Salesforceの標準レポートでは、営業データの分析に限界を感じていませんか?
Salesforceを導入しているB2B企業の営業マネージャーやデータ分析担当者の多くが、「標準のレポート・ダッシュボードでは、大量のデータを高速に分析できない」「売上予測の精度を上げたい」「より高度な可視化がしたい」といった課題を抱えています。
こうしたニーズに応えるのがCRM Analyticsです。この記事では、CRM Analyticsとは何か、標準機能との違い、実践的な活用方法から導入手順まで解説します。
この記事のポイント:
- CRM AnalyticsはAI搭載のSalesforce分析プラットフォームで、大量データの高速処理と予測分析が可能
- 標準レポート・ダッシュボードでは対応しきれない高度な分析ニーズに対応
- 導入企業ではレポート作成時間を2-3週間からほぼゼロに短縮した事例も
- データ品質の維持と学習コストへの対応が成功の鍵
CRM Analyticsとは?Salesforceデータ分析の新標準
CRM Analyticsは、Salesforceが提供するAI搭載の分析プラットフォームです。Salesforceに蓄積された顧客データや営業データを高度に分析・可視化し、データドリブンな意思決定を支援します。
(1) AI搭載のSalesforce分析プラットフォームの概要
CRM Analyticsは、単なるレポートツールではなく、BIツール(Business Intelligence)として位置づけられています。Salesforceで得た顧客データを分析するための専用プラットフォームであり、以下のような特徴があります。
CRM Analyticsの主な特徴:
- Salesforceとの直接連携: データのインポート・エクスポートが不要
- AI(Einstein)による予測分析: 売上予測、成約確度の算出
- 大量データの高速処理: 数百万件のデータでも高速にクエリ実行
- 高度な可視化機能: インタラクティブなダッシュボード作成
- モバイル対応: 外出先からもデータにアクセス可能
Salesforce公式のサクセスナビによると、CRM AnalyticsはEinstein AnalyticsとTableauの機能が統合されたプラットフォームとして位置づけられています。
(2) 名称変更の経緯(Einstein Analytics→Tableau CRM→CRM Analytics)
CRM Analyticsは、何度か名称変更を経ています。この経緯を理解しておくと、過去の情報を参照する際に混乱を避けられます。
名称変更の経緯:
- Einstein Analytics(旧称): Salesforce独自のAI分析ツールとして提供
- Tableau CRM(2020年頃): SalesforceがTableau社を買収後、製品統合に伴い改称
- CRM Analytics(現在): 現在の正式名称
このため、「Tableau CRM」や「Einstein Analytics」という名称で言及されている記事や資料は、現在のCRM Analyticsと同じ製品を指していると考えて問題ありません。
標準レポート・ダッシュボードとの違い
Salesforceには標準でレポート・ダッシュボード機能が搭載されています。CRM Analyticsを導入すべきかどうかは、標準機能との違いを理解した上で判断することが重要です。
(1) 大量データの高速処理能力
標準のレポート・ダッシュボードは、日常的な業務レポートには十分な機能を持っています。しかし、データ量が増加すると、処理速度やパフォーマンスに課題が出てくることがあります。
CRM Analyticsの強み:
- 数百万件規模のデータでも高速にクエリ実行
- 複数のオブジェクトを横断した複雑な分析が可能
- リアルタイムに近いデータ更新と分析
標準機能で十分なケース:
- 月次・週次の定型レポートが中心
- データ量が比較的少ない(数万件程度)
- シンプルな集計・グラフ作成が目的
(2) AIによる予測分析機能
CRM Analyticsの大きな差別化ポイントは、AI(Einstein)による予測分析機能です。
予測分析でできること:
- 売上予測: 過去のデータパターンから将来の売上を予測
- 成約確度の算出: 商談ごとの成約可能性をスコア化
- 顧客の離反予測: 解約リスクの高い顧客を事前に検知
- レコメンデーション: 次に取るべきアクションの提案
2024年のCRM市場では、生成AI(チャットボット、予測分析、コンテンツ作成)が最大のトレンドとなっており、65%の企業がすでに生成AI搭載のCRMシステムを導入しているとされています(WPForms「CRM Statistics 2024」より)。
(3) 高度な可視化・インタラクティブ機能
標準のダッシュボードでも基本的なグラフは作成できますが、CRM Analyticsではより高度な可視化が可能です。
CRM Analyticsの可視化機能:
- ドリルダウン・ドリルアップによる階層的な分析
- フィルタリングやセグメント切り替えのインタラクティブ操作
- 地図上でのデータ可視化
- 時系列データのトレンド分析
- カスタムチャートの作成
CRM Analyticsの主要機能と活用シーン
CRM Analyticsを実際にどのように活用できるのか、具体的なユースケースを紹介します。
(1) 売上予測・パイプライン分析
営業マネージャーにとって最も重要な活用シーンの一つが、売上予測とパイプライン分析です。
売上予測の活用例:
- 四半期・年間の売上着地予測
- 商談ステージ別の進捗状況把握
- 営業担当者別のパフォーマンス比較
- 目標達成に必要なアクションの特定
パイプライン分析の活用例:
- 商談の滞留期間分析
- ボトルネックとなっているステージの特定
- 案件の優先度付け
- 予測精度の向上
(2) 顧客セグメント分析
マーケティング部門やカスタマーサクセス部門では、顧客セグメント分析が有効です。
顧客セグメント分析の活用例:
- 業種・企業規模別の顧客分布
- 購買パターン・利用頻度の分析
- 顧客ライフタイムバリュー(LTV)の算出
- アップセル・クロスセルの機会特定
- 解約リスクの高い顧客の早期発見
(3) Analytics Studioの操作方法
