Studioの操作方法から実践的なダッシュボード作成まで、ハンズオン形式で習得可能です。

Q: 導入にどれくらいのコストがかかりますか? A: ライセンス費用と導入支援費用が発生し、エディション・データボリュームにより変動します。導入前にROI(投資対効果)を検討し、複数の導入支援パートナーから見積もりを取得することを推奨します。

よくある質問

Q1CRM AnalyticsとTableau CRMの違いは何ですか?

A1同じ製品です。Tableau CRMは旧称で、現在はCRM Analyticsに改称されています。Einstein Analyticsも同様に統合されています。

Q2標準のレポート・ダッシュボードで十分ではないですか?

A2定型レポートが中心でデータ量が少ない場合は標準機能で十分です。大量データの高速処理、AI予測、高度な可視化が必要な場合はCRM Analyticsが有効です。

Q3CRM Analyticsの学習方法は?

A3Salesforce公式の無料学習プラットフォーム「Trailhead」で体系的に学習できます。ハンズオン形式で実践的なスキルを習得可能です。

Q4導入にどれくらいのコストがかかりますか?

A4ライセンス費用と導入支援費用が発生し、エディション・データボリュームにより変動します。導入前にROIを検討し、見積もりを取得することを推奨します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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