なぜ今、LinkedIn営業がB2B企業に注目されているのか
LinkedIn営業とは何か。LinkedIn営業で成果を出し続けるには、個人のスキル頼みではなく、MA/SFAと連携したデータ基盤を整備し、専門家の支援を得ながら組織として仕組み化することが不可欠です。
B2Bソーシャルメディア経由で獲得されるリードの約80%がLinkedIn由来とされており、グローバルではすでにBtoB営業の主要チャネルとして定着しています。一方で、日本ではLinkedIn営業を行っている企業・担当者の普及率は3%未満との推定があります(事業者の市場感覚に基づく推定値であり、厳密な統計ではありません)。
この状況は、日本市場で先行者メリットを狙える可能性を示唆しています。しかし、LinkedIn営業に取り組むにあたって重要なのは、単にプロフィールを作ってDMを送るという個人技に頼るのではなく、MA/SFAとの連携を前提とした組織的な仕組みとして設計することです。
この記事で分かること
- LinkedInがB2B営業で注目される背景と日本市場の現状
- Sales NavigatorやInMailなど主要機能の使い方
- プロフィール最適化と見込み客アプローチの基本
- MA/SFA連携でLinkedIn営業を属人化させない方法
- 導入を検討する際の実践ステップ
LinkedIn営業の基本|機能と活用できる主要ツール
LinkedIn営業を始める前に、プラットフォームの基本機能と有料ツールの概要を理解しておくことが重要です。日本市場における調査(2025年、サンプル数256と限定的)では、LinkedInの認知度は63.3%、業務での活用経験ありは81.3%という結果が報告されています。認知はあるものの、営業活動への本格的な活用はこれからという段階といえます。
LinkedIn営業で活用される主要なツールとして、Sales NavigatorとInMailがあります。
Sales Navigatorは、LinkedInの有料営業支援ツールです。高度な検索機能やリード管理、InMail送信などが可能で、見込み客のリストアップや進捗管理を効率化できます。
InMailは、LinkedInのつながり外のユーザーに直接メッセージを送れる有料機能です。Sales Navigatorで利用可能であり、面識のない意思決定者にアプローチする際に活用されます。
Sales Navigatorでできること
Sales Navigatorの主な機能は以下のとおりです。
- 高度な検索フィルター: 役職、業種、企業規模、地域など複数の条件を組み合わせてターゲットを絞り込めます
- リード・アカウント管理: 見込み客をリストとして保存し、更新情報をウォッチできます
- InMail送信: つながりのないユーザーへの直接メッセージが可能です
- アラート機能: 保存したリードの転職や投稿などの動きを通知で把握できます
料金プランは複数用意されていますが、企業の規模や目的に応じて選択することが一般的です。具体的な価格は変動するため、公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
プロフィール最適化と見込み客へのアプローチ手法
LinkedIn営業で成果を上げるためには、プロフィールの最適化とアプローチ方法の両方が重要です。ただし、プロフィールを整えてDMを送るだけで成果が出るわけではありません。これは後述するMA/SFA連携と組み合わせることで、初めて組織的な仕組みとして機能します。
日本ユーザーを対象とした調査(サンプル数256と限定的)では、LinkedIn経由で「新しい取引先や顧客とつながった」と回答した割合は29.2%でした。約3人に1人がビジネスチャンスを得ているという参考値ですが、これは継続的な活動の結果であり、一朝一夕で得られるものではありません。
また、LinkedIn上で定期的に投稿する企業は、フォロワー数が5.6倍に増加するというデータもあります。プロフィールだけでなく、コンテンツ発信も含めた総合的な取り組みが求められます。
ビジネスプロフィールの設計ポイント
信頼を獲得するプロフィールを作成する際のポイントは以下のとおりです。
