MAを導入したのに成果が出ない理由
MA活用の課題とは何か。MAの活用課題は、ツール設定だけでなく、営業連携・運用設計・コンテンツ整備まで含めた実装支援を受けることで解決できます。
マーケティングオートメーション(MA) とは、リード獲得から育成、スコアリング、営業連携までのマーケティング活動を自動化するツール・手法を指します。多くの企業がMAツールを導入していますが、グローバル調査によると、B2Bマーケターの85%が自動化を十分に活用できていないと感じているという結果が報告されています。また、60%の企業が使い勝手や導入の難しさに苦戦しているとされています。
MAを導入したものの成果が出ないと悩んでいる方は少なくありません。しかし、課題の本質を正しく理解し、適切な解決策を講じることで、MAは本来の効果を発揮できます。
この記事で分かること
- MAを導入しても成果が出ない構造的な原因
- シナリオ設計・スコアリング・営業連携における典型的な課題
- 自力で解決できる課題と専門家支援が有効な課題の区分け
- 自社のMA活用状況を確認できるセルフ診断チェックリスト
MA活用がうまくいかない構造的な背景
多くの企業がMAを活用できない背景には、人的リソースと予算の制約という構造的な要因があります。
BtoBマーケティング課題の第1位は「人手不足、体制が整っていない」で34.3%を占めています。また、目標達成に十分な予算がある企業はわずか18.8%にとどまります。リソースが限られる中で、MA運用に必要な専門スキルを社内で確保することは容易ではありません。
国内MAツール市場規模は2021年の約600億円から2026年には865億円に達すると予測されており、導入企業は増加傾向にあります。しかし、導入と活用は別の話です。導入は進んでも、活用できていない企業が多いのが実態です。
よくある失敗パターンとして、「MAツールの設定方法を調べて自分で解決しよう」とツール設定だけに注力し、営業との連携設計やコンテンツ整備、運用ルール策定を後回しにしてしまうケースがあります。この考え方は誤りです。MAはツールを設定しただけでは成果が出ません。営業連携の設計、シナリオ設計、コンテンツ準備、運用ルールの策定まで含めて初めて機能します。
MA活用でよくある課題と原因分析
MA活用における課題は、シナリオ設計、スコアリング、営業連携の3領域に大別できます。70%のマーケターが現状の自動化ソフトに不満を抱いているという調査結果があり、この不満の多くは運用上の課題に起因しています。
48.6%がリードの質の観点で理想通りの獲得が「できていない」と回答しており、前年比7.6ポイント増加しています(調査対象は限定的)。また、リード獲得課題として「施策がターゲットに刺さっていない」が38.5%、「コンテンツの質が低い」が28.8%(前年比11.7ポイント増)という結果も報告されています(調査対象は限定的)。
シナリオ設計・スコアリングの課題
シナリオ設計とは、MAで自動配信するメールやコンテンツの配信条件・タイミング・内容を設計することです。シナリオ設計の失敗パターンとして多いのは、ペルソナが曖昧なまま作成してしまうケースです。「施策がターゲットに刺さっていない」という課題が38.5%を占めることからも、ターゲット設計の重要性がわかります。
リードスコアリングとは、見込み客の行動や属性に点数を付け、購買意欲の高さを数値化して営業優先度を決める手法です。スコアリングでは、初期値を高く設定しすぎてアラートが上がらず、後から閾値を下げるパターンが多くみられます。MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が一定基準を満たすと判定したリードで、営業への引き渡し対象候補を指します。MQL判定スコアは一定の範囲内に設定し、SQL候補アラートはそれより高めに設定するのが一般的とされています。スコアリングの見直しは四半期に1回程度が推奨されており、高スコアでも商談化しないパターンを洗い出すことが重要です。
営業連携とリード引き渡しの課題
マーケティング部門と営業部門の連携不足は、MA活用の大きな障壁となります。MQLの定義がマーケティングと営業で共有されていない場合、リード引き渡しの基準が曖昧になり、質の低いリードが営業に渡されたり、逆に有望なリードが放置されたりします。
リードナーチャリングとは、見込み客を段階的に育成し、購買意欲を高めて商談化につなげるプロセスです。ナーチャリングが機能していても、リード引き渡しのタイミング・ルールが曖昧では、せっかく育成したリードを適切に活用できません。マーケティングと営業が共通のKPIを持ち、定期的に連携ルールを見直す体制が求められます。
MA活用課題の解決アプローチ