CRM Analyticsの操作は、Analytics Studioというインターフェースで行います。
Analytics Studioの基本操作:
- CRM Analyticsの設定完了後、ホーム画面から「Analytics Studio」をクリック
- データセットの作成・インポート
- レンズ(データの絞り込み・集計)の作成
- ダッシュボードの作成・編集
- 共有・アクセス権限の設定
ADXCの解説によると、Analytics Studioを使用してデータ加工からダッシュボード作成までの一連のフローを実践することが推奨されています。
導入事例と効果(時間短縮・コスト削減)
実際にCRM Analyticsを導入した企業では、どのような効果が得られているのでしょうか。
(1) レポート作成時間を2-3週間からほぼゼロに短縮した事例
株式会社ユーザベースの導入事例(Tableau公式サイトより)では、以下のような効果が報告されています。
導入効果:
- レポート・ダッシュボード作成時間: 2-3週間 → ほぼゼロ
- マネージャー1人あたりの工数削減: 月数十時間
- データドリブン文化の醸成
この事例では、従来は複数のシステムからデータを抽出・加工してレポートを作成していたのが、CRM Analyticsの導入によりSalesforceのデータを直接分析できるようになり、大幅な時間短縮を実現しています。
(2) データ分析の内製化によるコスト削減
toBeマーケティング株式会社の資料によると、CRM Analytics導入により外部委託していたデータ分析を内製化することで、以下の効果が期待できるとされています。
内製化のメリット:
- 外部委託コストの削減
- 分析スピードの向上(依頼から納品までのリードタイム短縮)
- 自社のビジネスに精通した担当者による分析
- 分析ノウハウの社内蓄積
ただし、内製化には従業員のトレーニングが必要で、学習コストと時間が発生する点は考慮が必要です。
導入手順と注意点
CRM Analyticsの導入を検討する際に押さえておくべきポイントを解説します。
(1) エディション別の利用可否と追加料金
CRM Analyticsは、Salesforceの全てのエディションで利用できるわけではありません。また、追加ライセンスが必要な場合があります。
導入前の確認事項:
- 現在利用しているSalesforceエディションでの利用可否
- 追加ライセンス費用の確認
- データボリューム(行数)の制限
- 導入支援サービスの費用
ライセンス費用と導入支援費用はエディション・データボリュームにより変動するため、導入前にROI(投資対効果)を検討し、見積もりを取得することが推奨されます。
(2) データ品質の重要性とメンテナンス
CRM Analyticsを効果的に活用するためには、分析の元となるデータの品質が重要です。
データ品質の重要性:
- 不正確なデータは誤った分析結果につながる(「ゴミデータではインサイトが得られない」)
- AIによる予測機能を活用するには、十分な量と質のデータが必要
- 継続的なデータメンテナンス(重複削除、項目統一)が必要
データ品質向上のアクション:
- データ入力ルールの策定と徹底
- 定期的なデータクレンジング
- データオーナーの明確化
- 入力漏れ・入力ミスの検知ルールの設定
(3) Trailheadでの学習リソース
CRM Analyticsの学習には、Salesforce公式の無料オンライン学習プラットフォーム「Trailhead」が有効です。
Trailheadの特徴:
- 無料で利用可能
- 体系的なカリキュラム(初心者から上級者まで)
- ハンズオン形式の実践学習
- バッジ・ポイント制度によるモチベーション維持
- CRM Analytics専用のラーニングパス
Trailheadを活用することで、外部研修に依存せず、社内でCRM Analyticsのスキルを習得できます。
まとめ:CRM Analytics活用の次のステップ
CRM AnalyticsはAI搭載のSalesforce分析プラットフォームであり、標準のレポート・ダッシュボードでは対応しきれない高度な分析ニーズに応えます。大量データの高速処理、AIによる予測分析、高度な可視化機能により、データドリブンな意思決定を支援します。
次のアクション:
- 自社の分析ニーズを整理する(標準機能で十分か、高度な分析が必要か)
- 現在のSalesforceエディションでの利用可否を確認する
- Trailheadで基本を学習する(無料)
- 導入費用とROIを検討する
- データ品質の現状を把握し、改善計画を立てる
CRM Analytics市場は2024年の89.4億ドルから2031年には209.5億ドルに成長する見込み(CAGR 11.23%、Verified Market Research調べ)とされており、今後もデータ分析の重要性は高まっていくと考えられます。自社のデータ活用レベルを引き上げるために、CRM Analyticsの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q: CRM AnalyticsとTableau CRMの違いは何ですか? A: 同じ製品です。Tableau CRMは旧称で、現在はCRM Analyticsに改称されています。Einstein Analyticsも同様にCRM Analyticsに統合されました。過去の資料で異なる名称が使われていても、同じ製品を指しています。
Q: 標準のレポート・ダッシュボードで十分ではないですか? A: 月次・週次の定型レポートが中心で、データ量も比較的少ない場合は標準機能で十分です。大量データの高速処理、AI予測、高度な可視化が必要な場合はCRM Analyticsが有効です。自社の分析ニーズに応じて判断してください。
Q: CRM Analyticsの学習方法は? A: Salesforce公式の無料学習プラットフォーム「Trailhead」で体系的に学習できます。Analytics Studioの操作方法から実践的なダッシュボード作成まで、ハンズオン形式で習得可能です。
Q: 導入にどれくらいのコストがかかりますか? A: ライセンス費用と導入支援費用が発生し、エディション・データボリュームにより変動します。導入前にROI(投資対効果)を検討し、複数の導入支援パートナーから見積もりを取得することを推奨します。
