GA4のデータをもっと深く分析したい...
「GA4の探索レポートでは14ヶ月分のデータしか見られない」「生データにアクセスして自由に分析したい」「CRMやSFAのデータと統合して分析したい」――Webアナリストやマーケティング担当者なら、一度は直面する課題です。
GA4の標準機能には、データ保持期間、サンプリング、分析の自由度などの限界があります。そこで注目されているのが、BigQueryとの連携です。連携により、GA4の生データにアクセスし、SQLで自由に分析できるようになります。
この記事では、BigQueryとGA4の連携方法、メリット、設定手順、コスト管理、活用事例まで徹底解説します。
この記事のポイント:
- GA4とBigQueryの連携自体は無料(BigQueryでのデータ処理は別途料金が発生)
- 生データアクセス、14ヶ月以上の長期保存、他データとの統合分析が可能
- 設定はGoogle Cloudセットアップ後、GA4管理画面から設定すれば24時間以内に完了
- BigQueryの無料枠(ストレージ月10GB、分析月1TB)を活用すればコスト抑制可能
- SQL知識不要のツール(GA4 SQL等)やオープンソースのクエリ集で非エンジニアでも活用できる
1. なぜGA4とBigQueryを連携するのか
(1) GA4標準機能の限界(データ保持期間・サンプリング)
GA4の標準機能には、以下のような限界があります:
データ保持期間:
- GA4の探索レポートは最大14ヶ月分のデータのみ参照可能
- 長期的なトレンド分析(年次比較、過去数年のデータ分析)が困難
- データ保持期間を過ぎたデータは自動的に削除される
サンプリング:
- データ量が多い場合、サンプリングされたデータで分析される可能性
- 正確な数値を把握しにくい
分析の自由度:
- GA4の標準レポート・探索レポートで提供される機能に制限される
- カスタマイズされた高度な分析が困難
これらの限界を補完するために、BigQueryとの連携が注目されています。
(2) データドリブン経営における生データの重要性
データドリブン経営では、生データ(ローデータ)にアクセスして自由に分析できることが重要です。
生データの価値:
- 加工・集計前のイベント単位の詳細なデータ
- 企業独自の視点で自由に分析可能
- GA4では提供されていない指標やディメンションも抽出できる
BigQueryにGA4の生データをエクスポートすることで、標準機能の限界を超えた高度な分析が実現します。
2. BigQueryとGA4連携のメリットと活用シーン
(1) メリット①:生データにアクセスして自由にSQL分析
BigQueryにエクスポートされたGA4の生データに、SQLでアクセスして自由に分析できます。
できること:
- 企業独自の指標を算出(例: カスタムコンバージョン率、特定ユーザー層の行動パターン)
- GA4標準レポートにはない切り口で分析(例: 特定イベントの組み合わせ分析)
- ユーザー単位で課題を深掘りする分析(例: 離脱したユーザーの行動パターン)
従来はGA4の標準機能に制限されていた分析が、SQLで自由にカスタマイズできるようになります。
※参照: Media Theater「GA4とBigQueryを連携することによって実現できる3つのこと」(2024年)
(2) メリット②:14ヶ月以上の長期データ保存が可能
BigQueryにエクスポートすれば、14ヶ月以上の長期データ保存が可能です。
GA4探索レポート:
- 最大14ヶ月分のデータのみ
- 過去のデータは自動削除
BigQueryエクスポート:
- データ保持期間に制限なし(無期限に保存可能)
- 年次比較、過去数年のトレンド分析が可能
- データを削除しない限り、いつでも参照可能
長期的なデータ分析が必要な企業にとって、BigQuery連携は必須の選択肢となります。
※参照: DATA BE-AT「Googleアナリティクス4(GA4)とBigQuery連携まとめ!Exportの方法からデータの確認、可視化までを詳しく解説」(2024年)
(3) メリット③:CRM・SFAなど他データとの統合分析
BigQueryでは、GA4データだけでなく、CRMやSFAなど自社保有データを統合して分析できます。
統合分析の例:
- GA4 × CRM: Web訪問データと顧客情報を統合し、優良顧客の行動パターンを分析
- GA4 × SFA: リード獲得から受注までのプロセスを一気通貫で分析
- GA4 × 広告データ: 広告クリックからコンバージョンまでの詳細な経路を分析
共通ID(ユーザーID、顧客ID等)をキーに統合することで、複数チャネルを跨いだ分析が可能になります。
※参照: DATA BE-AT「Googleアナリティクス4(GA4)とBigQuery連携まとめ!Exportの方法からデータの確認、可視化までを詳しく解説」(2024年)
(4) メリット④:リアルタイムデータ分析(ストリーミングエクスポート)
ストリーミングエクスポート機能を使えば、数分以内にリアルタイムでデータ分析ができます。
標準エクスポート(日次):
- 1日1回、前日のデータがエクスポートされる
- 当日のデータはリアルタイムで確認できない
ストリーミングエクスポート:
- 数分以内にBigQueryでデータ確認が可能
- キャンペーンの効果測定や異常検知をリアルタイムで実施
- 標準GA4にはない高度な機能