課題ごとに適切な解決アプローチを選択することが重要です。2025年度のWeb広告運用課題として「費用対効果の向上」が47.2%、「質の高いリードの獲得」が46.2%と上位を占めており、多くの企業がこれらの改善を求めています。
【比較表】MA活用課題と解決アプローチ対応表
| 課題カテゴリ | 具体的な課題 | 自力解決 | 専門家支援 | 推奨アプローチ |
|---|---|---|---|---|
| シナリオ設計 | 基本的なメールシナリオの作成 | ○ | - | 自力で対応可 |
| シナリオ設計 | ペルソナ設計・ターゲット定義 | △ | ○ | 専門家支援推奨 |
| シナリオ設計 | 複数ペルソナ対応の分岐シナリオ | - | ○ | 専門家支援必要 |
| スコアリング | 初期スコアリング設定 | ○ | - | 自力で対応可 |
| スコアリング | MQL/SQL判定基準の策定 | △ | ○ | 専門家支援推奨 |
| スコアリング | スコアリングの継続的最適化 | △ | ○ | 専門家支援推奨 |
| 営業連携 | リード引き渡しルールの策定 | △ | ○ | 専門家支援推奨 |
| 営業連携 | SFA連携設定 | - | ○ | 専門家支援必要 |
| 営業連携 | マーケ・営業共通KPI設計 | - | ○ | 専門家支援必要 |
| コンテンツ | メール文面作成 | ○ | - | 自力で対応可 |
| コンテンツ | ホワイトペーパー企画・制作 | △ | ○ | 専門家支援推奨 |
| 運用体制 | ダッシュボード設定 | ○ | - | 自力で対応可 |
| 運用体制 | 運用ルール・体制設計 | - | ○ | 専門家支援必要 |
| 運用体制 | 継続的なPDCA支援 | - | ○ | 専門家支援必要 |
※ ○:対応可、△:部分的に対応可、-:難しい
自力で解決できる範囲と専門家支援が有効な範囲
自力で解決できる範囲としては、基本的なシナリオ設計、メール文面作成、ダッシュボード設定などがあります。シナリオ設計は1-2ペルソナに対して数通程度の基本シナリオから始めるのが現実的です。
一方、専門家支援が有効な範囲としては、営業連携設計、KPI設計、SFA連携設定、運用ルール策定などがあります。これらは部門横断的な調整や専門的なノウハウが必要であり、自社リソースだけでは十分な成果を出すことが難しいケースが多くみられます。
MA活用の成否は、ツール設定だけでなく、こうした運用設計・営業連携・コンテンツ整備まで含めた包括的な取り組みにかかっています。
MA活用状況のセルフ診断
自社のMA活用状況を客観的に把握するため、以下のチェックリストで確認してみてください。
【チェックリスト】MA活用状況セルフ診断チェックリスト
- ターゲットペルソナが明確に定義されている
- ペルソナごとのカスタマージャーニーが設計されている
- メールシナリオが複数パターン用意されている
- シナリオの配信条件・タイミングが設計されている
- リードスコアリングの基準が設定されている
- MQLの定義がマーケと営業で共有されている
- スコアリング閾値を定期的に見直している
- リード引き渡しのルールが明文化されている
- マーケと営業で定期的な連携会議を実施している
- SFA/CRMとMAが連携されている
- リードの行動履歴が営業に共有されている
- マーケと営業で共通のKPIを持っている
- MA運用の担当者が明確にアサインされている
- 運用ルール・マニュアルが整備されている
- 定期的にレポートを確認しPDCAを回している
- 施策の効果測定ができる体制がある
診断結果の目安
- 13項目以上該当:活用が進んでいる状態です。継続的な改善で成果向上を目指しましょう
- 8〜12項目該当:基盤はあるが改善余地があります。課題の優先順位を付けて対応しましょう
- 7項目以下該当:基盤整備が必要です。専門家への相談を検討することをおすすめします
まとめ|MA活用の課題を解決するために
MA活用の課題は、シナリオ設計・スコアリング・営業連携・運用体制の4領域に大別できます。それぞれの課題には、自力で解決できるものと専門家支援が有効なものがあります。
まずはセルフ診断チェックリストで自社の現状を把握し、課題の優先順位を付けることから始めてください。基本的なシナリオ設計やメール文面作成は自力で対応できますが、営業連携設計やKPI設計、SFA連携設定などは専門家支援の活用が有効です。
MAの活用課題は、ツール設定だけでなく、営業連携・運用設計・コンテンツ整備まで含めた実装支援を受けることで解決できます。ツール設定だけに注力するのではなく、運用全体を見据えた改善に取り組むことが、MA活用成功の鍵です。
