Salesforceのデータ分析に限界を感じていませんか?
Salesforceを導入している企業の多くが、標準レポート機能だけではビジネスの全体像を把握しきれないという課題を抱えています。「複雑な分析がしたいのに機能が足りない」「外部データと組み合わせたいのに難しい」「AIを活用した予測分析を試したい」といった声は珍しくありません。
この記事では、Salesforceの高度な分析プラットフォームである「CRM Analytics Plus」の機能・料金・活用方法を、Tableauとの比較を交えながら解説します。
この記事のポイント:
- CRM Analytics PlusはSalesforceデータに特化したAI駆動の分析プラットフォーム
- 月額$165/ユーザー(年間契約)でEinstein予測分析とDiscovery機能が利用可能
- データがSalesforce中心ならCRM Analytics Plus、外部データが多い場合はTableauが適している
- 業界別プリビルトアプリで初期導入を加速できる
- 導入には1-3ヶ月の準備期間とライセンス・権限設定が必要
CRM Analytics Plusの基礎知識
(1) CRM Analytics Plusとは
CRM Analytics Plusは、Salesforceが提供するクラウドベースのビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームです。Salesforce CRMのワークフロー内で直接、視覚的インサイト、AI駆動の予測、業界・役割別の既製ダッシュボードを利用できます。
主な特徴:
- AI駆動の予測分析: Einstein Prediction BuilderとEinstein Discovery for Reportsにより、ノーコードで統計モデリングと機械学習による予測を実現
- 業界別ソリューション: 金融、製造、ヘルスケア、教育など業界別テンプレートを提供
- Salesforce統合: ワークフロー内でリアルタイムの運用データとインサイトを提供
- データ統合: Data Prep Recipesで複数データソース(CRM、ERP、データウェアハウス等)を統合
※この記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の料金・機能はSalesforce公式サイトでご確認ください。
(2) 製品の進化の歴史
CRM Analytics Plusは、過去に複数回の製品名変更を経ています:
- Wave Analytics(初期)
- Einstein Analytics(AI機能強化時)
- Tableau CRM(Salesforce買収後)
- CRM Analytics(現在)
古いドキュメントやレビューを参照する際は、これらの旧称で記載されている場合があるため注意が必要です。
(3) CRM Analytics GrowthとPlusの違い
CRM Analyticsには複数のプランがあり、主な違いは以下の通りです:
CRM Analytics Plus:
- Einstein Discovery for Reports(旧Einstein Data Insights)が追加
- AI統計分析機能が強化されている
- 月額$165/ユーザー(年間契約)
- ビジネスユーザーがノーコードでAIと統計分析を活用できる
CRM Analytics Growth:
- 基本的な分析機能を提供
- Einstein Discovery for Reportsは含まれない
- より低価格帯のプラン
自社のAI分析ニーズとROIを評価した上で、適切なプランを選択することが重要です。
Salesforceデータ分析の課題とCRM Analytics Plusの役割
(1) 標準レポート機能の限界
Salesforceの標準レポート機能は、基本的なデータ集計や可視化には十分ですが、以下のような制約があります:
- 複雑な分析: 複数オブジェクトを横断した高度な分析が難しい
- 外部データ統合: Salesforce外のデータとの組み合わせに制限がある
- 予測分析: 将来の予測や傾向分析の機能が限定的
- カスタマイズ性: ダッシュボードの自由度が低い
(2) CRM Analytics Plusによる高度な分析
CRM Analytics Plusは、これらの課題を以下の方法で解決します:
- 複数ソースのデータ統合: Salesforce CRM、ERP、データウェアハウスなどからデータを集約し、信頼性の高い統合データを作成
- Einstein AI: 統計モデリングと機械学習により、売上予測、顧客離脱リスク特定、マーケティング最適化などを実現
- インタラクティブなダッシュボード: ドリルダウン、フィルタリング、カスタム表示が可能
- パフォーマンス最適化: キャッシングとダッシュボードインスペクターで高速なレスポンスを維持
CRM Analytics Plusの主要機能
(1) AI駆動の予測分析
Einstein Prediction Builder:
- ノーコードでビジネス予測を構築
- 売上予測、離脱リスク、コンバージョン確率などを算出
- 営業やマーケティング担当者が自分で予測モデルを作成可能
Einstein Discovery for Reports:
- 表形式および要約レポートをAIと統計分析で解析
- ビジネスフレンドリーなツールで専門知識不要
- 処方的インサイト(「なぜこうなったか」「何をすべきか」)を提供
(2) 業界別プリビルトアプリとダッシュボード
AppExchangeから以下の業界別テンプレートをインストールできます:
- Sales Analytics: 売上パイプライン、営業実績の可視化
- Service Analytics: カスタマーサポートの品質指標、応答時間
