MAツール選定で失敗しないために必要な視点
MAツールを比較しているがどれを選べばよいかわからない、または導入済みだが活用できていないという課題を解決したいなら、MAツール選定を成功させるには、機能や費用だけでなく、自社の運用体制とSFA/CRM連携を見据えた選定基準で比較し、導入後の活用・定着まで計画することが重要です。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化し、リード獲得から育成、スコアリングまでを効率化するツールです。国内企業全体のMAツール導入率は1.2%と低く、対面営業の文化が強い日本では導入検討段階の企業がまだ多いのが現状です。
一方で、日本国内のMAツール市場は2021年時点で600億円、2026年には865億円に達すると予測されています(矢野経済研究所調査)。市場は拡大しているにもかかわらず、導入率が低いのは「どのツールを選べばよいかわからない」「導入しても活用できない」という課題が背景にあります。
この記事で分かること
- MAツールの基本概念と主要機能
- 国内主要MAツールの一覧と比較表
- MAツール選定で失敗する原因と正しい選び方
- 導入後の活用を見据えたチェックリスト
この記事は、MA導入を検討している、または導入済みだが活用できていない企業のマーケティング責任者(従業員50-300名規模)を対象としています。
MAツールとは?基本概念と主要機能
MAツールは、見込み顧客の獲得から育成、営業への引き渡しまでを自動化・効率化するためのシステムです。2021年の調査では、MA導入企業の72%以上が「導入の効果を感じている」と回答しています(ただし、このデータはベンダー発信のため客観性に限界がある点を考慮する必要があります)。
MAツールを導入することで、これまで手作業で行っていたリード管理やメール配信、スコアリングなどの業務を効率化できます。しかし、ツールを導入するだけでリードが自動的に増えるわけではありません。コンテンツ制作やリード獲得施策は別途必要です。
MAツールの主要機能
MAツールには、大きく分けて以下の機能があります。
リードジェネレーションとは、見込み顧客(リード)を獲得するためのマーケティング活動です。フォーム作成やランディングページ制作、Web行動トラッキングなどの機能を通じて、潜在顧客を可視化します。
リードナーチャリングとは、獲得したリードを育成し、購買意欲を高めて商談化につなげるプロセスです。シナリオメールの自動配信やセグメント別のコンテンツ配信により、リードの関心度合いに応じた適切なアプローチを実現します。
リードスコアリングとは、リードの行動履歴や属性に基づいて点数を付け、商談化可能性を評価する手法です。スコアが一定以上になったリードを営業に引き渡すことで、商談化率の向上が期待できます。
匿名リードとは、Webサイトを訪問したが、まだ個人情報を提供していない段階の見込み顧客です。一部のMAツールでは、匿名リードの行動を追跡し、資料請求や問い合わせにつなげる機能を提供しています。
主要MAツール一覧と比較表
国内で利用されている主要なMAツールは、国産ツールと外資系ツールに大別されます。日本のMAツール市場シェア(2026年1月時点の調査)では、BowNowが23.0%で1位、HubSpot Marketing Hubが20.3%で2位、Marketing Cloud Account Engagementが13.4%で3位となっています。
なお、シェアデータは調査対象企業の規模・業種により偏りがある可能性があります。導入社数ベースか売上ベースかの定義も異なることがあるため、参考値として捉えてください。
【比較表】主要MAツール比較表
| ツール名 | 提供元 | 特徴 | 費用目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|
| BowNow | Mtame | 無料プランあり、中小企業向け | 無料〜月額数万円 | MAを初めて導入する中小企業 |
| HubSpot Marketing Hub | HubSpot | CRM一体型、グローバル対応 | 無料〜月額数十万円 | グローバル展開を視野に入れる企業 |
| Marketing Cloud Account Engagement | Salesforce | Salesforce連携に強み | 月額十万円〜 | Salesforce導入済み企業 |
| SATORI | SATORI | 匿名リード追跡が特徴 | 初期30万円/月額14.8万円〜 | 匿名リード活用を重視する企業 |
| Marketo Engage | Adobe | エンタープライズ向け高機能 | 月額数十万円〜 | 大企業・複雑なマーケティング施策 |
※ 料金体系は各ベンダーにより変動するため、導入前に公式サイトで最新情報を確認してください。
