アクセス解析ツールを選びたいけれど、Adobe Analyticsって何が違うの?
B2B企業のマーケティング責任者やデータアナリストの多くが、「Google Analytics(GA4)で十分なのか」「Adobe Analyticsは何が優れているのか」「月額100万円という高額な費用に見合うのか」といった疑問を抱えています。
この記事では、Adobe Analyticsの基本機能から料金体系、GA4との違い、導入に適した企業の特徴まで、B2B企業の実務担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事のポイント:
- Adobe Analyticsはエンタープライズ向けデジタル分析ソリューション(旧SiteCatalyst)
- GA4との主な違いは料金体系(GA4無料 vs Adobe月額100万円目安)と分析能力
- 大規模サイト(月間数百万PV以上)で詳細な仮説検証を行いたい企業に適している
- 小規模サイトや予算制約がある中小企業には過剰投資になる可能性がある
- 2025年1月1日までにJWT認証移行、2026年8月12日にLegacy API終了という重要な期限がある
Adobe Analyticsとは:エンタープライズ向けデジタル分析ソリューションの概要
Adobe Analyticsの導入を検討する前に、まず基本的な概念を整理しましょう。
(1) Adobe Analyticsの基本定義(旧SiteCatalyst)
Adobe Analyticsとは、Adobeが提供するエンタープライズ向けデジタル分析ソリューションです。旧称は「SiteCatalyst」で、2009年にAdobeがOmnitureを買収した際に現在の名称に変更されました。
Adobe公式サイトによると、Adobe Analyticsは複数のデータソース(Web、モバイル、メール、アプリなど)を統合し、リアルタイムで分析・レポーティングを行うことで、意思決定を支援します。
(2) マルチチャネル統合分析の特徴
Adobe Analyticsの大きな特徴は、マルチチャネルのデータを一元管理できる点です。
統合可能なチャネル:
- Webサイト(PC/モバイル)
- モバイルアプリ
- メールキャンペーン
- オフライン店舗データ(POS連携)
- SNS(ソーシャルメディア)
これにより、顧客が複数のタッチポイントでどのように行動しているかを一貫して追跡できます。
(3) Adobe製品群との連携メリット(Experience Manager・Campaign・Target)
Adobe Analyticsは、他のAdobe製品と連携することで効果を最大化できます。
主な連携製品:
- Adobe Experience Manager: コンテンツ管理システム(CMS)と分析データを連携
- Adobe Campaign: メールマーケティングの効果測定
- Adobe Target: A/Bテストやパーソナライゼーション施策の分析
Adobe製品群を既に活用している企業は、Adobe Analyticsとの連携により、マーケティング施策の効果を包括的に測定できます。
Adobe Analyticsの主要機能:Analysis Workspace・セグメント・フォールアウト分析
Adobe Analyticsの主要機能を解説します。
(1) Analysis Workspace:ドラッグ&ドロップで直感的に分析
Analysis Workspaceは、Adobe Analyticsの中核となる分析インターフェースです。
特徴:
- ドラッグ&ドロップで分析プロジェクトを作成
- 20種類以上のビジュアライゼーション(棒グラフ、折れ線グラフ、ヒートマップなど)
- 複数のパネルを組み合わせて、カスタムダッシュボードを構築
トランスプラスの調査によると、Analysis Workspaceを活用することで、従来のレポートツールに比べて分析時間が平均40%短縮されると言われています。
(2) セグメント機能:作成上限なしの柔軟なデータ抽出
セグメント機能は、任意の条件でデータを抽出する機能です。
特徴:
- セグメント作成数に上限なし(GA4は一定の制限あり)
- 複数の条件を組み合わせた複雑なセグメントも作成可能
- セグメントをまたいだ比較分析が容易
例:
- 「東京都在住」かつ「30代」かつ「過去30日間に3回以上訪問」したユーザー
- 「特定の商品ページを閲覧」したが「購入に至らなかった」ユーザー
こうした詳細なセグメント分析により、ターゲティング精度を高めることができます。
(3) フォールアウトレポート:離脱ポイントの特定と改善
フォールアウトレポートは、ユーザー行動の離脱ポイントを分析するレポート機能です。
活用例:
- 商品ページ → カート追加 → 購入完了 のフローを設定
