ワークフロークラウドとは?導入メリットと選び方のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

ワークフロークラウドとは:定義とクラウド型の特徴

「紙の申請書や承認フローをデジタル化したいけれど、システム構築にコストや時間がかかりそう...」B2B企業の総務・情シス担当者やDX推進担当者の多くが、こうした悩みを抱えているのではないでしょうか。

ワークフロークラウド(クラウド型ワークフローシステム)は、紙ベースの申請・承認業務をデジタル化し、業務効率化と内部統制強化を実現するソリューションとして注目されています。しかし、オンプレミス型との違いや、どのシステムを選べばよいのか、明確に理解している方は意外に少ないのが現状です。

この記事では、ワークフロークラウドの基礎知識からメリット・デメリット、主要システムの比較、導入時の注意点、成功事例まで、総務・情シス担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

この記事のポイント:

  • ワークフロークラウドはインターネット経由で利用、サーバー構築不要で即利用可能
  • 初期費用無料~50万円、月額250-500円/ユーザーと低コストで導入可能(オンプレミス型は初期費用100万~500万円)
  • メリットは低コスト・場所を選ばない利用・スマホ対応、デメリットはセキュリティ管理の制約
  • 2025年の導入動向:新規導入63.1%、従業員100名未満の中小企業が43.9%と最多
  • 導入前のPoC(概念実証)と既存システム連携の確認が成功の鍵

(1) ワークフローシステムとは:申請・承認業務のデジタル化

ワークフローシステムとは、決裁や稟議などの意思決定をシステム上から申請・承認できる専用システムです。

従来の紙ベースの課題:

課題 内容
時間のロス 承認者が不在だと承認が遅延、紙の回覧に時間がかかる
場所の制約 承認者が出張中・在宅勤務中は承認できない
進捗の不透明性 「今どこで止まっているか」が分からない
内部統制の弱さ 紙の改ざん・紛失リスク、履歴管理が困難
保管コスト 書類の保管スペース、ファイリングの手間

ワークフローシステムによる解決:

  • 申請: Webフォームから各種申請(経費精算、休暇申請、稟議書等)を入力
  • 承認: 設定された承認ルートに従い、承認者に自動通知
  • 進捗確認: リアルタイムで承認状況を確認可能
  • 履歴管理: すべての申請・承認履歴を自動記録、監査対応も容易
  • 検索: 過去の申請内容を簡単に検索・参照

ワークフローシステムは、業務効率化だけでなく、内部統制強化やコンプライアンス対応にも貢献します。

(2) クラウド型の特徴:インターネット経由で利用、サーバー構築不要

ワークフローシステムには、クラウド型(SaaS型)とオンプレミス型の2種類があります。

クラウド型(SaaS型)の特徴:

特徴 内容
サーバー不要 インターネット経由で利用、自社サーバーの構築・運用が不要
即利用可能 申し込み後すぐに利用開始、導入期間が短い(数日~数週間)
低コスト 初期費用が無料~50万円、月額制で予算管理が容易
運用負担小 ベンダーがシステム管理・アップデートを実施、自社の運用負担が軽減
場所を選ばない インターネット接続があればどこでも利用可能
スマホ・タブレット対応 外出先・在宅勤務でもスマートフォンから承認可能

クラウド型が適している企業:

  • 中小企業: 初期投資を抑えたい、IT専任担当者がいない
  • テレワーク導入企業: 場所を選ばない承認フローを実現したい
  • 迅速な導入を求める企業: 数日~数週間で運用開始したい
  • 複数拠点がある企業: 拠点間の承認フローを統一したい

クラウド型ワークフローは、低コスト・短期間で導入でき、運用負担も軽いため、特に中小企業に適しています。

(3) なぜクラウド型が注目されるのか:2025年の導入動向データ

ワークフローシステムの市場では、クラウド型へのシフトが加速しています。

2025年の導入動向(ITトレンド調査:2024年3月~2025年3月):

導入タイプ 割合
新規導入 63.1%
リプレイス(既存システムからの置き換え) 36.9%

従業員規模別の導入状況:

従業員規模 割合
100名未満 43.9%
100-250名 17.3%
250-500名 13.4%
1,000名以上 12.1%

従業員100名未満の中小企業が43.9%と最多で、クラウド型ワークフローが中小企業に広く受け入れられていることが分かります。

オンプレミスからクラウドへのシフト:

  • 金融機関・大企業でも、自社セキュリティ管理の限界とリスクを認識し、クラウド採用が増加
  • ベンダーのセキュリティ対策の方が、自社管理より強固な場合もある
  • テレワーク普及により、場所を選ばないクラウド型の需要が高まっている

最新トレンド:

  • AI・自動化機能の搭載:承認ルート自動設定、申請内容の自動チェック、過去データからの推奨値提示
  • 電子契約・電子印鑑との連携強化
  • 電子帳簿保存法への対応

※2025年の市場動向データは調査時点の情報であり、今後変動する可能性があります。

クラウド型とオンプレミス型の違い:コスト・導入期間・運用管理

クラウド型とオンプレミス型は、コスト、導入期間、運用管理の面で大きく異なります。自社の状況に応じた選択が重要です。

(1) 導入コストの違い:クラウド型(無料~50万円)vs オンプレミス型(100万~500万円)

初期費用の比較:

タイプ 初期費用 内訳
クラウド型 無料~50万円 アカウント開設費用、初期設定費用(簡易)
オンプレミス型 100万~500万円 サーバー購入費用、ライセンス費用、ネットワーク構築費用、カスタマイズ費用

クラウド型の初期費用が低い理由:

  • サーバー・インフラの構築が不要
  • ベンダーが提供する標準機能をそのまま利用
  • 初期設定が簡単(マニュアル・サポートあり)

オンプレミス型の初期費用が高い理由:

  • 自社内にサーバーを設置、ネットワークを構築
  • 自社の業務フローに合わせたカスタマイズ
  • 専門のSIベンダーによる構築作業

導入期間の比較:

タイプ 導入期間
クラウド型 数日~数週間
オンプレミス型 3ヶ月~6ヶ月

クラウド型は初期費用が圧倒的に低く、導入期間も短いため、迅速に業務改善を実現したい企業に適しています。

(2) 月額コストの違い:クラウド型(250-500円/ユーザー)vs オンプレミス型(5万~50万円)

月額費用(ランニングコスト)の比較:

タイプ 月額費用 内訳
クラウド型 250-500円/ユーザー 利用料、サーバー・システム管理費、バージョンアップ費用込み
オンプレミス型 5万~50万円(全体) サーバー運用・保守費用、ライセンス更新費用、バージョンアップ費用

具体的な試算例:

従業員100名の企業の場合:

  • クラウド型: 月額2.5万~5万円(250-500円 × 100名)
  • オンプレミス型: 月額5万~20万円(全体)

従業員1,000名の企業の場合:

  • クラウド型: 月額25万~50万円(250-500円 × 1,000名)
  • オンプレミス型: 月額10万~50万円(全体)

コストの逆転現象:

従業員数が多い大企業では、クラウド型の月額コストがオンプレミス型を上回る場合があります。長期的なコストを試算し、自社に適した選択をすることが重要です。

※クラウド型ワークフローの料金は変更の可能性があり、導入検討時は各ベンダーの公式サイトで最新価格を確認してください。

(3) 導入期間・運用管理の違い:即利用可能 vs カスタマイズ性

導入期間・運用管理の比較:

観点 クラウド型 オンプレミス型
導入期間 数日~数週間 3ヶ月~6ヶ月
カスタマイズ性 標準機能中心(一部カスタマイズ可) 自社業務に合わせて高度にカスタマイズ可
運用管理 ベンダーが実施(自社の負担軽減) 自社IT部門が実施(自由度高いが負担大)
バージョンアップ ベンダーが自動実施(常に最新版) 自社判断でタイミング決定(計画的実施可)
セキュリティ管理 ベンダーのポリシーに準拠 自社ポリシーで完全管理可
システム連携 API連携が一般的 高度な連携が可能

クラウド型のメリット:

  • 導入が早い(数日~数週間で運用開始)
  • 運用負担が軽い(ベンダーが管理)
  • 常に最新機能を利用可能

オンプレミス型のメリット:

  • 自社業務に完全に合わせたカスタマイズ
  • セキュリティポリシーを自社で完全管理
  • 既存システムとの高度な連携

選択の判断基準:

  • 迅速な導入を優先 → クラウド型
  • 自社業務への完全適合を優先 → オンプレミス型
  • 運用負担を軽減したい → クラウド型
  • セキュリティを自社で完全管理したい → オンプレミス型

自社の優先順位を明確にし、適切なタイプを選択することが重要です。

クラウドワークフローのメリットとデメリット:導入前に知るべきこと

クラウドワークフローには大きなメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。導入を検討する際は、両面を理解しておくことが重要です。

