Pardotフォームが「作って終わり」になる理由
Pardotフォームは、作成だけでなく、営業・マーケ連携を前提とした実装設計と運用フロー(リードスコアリング、引き渡し基準、フォロー体制)まで整備することで、リードから商談への転換率を高められます。しかし多くの企業では、フォームを作成しただけで満足し、その後の営業連携が設計されていないために、せっかく獲得したリードが放置されています。
この記事で分かること
- Pardotフォームとフォームハンドラーの違いと使い分け
- フォーム作成の基本手順と完了アクション設定のポイント
- 実装前に確認すべきチェックリスト
- フォームからリード育成・商談化までの一気通貫フロー
2021年の調査によると、国内企業のMA導入率は17%にとどまっています(2018年10%→2020年15%→2021年17%と増加傾向)。Account Engagement(Pardotの新名称、2022年より)を導入しても、スコアリング基準が未設定で「どのリードを優先すべきか」営業が判断できないという課題を抱える企業は少なくありません。
フォームを作成しただけで満足し、リードの引き渡しフローや営業連携が設計されていない——これはよくある失敗パターンです。本記事では、フォーム作成から営業連携までを一気通貫で設計する方法を解説します。
Pardotフォームの基本:フォームとフォームハンドラーの違い
Pardotフォームとは、Pardot内で作成・管理されるリード獲得フォームです。iFrame埋め込み型で、ボット対策やプログレッシブプロファイリング機能を標準搭載しています。一方、フォームハンドラーは、既存の外部フォームにコードを追加してPardotにデータを連携させる機能で、デザインの自由度が高く、確認画面の実装にも対応しています。
両者の使い分けは、新規でフォームを作成する場合はPardotフォーム、既存フォームを活用したい場合はフォームハンドラーが基本となります。
| 比較項目 | Pardotフォーム | フォームハンドラー |
|---|---|---|
| 作成方法 | Pardot内でGUI操作 | 既存フォームにタグ追加 |
| デザイン自由度 | 標準テンプレートベース | 高い(既存デザイン活用可) |
| ボット対策 | 標準搭載 | なし |
| プログレッシブプロファイリング | 対応 | 非対応 |
| 確認画面 | 非対応 | 対応 |
| 開発工数 | 不要 | タグ追加のみ |
Pardotフォームの特徴と強み
Pardotフォームの強みは、ボット対策機能が標準搭載されている点です。スパム登録を防止し、リードの質を維持できます。
また、プログレッシブプロファイリング(フォーム送信のたびに異なる質問を表示し、段階的にリード情報を収集する機能)を活用することで、初回のフォーム項目数を抑えつつ、複数回の接触で詳細情報を取得できます。フォーム項目数を減らすことでコンバージョン率の向上が期待できます。
フォームハンドラーの活用シーン
フォームハンドラーは、既存のWebサイトにすでにフォームが設置されている場合に有効です。開発不要でタグを追加するだけでPardotと連携できるため、工数を削減できます。
ただし、フォームハンドラーにはボット対策機能がない点に注意が必要です。スパム登録が増加するリスクがあるため、別途対策(reCAPTCHA等)を検討してください。
Pardotフォーム作成の基本手順
フォーム作成の基本的な流れは以下のとおりです。なお、Pardot(現Account Engagement)のUIは変更される可能性があるため、最新の公式ドキュメントも併せて参照することを推奨します。
- レイアウトテンプレートの選択
- フォーム項目の設定
- 完了アクションの設定(スコア加算・通知等)
- 埋め込みコードの取得
- Webサイトへの設置・公開
完了アクションとは、フォーム送信後に自動実行されるアクションのことです。リードスコア加算、リスト追加、通知メール送信などを設定できます。
項目設定とレイアウトテンプレートの選び方
フォーム項目は必要最小限に絞ることが重要です。項目数が多いほど離脱率が上がる傾向があります。初回は氏名・メールアドレス・会社名程度に抑え、プログレッシブプロファイリングで段階的に情報を収集する設計が効果的です。
レイアウトテンプレートは、Pardotにデフォルトで用意されているものを活用するか、自社ブランドに合わせてカスタマイズできます。ブランドカラーやロゴを反映させることで、信頼感を高められます。
完了アクションの設定とリードスコア加算
完了アクションで設定すべき項目として、以下が挙げられます。
- リードスコア加算: フォーム送信に応じたスコア付与