国産MAツール(BowNow、SATORIなど)が日本市場でシェアを伸ばしている背景には、日本語サポートの充実や、日本企業の業務フローに合った機能設計が評価されていることがあります。フリープランや低価格帯のMAツールが中小企業の導入を促進しており、市場の裾野が広がっています。
SATORIは匿名リード追跡が特徴で、初期費用30万円、月額14.8万円から利用可能です。導入実績は1,500社以上とされています。
MAツール選定で失敗する原因と正しい選び方
MAツール選定で失敗する最も多いパターンは、機能が豊富なツールや費用が安いツールを選定基準にしてしまうことです。この考え方は誤りです。機能が多ければ成果が出るわけではなく、自社の運用体制に合わないツールを導入すると、活用できず形骸化するケースが少なくありません。
MAツールの費用相場は月額数万円〜数十万円、年間数百万円程度が一般的です。アクセス解析や商圏分析を含むツールでは月額10〜30万円が目安とされています。しかし、費用だけを見て選定すると、必要な機能が不足していたり、逆にオーバースペックで使いこなせなかったりする事態が生じます。
選定時に確認すべき比較ポイント
MAツールを選定する際は、以下のポイントを確認することをお勧めします。
SFA/CRM連携: 自社で利用しているSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)との連携が可能かどうかは、導入後の活用に大きく影響します。BtoB企業の場合、SFA/CRM連携を前提としたツール選定が導入後の活用につながります。
運用体制との適合性: ツールを運用する担当者のスキルレベルや人数を考慮する必要があります。高機能なツールを導入しても、運用できる人材がいなければ宝の持ち腐れになります。
サポート体制: 導入時のオンボーディングや運用中のサポート体制が充実しているかどうかも重要です。国産ツールは日本語サポートが充実している傾向があります。
将来の拡張性: 事業の成長に伴って機能を拡張できるかどうかも検討ポイントです。ただし、オーバースペックなツールを避けることでコスト最適化が可能なため、現時点で必要な機能を明確化することが先決です。
無料プランやトライアル期間を活用し、自社の業務フローに合うかを事前検証することが重要です。
導入後の活用を見据えたMAツール選定チェックリスト
日本のマーケティングオートメーション市場は2024年に4億810万米ドルに達し、2025年から2033年にかけて年平均成長率8.5%で成長すると予測されています。市場の拡大に伴い、今後ますます多くの企業がMAツール導入を検討することになります。
導入を成功させるためには、ツール選定だけで満足せず、導入後の運用設計まで計画することが欠かせません。以下のチェックリストを活用し、導入前・導入後に確認すべき項目を整理してください。
【チェックリスト】MAツール導入・活用チェックリスト
- 自社のマーケティング課題を明確化している
- MAツールで実現したいことを言語化している
- 現在のリード獲得・育成プロセスを可視化している
- 利用中のSFA/CRMとの連携要件を整理している
- MAツール運用の担当者を決めている
- 担当者のスキルレベルを把握している
- 必要な機能を優先順位付けしている
- 複数のツールを比較検討している
- 無料プランやトライアルで検証する計画がある
- 導入予算(初期費用・月額費用)を確保している
- 導入後の運用フローを設計している
- リードスコアリングの基準を検討している
- 営業への引き渡し基準を決めている
- コンテンツ制作の体制を検討している
- 効果測定のKPIを設定している
- 定期的なレビュー体制を計画している
- 運用定着のためのルールを策定している
- サポート・問い合わせ窓口を確認している
- 契約条件(最低契約期間・解約条件)を確認している
- 導入後のオンボーディング支援を確認している
まとめ:MAツール選定を成功させるために
本記事では、主要MAツールの一覧と比較表、選定で失敗する原因と正しい選び方、導入後の活用を見据えたチェックリストを紹介しました。
重要なポイントをまとめます。
- MAツール市場は拡大傾向にあるが、導入率は1.2%と低い
- 機能や費用だけで選ぶと、導入後に活用できず形骸化するリスクがある
- SFA/CRM連携、運用体制、サポート体制を考慮した選定が重要
- 導入前にトライアルで自社業務との適合性を検証する
- ツール選定だけでなく、導入後の運用設計まで計画する
今日から取り組めるアクション:
- 本記事の比較表で主要ツールの特徴を把握する
- チェックリストで自社の状況を整理する
- 候補ツールの無料プランやトライアルを申し込む
社内リソースだけでは対応が難しい場合は、MAツールの選定から導入・運用定着まで支援できる専門家の活用も選択肢の一つです。
MAツール選定を成功させるには、機能や費用だけでなく、自社の運用体制とSFA/CRM連携を見据えた選定基準で比較し、導入後の活用・定着まで計画することが重要です。
