予算とは?ビジネスにおける予算管理の基本と策定プロセス

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/17

予算とは?ビジネスにおける予算管理の重要性

「予算はあるけれど、実績との乖離が大きくて計画通りに進まない」「Excel管理が煩雑で、予実分析に時間がかかりすぎる」──こうした課題を抱える企業は少なくありません。予算管理は、企業の経営目標を達成するための重要な仕組みです。

この記事のポイント:

  • 予算とは、計画に必要な費用を見積もり、目標とする利益を達成するための計画
  • 売上予算、原価予算、経費予算、利益予算の4つに分類して管理する
  • 予算編成には「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」の2つのアプローチがある
  • 予算管理はPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)で進める
  • Excel管理の限界を超えるには、予算管理システムの活用が有効

予算(Budget)とは、計画に必要な費用を見積もることを指し、ビジネスにおいては目標とする利益を達成するための行動計画を数値化したものです。また、政府の文脈では、国の歳入・歳出の見積もりで国会の議決を要するものを指します。

ビジネスにおける予算管理の重要性は、以下の3点に集約されます:

1. 経営目標の明確化 予算を設定することで、各部門が達成すべき具体的な数値目標が明確になります。これにより、組織全体が同じ方向を向いて行動できます。

2. 資源配分の最適化 限られた資金・人材をどこに投下すべきかを判断する指針となります。優先度の高い事業に資源を集中させることで、投資効率を高められます。

3. 進捗のモニタリングと改善 予算と実績を比較することで、計画からの乖離を早期に発見し、必要な対策を講じることができます。

2. 予算の種類と分類方法

ビジネスにおける予算は、主に以下の4つに分類されます。

(1) 売上予算・原価予算

売上予算: 企業が一定期間に達成すべき売上目標を数値化したもの。商品別、顧客別、地域別などに細分化して設定されることが一般的です。

例:

  • 製品A: 年間売上目標 5億円
  • 製品B: 年間売上目標 3億円
  • 合計: 8億円

原価予算: 売上を達成するために必要な製造原価やサービス提供コストの見積もり。売上予算と連動して設定されます。

例:

  • 製造原価: 3.2億円(粗利率60%を目標)
  • 外注費: 0.8億円
  • 合計: 4億円

(2) 経費予算・利益予算

経費予算: 販売費および一般管理費(販管費)の見積もり。人件費、広告宣伝費、オフィス賃料、システム費用などが含まれます。

例:

  • 人件費: 1.5億円
  • マーケティング費用: 0.5億円
  • その他経費: 0.5億円
  • 合計: 2.5億円

利益予算: 売上予算から原価予算と経費予算を差し引いた利益の目標。営業利益、経常利益、当期純利益などの階層で設定されます。

例:

  • 売上予算: 8億円
  • 原価予算: 4億円
  • 経費予算: 2.5億円
  • 営業利益予算: 1.5億円(利益率18.75%)

この4つの予算を連動させることで、企業全体の収益構造を可視化できます。

3. 予算編成のプロセスと2つのアプローチ

予算編成とは、売上予算や経費予算など複数の予算を事業計画にまとめあげるプロセスの総称です。予算編成には、主に2つのアプローチがあります。

(1) トップダウン方式の特徴

トップダウン方式は、経営層が全社目標を設定し、各部門に予算を割り当てる方法です。

メリット:

  • 経営戦略と予算が一致しやすい
  • 予算編成のスピードが速い
  • 全社最適の視点で資源配分ができる

デメリット:

  • 現場の実態と乖離した予算になる可能性がある
  • 各部門のモチベーション低下のリスク
  • 実現不可能な目標が設定されることがある

適する企業: 大企業や急成長を目指すスタートアップなど、経営戦略の実行スピードが重視される企業。

(2) ボトムアップ方式の特徴

ボトムアップ方式は、各部門が予算要求を提出し、経営層が調整・承認する方法です。

メリット:

  • 現場の実態に即した予算が策定できる
  • 各部門のコミットメント(当事者意識)が高まる
  • 現実的で達成可能な目標になりやすい

デメリット:

  • 部門間の調整に時間がかかる
  • 部分最適に陥りやすく、全社最適の視点が薄れる可能性
  • 予算要求が過大になりやすい(各部門が余裕を持たせる傾向)

適する企業: 中堅企業や、部門の独立性が高い事業会社など、現場の裁量を重視する企業。

実務的には、両方を組み合わせるハイブリッド方式を採用する企業が多いです。 経営層が全社目標を提示し、それを基に各部門が具体的な予算案を作成し、経営層と協議して最終決定する形が一般的です。

4. 予算管理の実践手順とPDCAサイクル

予算管理は、PDCAサイクルを回すことで継続的に改善していきます。

(1) Plan:予算策定のポイント

予算策定では、以下のポイントを押さえることが重要です:

1. 過去実績の分析 前年度・前期の実績を分析し、売上トレンド、コスト構造、季節性などを把握します。

2. 市場環境の考慮 市場成長率、競合動向、経済環境(為替、金利など)を踏まえて現実的な目標を設定します。

3. 各部門との連携 各部門のマネージャーと協議し、達成可能性や必要なリソースを確認します。一方的な目標押し付けは避け、双方向のコミュニケーションを重視しましょう。

4. ストレッチゴールとリアリティのバランス 挑戦的な目標(ストレッチゴール)を設定しつつ、実現不可能な数値は避けます。一般的に、前年比110〜120%程度が目安とされますが、業種や市場環境により異なります。