(1) メリット:低コスト導入、場所を選ばない利用、運用管理の簡素化、スマホ・タブレット対応

1. 低コスト導入

  • 初期費用が無料~50万円と低額
  • 月額制で予算管理が容易
  • サーバー購入・構築が不要

2. 場所を選ばない利用

  • インターネット接続があればどこでも利用可能
  • テレワーク、出張先、外出先でも承認可能
  • 複数拠点の承認フローを統一

3. 運用管理の簡素化

  • ベンダーがシステム管理・保守を実施
  • バージョンアップが自動(自社での作業不要)
  • IT専任担当者がいない中小企業でも運用可能

4. スマホ・タブレット対応

  • スマートフォン・タブレットから申請・承認が可能
  • プッシュ通知で承認依頼を即座に確認
  • 承認スピードが向上し、ビジネス機会損失を防止

5. 迅速な導入

  • 数日~数週間で運用開始
  • 業務改善を早期に実現

6. スケーラビリティ

  • ユーザー数の増減に柔軟に対応
  • 繁忙期だけユーザー数を増やすことも可能

7. 災害対策(BCP)

  • データがクラウド上に保存され、自社サーバーが被災しても業務継続可能
  • 複数のデータセンターでバックアップ

(2) デメリット:セキュリティ管理の制約、既存システム連携の制限、バージョンアップの制御不可

1. セキュリティ管理の制約

  • ベンダーのセキュリティポリシーに準拠する必要がある
  • 自社の既存セキュリティポリシーに対応できない可能性
  • 金融機関など高度なセキュリティ要件がある場合は事前確認が必須

リスク軽減策:

  • 導入前にベンダーのセキュリティ対策を確認(ISO 27001認証等)
  • 金融機関・大企業でも採用実績があるベンダーを選定

2. 既存システム連携の制限

  • API連携が主流だが、高度な連携は困難な場合がある
  • 既存の基幹システム(ERP、会計システム等)との連携可能性を事前確認
  • 連携できない場合、手作業でのデータ移行が必要

リスク軽減策:

  • 導入前に既存システムとの連携可否をベンダーに確認
  • PoC(概念実証)で実際に連携テストを実施

3. バージョンアップの制御不可

  • ベンダーが自動的にバージョンアップを実施
  • 機能追加・UI変更により、一時的に社内ヘルプデスク対応が増える可能性
  • 自社の都合に合わせたタイミングでのアップデートができない

リスク軽減策:

  • バージョンアップ時にベンダーから事前通知があるか確認
  • 操作マニュアルの更新、社内研修の実施計画を立てる

4. ランニングコストの継続

  • 月額費用が継続的に発生
  • ユーザー数が多い大企業では、長期的にオンプレミス型より高コストになる場合がある

リスク軽減策:

  • 3年・5年・10年の長期的なコストを試算
  • オンプレミス型とのコスト比較を実施

(3) クラウド型が向いている企業・向いていない企業

クラウド型が向いている企業:

  • 従業員100-500名程度の中小・中堅企業
  • 初期投資を抑えたい企業
  • テレワーク・複数拠点での利用を想定
  • IT専任担当者がいない、または少ない
  • 迅速な導入(数日~数週間)を求める企業
  • スマホ・タブレットから承認したい

オンプレミス型を検討すべき企業:

  • 従業員1,000名以上の大企業(長期的なコストメリットを重視)
  • 自社業務に完全に合わせた高度なカスタマイズが必要
  • 独自の厳格なセキュリティポリシーがある
  • 既存システムとの高度な連携が必須
  • IT部門のリソースが十分にある

判断のポイント:

  • 初期費用とランニングコストを3年・5年で試算
  • 自社のセキュリティポリシーとベンダーのポリシーの適合性を確認
  • 既存システム連携の必要性と実現可能性を評価
  • IT部門のリソースと運用負担を考慮

※セキュリティポリシーや既存システム連携の可否は企業の環境により異なるため、導入前のPoC(概念実証)が推奨されます。

主要システムの比較と選び方のポイント:機能・料金・実績

市場には多数のクラウドワークフローシステムがあります。主要システムの特徴と選び方のポイントを解説します。

(1) 主要クラウドワークフローシステム(X-point Cloud、コラボフロー、Create!Webフロー等)

主要システムの導入実績(2025年時点):

