法人営業で「コーポレートセールス」という言葉を聞いたけれど、どういう意味だろう...
B2B企業の営業職に携わっている方や、これから法人営業を目指す方にとって、「コーポレートセールス」という用語を耳にする機会が増えています。しかし「どんな仕事内容なのか?」「他の営業職との違いは?」「どんなスキルが必要なのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コーポレートセールスの定義、役割、求められるスキル、キャリアパスを体系的に解説します。
この記事のポイント:
- コーポレートセールスは法人向け営業全般を指す用語で、エンタープライズセールス(大企業向け)とSMBセールス(中小企業向け)に分類される
- エンタープライズセールスは商談期間が3ヶ月~1年以上、ステークホルダーが数十~数百人と多い
- SMBセールスはリードから商談・クローズまで関わるのは5名程度で短期間で完結
- The Model型営業(分業化)とエンタープライズセールス(一人完結)では営業プロセスが大きく異なる
- 求められるスキルは提案力・関係構築力・業界知識・戦略思考・コミュニケーション力の5つ
1. コーポレートセールスとは【定義と用語の整理】
(1) コーポレートセールスの定義(法人営業全般)
コーポレートセールス(Corporate Sales)とは、法人(企業)を顧客とする営業活動全般を指す用語です。個人向け営業(B2C)ではなく、企業向け営業(B2B)を意味します。
コーポレートセールスの範囲:
- 大企業向け営業(エンタープライズセールス)
- 中小企業向け営業(SMBセールス)
- パートナーセールス(代理店・アライアンス営業)
- インサイドセールス(内勤営業)
- フィールドセールス(外勤営業)
ただし、日本では「コーポレートセールス」という用語は一般的でなく、「法人営業」「エンタープライズセールス」「SMBセールス」などより具体的な用語が使われることが多いです。
(2) 日本での用語の使われ方(一般的でない背景)
日本のビジネスシーンでは、「コーポレートセールス」よりも以下の用語が一般的です:
よく使われる用語:
- 法人営業: 企業向け営業全般
- エンタープライズセールス: 大企業向け営業
- SMB営業: 中小企業向け営業
- ソリューション営業: 課題解決型の営業手法
「コーポレートセールス」という用語は、外資系企業やグローバル企業で使われることが多く、日本企業では「法人営業」と呼ばれるのが一般的です。
(3) なぜコーポレートセールスが注目されるのか
近年、コーポレートセールス(法人営業)が注目される理由は以下の通りです:
注目される理由:
- サブスクリプションビジネスの拡大: SaaSなど継続課金型ビジネスが増加
- 営業の分業化: The Model型営業(マーケティング→IS→FS→CS)の普及
- デジタルマーケティングとの連携: 営業とマーケティングの融合
- 市場価値の上昇: エンタープライズセールス人材の需要増加
2025年問題(労働力不足)により、インサイドセールス体制の強化とWeb営業の増加が進んでおり、法人営業のあり方が変化しています。
2. コーポレートセールスの分類【エンタープライズとSMB】
(1) エンタープライズセールス(大企業向け)の特徴
エンタープライズセールスとは、大企業や公的機関など大規模組織をターゲットにした営業手法です。
エンタープライズセールスの特徴:
- 商談期間: 3ヶ月~1年以上
- ステークホルダー数: 数十~数百人
- 契約単価: 数百万円~数億円
- 営業プロセス: 拡散型(初期接点から徐々に関係者を増やす)
- 商談の複雑さ: 意思決定プロセスが複雑で、部門間調整が必要
エンタープライズセールスの例:
- 大企業向けSaaS導入(Salesforce、Adobe、Oracle等)
- 基幹システム刷新(ERP、CRM等)
- コンサルティングサービス
エンタープライズセールスでは、ステークホルダーが数十~数百人と多く、商談期間が長いため、複雑な調整力と戦略思考が求められます。
(2) SMBセールス(中小企業向け)の特徴
SMBセールス(Small and Medium Business Sales)とは、中小企業向けの営業手法です。
SMBセールスの特徴:
- 商談期間: 数週間~3ヶ月程度
- ステークホルダー数: 5名程度(社長・部長・担当者等)
- 契約単価: 数万円~数百万円
- 営業プロセス: 絞り込み型(初期段階で対象を絞り込む)
- 商談の複雑さ: 意思決定が早く、シンプル
SMBセールスの例:
- 中小企業向けSaaS導入(freee、kintone、Chatwork等)
- Webマーケティングツール
- クラウド会計ソフト
SMBセールスでは、リードから商談・クローズまで関わるのは5名程度で、短期間で完結します。
(3) 商談期間・ステークホルダー数の違い
エンタープライズセールスとSMBセールスの違いを表にまとめます:
| 項目 | エンタープライズセールス | SMBセールス |
|---|---|---|
| 対象企業 | 大企業(従業員500名以上) | 中小企業(従業員500名以下) |
| 商談期間 | 3ヶ月~1年以上 | 数週間~3ヶ月 |
| ステークホルダー | 数十~数百人 | 5名程度 |
| 契約単価 | 数百万円~数億円 | 数万円~数百万円 |
| 意思決定 | 複雑(稟議・承認プロセス) | シンプル(社長決裁が多い) |
どちらが難しいかと言えば、エンタープライズセールスの方が高度なスキルが必要です。ステークホルダーが多く、商談期間が長いため、複雑な調整力と戦略思考が求められます。
(4) 絞り込み型と拡散型プロセスの違い
絞り込み型プロセス(SMBセールス):
- 初期段階で対象を絞り込む
- リード獲得→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスと分業
- The Model型営業が適用されやすい
拡散型プロセス(エンタープライズセールス):
- 初期接点から徐々に関係者を増やす
- 一人の営業が全プロセスを担当することが多い
- 長期的な関係構築が重視される
The Model型営業は「絞り込み型プロセス」、エンタープライズセールスは「拡散型プロセス」が基本です。
3. 他の営業職との違い【フィールドセールス・インサイドセールス・The Model】
(1) フィールドセールスとの違い(対面営業の役割)
フィールドセールスとは、顧客先を訪問して対面で行う営業活動です。
フィールドセールスの役割:
- 商談のクロージング(契約締結)
- 対面での関係構築
- デモンストレーション・プレゼンテーション
- 顧客のニーズヒアリング
コーポレートセールスとの関係: コーポレートセールス(法人営業全般)の中で、対面営業を担当するのがフィールドセールスです。The Model型営業では、フィールドセールスは商談のクロージングに特化します。
(2) インサイドセールスとの違い(内勤営業の役割)
インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議などで内勤で行う営業活動です。
インサイドセールスの役割:
- リードの育成(ナーチャリング)
- 商談化(アポイント獲得)
- 初期ヒアリング
- オンライン商談(Web会議)
コーポレートセールスとの関係: コーポレートセールス(法人営業全般)の中で、内勤営業を担当するのがインサイドセールスです。The Model型営業では、インサイドセールスはリード育成と商談化を担います。
(3) The Model型営業との違い(分業化プロセス)
The Model型営業とは、マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスの4段階に分業化した営業手法です。
The Modelの4段階:
- マーケティング: リード獲得
- インサイドセールス: リード育成・商談化
- フィールドセールス: 商談クロージング
- カスタマーサクセス: 顧客の成功支援・解約防止
エンタープライズセールスとの違い:
- The Model型営業: SMBセールスに適用されやすい、分業化
- エンタープライズセールス: 一人の営業が全プロセスを担当、長期的な関係構築
The Model型営業は全ての企業に適用できるわけではなく、事業規模・業種により適用可否が異なります。
(4) パートナーセールスとの違い(代理店・アライアンス)
パートナーセールスとは、代理店やアライアンス企業を通じて行う営業手法です。
パートナーセールスの特徴:
- 代理店・アライアンス企業との連携
- 間接販売(自社が直接販売しない)
- パートナー企業への支援・教育
コーポレートセールスとの関係: コーポレートセールス(法人営業全般)の一形態として、パートナーセールスがあります。自社で直接販売せず、パートナー企業を通じて販売するモデルです。
4. コーポレートセールスに求められるスキル【5つの重要能力】
(1) 提案力(顧客課題の発見と解決策の提示)
法人営業では、顧客の課題を発見し、適切な解決策を提案する能力が求められます。
提案力の要素:
- 顧客の課題を深掘りするヒアリング力
- 課題に対する最適なソリューションの提示
- 費用対効果(ROI)の明確化
- 競合との差別化ポイントの説明
製品・サービスの機能説明だけでなく、顧客の課題解決にどう貢献できるかを提案することが重要です。
(2) 関係構築力(長期的な信頼関係)
B2B営業は、長期的な信頼関係の構築が不可欠です。
関係構築力の要素:
- 定期的なコミュニケーション
- 顧客の成功を支援する姿勢
- 誠実な対応(約束を守る)
- 顧客の事業成長に貢献する情報提供
特にエンタープライズセールスでは、商談期間が長く、複数のステークホルダーとの関係構築が必要です。
(3) 業界知識(顧客のビジネス理解)
