BtoB営業への転職を考えているけれど、実際の仕事内容がイメージできない...
「BtoB営業」「法人営業」という言葉は聞くものの、実際にどんな仕事をするのか、どんな職種があるのか、具体的なイメージを持てない方は多いのではないでしょうか。BtoB営業は、企業や団体を相手に商品・サービスを提案する仕事で、BtoC営業とは異なる特徴やスキルが求められます。
この記事では、BtoB営業の仕事内容、職種(フィールドセールス、インサイドセールスなど)、必要なスキル、キャリアパス、2024年の最新トレンドまでを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- BtoB営業は法人向けで意思決定者が複数、長期取引が特徴。論理的説明とROI提案が重視される
- フィールドセールス(外勤)とインサイドセールス(内勤)など、職種により役割が異なる
- 普遍的な5つのスキルは「信頼獲得」「傾聴力」「説明力」「判断力」「共感力」
- キャリアパスは管理職・スペシャリスト・営業企画・特命担当の4つの選択肢がある
- 2024年はAI活用が拡大し、AI導入企業の83%が収益1.3倍増加。人間的つながりも重要に
BtoBセールスとは何か?仕事内容を理解する
(1) BtoB営業(法人営業)の定義と基本的な仕事内容
BtoB営業(法人営業)とは、Business to Businessの略で、企業や団体などの法人を対象とした営業活動を指します。一般消費者を対象とするBtoC営業(個人営業)とは、顧客の属性や意思決定プロセスが大きく異なります。
BtoB営業の基本的な仕事内容:
リード獲得・初期接触
展示会、セミナー、Webサイト、紹介などでリード(見込み客)を獲得し、電話・メールで初回アプローチヒアリング・課題抽出
顧客の現状、課題、ニーズを丁寧にヒアリングし、真の課題を把握提案・プレゼンテーション
顧客の課題を解決する商品・サービスを提案。ROI(投資対効果)や業務効率化の具体的な数値を示す商談・交渉・クロージング
見積もり提示、条件交渉、決裁者への説明を経て、契約締結導入支援・アフターフォロー
契約後の導入支援、定期的なフォローで顧客満足度を高め、リピート・アップセルにつなげる
BtoB営業は単なる「売り込み」ではなく、顧客の課題を深く理解し、最適な解決策を提案する「課題解決型営業」が求められます。
(2) BtoC営業との違い:意思決定プロセス・取引期間・提案内容
BtoB営業とBtoC営業の主な違いを整理します。
| 項目 | BtoB営業 | BtoC営業 |
|---|---|---|
| 顧客 | 企業・団体(法人) | 一般消費者(個人) |
| 意思決定者 | 複数(担当者・上司・決裁者) | 1人(購入者本人) |
| 意思決定期間 | 数ヶ月〜数年 | 即決〜数週間 |
| 取引期間 | 長期(継続取引が多い) | 短期(単発取引が多い) |
| 取引金額 | 数十万円〜数億円(高額) | 数千円〜数百万円(比較的少額) |
| 提案内容 | ROI、業務効率化、競争優位性 | 価格、デザイン、使いやすさ |
| 営業スタイル | 論理的説明、データ重視 | 感情訴求も有効 |
BtoB営業では意思決定者が複数いるため、担当者だけでなく、上司や決裁者への説明・説得も必要です。また、長期取引を前提とするため、信頼関係の構築が非常に重要です。
(3) BtoB営業の特徴:論理的説明力とROI重視
BtoB営業では、論理的な説明力が特に重視されます。企業の意思決定には、感情だけでなく、客観的なデータや数値根拠が必要だからです。
BtoB営業で求められる論理的説明の例:
- ROI(投資対効果):「初期費用100万円に対し、年間200万円のコスト削減が見込めるため、6ヶ月でペイします」
- 業務効率化:「現在手作業で月20時間かかっている業務が、システム導入により月5時間に短縮されます」
- 競争優位性:「競合他社と比べて、納期が2週間短縮でき、顧客満足度向上につながります」