- ヘッドライン: 役職名だけでなく、どのような価値を提供できるかを端的に示します
- サマリー(概要欄): 自社の強みや実績、ターゲット顧客への提供価値を簡潔に記載します
- 職歴・実績: 具体的な成果や担当プロジェクトを記載し、専門性をアピールします
- プロフィール写真: ビジネスシーンにふさわしい、清潔感のある写真を使用します
ただし、プロフィールを整えただけで問い合わせが殺到することは期待できません。プロフィールはあくまで「見つけてもらったときに信頼を得る」ための土台です。
DM・InMailで反応を得るためのポイント
つながりリクエストやInMailでアプローチする際に重要なのは、パーソナライズと価値提供です。
- 相手の投稿や経歴を踏まえたメッセージ: テンプレートの大量送信ではなく、相手に合わせた内容にします
- 自社の宣伝ではなく相手へのメリット提示: いきなり商品説明をするのではなく、相手の課題解決につながる情報を提供します
- スパム的なアプローチの回避: 短期間での大量送信はアカウント制限のリスクがあり、信頼も損ないます
返信率やアポ率は業種・ターゲット・メッセージ内容により大きく変動するため、一般的な平均値を断定することはできません。自社のターゲットに合わせて検証を重ねることが重要です。
MA/SFA連携でLinkedIn営業を「組織の仕組み」に変える
LinkedIn営業を個人のスキル頼みで終わらせないためには、MA/SFAとの連携が不可欠です。 プロフィールを整えてDMを送れば成果が出ると考え、個人の努力に依存した運用を始めてしまうのはよくある失敗パターンです。LinkedInで獲得したリードがMA/SFAに連携されず、せっかくの接点がデータとして蓄積・活用されないまま消えてしまいます。
B2Bマーケターの89%がLinkedInをリード獲得チャネルとして活用し、62%が「実際にリード獲得できている」と回答しているというデータがあります。成果を出している企業の多くは、LinkedIn単体ではなくMA/SFAとの連携を前提とした仕組みを構築しています。
LinkedInとMA/SFAを連携させることで実現できることは以下のとおりです。
- リード情報の自動同期: LinkedInで獲得したリードをMAに自動で取り込み、手動入力の手間を削減
- スコアリング: リードの行動履歴に基づいてホットリードを可視化
- ナーチャリング: MAのシナリオに沿ったメール配信で関係構築
- SFAへの引き渡し: MQL化したリードを営業担当に引き渡し、商談化を促進
【チェックリスト】LinkedIn営業×MA/SFA連携 導入前チェックリスト
- 自社のMA/SFAツールがLinkedIn連携に対応しているか確認した
- LinkedIn広告アカウントを開設済みである
- Lead Gen Forms(リード獲得フォーム)の利用を検討している
- MAへのリード自動連携の設定方法を把握している
- リードのスコアリング基準を定義している
- MQL/SQLの定義が社内で合意されている
- 営業とマーケティングの役割分担が明確になっている
- LinkedInで獲得したリードの引き渡しフローを設計している
- SFAへのリード登録ルールを決めている
- LinkedIn Insight Tagの設置を検討している
- Matched Audiencesの活用方針を検討している
- CRMデータのLinkedInアップロード可否を確認している
- 運用担当者をアサインしている
- KPI(リード獲得数、商談化率など)を設定している
- 定期的な振り返りミーティングの場を設けている
LinkedInリード獲得フォームとMAの自動連携
Lead Gen Forms(リード獲得フォーム) は、LinkedIn広告クリック後にプロフィール情報を自動入力するフォームです。ユーザーは手入力の手間なくフォーム送信できるため、コンバージョン率の向上が期待できます。
Lead Gen Formsで取得したリードは、主要なMAツールと連携可能です。Marketo、HubSpot、SATORIなどのMAツールと接続することで、リード情報がリアルタイムで同期され、スコアリングやナーチャリングシナリオに自動で組み込まれます。
