リード獲得の成功事例を見ても自社で再現できない理由
結論から言えば、リード獲得事例の成功は、施策を真似るだけでなく、MA/SFA連携設定で事例と同じデータ統合を実装し、パッケージツールの限界を見極めてフルスクラッチ開発を組み合わせることで再現できます。
BtoB企業の48.6%が「リードの質」の観点で理想通りの獲得ができておらず(2025年、2024年比7.6ポイント増加)、リード育成が難しいとする企業は29.9%(2024年比3.9ポイント増)という調査結果があります。多くの企業がリード獲得の成功事例を見て施策を真似ても、期待した成果が出ていない状況です。
その原因は明確です。BtoB企業のリード獲得課題の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」(40.9%)、次いで「施策数/頻度不足」(27.3%)、「フォローアップ不十分」(25.0%)となっています。施策だけを真似ても、MA/SFA連携設定やデータ統合設計を後回しにしていては、事例と同じ成果は得られません。
リード獲得とは、見込み顧客(リード)を獲得するマーケティング活動です。BtoB企業では問い合わせフォーム、資料ダウンロード、セミナー参加等を通じて顧客情報を取得することを指します。
この記事で分かること
- リード獲得の定義と成功事例の全体像
- BtoB企業の主要な成功事例(オウンドメディア、広告、イベント施策の具体例)
- 成功事例の共通ポイントとよくある失敗パターン
- 事例を自社で再現するMA/SFA実装方法とフルスクラッチ開発選択基準
- 事例分析シートとMA/SFA実装チェックリスト
リード獲得とは|成功事例の全体像
リード獲得とは、見込み顧客(リード)を獲得するマーケティング活動で、BtoB企業では問い合わせフォーム、資料DL、セミナー参加等を通じて顧客情報を取得することを指します。獲得したリードは、商談化・受注へとつなげるための重要な資産となります。
リード獲得の主な目的は、見込み顧客の情報を取得し、継続的なアプローチを通じて商談化率を高め、最終的に受注につなげることです。BtoB企業では、リードを獲得した後、ナーチャリング(獲得したリードを育成し、購買意欲を高めて商談・受注につなげるマーケティング活動)を通じて、質の高い商談機会を創出します。
BtoB企業が活用する主なオンライン施策には、以下のようなものがあります。
- オウンドメディア: 自社の専門性を活かした記事やコンテンツを発信し、検索エンジンやSNS経由でリードを獲得
- リスティング広告: GoogleやYahoo!の検索連動型広告で、ターゲットキーワードを検索したユーザーにアプローチ
- SNS: LinkedIn、Twitter(X)、Facebook等でターゲット業界の意思決定者向けに情報発信
- セミナー・ウェビナー: オンライン/オフラインでのセミナー開催により、業界関係者と直接接点を持つ
- ホワイトペーパー: 専門的な調査レポートやノウハウ資料を提供し、ダウンロード時に顧客情報を取得
2025年の調査では、BtoB企業のSNS実施率は36.4%で最多、効果実感は33.3%となっており(SyncAD調査、対象107社)、SNS活用が主要施策として定着していることがわかります。
商談化率とは、獲得したリードのうち、実際に商談(営業担当者との面談・提案)に至った割合で、BtoB企業では10〜20%が一般的な水準とされています。CPA(Cost Per Acquisition) は、リード獲得単価で、1件のリードを獲得するために要した広告費やマーケティングコストの総額を指します。
BtoB企業のリード獲得成功事例
BtoB企業のリード獲得成功事例を、施策・成果・実装要件の3軸で紹介します。これらの事例は、オウンドメディア、広告運用、イベント施策など、多様なアプローチによってリード獲得を実現しています。
オウンドメディアでのリード獲得事例
オウンドメディアは、自社の専門性を活かしたコンテンツ発信により、継続的なリード獲得を実現する有力な施策です。
事例1: イルグルム(広告効果測定ツール企業)
イルグルムは、自社ツール「アドエビス」の運用ノウハウをオウンドメディアで記事化し、CTA(Call To Action) 最適化でリード誘導を行いました。CTAとは、行動喚起を意味し、Webサイトやメールで「資料請求」「問い合わせ」等の具体的なアクションを促すボタンやリンクです。
- 施策: ニッチ分野(広告効果測定)に特化した運用ノウハウ記事作成、記事別CTA設置、SEO対策
- 成果: 月間300件のリード獲得を継続的に達成、サイト流入4.8倍に増加
- 実装要件: 専門性の高い記事コンテンツ、CTA配置の最適化、検索エンジン対策
この事例では、自社ツールの運用ノウハウという専門性の高いコンテンツを提供することで、ターゲット顧客に刺さる情報発信を実現しています。
事例2: ジャグー(EC支援企業)
ジャグーは、EC実務経験に基づいた改善手法記事をオウンドメディアで発信し、専門性を追求しました。
- 施策: EC実務経験に基づいた専門性の高い改善手法記事の発信
- 成果: 受注数が15倍に増加、質の高いリードを継続的に獲得