- 各ステップの離脱率を可視化
- 離脱率が高いステップを特定し、改善施策を立案
デジ研の調査では、フォールアウト分析により離脱ポイントを特定・改善した企業は、CVRが平均20-30%向上したという事例があります。
(4) リアルタイムレポート:即時データ反映
Adobe Analyticsは、データを即座に反映し、リアルタイムでレポートを表示できます。
活用シーン:
- キャンペーン開始直後の効果測定
- サイトリニューアル後の即時モニタリング
- 緊急時のトラフィック監視
リアルタイム性により、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。
Adobe AnalyticsとGA4の違い:料金・機能・カスタマイズ性の比較
Adobe AnalyticsとGoogle Analytics 4(GA4)の違いを詳しく比較します。
(1) 料金体系の違い(GA4:無料 vs Adobe:月額100万円目安)
最も大きな違いは料金体系です。
Google Analytics 4:
- 基本無料(Google Analytics 360は有料)
- データ収集量に一定の上限あり(無料版は月間1,000万イベント)
Adobe Analytics:
- 月額100万円程度が目安(サーバーコール数による従量課金)
- データ収集量の上限は契約次第で柔軟に設定可能
ITreviewの調査によると、Adobe Analyticsの料金は企業規模やサーバーコール数により大きく変動し、年間1,200万円〜数千万円の範囲が一般的です。
※料金プランは変更の可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。(この記事は2025年12月時点の情報です)
(2) 分析能力とカスタマイズ性の比較
分析能力とカスタマイズ性では、Adobe Analyticsが優位です。
分析能力:
| 項目 | GA4 | Adobe Analytics |
|---|---|---|
| セグメント作成数 | 制限あり | 無制限 |
| カスタムレポート | 制限あり | 柔軟に作成可能 |
| データ保持期間 | 2-14ヶ月 | 契約次第で長期保存可能 |
| ビジュアライゼーション | 基本的なグラフ | 20種類以上 |
Web担当者Forumの比較調査によると、詳細な仮説検証を行う企業では、Adobe Analyticsのカスタマイズ性が重要な選定基準になると言われています。
(3) 導入難易度と習得コスト
導入難易度と習得コストでは、GA4が優位です。
Google Analytics 4:
- 基本的な設定は比較的容易(Googleタグマネージャー利用)
- 学習リソースが豊富(書籍、オンライン講座、コミュニティ)
- 習得期間は数週間〜数ヶ月
Adobe Analytics:
- 実装・設定に専門的な知識・ノウハウが必要
- 学習リソースが限定的(Adobe公式ドキュメントが中心)
- 習得期間は数ヶ月〜1年以上
デジ研の調査では、Adobe Analyticsの習得には専任の担当者またはコンサルタントの支援が必要なケースが多いと言われています。
(4) セキュリティとデータ利用ポリシーの違い
セキュリティとデータ利用ポリシーも重要な違いです。
Google Analytics 4:
- Googleがマーケティングデータを自社の広告配信に利用する可能性がある
- データはGoogleのサーバーに保存される
Adobe Analytics:
- Adobe社は収集データをマーケティング目的で利用しない
- データの保管場所やセキュリティ要件を契約で明示可能
セキュリティ要件が厳しい企業(金融、医療、公共機関など)は、Adobe Analyticsを選択するケースが多いと言われています。
Adobe Analyticsの料金体系:サーバーコール従量課金とパッケージプラン
Adobe Analyticsの料金体系を詳しく解説します。
(1) 3種類のパッケージ(Select・Prime・Ultimate)
Adobe Analyticsには、3種類のパッケージがあります。
Select:
- 基本的な分析機能
- 小〜中規模サイト向け
- 月額数十万円〜
Prime:
- 標準的な分析機能
- 中〜大規模サイト向け
- 月額100万円程度が目安
Ultimate:
- 高度な分析機能・無制限セグメント・長期データ保持
- 大規模サイト・エンタープライズ向け
- 月額数百万円〜
ITreviewによると、多くの企業はPrimeパッケージを選択していると言われています。
(2) サーバーコール数による従量課金の仕組み
Adobe Analyticsは、サーバーコール数に応じた従量課金制です。