連携の流れは以下のとおりです。
- LinkedIn広告でLead Gen Formsを設定
- MA側でLinkedIn連携を有効化(API接続またはZapierなどの連携ツールを利用)
- リード取得時に自動でMAにデータが流れる
- MAでスコアリング・ナーチャリングを実行
- 一定スコアに達したらSFAに引き渡し
CRMデータを活用した類似オーディエンス配信
Matched Audiencesは、自社CRM/MAの顧客データをLinkedInにアップロードし、類似オーディエンス作成やABM配信に利用する機能です。
活用シーンとしては以下が挙げられます。
- 既存顧客への類似オーディエンス配信: 既存顧客と似た属性のユーザーに広告を配信し、新規リードを獲得
- ABM(アカウントベースドマーケティング): ターゲット企業リストをアップロードし、その企業の意思決定者に絞って広告を配信
- リターゲティング: 自社サイト訪問者(Insight Tag設置が必要)に対して再アプローチ
これらの機能を活用することで、LinkedIn営業を個人の努力に依存させず、データに基づいた組織的なアプローチが可能になります。
LinkedIn営業を始めるための実践ステップ
これからLinkedIn営業を始める企業向けに、具体的な導入の流れを解説します。重要なのは、最初から大規模に展開するのではなく、小規模に始めて検証しながら改善していくことです。
基本的な導入の流れ
- 目標設定: LinkedIn営業で何を達成したいか(リード獲得数、商談創出数など)を明確にする
- アカウント整備: 担当者のプロフィールを最適化し、企業ページを整備する
- MA/SFA連携設計: 自社のMA/SFAとLinkedInをどう連携させるかを設計する
- 運用ルール策定: 誰がどの頻度で何をするか、引き渡しフローなどを決める
- 小規模パイロット運用: 限定的な範囲で運用を開始し、効果を検証する
- 改善・拡大: 検証結果をもとに改善し、段階的に拡大する
無料プランから始めるか、Sales Navigatorを導入するか
開始方法の選択肢として、無料プランから始める方法と、最初からSales Navigatorを導入する方法があります。
無料プランから始める場合
- プロフィール作成、投稿、つながりリクエストは無料で可能
- まずはLinkedInの感覚をつかみ、ターゲット層がいるか確認するのに適している
- 高度な検索機能やInMailは使えないため、アプローチの幅に制限がある
Sales Navigatorを導入する場合
- 最初から本格的にリード獲得に取り組む場合に適している
- 高度な検索フィルターでターゲットを絞り込める
- InMailでつながり外のユーザーにアプローチ可能
- 費用対効果を検証するために、一定期間の運用が必要
判断のポイントは、ターゲット顧客がLinkedIn上にどの程度存在するか、社内にリソースを確保できるかです。まずは無料プランで感触を確かめ、手応えがあればSales Navigatorに移行するという段階的なアプローチが一般的です。
まとめ:LinkedIn営業を属人化させない仕組みづくり
LinkedIn営業は、B2B企業にとって有力なリード獲得チャネルです。B2Bソーシャルメディア経由リードの約80%がLinkedIn由来とされており、日本では営業活用している企業が推定3%未満という状況は、先行者メリットを狙える可能性を示しています。
しかし、LinkedIn営業で継続的に成果を出すためには、個人のスキル頼みでは限界があります。プロフィールを整えてDMを送るだけでは、属人化が進み、担当者が変わると成果が出なくなるリスクがあります。
LinkedIn営業で成果を出し続けるには、個人のスキル頼みではなく、MA/SFAと連携したデータ基盤を整備し、専門家の支援を得ながら組織として仕組み化することが不可欠です。
まずは自社のMA/SFA環境を確認し、LinkedIn連携の可否を検討することから始めてみてください。Lead Gen FormsやMatched Audiencesなどの機能を活用することで、LinkedIn営業を単発の施策ではなく、営業組織全体のデータ基盤と連携した持続的な仕組みとして設計できます。