※ただし、ストリーミングエクスポートは高コスト($0.05/GB、約60万イベント/GB)なので、必要性を見極めて利用してください。
(5) 実際の活用シーン例
経営層向け:
- 年次・四半期のトレンド分析(14ヶ月以上のデータ活用)
- KPIダッシュボードの自動更新(BigQuery → BIツール連携)
マーケティング担当者向け:
- コンバージョン経路の詳細分析(特定のイベント組み合わせ)
- CRMデータとの統合分析(顧客属性別のWeb行動パターン)
Webアナリスト向け:
- カスタム指標の算出(GA4標準にない指標)
- ユーザー単位の詳細分析(特定ユーザーの行動履歴)
3. 連携設定の手順を徹底解説
(1) Google Cloudでプロジェクトを作成
まず、Google Cloud Platformでプロジェクトを作成します。
手順:
- Google Cloud Console(https://console.cloud.google.com/)にアクセス
- プロジェクトを作成(プロジェクト名を入力)
- プロジェクトIDをメモ(後ほどGA4連携時に使用)
(2) BigQuery APIの有効化
作成したプロジェクトでBigQuery APIを有効化します。
手順:
- Google Cloud Consoleで「APIとサービス」→「ライブラリ」を選択
- 「BigQuery API」を検索
- 「有効にする」をクリック
(3) GA4管理画面からBigQueryリンク設定
GA4管理画面からBigQueryとの連携を設定します。
手順:
- GA4管理画面を開く
- 「管理」→「BigQueryリンク」を選択
- 「リンク」をクリック
- Google Cloudプロジェクトを選択
- エクスポート頻度を選択(日次またはストリーミング)
- エクスポートするデータを選択(すべてのイベント、または特定のイベント)
- 「送信」をクリック
※参照: Google Analytics ヘルプ「BigQuery Export」(2024年)
(4) 設定後24時間以内にデータ確認
設定完了後、24時間以内にBigQueryでデータを確認できます。
確認手順:
- Google Cloud ConsoleでBigQueryを開く
- 左側のナビゲーションでGA4プロジェクトを選択
- データセット(
analytics_<プロパティID>)が作成されていることを確認 - テーブル(
events_<日付>)にデータがエクスポートされていることを確認
※連携前のデータはエクスポートされません。連携日以降のデータのみが対象となります。
(5) ストリーミングエクスポートの設定(必要な場合のみ)
リアルタイム分析が必須の場合のみ、ストリーミングエクスポートを設定します。
注意:
- 高コスト($0.05/GB、約60万イベント/GB)
- ほとんどの企業では日次エクスポートで十分
- 必要性を十分に見極めてから利用する
※参照: 株式会社プリンシプル「【2024年最新】GA4とBigQueryの連携方法から活用方法までプロフェッショナルが完全解説」(2024年)
4. BigQueryのデータ構造と基本的なクエリ
(1) GA4データのテーブル構造
BigQueryにエクスポートされたGA4データは、以下の構造で保存されます:
テーブル名:
events_<日付>: 日次エクスポート(例: events_20241113)events_intraday_<日付>: ストリーミングエクスポート
主要なカラム:
event_date: イベント発生日event_timestamp: イベント発生時刻(マイクロ秒)event_name: イベント名(例: page_view、click、purchase)user_pseudo_id: ユーザー識別子event_params: イベントパラメータ(配列形式)
(2) 基本的なSQLクエリ例(イベント数、セッション数、ページビュー数)
イベント数を取得:
SELECT
COUNT(*) AS event_count
FROM
`<プロジェクトID>.<データセットID>.events_*`
WHERE
_TABLE_SUFFIX BETWEEN '20241101' AND '20241130'
ページビュー数を取得:
SELECT
COUNT(*) AS pageview_count
FROM
`<プロジェクトID>.<データセットID>.events_*`
WHERE
_TABLE_SUFFIX BETWEEN '20241101' AND '20241130'
AND event_name = 'page_view'
セッション数を取得:
SELECT
COUNT(DISTINCT CONCAT(user_pseudo_id, (SELECT value.int_value FROM UNNEST(event_params) WHERE key = 'ga_session_id'))) AS session_count
FROM
`<プロジェクトID>.<データセットID>.events_*`
WHERE
_TABLE_SUFFIX BETWEEN '20241101' AND '20241130'
(3) SQL知識不要のツール(GA4 SQL等)の活用
SQL知識がなくても、以下のツールを使えばクエリを生成できます:
GA4 SQL:
- URL: https://www.ga4sql.com/
