Pardotがメール配信ツールで終わってしまう理由
実はPardotを活用してリード育成を成功させるには、基本機能の操作方法だけでなく、Salesforceとの連携設計とナーチャリングシナリオの実装まで一貫して行うことが重要です。
国内MA市場規模は2020年約543億円から2026年に約865億円へ拡大予測されています(矢野経済研究所調査、2021年11月発表)。MAツールへの注目が高まる一方で、「Pardotを導入したものの、基本的なメール配信にしか使えていない」という課題を抱える企業は少なくありません。
よくある失敗パターンとして、Pardotの機能を一通り学んで設定したが、シナリオ設計や営業連携が曖昧なまま運用開始し、結局メール配信ツールとしてしか使えていないケースがあります。 この考え方は誤りであり、成果にはつながりません。
この記事で分かること
- Pardot(Account Engagement)の基本機能と役割
- フォーム・LP・メール配信など主要機能の実践的な使い方
- スコアリングとグレーディングで有望リードを見極める方法
- Salesforce連携と運用定着のための設計ポイント
- Pardot活用度を確認するセルフチェックリスト
Pardotとは|基本機能と役割を理解する
Pardot(現在の正式名称はMarketing Cloud Account Engagement)は、Salesforceが提供するBtoB向けマーケティングオートメーション(MA)ツールです。リード獲得から育成、営業への引き渡しまでを自動化し、マーケティングと営業の連携を強化します。
Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)の国内シェアは13.4%で、BowNow 23.0%、HubSpot 20.3%に次ぐ3位となっています(DataSign調査、2026年1月時点)。Salesforce連携を重視するBtoB企業にとっては有力な選択肢として位置づけられています。
プロスペクトとは、Pardotで管理される見込み客を指します。メールアドレスを取得しCookieが紐付いた状態の訪問者がプロスペクトとして登録され、その後の行動を追跡できるようになります。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で一定のスコアに達し、営業へ引き渡し可能と判定されたリードを指します。PardotではスコアリングとグレーディングによってMQLの判定を行います。
Winter'26リリース(2025年10月12日)では、Data Cloud対応やAgentforceアクション追加など、顧客データ統合の強化とAIを活用した自動対応が可能になっています。
Pardotの主要機能一覧
Pardotの主要機能は、リード獲得からナーチャリング、営業連携まで幅広くカバーしています。単なる機能の羅列ではなく、実務での活用ポイントを押さえることが重要です。
エンゲージメントスタジオとは、Pardotの自動化機能です。顧客の反応に応じたシナリオベースのメール配信を設定可能で、リードの行動に合わせた柔軟なナーチャリングを実現できます。
主な機能には以下があります。
- フォーム・ランディングページ: リード情報を取得するための入力フォームとLPを作成
- メール配信: セグメント別にパーソナライズされたメールを配信
- エンゲージメントスタジオ: シナリオベースの自動ナーチャリング
- スコアリング・グレーディング: リードの購買意欲と属性を評価
- Salesforce連携: CRMとのデータ同期と営業への引き渡し
リード獲得・育成の実践的な使い方
リード獲得・育成を成功させるには、フォーム・LP・メール配信の各機能を連携させて運用することがポイントです。個別の機能を単体で使うだけでは、MAツールとしての効果を十分に発揮できません。
【比較表】Pardot機能別活用シーン比較表
| 機能 | 主な用途 | 活用シーン | 実務Tipsのポイント |
|---|---|---|---|
| フォーム | リード情報の取得 | 資料請求、お問い合わせ、セミナー申込 | プログレッシブプロファイリングで段階的に情報取得 |
| ランディングページ | キャンペーン専用ページ | 展示会告知、ホワイトペーパーDL | A/Bテストでコンバージョン改善 |
| メール配信 | リードへの情報提供 | ニュースレター、イベント告知 | 開封率・クリック率をセグメント別に分析 |
| エンゲージメントスタジオ | 自動ナーチャリング | セミナー未申込者リマインド、ステップメール | 分岐条件を設定し反応別にシナリオ分岐 |
| スコアリング | 購買意欲の数値化 | ホットリード抽出 | 行動に応じた加点・減点ルールを設計 |
| グレーディング | ターゲット適合度判定 | 優先アプローチ先の選定 | 業種・企業規模・役職で評価基準設定 |
| Salesforce連携 | 営業へのリード引き渡し | MQL発生時の即時通知 | 双方向同期で二重入力を解消 |
フォーム・ランディングページの作成手順
フォームとLPの作成は、Pardotの管理画面からドラッグ&ドロップで直感的に行えます。ただし、作成するだけでなく改善サイクルを回すことが重要です。
フォーム作成時のポイントは以下の通りです。
- 取得項目は必要最小限に絞る(入力負荷が高いと離脱率が上がる)
- プログレッシブプロファイリングを活用し、訪問回数に応じて追加情報を取得
- A/Bテスト設定を活用し、フォームのコンバージョン率を継続的に改善