顧客の業界を深く理解することで、より的確な提案ができます。
業界知識の要素:
- 業界のトレンド・課題の把握
- 顧客の競合状況の理解
- 業界特有の規制・制約の知識
- 成功事例・失敗事例の蓄積
業界知識があると、顧客と同じ視点で話せるため、信頼関係が構築しやすくなります。
(4) 戦略思考(複雑なステークホルダー管理)
エンタープライズセールスでは、複数のステークホルダーを管理する戦略思考が必要です。
戦略思考の要素:
- ステークホルダーマップの作成(誰が意思決定者か)
- 各ステークホルダーの関心事の把握
- 社内合意形成のプロセス理解
- リスク管理(案件が失注しないための対策)
ステークホルダーが数十~数百人いる場合、誰をどのタイミングで巻き込むかを戦略的に考える必要があります。
(5) コミュニケーション力(社内外の調整)
法人営業では、社内外の多くの関係者と調整するコミュニケーション力が求められます。
コミュニケーション力の要素:
- 分かりやすい説明(専門用語を避ける)
- 傾聴力(顧客の本音を引き出す)
- 社内調整(エンジニア・サポート部門との連携)
- プレゼンテーション力(経営層への提案)
特にエンタープライズセールスでは、経営層へのプレゼンテーションが必要になるため、説得力のあるコミュニケーションが重要です。
5. コーポレートセールスのキャリアパスと市場価値【2025年トレンド】
(1) エンタープライズセールスの市場価値上昇
エンタープライズセールスの市場価値が上昇している背景には、以下の理由があります:
市場価値上昇の理由:
- 大型案件を扱える人材が不足
- SaaS企業の成長により需要が増加
- 高度なスキルが必要で希少性が高い
- 契約単価が大きく、企業への貢献度が高い
エンタープライズセールス経験者は、急成長企業で求められる営業スキルとして注目されています。
(2) 急成長企業での需要増加
急成長しているSaaS企業では、エンタープライズセールス人材の需要が高まっています。
需要が高い理由:
- スタートアップ→成長期への移行時に大企業向け営業が必要
- SMBセールスから脱却し、契約単価を上げる必要
- エンタープライズセールスのノウハウを持つ人材が少ない
キャリアとしては、SMBセールス→エンタープライズセールスとステップアップする道があります。
(3) デジタルマーケティングとの連携スキル
2025年のトレンドとして、デジタルマーケティングとの連携スキルが重視されています。
求められるスキル:
- CRM/SFAツールの活用(Salesforce、HubSpot等)
- マーケティングオートメーション(MA)の理解
- データ分析力(リードスコアリング等)
- Web営業の手法(オンライン商談)
デジタルマーケティングとの連携により、営業部署に頼らない体制整備が進んでいます。
(4) キャリアパスの選択肢(営業マネージャー・カスタマーサクセス等)
コーポレートセールスのキャリアパスには、以下の選択肢があります:
キャリアパスの例:
- 営業マネージャー: チームマネジメント、KPI管理
- カスタマーサクセス: 顧客の成功支援、解約防止
- パートナーセールス: 代理店・アライアンス営業
- 事業企画: 営業戦略立案、新規事業開発
- セールスイネーブルメント: 営業組織の仕組み化・教育
営業経験を活かして、カスタマーサクセスやパートナーセールスに転向する人も増えています。
6. まとめ:コーポレートセールスで成功する3つのポイント
コーポレートセールスは法人向け営業全般を指す用語で、エンタープライズセールス(大企業向け)とSMBセールス(中小企業向け)に分類されます。エンタープライズセールスは商談期間が長く、ステークホルダーが多いため、高度なスキルが求められます。
成功する3つのポイント:
エンタープライズとSMBの違いを理解する
- 商談期間、ステークホルダー数、営業プロセスが大きく異なる
- 自社の顧客層に応じた営業手法を選択
5つの重要スキルを磨く
- 提案力、関係構築力、業界知識、戦略思考、コミュニケーション力
- 特にエンタープライズセールスでは戦略思考が重要
デジタルマーケティングとの連携スキルを身につける
- CRM/SFA、MAツールの活用
- データ分析力とWeb営業の手法
- 2025年以降の市場価値を高める
次のアクション:
- 自社の顧客層を確認し、エンタープライズかSMBか明確にする
- 必要なスキルを洗い出し、優先順位をつけて学習する
- デジタルツール(CRM/SFA等)の活用スキルを習得する
- 業界知識を深めるため、顧客の事業を研究する
日本では「コーポレートセールス」という用語は一般的でなく、「法人営業」「エンタープライズセールス」「SMBセールス」などより具体的な用語が使われます。自社の営業スタイルに合った用語を理解し、適切なスキルを身につけることが重要です。
※企業によりコーポレートセールスの定義は異なる場合があります。求人応募時は職務内容を詳しく確認してください。