- 無料で利用可能
- GUI操作でクエリを自動生成
- 非エンジニアでもBigQueryを活用できる
※参照: GA4 SQL「GA4 SQL: The Easy Way to Generate GA4 BigQuery Queries」(2024年)
(4) オープンソースのクエリ集(GitHub等)の活用
GitHub上には、65以上のカスタマイズ可能なSQLクエリ集が公開されています。
Bigquery-GA4-Queries:
- URL: https://github.com/aliasoblomov/Bigquery-GA4-Queries
- 65以上のクエリをオープンソースで提供
- イベント分析、ユーザー分析、コンバージョン分析など幅広い用途に対応
- 自社の分析ニーズに合わせてカスタマイズ可能
※参照: GitHub「Bigquery-GA4-Queries: A comprehensive collection of SQL queries for Google Analytics 4 data in BigQuery」(2024年)
5. コスト管理と導入時の注意点
(1) 連携は無料、BigQueryの処理に課金
GA4とBigQueryの連携自体は無料です。ただし、BigQueryでのデータ処理(クエリ実行、ストレージ)に料金が発生します。
料金体系:
- ストレージ: $0.020/GB/月(最初の10GBは無料)
- クエリ: $5.00/TB(最初の1TBは無料)
※料金は変動する可能性があります。最新の料金体系はGoogle Cloud公式サイトでご確認ください。
※参照: Google Analytics ヘルプ「BigQuery Export」(2024年)
(2) BigQueryの無料枠(ストレージ月10GB、分析月1TB)
BigQueryには無料枠があり、これを活用すればコスト抑制が可能です。
無料枠:
- ストレージ: 月10GBまで無料
- クエリ: 月1TBまで無料
無料枠でどれくらい使えるか:
- 月間10万~100万PVのサイトであれば、無料枠内で十分なケースが多い
- データ量やクエリ実行頻度により異なるため、初月はモニタリングが推奨
※参照: DATA BE-AT「Googleアナリティクス4(GA4)とBigQuery連携まとめ!Exportの方法からデータの確認、可視化までを詳しく解説」(2024年)
(3) ストリーミングエクスポートの高コストに注意
ストリーミングエクスポートは高コストです。
料金:
- $0.05/GB(約60万イベント/GB)
- 月間1,000万イベントの場合、約$8.3/月(約1,200円/月)
推奨:
- リアルタイム分析(数分以内)が必須の場合のみ利用
- ほとんどの企業では日次エクスポートで十分
- 必要性を十分に見極めてから利用する
(4) 無料版GA4の1日100万イベント制限
無料版GA4でもBigQuery連携は可能ですが、1日100万イベントまでの制限があります。
制限:
- 無料版GA4: 1日100万イベントまでBigQueryにエクスポート
- それを超える場合: 有料版GA4 360が必要
月間3,000万PVを超える大規模サイトでない限り、無料版で十分なケースが多いと言われています。
※参照: Google Analytics ヘルプ「BigQuery Export」(2024年)
(5) 連携前のデータはエクスポートされない
重要な注意点として、連携前のデータはBigQueryにエクスポートされません。
注意:
- 連携日以降のデータのみが対象
- 過去のデータを分析したい場合は、早めに連携を設定する
- 連携後のデータ蓄積を待つ必要がある
長期データ分析を目的とする場合は、できるだけ早く連携を設定することが推奨されます。
6. まとめ:BigQuery連携を始める前に知っておくべきこと
BigQueryとGA4の連携により、生データアクセス、14ヶ月以上の長期保存、他データとの統合分析が可能になります。連携自体は無料で、設定もGoogle Cloudセットアップ後、GA4管理画面から設定すれば24時間以内に完了します。
BigQuery連携のメリット:
- 生データにアクセスして自由にSQL分析
- 14ヶ月以上の長期データ保存
- CRM・SFAなど他データとの統合分析
- リアルタイムデータ分析(ストリーミングエクスポート)
コスト管理のポイント:
- BigQueryの無料枠(ストレージ月10GB、分析月1TB)を活用
- ストリーミングエクスポートは高コストなので、必要性を見極める
- 無料版GA4でも連携可能(1日100万イベント制限)
導入時の注意点:
- 連携前のデータはエクスポートされない(早めの設定が推奨)
- SQL知識不要のツール(GA4 SQL等)やオープンソースのクエリ集を活用すれば、非エンジニアでも利用可能
次のアクション:
- Google Cloudでプロジェクトを作成する
- BigQuery APIを有効化する
- GA4管理画面からBigQueryリンク設定を行う
- 公式ドキュメントで最新の設定手順・料金体系を確認する
BigQueryとGA4の連携を活用し、データドリブンなマーケティング・経営判断を実現しましょう。
※この記事の情報は2024年11月時点のものです。連携手順、料金体系、機能は変更される可能性がありますので、導入前にGoogle公式ドキュメントで最新情報をご確認ください。