顧客が「なぜこの商品・サービスを導入すべきか」を社内で説明しやすいように、具体的な数値とロジックを用意することが、BtoB営業の腕の見せ所です。
BtoB営業の職種と役割分担
(1) フィールドセールス:外勤・対面型の営業スタイル
フィールドセールスは、顧客先を訪問して対面で商談を行う営業スタイルです。「外勤営業」とも呼ばれます。
フィールドセールスの特徴:
- 顧客先に訪問し、対面で提案・商談
- 顧客との信頼関係を深く構築しやすい
- 高額案件や複雑な提案に向いている
- 移動時間がかかるため、1日に訪問できる顧客数は限られる
主な業務:
- 商談・プレゼンテーション
- 決裁者への説明・説得
- クロージング(契約締結)
- 導入後のアフターフォロー
フィールドセールスは、顧客と直接対面することで、細かなニュアンスや表情から真のニーズを汲み取りやすく、高い成約率が期待できます。
(2) インサイドセールス:内勤・非対面型の営業スタイル
インサイドセールスは、電話やメール、Web会議ツールなどを活用した非対面での営業方法です。「内勤営業」とも呼ばれます。
インサイドセールスの特徴:
- オフィスから電話・メール・Web会議で営業活動
- 移動時間がないため、1日に多数の顧客にアプローチできる
- リードの初期対応や商談化に特化することが多い
- 効率重視で、営業プロセスの前半を担当
主な業務:
- リードへの初回アプローチ(電話・メール)
- 簡易なヒアリング・課題抽出
- 商談化(アポイント設定)
- フィールドセールスへの引き継ぎ
インサイドセールスとフィールドセールスを役割分担することで、営業プロセス全体の効率化が可能になります。インサイドセールスが初期対応と商談化を行い、フィールドセールスが商談・クロージングに集中する分業体制が、多くのB2B企業で導入されています。
(3) 新規開拓営業とルート営業の違い
営業活動は、ターゲット顧客により「新規開拓営業」と「ルート営業」に分類されます。
新規開拓営業:
- これまで取引のなかった企業・顧客に対して営業を行い、新規顧客を獲得する営業手法
- テレアポ、飛び込み、セミナー、紹介などで新規顧客にアプローチ
- 断られることが多く、精神的なタフさが求められる
- 成功すれば大きな売上貢献が期待できる
ルート営業:
- すでに取引している顧客を定期的に訪問し、継続的な取引を促す営業手法
- 既存顧客との信頼関係を維持・強化し、リピート・アップセルを獲得
- 安定した売上基盤を作ることができる
- 顧客との関係構築力・ヒアリング力が重要
多くの企業では、新規開拓営業とルート営業の両方をバランスよく行うことで、安定した成長を実現しています。
(4) その他の営業職種(営業企画、カスタマーサクセス等)
BtoB営業には、フィールドセールス・インサイドセールス以外にも、さまざまな職種があります。
営業企画:
- 営業戦略の立案、KPI設計、営業プロセスの改善
- 営業現場の課題を分析し、施策を企画・実行
- データ分析能力、戦略立案能力が求められる
カスタマーサクセス:
- 契約後の顧客をサポートし、製品・サービスの活用を促進
- 顧客満足度を高め、解約率を下げる(リテンション)
- アップセル・クロスセルの機会を創出
パートナーセールス:
- 販売代理店、システムインテグレーター、コンサルタントなどのパートナー企業と連携
- パートナー企業を通じて自社製品・サービスを販売
- パートナー企業との関係構築・支援が主な業務
営業職種は多様化しており、自分の強みや志向に合わせて選択できるようになっています。
BtoB営業に求められるスキルと能力
(1) 普遍的な5つのスキル:信頼獲得・傾聴力・説明力・判断力・共感力
法人営業7,134名へのアンケート調査(株式会社セレブリックス実施)により、営業職に求められる普遍的なスキルとして以下の5つが明らかになっています。
1. 信頼獲得:
- 顧客から信頼される人柄・誠実さ
- 約束を守る、迅速に対応する、正確な情報を提供する
2. 傾聴力:
- 顧客の話をしっかり聞き、真のニーズを引き出す能力
- 相手の言葉の裏にある課題や感情を読み取る
3. 説明力:
- 複雑な商品・サービスを分かりやすく説明する能力
- 顧客のレベルに合わせて言葉を選び、論理的に伝える
4. 判断力:
- 状況に応じて最適な提案・対応を選択する能力
- 優先順位をつけ、限られた時間で最大の成果を出す
5. 共感力:
- 顧客の立場に立って考え、感情に寄り添う能力
- 顧客の課題を自分事として捉え、解決に向けて動く
これら5つのスキルは、営業の種類や業種を問わず、すべての営業職に共通して求められる普遍的なスキルです。
(2) BtoB営業特有のスキル:ROI提案力・業務効率化提案・データ分析能力
BtoB営業では、上記の普遍的スキルに加えて、以下のスキルも重要です。
ROI提案力:
- 投資対効果を具体的な数値で示し、顧客の意思決定を支援する能力
- 「初期費用〇〇万円で、年間△△万円のコスト削減」といった形で提案
業務効率化提案:
- 顧客の業務プロセスを理解し、効率化のポイントを見つける能力
- 「現在の作業時間を50%削減できる」など、具体的な改善効果を示す
データ分析能力:
- 営業活動データ(架電数、商談数、受注率など)を分析し、改善点を見つける能力
- SFA(営業支援システム)やCRMを活用してデータドリブンな営業を実践
デジタルスキル:
- Web会議ツール、SFA、CRM、MAツールなどのデジタルツールを使いこなす能力
- 2024年現在、デジタルスキルは営業職にとって必須となっています
これらのスキルを身につけることで、BtoB営業としての市場価値が高まります。
(3) スキルアップの方法:成績上位者の観察・模倣・継続的学習
営業スキルを向上させるには、以下の方法が効果的です。
成績上位者の観察・模倣:
- 成績上位の営業パーソンの行動や話し方、顧客とのやり取りを注意深く観察する
- 良い点を自分のスタイルに取り入れ、実践する
- 同行営業で直接学ぶ機会を活用する
ロールプレイング(営業練習):
- 商談シミュレーションを繰り返し、説明力・提案力を磨く
- フィードバックをもらい、改善点を明確にする
継続的な学習:
- 営業関連の書籍、オンライン講座、セミナーで最新知識を習得
- 業界動向、競合情報、顧客のビジネスモデルを深く理解する
SFA・CRMでの振り返り:
- 営業活動データを定期的に振り返り、何がうまくいったか・いかなかったかを分析
- PDCAサイクルを回し、継続的に改善する
スキルアップは一朝一夕には実現しませんが、継続的な努力により確実に成長できます。
BtoB営業のキャリアパスと将来性
(1) 管理職への道(課長・部長クラス)
営業職の代表的なキャリアパスは、管理職(マネージャー)への昇進です。
管理職の役割:
- チームの目標達成をマネジメント
- メンバーの育成・指導
- 営業戦略の立案・実行
- 経営層への報告・提案
昇進の難易度:
- 課長クラスに進めるのは同世代の10人に1人、部長クラスは50人に1人程度と言われています
- 営業成績だけでなく、マネジメント能力、戦略立案能力が求められる
管理職への道は狭き門ですが、組織全体をリードし、大きなインパクトを出せる魅力的なキャリアです。
(2) スペシャリスト・プレイングマネージャーの道
管理職以外にも、営業スペシャリストとして活躍する道があります。
スペシャリストの特徴:
- プレイヤーとして高い営業成績を出し続ける
- 特定の業界・商材に関する深い専門知識を持つ
- 大型案件・難易度の高い案件を担当
プレイングマネージャー:
- 自らも営業活動を行いながら、チームのマネジメントも担当
- 営業スキルとマネジメントスキルの両方が求められる
スペシャリストは、管理職にならずとも高い年収と評価を得られるキャリアパスです。
(3) 営業企画・マーケティング職への転身
営業経験を活かして、営業企画やマーケティング職に転身する選択肢もあります。
営業企画の役割:
- 営業戦略の立案、KPI設計、営業プロセスの改善