- 業界別テンプレート: 金融サービス、製造、自動車、通信、エネルギー、消費財、ヘルスケア、教育、メディア
既製のダッシュボードとテンプレートを活用することで、初期導入を数週間から数ヶ月短縮できる場合があります。
(3) データ統合機能(Data Prep Recipes)
Data Prep Recipesを使用すると、以下が可能です:
- 複数ソースの統合: Salesforce、ERP、データウェアハウスなどからデータを取得
- データクレンジング: 重複排除、欠損値処理、形式統一
- 自動実行: スケジュール設定で定期的にデータを更新
- Staged Data: 2024年のWinter '24リリースで追加された機能で、複数のデータレシピを迅速に実行
(4) Salesforceワークフローへの組み込み
CRM Analytics Plusは、Salesforce CRMのワークフロー内に直接組み込まれるため:
- 営業担当者がCRMを離れることなくインサイトにアクセス
- リアルタイムのデータに基づいた意思決定が可能
- Salesforceのロール階層と権限を継承し、セキュリティを維持
CRM Analytics PlusとTableauの比較・使い分け
(1) それぞれの特徴と適したユースケース
CRM Analytics Plus:
- 組み込み型: Salesforceワークフロー内で利用
- リアルタイム運用データ: 営業・サポートの現場でのアクション支援
- 適したケース: データの大部分がSalesforceにある場合
Tableau:
- スタンドアロンBI: 独立したBI環境
- セルフサービス型: データアナリストや経営層向けの柔軟な分析
- 適したケース: 外部データソースが多い場合、経営レベルのレポート
(2) データソース所在による選定基準
CRM Analytics Plusを選ぶべきケース:
- 顧客データの80%以上がSalesforceにある
- 営業・サポートチームがリアルタイムでインサイトを必要としている
- Salesforceワークフロー内で完結させたい
- AI予測分析をノーコードで実現したい
Tableauを選ぶべきケース:
- 複数の外部データソース(会計システム、マーケティングツール、IoTデータ等)を統合する必要がある
- 経営層や戦略部門向けの高度な分析が中心
- Salesforce以外のデータが分析の主対象
- セルフサービスBIでデータアナリストが自由に分析したい
(3) 運用データとレポートの違い
CRM Analytics Plus(運用データ):
- 日々の営業・マーケティング活動をサポート
- リアルタイム性を重視
- アクションに直結するインサイト
Tableau(レポート):
- 月次・四半期レポート、経営判断材料
- 過去データの傾向分析
- 経営層へのプレゼンテーション資料
どちらか一方ではなく、両方を併用する企業も少なくありません。
導入方法と料金体系
(1) 料金プラン
CRM Analytics Plus:
- 月額$165/ユーザー(年間契約)
- Einstein PredictionsとEinstein Discovery for Reportsが含まれる
- 年間契約が必要なため、ROIを慎重に評価する必要がある
※この価格は執筆時点(2025年11月)のものです。最新の価格はSalesforce公式価格ページでご確認ください。
(2) 導入ステップ
Step 1: ビジネス目標を定義
- 売上追跡、顧客離脱リスク特定、マーケティング最適化など、達成したい目標を明確化
- KPI設定(ダッシュボード利用頻度、意思決定スピード、分析時間短縮等)
Step 2: ライセンスと権限を設定
- CRM Analytics AdminまたはCRM Analytics Userパーミッションセットを付与
- 適切に設定しないとユーザーがアクセスできない問題が発生
Step 3: プリビルトアプリをインストール
- AppExchangeからSales AnalyticsやService Analyticsをインストール
- 業界別テンプレートで初期導入を加速
Step 4: ダッシュボードを作成・カスタマイズ
- 自社のビジネスプロセスに合わせてダッシュボードを調整
- クエリ構築、インタラクティビティ追加
Step 5: パフォーマンスを最適化
- キャッシングを活用
- ダッシュボードインスペクターを実行してボトルネックを特定
導入準備として1-3ヶ月の設定期間が一般的です。
(3) パーミッションと権限設定の注意点
- CRM Analytics Admin: 管理者権限、ダッシュボード作成・編集が可能
- CRM Analytics User: 閲覧・利用権限
- Salesforceのロール階層と権限を継承するため、既存の権限設定との整合性を確認する必要があります
まとめ:自社に適した選択肢の見極め方
CRM Analytics Plusは、Salesforceデータを中心とした高度な分析とAI予測を求める企業に適しています。一方、外部データソースが多い場合や経営レベルの分析にはTableauが選択肢となります。
次のアクション:
- 自社のデータソースの所在を整理する(Salesforce中心か、外部データが多いか)
- ビジネス目標を明確にする(リアルタイム運用データか、経営レポートか)
- 予算を評価する(月額$165/ユーザーのROIを試算)
- Salesforce公式サイトで最新情報を確認する
- デモや無料トライアル(利用可能な場合)で実際の操作性を試す
製品名の変更履歴(Wave → Einstein Analytics → Tableau CRM → CRM Analytics)を把握し、古いドキュメントを参照する際は注意しましょう。自社の状況に応じて適切に評価し、データ分析の効率化と意思決定の高速化を実現してください。