(2) Do/Check/Action:実行と検証・改善

Do(実行): 策定した予算に基づき、各部門が日々の業務を遂行します。予算は単なる数値ではなく、行動指針として機能させることが重要です。

Check(検証): 月次または四半期ごとに、予算と実績を比較します。この活動を「予実管理」と呼びます。

予実管理で確認すべきポイント:

  • 売上実績と予算の差異(+10%、-5%など)
  • 差異の原因(市場要因、社内要因、一時的要因など)
  • 差異の影響度(利益への影響、目標達成への影響)

Action(改善): 差異分析の結果を基に、対策を実施します。

差異が大きい場合の対応例:

  • 売上が予算未達の場合: 営業施策の強化、マーケティング投資の追加、価格戦略の見直し
  • 経費が予算超過の場合: コスト削減施策の実施、不要な支出の削減、効率化の推進
  • 環境変化が大きい場合: 予算の修正(リフォーキャスト)を検討

PDCAサイクルを回すことで、予算の精度が徐々に向上し、経営判断の質も高まります。

5. 予算管理の課題と効率化のポイント

(1) Excel管理の限界と課題

多くの企業がExcelを使って予算管理を行っていますが、以下のような課題があります:

1. 工数の増大 各部門から提出されたExcelファイルを集計・統合する作業に膨大な時間がかかります。人為的なミスも発生しやすくなります。

2. リアルタイム性の欠如 予算と実績の差異を把握するまでに時間がかかり、対策が後手に回りやすくなります。

3. バージョン管理の煩雑さ 複数の担当者がファイルを編集すると、最新版がどれか分からなくなることがあります。

4. データの分散 予算データが部門ごとに分散しており、全社視点での分析が困難になります。

(2) 予算管理システムの活用

Excel管理の限界を超えるには、予算管理システムの導入が有効です。

予算管理システムの主な機能:

  • 予算入力・承認ワークフロー
  • 実績データの自動取り込み(会計システムと連携)
  • 予実差異分析のレポート自動生成
  • シナリオシミュレーション(複数の予算案を比較)
  • ダッシュボードでのリアルタイム可視化

代表的な予算管理システム(2024年時点):

  • BizForecast(2019-2021年3年連続トップシェア)
  • iFUSION
  • Workday Adaptive Planning
  • ジョブカン会計(2024年7月に予算管理機能を実装)
  • マネーフォワード クラウドERP

システム選定時は、自社の規模、業種、業務フローに合ったものを選ぶことが重要です。複数のベンダーに問い合わせ、デモや無料トライアルを利用して比較検討しましょう。

※各システムの料金や仕様は変更される可能性があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。(2024年11月時点の情報)

導入の目安:

  • 月次で予実管理を行っている企業
  • Excel管理に月10時間以上かかっている企業
  • 複数部門・複数拠点がある企業
  • 上場準備中またはすでに上場している企業(内部統制上、システム化が推奨される)

中小企業でも、クラウド型の低コストシステムから始めることで、工数削減と管理精度向上の両立が可能です。

6. まとめ:効果的な予算管理のために

予算管理は、企業の経営目標を達成するための重要な仕組みです。

重要なポイント:

  • 予算は売上・原価・経費・利益の4つに分類して管理する
  • 予算編成には「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」があり、実務ではハイブリッドが一般的
  • 予算管理はPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)で進める
  • Excel管理には限界があり、予算管理システムの導入で効率化できる
  • 予算と実績の差異を分析し、改善アクションを継続的に実施することが重要

次のアクション:

  • 自社の予算管理プロセスを見直し、課題を洗い出す
  • 各部門と連携し、現実的で達成可能な予算を策定する
  • 月次または四半期ごとに予実管理を実施し、差異分析を行う
  • Excel管理に限界を感じている場合は、予算管理システムの導入を検討する
  • PDCAサイクルを回し、予算の精度を継続的に向上させる

適切な予算管理により、経営目標の達成と企業の持続的な成長を実現しましょう。

よくある質問

Q1予算と実績の乖離が大きい場合の対応は?

A1まず差異分析を行い、原因を特定することが重要です。外部要因(市場環境の変化、競合動向)によるものか、内部要因(計画の甘さ、実行力不足)かを見極めます。外部要因の場合は予算修正(リフォーキャスト)を検討し、内部要因の場合は施策変更や体制強化を実施します。差異が±10%以内であれば許容範囲とされることが多いです。

Q2予算の見直しはどのタイミングで行う?

A2通常は半期(6ヶ月)または四半期(3ヶ月)ごとに見直しを行います。ただし、M&A、大きな事業転換、急激な市場環境の変化(景気変動、為替変動など)がある場合は、臨時で見直しを検討することが推奨されます。見直しの際は、単に数値を変更するだけでなく、達成のための施策も合わせて再設定することが重要です。

Q3中小企業でも予算管理システムは必要?

A3月次で予実管理を行うのであれば、導入メリットはあります。Excel管理に月10時間以上かかっている場合や、複数部門がある場合は特に有効です。クラウド型の予算管理システムであれば、初期費用を抑えて導入できるものもあります。まずは無料トライアルで自社に合うか試してから判断するのが良いでしょう。

Q4予算管理と予実管理の違いは何ですか?

A4予算管理は、予算の策定から実績との比較、差異分析、改善アクションまでを含む一連の管理活動全体を指します。一方、予実管理は予算と実績を比較し、差異を分析する活動のみを指します。つまり、予実管理は予算管理の一部(CheckとActionの段階)に該当します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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