LPについては、キャンペーンごとに専用ページを作成し、流入元と訴求内容を一致させることで効果が高まります。
メール配信とエンゲージメントスタジオの活用
メール配信は単発で終わらせず、エンゲージメントスタジオと組み合わせてナーチャリングシナリオを構築することが効果的です。
たとえば、セミナー未申込者への自動リマインド設定が効果的な活用例として挙げられます。セミナー案内メールを送付後、未開封者には件名を変えて再送、開封したが申込していない人にはリマインドメールを送るといったシナリオを自動化できます。
エンゲージメントスタジオでは、リードのアクション(メール開封、リンククリック、フォーム送信など)に応じて次のステップを分岐させることが可能です。
スコアリングとグレーディングで有望リードを見極める
有望リードの見極めには、スコアリングとグレーディングの両方を活用することが重要です。スコアが高いだけでは商談化につながらないケースも多く、グレーディングとの併用が精度向上の鍵となります。
スコアリングとは、見込み客のWeb行動(ページ閲覧、メール開封)を数値化し、購買意欲を評価する仕組みです。行動ベースでリードの関心度を測定します。
グレーディングとは、見込み客の属性(業種、企業規模、役職)を評価し、自社ターゲットとの適合度を判定する仕組みです。属性ベースでリードの質を評価します。
MA導入企業の成功事例では商談化率1.5倍向上の実績があります(展示会フォロー企業など)。ただし、これは成功事例であり、運用体制や業種によって成果は大きく異なる点に注意が必要です。
スコアリング・グレーディング設計のポイント
スコアリングとグレーディングを組み合わせることで、行動面と属性面の両方から有望リードを抽出できます。
スコアリング設計のポイント
- 料金ページ閲覧:高加点(購買意欲が高い)
- 事例ページ複数回閲覧:加点
- メール開封・クリック:加点
- 一定期間アクションなし:減点
グレーディング設計のポイント
- ターゲット業種に合致:A評価
- 決裁者クラスの役職:加点
- 従業員規模がターゲットレンジ内:加点
スコアとグレードの両方が基準を満たしたタイミングでMQLとして営業に引き渡すことで、商談化率の向上が期待できます。
Salesforce連携と運用定着のための設計
Salesforce連携を適切に設計することで、マーケティングから営業への引き渡しがスムーズになり、リード情報の二重入力も解消できます。Pardotの価値を最大化するには、この連携設計が不可欠です。
コニカミノルタジャパンはPardotとSalesforce連携でマーケティング・インサイドセールス連携を強化し、案件創出3倍向上を実現したと報告されています(企業発表ベースの数値であり、独立した第三者検証はされていません。成果は運用体制やスキルに依存します)。
【チェックリスト】Pardot活用度セルフチェックリスト
- プロスペクトのデータがSalesforceと双方向同期されている
- スコアリングルールを自社の商材に合わせてカスタマイズしている
- グレーディング基準をターゲット企業の属性に基づいて設定している
- MQLの定義(スコア・グレード閾値)をマーケと営業で合意している
- エンゲージメントスタジオでナーチャリングシナリオを構築している
- フォームでプログレッシブプロファイリングを活用している
- メールのA/Bテストを実施し効果検証している
- MQL発生時に営業へ自動通知される設定になっている
- 営業がPardotのリード行動履歴をSalesforce上で確認できる
- 商談結果をマーケティングにフィードバックする仕組みがある
- 月次でスコアリング・グレーディング精度を振り返っている
- 未対応MQLの放置を防ぐアラートを設定している
- コンテンツ別のコンバージョン貢献度を分析している
- 離脱ポイントを特定しナーチャリングシナリオを改善している
- マーケと営業の定例ミーティングで活用状況を共有している
Salesforce Lightning統合の設定と活用
Salesforce Lightning統合により、CRMデータとの二重入力が不要になります。マーケティング側でのリード情報更新がSalesforceに自動反映され、営業側の活動履歴もPardotに同期されます。
統合のポイントは以下の通りです。
- リアルタイム同期: プロスペクト情報の更新が即座にSalesforceに反映
- 行動履歴の可視化: 営業がリードのWeb行動をSalesforce上で確認可能
- キャンペーン連携: Pardotキャンペーンの成果をSalesforceレポートで分析
まとめ|Pardotを「使いこなす」ための次のステップ
本記事では、Pardotの基本機能から実践的な使い方、Salesforce連携まで解説しました。
Pardotを単なるメール配信ツールで終わらせないためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- スコアリングとグレーディングを併用して有望リードを見極める
- エンゲージメントスタジオでナーチャリングシナリオを自動化する
- Salesforce連携を適切に設計し、営業への引き渡しをスムーズにする
- マーケティングと営業で定期的に振り返り、改善サイクルを回す
まずは本記事のチェックリストを活用し、自社のPardot活用度を確認してみてください。改善すべきポイントが明確になれば、優先順位をつけて施策を進めることができます。
Pardotを活用してリード育成を成功させるには、基本機能の操作方法だけでなく、Salesforceとの連携設計とナーチャリングシナリオの実装まで一貫して行うことが重要です。