- リスト追加: 特定のリストへの自動登録
- 通知メール送信: 営業担当者への即時通知
- Salesforceタスク作成: フォロー用タスクの自動生成
リードスコア加算と営業通知を自動化することで、フォロー漏れを防止できます。フォーム送信後に営業担当者へ即時通知される仕組みを構築することが重要です。
フォーム実装前に確認すべきチェックリスト
フォーム実装前に以下のチェックリストで確認し、営業連携まで含めた設計ができているかを点検してください。
【チェックリスト】フォーム実装前チェックリスト
- フォームの目的(資料請求・問い合わせ・セミナー申込等)は明確か
- 必須項目と任意項目は整理されているか
- 項目数は必要最小限に抑えられているか
- リードスコアの加算ルールは設定されているか
- 営業への引き渡し基準(スコア閾値等)は決まっているか
- フォーム送信後の営業通知設定は完了しているか
- フォロー担当者のアサインルールは決まっているか
- フォロー漏れを検知する仕組みはあるか
- 完了アクション(自動返信メール等)は設定されているか
- プログレッシブプロファイリングの追加質問は設計されているか
- Salesforceとの連携設定は完了しているか
- テスト送信で動作確認は完了しているか
- スパム対策(Pardotフォームのボット対策 or reCAPTCHA)は有効か
- フォーム公開後の効果測定指標(CVR等)は定義されているか
- 定期的なフォーム改善のレビュー体制はあるか
フォームからリード育成・商談化までの一気通貫フロー
フォームは単なるリード獲得の入口ではなく、商談化までの起点として設計することが重要です。以下のフロー図を参考に、一気通貫の運用フローを構築してください。
【フロー図】フォーム→リード育成→商談化のフロー図
flowchart TD
A[Webサイト訪問] --> B[Pardotフォーム入力]
B --> C[リード登録]
C --> D[完了アクション実行]
D --> E[リードスコア加算]
D --> F[営業担当者へ通知]
E --> G{スコア閾値超え?}
G -->|Yes| H[MQL認定]
G -->|No| I[ナーチャリング継続]
I --> J[メール配信・コンテンツ提供]
J --> E
H --> K[営業へ引き渡し]
K --> L[SQL認定・商談化]
L --> M[受注]
リードスコアリングと営業への引き渡し基準
スコアリング基準が未設定だと、営業が「どのリードを優先すべきか」判断できません。以下のような基準を設計することを推奨します。
- 行動スコア: フォーム送信(+50点)、メール開封(+5点)、Webページ閲覧(+3点)
- 属性スコア: 役職(部長以上で+20点)、従業員規模(100名以上で+10点)
- 引き渡し閾値: 合計100点以上でMQL認定、営業へ引き渡し
閾値は企業ごとに調整が必要です。商談化率を見ながら最適な基準を見つけてください。
導入事例:Account Engagementでの成果
Account Engagement(旧Pardot)を活用した成果事例を紹介します。ただし、これらはベンダー提供の事例であり、ポジティブバイアスがある点にご注意ください。全社平均として捉えるのではなく、参考事例としてご確認ください。
淵本鋼機(製造業)の事例
Account Engagement導入後、売上高が2017年5月期30億円から2019年5月期41億円(+37%)に成長しました。MA活用によるリード育成と営業連携が成果につながった事例です。
コニカミノルタジャパンの事例
Pardot+Salesforceの連携により、案件創出が3倍に増加しました。マーケティングと営業の一体運用がBtoB企業における標準的なアプローチとなりつつあります。
まとめ:Pardotフォームを営業連携の起点として活用する
Pardotフォームは作成だけでなく、営業・マーケ連携を前提とした実装設計と運用フローまで整備することで、リードから商談への転換率を高められます。
2021年の調査によると、MA導入企業の72%以上が効果を実感しています。正しく活用すれば、成果につながるツールであることは間違いありません。
本記事で紹介したチェックリストとフロー図を活用し、以下のステップで実装を進めてください。
- フォーム実装前チェックリストで設計を点検する
- リードスコアリングと営業引き渡し基準を設定する
- フォームからリード育成・商談化までの一気通貫フローを構築する
- 定期的に効果測定し、改善サイクルを回す
フォームを作成しただけで満足せず、営業連携の起点として活用することで、リードから商談への転換率を高めていきましょう。