- 実装要件: 業界特化コンテンツ作成、読者行動分析ツール導入
この事例では、実務経験に基づいた専門性が、他社との差別化ポイントとなり、質の高いリード獲得につながっています。
事例3: TECH+ Blog(マイナビTECH+)
オウンドメディア「TECH+ Blog」は、ITマーケター向けノウハウ提供により、短期間で大きな成果を上げました。
- 施策: ITマーケター向けの実践的なノウハウ提供
- 成果: 8ヶ月でPV645%増、再訪500%増、リード獲得575%アップを達成
- 実装要件: ターゲット読者に合わせたコンテンツ設計、継続的な記事更新
この事例では、ターゲット読者(ITマーケター)のニーズに合わせたコンテンツ提供が、短期間での大幅なリード獲得増加を実現しています。
広告運用・イベントでのリード獲得事例
広告運用やイベント施策も、適切な設計と実装により、効果的なリード獲得を実現できます。
事例4: 建設系DX事業会社
建設系DX事業会社は、リスティング広告運用とLP/フォーム最適化により、リード数を大幅に増加させました。
- 施策: リスティング広告運用、LP/フォーム最適化(ファーストビュー刷新、CTA追加)
- 成果: リード数を3倍に増加
- 実装要件: ターゲット行動分析、A/Bテスト実施、広告予算(月数十万円規模)
この事例では、LP(ランディングページ)のファーストビュー刷新とCTA追加により、CV導線を強化しています。
事例5: 共催カンファレンス
ターゲット業界意思決定者向けセミナー(共催カンファレンス)では、参加者との直接接点により、商談進展率の高いリード獲得を実現しました。
- 施策: ターゲット業界意思決定者向けセミナー開催
- 成果: 参加者の約30%が商談進展、リード獲得数は目標の150%を達成
- 実装要件: ターゲット特化、信頼構築のためのコンテンツ設計
この事例では、ターゲット業界の意思決定者に絞り込んだセミナー開催により、質の高いリードと高い商談進展率を実現しています。
成功事例の共通ポイントとよくある失敗パターン
成功事例に共通するポイントは、ターゲット特化、コンテンツの質向上、CTA最適化、フォローアップ強化の4点です。これらを押さえることで、リード獲得の成果を高めることができます。
BtoB広告経由リードの商談化率は、11〜20%が最多(31.3%、2025年、BtoBマーケター330名対象)となっており、10%未満の企業はリード質に課題があるとされています。また、BtoB企業の目標CPA(リード獲得単価)は5,000〜10,000円未満が21.8%で最多(2025年、n=326)で、実際のCPAも同レンジが21.2%となっています。ただし、業界・商材により適正値は大きく異なるため、これらはあくまで目安として捉える必要があります。
よくある失敗パターン
成功事例を見て施策(ウェビナー・ホワイトペーパー・広告等)だけを真似るが、MA/SFA連携設定やデータ統合設計を後回しにして、結果的に事例と同じ成果が出ない状態に陥るケースが多く見られます。
BtoB企業のリード獲得課題の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」(40.9%)、次いで「施策数/頻度不足」(27.3%)、「フォローアップ不十分」(25.0%)となっています。施策を実施するだけでなく、ターゲット精度の向上と、MA/SFA連携によるフォローアップ自動化が不可欠です。
【管理シート】事例分析シート
以下は、成功事例を自社施策に構造化して落とし込むための事例分析シートです。事例名・施策・成果・実装要件の4軸でまとめることで、自社に適した事例を選定し、再現のための具体的なステップを明確にできます。
事例名,施策,成果,実装要件
イルグルム(広告効果測定ツール企業),オウンドメディア(ニッチ分野特化記事・CTA最適化),月間300件リード獲得・サイト流入4.8倍,専門性高い記事コンテンツ・CTA配置最適化・SEO対策
ジャグー(EC支援企業),オウンドメディア(EC実務経験に基づいた改善手法記事),受注数15倍増加,業界特化コンテンツ作成・読者行動分析ツール導入
建設系DX事業会社,リスティング広告+LP/フォーム最適化,リード数3倍,ターゲット行動分析・A/Bテスト実施・広告予算確保
TECH+ Blog,オウンドメディア(ITマーケター向けノウハウ提供),8ヶ月でPV645%増・リード獲得575%アップ,ターゲット読者に合わせたコンテンツ設計・継続的記事更新
共催カンファレンス,ターゲット業界意思決定者向けセミナー,参加者の約30%が商談進展・リード獲得数目標の150%達成,ターゲット特化・信頼構築コンテンツ設計
計算列の定義:
- 事例名: 企業名または施策名
- 施策: 実施した具体的な施策内容
- 成果: 定量的な成果(リード獲得数、増加率等)
- 実装要件: 施策を再現するために必要な要素(リソース、ツール、予算等)
このシートを活用し、自社の業界・商材・リソースに合った事例を選定してください。
事例を自社で再現するMA/SFA実装方法
事例を自社で再現するには、MA/SFA連携設定で事例と同じデータ統合を実装し、パッケージツールの限界を見極めてフルスクラッチ開発を組み合わせることが必要です。