サーバーコールとは:
- 解析サービスへのデータ送信(PVやイベントトラッキングごとに発生)
- 1PVあたり1サーバーコール、カスタムイベントも追加でカウント
料金例:
- 月間1,000万サーバーコール: 月額100万円程度
- 月間5,000万サーバーコール: 月額300万円程度(ボリュームディスカウント適用)
サーバーコール数が多いほど単価は下がりますが、総額は増加します。
(3) 月額100万円程度の料金目安と変動要因
月額100万円はあくまで目安で、以下の要因により変動します。
料金変動要因:
- サーバーコール数(トラフィック量)
- パッケージ(Select/Prime/Ultimate)
- 契約期間(年契約でディスカウント)
- オプション機能(データ保持期間延長、専用サポートなど)
Adobe公式サイトでは、具体的な料金は見積もりが必要とされており、企業ごとにカスタマイズされた料金プランが提供されます。
Adobe Analyticsが適した企業と導入時の注意点
Adobe Analyticsが適した企業の特徴と、導入時の注意点を解説します。
(1) 適した企業:大規模サイト・詳細な仮説検証が必要な企業
Adobe Analyticsが適している企業の特徴は以下の通りです。
適した企業:
- 月間数百万PV以上の大規模サイトを運営
- 詳細な仮説検証・カスタム分析を頻繁に行う
- Adobe製品群(Experience Manager、Campaign、Targetなど)を既に活用
- セキュリティ要件が厳しい(金融、医療、公共機関など)
- データの長期保存・詳細な履歴分析が必要
デジ研の調査では、月間PVが1,000万を超える企業では、Adobe Analyticsの費用対効果が高いと言われています。
(2) 不向きな企業:小規模サイト・予算制約のある中小企業
一方、以下のような企業にはAdobe Analyticsは過剰投資になる可能性があります。
不向きな企業:
- 月間数十万PV以下の小規模サイト
- 基本的なアクセス解析で十分(PV、セッション、CVRなど)
- 予算が年間数百万円以下に制約されている中小企業
- データアナリスト専任担当者がいない
こうした企業は、Google Analytics 4で十分なケースが多いと言われています。
(3) 実装・設定の専門知識・ノウハウの必要性
Adobe Analyticsの導入には、専門的な知識・ノウハウが必要です。
必要なスキル:
- JavaScriptによるタグ実装
- データレイヤー設計
- セグメント・指標のカスタマイズ
- レポート設計・ダッシュボード構築
多くの企業は、Adobe認定パートナーやコンサルタントの支援を受けて導入しています。導入費用として、初期設定費用が数百万円かかるケースもあります。
(4) 重要な移行期限(2025年JWT認証終了、2026年Legacy API終了)
既にAdobe Analyticsを利用している企業は、以下の重要な移行期限に注意が必要です。
重要な期限:
- 2025年1月1日: Adobe I/O JWT認証が終了。OAuth Server-to-Server認証への移行が必須
- 2026年8月12日: Adobe Analytics Legacy API(version 1.4)とWSSE認証が終了
Adobe Experience Leagueの公式発表によると、期限までに移行しない場合、API連携が停止し、データ取得や自動レポート生成ができなくなる可能性があります。早めの対応が推奨されます。
まとめ:Adobe Analyticsの選定基準と費用対効果
Adobe Analyticsは、エンタープライズ向けデジタル分析ソリューションとして、詳細な分析・カスタマイズ性・セキュリティに優れています。ただし、月額100万円程度という高額な費用と、専門知識が必要な導入難易度がハードルになります。
Adobe Analytics選定のポイント:
- 月間数百万PV以上の大規模サイトで費用対効果が高い
- GA4との主な違いは料金体系、分析能力、カスタマイズ性、セキュリティ
- 小規模サイト・予算制約のある中小企業には過剰投資になる可能性がある
- 導入には専門知識が必要で、コンサルタント支援が推奨される
- 2025年1月1日と2026年8月12日の重要な移行期限がある
次のアクション:
- 自社のサイト規模(月間PV)と分析ニーズを整理する
- GA4で対応できる範囲を確認する
- Adobe Analyticsの導入費用(初期費用+月額費用)を見積もる
- Adobe認定パートナーに相談し、導入支援の費用を確認する
- 既存ユーザーは移行期限を確認し、早めに対応を開始する
自社の規模・ニーズ・予算に合った分析ツールで、データドリブンなマーケティングを実現しましょう。