- データ分析により営業活動を最適化
マーケティング職の役割:
- リード獲得施策の企画・実行(セミナー、Web広告、コンテンツマーケティング)
- 営業部門と連携し、質の高いリードを提供
営業現場の経験があると、顧客ニーズを深く理解しているため、営業企画やマーケティング職でも即戦力として活躍できます。
(4) 特命担当・独立起業の選択肢
営業職のもう1つのキャリアパスは、特命担当や独立起業です。
特命担当:
- 新規事業立ち上げ、重要顧客の専任担当など、特別なミッションを任される
- 高度な営業スキルと戦略立案能力が求められる
独立起業:
- 営業代行会社、コンサルタント、自社事業を立ち上げる
- 営業スキルは独立後も活かせる強力な武器
営業職は、キャリアの選択肢が広く、自分の強みや志向に合わせて多様な道を選べる職種です。
2024年のBtoB営業トレンドと変化
(1) AI活用の拡大:AI導入企業の83%が収益1.3倍増加
2024年は営業におけるAI活用が急速に拡大しています。調査によると、AI導入企業の83%が1.3倍の収益増加を実現しています。
営業現場でのAI活用例:
- 生成AIでメール文面・提案書を自動生成
- AIによるリードスコアリング(成約確度の自動評価)
- 音声AIで商談内容を自動文字起こし・分析
- AIによる顧客行動予測(購買意欲の高いタイミングを検知)
AIを活用することで、営業担当者はルーチンワークから解放され、顧客とのコミュニケーションや戦略立案に集中できるようになります。
(2) バリュー・ベースド・セリング:顧客価値に焦点を当てた営業手法
バリュー・ベースド・セリングとは、顧客が得られる価値やメリットに焦点を当てた営業手法です。
従来の営業手法との違い:
- 従来: 製品の機能・スペックを中心に説明
- バリュー・ベースド: 顧客が得られる価値(コスト削減、業務効率化、売上向上)を中心に説明
具体例:
- 「この製品は〇〇の機能があります」(機能重視)
- → 「この製品により、御社は年間△△万円のコスト削減が可能です」(価値重視)
バリュー・ベースド・セリングは、顧客の意思決定を支援し、成約率を高める効果があります。
(3) AI時代における『本物のつながり』の重要性
AI活用が進む一方で、AI時代だからこそ人間による「本物のつながり」に顧客が価値を感じるようになっています。
本物のつながりとは:
- 顧客の課題に真剣に向き合い、一緒に解決策を考える姿勢
- 単なる「売り込み」ではなく、長期的なパートナーシップを構築する関係
- 顧客のビジネスを深く理解し、的確なアドバイスを提供する信頼関係
AIはデータ分析や業務効率化には優れていますが、人間的な共感や信頼関係の構築はAIには代替できません。この部分こそが、営業職の本質的な価値です。
(4) デジタルスキル・データ分析能力の必要性
2024年現在、営業職にとってデジタルスキルとデータ分析能力は必須となっています。
必要なデジタルスキル:
- SFA・CRMの操作・活用
- Web会議ツール(Zoom、Teams等)の使いこなし
- MAツール(マーケティングオートメーション)の理解
- オンライン商談・プレゼンテーションのスキル
必要なデータ分析能力:
- 営業活動データの分析(架電数、商談数、受注率)
- ボトルネックの特定と改善策の立案
- データドリブンな意思決定
インターネットやSNSの普及により、「ただ商品やサービスを売り込むだけ」のセールススタッフは不要な存在となりつつあります。デジタルスキルとデータ分析能力を身につけ、顧客に真の価値を提供できる営業職が求められています。
まとめ:BtoB営業の成功に向けて
BtoB営業は、法人顧客との長期的な関係構築と価値提供が求められる仕事です。論理的な説明とROI提案、普遍的な5つのスキル、デジタルスキルの習得、AI時代の人間的つながりが成功の鍵です。BtoB営業のキャリアは多様で、自分の強みを活かした道を選択できます。
※この記事は2024年12月時点の情報です。