システム名 提供企業 導入実績 特徴
X-point Cloud / AgileWorks エイトレッド 5,000社以上 高いカスタマイズ性、大企業での実績多数
コラボフロー(Collaboflow) コラボスタイル 2,000社以上 Excelファイルを直接フォーム化可能、専用ソフト不要
Create!Webフロー インフォテック 1,100社以上 直感的なUI、導入・運用のしやすさ
楽々WorkflowII 住友電工情報システム 900社以上 柔軟な承認ルート設定、大企業向け
サイボウズ Office サイボウズ 多数 グループウェアとの統合、中小企業に人気
ジョブカンワークフロー Donuts 多数 低価格、勤怠管理システムとの連携

2025年レビュー数トップ5(ITトレンド):

順位 システム名 レビュー数 シェア
1位 サイボウズ Office 861件 39%
2位 ジョブカンワークフロー 172件 8%
3位 intra-mart 117件 5%
4位 楽々WorkflowII 100件 5%
5位 X-point Cloud 92件 4%

※レビュー数やシェア率が高いシステムが必ずしも自社に最適とは限りません。業種・規模・目的に応じた選定が重要です。

各システムの特徴:

X-point Cloud / AgileWorks:

  • 高度なカスタマイズ性
  • 大企業・金融機関での導入実績が豊富
  • 複雑な承認ルート設定が可能

コラボフロー(Collaboflow):

  • Excelファイルを直接Webフォーム化できる
  • 専用ソフトのインストールやプログラミング不要
  • 既存のExcel申請書をそのまま活用したい企業に最適

サイボウズ Office:

  • グループウェア機能(掲示板、スケジュール等)との統合
  • 中小企業に人気、使いやすいUI
  • 低価格で導入可能

ジョブカンワークフロー:

  • 低価格(月額300円/ユーザー~)
  • ジョブカン勤怠管理との連携が強力
  • 勤怠管理と併せて導入する企業が多い

(2) 従業員規模別の導入状況(100名未満43.9%、100-250名17.3%等)

従業員規模別の導入割合(2025年ITトレンド調査):

従業員規模 導入割合 適しているシステム
100名未満 43.9% サイボウズ Office、ジョブカンワークフロー、コラボフロー
100-250名 17.3% コラボフロー、Create!Webフロー、X-point Cloud
250-500名 13.4% X-point Cloud、楽々WorkflowII、intra-mart
1,000名以上 12.1% X-point Cloud、楽々WorkflowII、AgileWorks

企業規模別の選定ポイント:

100名未満の中小企業:

  • 低価格・使いやすさを重視
  • IT専任担当者がいない場合が多いため、運用が簡単なシステムを選択
  • グループウェア機能と統合されたシステムが人気

100-500名の中堅企業:

  • コストと機能のバランスを重視
  • 既存システムとの連携可能性を確認
  • ある程度のカスタマイズ性が求められる

1,000名以上の大企業:

  • 高度なカスタマイズ性とセキュリティを重視
  • 複雑な承認ルート設定が必要
  • 既存の基幹システム(ERP、会計システム等)との連携が必須
  • 長期的なコストを試算し、オンプレミス型とも比較

(3) 選び方のポイント:既存システム連携、セキュリティポリシー適合性、バージョンアップ対応

クラウドワークフローシステムの選定基準:

1. 既存システムとの連携可能性

連携先システム 確認ポイント
経費精算システム 経費精算の申請データを自動連携できるか
勤怠管理システム 休暇申請・残業申請のデータを連携できるか
会計システム 承認済みの経費データを会計システムに自動転送できるか
人事システム 組織・人事情報を自動同期できるか
電子契約システム 契約承認後、電子契約に自動連携できるか

2. セキュリティポリシーの適合性

  • ISO 27001(ISMS)認証の有無
  • 金融機関・大企業での導入実績
  • データセンターの所在地(国内 or 海外)
  • データの暗号化、アクセス制限、監査ログ
  • 自社のセキュリティポリシーとの適合性

3. カスタマイズ性

  • 自社の承認ルートに対応できるか(階層構造、並列承認、条件分岐等)
  • 申請フォームを自由に作成できるか
  • 既存のExcelフォームを活用できるか

4. 使いやすさ(UI/UX)

  • 直感的な操作性(ITリテラシーが低い社員でも使えるか)
  • スマホ・タブレット対応の使いやすさ
  • 日本語サポートの充実度

5. コスト

  • 初期費用と月額費用の総額
  • ユーザー数による料金体系
  • 3年・5年の長期的なコスト試算

6. サポート体制

  • 導入支援の有無(初期設定、マニュアル作成、研修等)
  • 運用開始後のサポート(電話、メール、チャット)
  • ベンダーの対応スピード

7. バージョンアップ対応

  • バージョンアップ時の事前通知があるか
  • 新機能の追加頻度
  • 操作マニュアルの更新頻度

選定プロセス:

  1. 要件定義: 自社の申請・承認フローを整理、必要機能をリストアップ
  2. 候補選定: 上記の選定基準で3-5社に絞り込み
  3. デモ・トライアル: 各ベンダーのデモを実施、無料トライアルで実際に使用
  4. PoC(概念実証): 本番環境に近い形で小規模テストを実施
  5. コスト比較: 3年・5年の長期的なコストを試算
  6. 最終選定: 上記を総合的に評価し、最適なシステムを選定

※クラウド型ワークフローの料金や機能は変更の可能性があるため、導入検討時は各ベンダーの公式サイトで最新情報を確認してください。

導入時の注意点と成功事例:失敗を避けるために

ワークフロークラウドの導入には、いくつかの注意点があります。成功事例とともに、失敗を避けるためのポイントを解説します。

(1) 導入前の確認事項:PoC(概念実証)の実施、既存システム連携の検証

導入前に確認すべき3つのポイント:

1. PoC(Proof of Concept:概念実証)の実施

PoCとは、導入前に小規模で試験運用し、効果や適合性を検証することです。

PoCの実施手順:

  1. 対象部門の選定: まず1部門(10-20名)で試験運用
  2. 期間設定: 1-3ヶ月程度
  3. 評価指標の設定: 承認スピード、ユーザー満足度、操作性等
  4. 結果評価: 期待通りの効果が得られたか、問題点は何か
  5. 全社展開の判断: PoCの結果を踏まえて全社導入を決定

PoCのメリット:

  • 本番導入前にリスクを最小化
  • 実際の業務フローでの適合性を確認
  • 社員からのフィードバックを収集し、設定を最適化

2. 既存システムとの連携検証

  • 経費精算、勤怠管理、会計システムとの連携が可能か
  • API連携の実装方法と工数を確認
  • データ形式の互換性を検証

3. セキュリティポリシーの適合性確認

  • 自社のセキュリティポリシーとベンダーのポリシーを比較
  • データの保存場所(国内 or 海外)を確認
  • アクセス制限、暗号化、監査ログの仕様を確認

(2) 成功事例:富士通エフサス様(年間4,000時間削除)

企業: 富士通エフサス様

課題:

  • 紙ベースの申請・承認フロー
  • 承認者が不在だと承認が遅延
  • 進捗が不透明で、どこで止まっているか分からない
  • テレワーク導入に伴い、場所を選ばない承認フローが必要

導入システム: クラウドワークフローシステム

実施内容:

  • 紙ベースの申請書をすべてデジタル化
  • 承認ルートを明確に設定
  • スマートフォンから承認可能に
  • 進捗をリアルタイムで確認可能に

効果:

  • 年間4,000時間の業務時間削減
  • 承認スピードの大幅向上(平均3日 → 1日)
  • 紙・印刷コストの削減
  • テレワークでもスムーズな承認フロー
  • 内部統制の強化(すべての履歴を自動記録)

成功要因:

  • 導入前に業務フローを整理し、不要な承認ステップを削減
  • 全社員向けの研修を実施し、操作方法を周知
  • スマホ承認を推奨し、承認スピードを向上

※導入実績や事例の効果(年間4,000時間削減等)は個別企業の実績であり、すべての企業で同様の効果が得られるとは限りません。

(3) 失敗を避けるための3つのポイント

ポイント1: 業務フローの見直しを同時に実施

失敗パターン:

  • 紙ベースの業務フローをそのままデジタル化
  • 不要な承認ステップがそのまま残る
  • 結果、デジタル化しても効率化されない

成功のポイント:

  • 導入を機に業務フローを見直す
  • 不要な承認ステップを削減
  • 承認ルートを簡素化(例: 3段階承認 → 2段階承認)

ポイント2: 全社員向けの研修を実施

失敗パターン:

  • 研修なしでいきなり運用開始
  • 社員が操作方法を理解できず、使われない
  • 結果、紙ベースに戻ってしまう

成功のポイント:

  • 導入前に全社員向けの研修を実施
  • 操作マニュアルを作成し、社内ポータルに掲載
  • ヘルプデスクを設置し、質問に対応
  • スマホ承認の操作方法も周知

ポイント3: 段階的に導入する

失敗パターン:

  • いきなり全社・全申請書を移行
  • トラブルが発生し、業務が停滞
  • 社員の不満が高まる

成功のポイント:

  • まず1部門・1-2種類の申請書で試験運用
  • 問題点を洗い出し、設定を最適化
  • 段階的に他部門・他申請書に展開
  • 社員からのフィードバックを継続的に収集

失敗を避けるためのチェックリスト:

  • 導入前に業務フローを見直し、不要な承認ステップを削減
  • PoCを実施し、効果と適合性を検証
  • 既存システムとの連携可能性を確認
  • セキュリティポリシーの適合性を確認
  • 全社員向けの研修を実施
  • 操作マニュアルを作成
  • ヘルプデスクを設置
  • 段階的に導入(1部門 → 全社)
  • 社員からのフィードバックを継続的に収集

まとめ:ワークフロークラウドで実現する業務効率化

ワークフロークラウド(クラウド型ワークフローシステム)は、紙ベースの申請・承認業務をデジタル化し、業務効率化と内部統制強化を実現する強力なツールです。

ワークフロークラウド導入の成功ポイント:

1. クラウド型とオンプレミス型の違いを理解

  • クラウド型: 低コスト(初期費用無料~50万円、月額250-500円/ユーザー)、即利用可能、運用負担小
  • オンプレミス型: 高カスタマイズ性、セキュリティ管理自由度高、初期費用100万~500万円

2. メリット・デメリットを把握

  • メリット: 低コスト導入、場所を選ばない利用、スマホ・タブレット対応、運用管理の簡素化
  • デメリット: セキュリティ管理の制約、既存システム連携の制限、バージョンアップの制御不可

3. 自社に適したシステムを選定

  • 従業員規模、業種、目的に応じて選定
  • 既存システム連携、セキュリティポリシー適合性、カスタマイズ性を確認
  • 3-5社のデモ・トライアルを実施し、比較

4. 導入前にPoCを実施

  • 1部門で小規模テストを実施
  • 効果と適合性を検証
  • 問題点を洗い出し、設定を最適化

5. 業務フローの見直しを同時に実施

  • 不要な承認ステップを削減
  • 承認ルートを簡素化
  • デジタル化を機に業務効率化を推進

6. 全社員向けの研修を実施

  • 操作方法を周知
  • 操作マニュアルを作成
  • ヘルプデスクを設置

次のアクション:

  • 自社の申請・承認フローを整理し、課題を洗い出す
  • クラウド型・オンプレミス型のどちらが適しているか判断
  • 主要システム3-5社のデモを依頼
  • 無料トライアルで実際に使用し、使いやすさを確認
  • PoCを実施し、1部門で試験運用
  • 効果を測定し、全社展開を判断

ワークフロークラウドは「導入して終わり」ではなく、継続的に改善していくことが成功の鍵です。自社に合ったシステムで、業務効率化と内部統制強化を実現しましょう。

※この記事は2025年11月時点の情報です。クラウドワークフローの料金や機能は変更の可能性があるため、導入検討時は各ベンダーの公式サイトで最新情報を確認してください。

よくある質問

Q1クラウド型とオンプレミス型の違いは?

A1クラウド型は低コスト(初期費用無料~50万円、月額250-500円/ユーザー)・即利用可能・運用負担小という特徴があります。オンプレミス型は高カスタマイズ性・セキュリティ管理自由度高ですが、初期費用100万~500万円、月額5万~50万円と高コストです。

Q2どんな企業に適しているか?

A2中小企業(従業員100名未満)が43.9%と最多です。テレワーク導入企業、迅速な導入を求める企業、スマホ・タブレットから承認したい企業に最適です。大企業でも金融機関含め採用が増加しています。

Q3主な機能は何か?

A3申請フォーム作成、承認ルート設定(階層構造、並列承認、条件分岐等)、進捗確認、通知機能、既存システム連携(経費精算、勤怠管理等)が主な機能です。スマホ・タブレットからの申請・承認も可能です。

Q4セキュリティは大丈夫か?

A4金融機関・大企業でもクラウド採用が増加しており、自社管理よりベンダーのセキュリティ対策が強固な場合もあります。ただし既存セキュリティポリシーに対応できるか事前確認が必須です。ISO 27001認証の有無を確認しましょう。

Q5導入にどれくらい時間がかかるか?

A5クラウド型は数日~数週間で運用開始可能です(オンプレミス型は3ヶ月~6ヶ月)。申し込み後すぐに利用開始でき、業務改善を早期に実現できます。ただし全社員向けの研修期間も考慮する必要があります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。