2025年の調査では、BtoB企業の66.7%がリード獲得施策で生成AIを活用しており、最多の用途は「コンテンツ作成」(27.1%)となっています。生成AIを活用することで、施策数/頻度不足(27.3%課題)を解消し、継続的なリード獲得を効率化できます。
また、BtoB営業担当者の47.0%がマーケティング部門から提供されるリードに不満を持っており、理由のトップは「導入時期が不明」(45.9%)となっています。この課題を解消するには、MA/SFAツールによるリード情報の一元管理と、インサイドセールス(電話・メール・Web会議等を活用して、非対面で営業活動を行う手法)との連携強化が不可欠です。
MA/SFA連携設定の実装ステップ
MA/SFA連携設定の実装ステップは、以下の流れで進めます。
1. データ統合
リード情報、行動履歴(Webサイト閲覧、メール開封、資料DL等)、商談情報を一元管理し、営業・マーケティング部門が同じデータを参照できる状態を構築します。
2. スコアリング設定
リードの購買意欲を数値化し、MQL(Marketing Qualified Lead)(マーケティング部門が一定の基準で「商談可能性が高い」と判断したリード)を抽出します。スコアリング基準は、業界・商材により異なるため、自社の商談化データを分析して設定します。
3. シナリオ設計
ナーチャリング(獲得したリード(見込み顧客)を育成し、購買意欲を高めて商談・受注につなげるマーケティング活動)のための自動メール配信シナリオを設計します。リードの行動(資料DL、セミナー参加等)に応じて、最適なタイミングで情報を提供する仕組みを構築します。
4. インサイドセールス連携
MQLを営業部門(インサイドセールス)に引き渡し、フォローアップを強化します。BtoB営業担当者の47.0%がマーケ提供リードに不満を持つ理由のトップは「導入時期が不明」(45.9%)であるため、リード情報に導入予定時期や予算感を含めることで、営業の満足度を高められます。
【チェックリスト】MA/SFA実装チェックリスト
事例再現に必要なMA/SFA実装項目を以下のチェックリストで確認してください。
- リード情報(氏名、企業名、役職、メールアドレス等)を一元管理できるデータベースを構築済み
- Webサイト閲覧履歴、メール開封履歴、資料DL履歴等の行動データを取得・統合済み
- 商談情報(商談ステータス、受注見込み、導入予定時期等)をSFAに記録済み
- MAとSFAのデータ連携設定(双方向同期)が完了済み
- リードスコアリングの基準(行動履歴、属性情報等)を定義済み
- MQL(Marketing Qualified Lead)の定義と抽出ルールを設定済み
- ナーチャリングシナリオ(自動メール配信フロー)を設計・実装済み
- リードの行動(資料DL、セミナー参加等)に応じたトリガーメール設定が完了済み
- インサイドセールス部門とのリード引き渡しルールを策定済み
- リード情報に導入予定時期、予算感、決裁権者等の情報を含めるフォーム設計を実装済み
- MAツールのダッシュボードでリード獲得数、商談化率、CPA等のKPIをリアルタイムで可視化済み
- 生成AIを活用したコンテンツ作成フローを構築済み(施策数/頻度不足の解消)
- A/Bテストの実施体制(LP、メール、CTA等)を整備済み
- フォローアップ不足を解消するための自動化ルール(リマインドメール等)を設定済み
- 営業部門からのフィードバックを受け取り、MAシナリオを改善する仕組みを構築済み
パッケージツールとフルスクラッチ開発の選択基準
MA/SFAツールの導入には、パッケージツール(既製品)を活用する方法と、フルスクラッチ開発(自社開発)を選択する方法があります。
パッケージツールのメリット・デメリット
- メリット: 導入が早い、サポートあり、標準機能で多くの要件をカバー
- デメリット: カスタマイズ性に限界、業界特化要件に対応しにくい、ライセンス費用が継続的に発生
フルスクラッチ開発のメリット・デメリット
- メリット: 自社要件に完全適合、独自の業務フローを実現可能、長期的にはコスト削減の可能性
- デメリット: 初期コスト高、開発期間長、保守・運用体制の構築が必要
選択基準
以下の基準で、パッケージツールとフルスクラッチ開発を選択してください。
- 業界特化要件の有無: 業界特有のデータ項目や業務フローがある場合、フルスクラッチ開発が適している場合があります
- データ連携の複雑性: 既存の基幹システムや複数のツールとの連携が複雑な場合、フルスクラッチ開発で柔軟に対応できます
- 予算・リソース: 初期投資を抑えたい場合はパッケージツール、長期的なコスト最適化を優先する場合はフルスクラッチ開発を検討します
- 長期運用コスト: ライセンス費用と保守・運用コストを比較し、総コストで判断します
業界・商材により最適な選択は異なるため、自社の状況を踏まえて判断することが重要です。
まとめ|リード獲得事例を自社で再現するために
本記事では、BtoB企業のリード獲得成功事例と、事例を自社で再現するMA/SFA実装方法を解説しました。
要点の整理
- リード獲得の成功事例には、オウンドメディア、リスティング広告、セミナー等の多様な施策があり、ターゲット特化・コンテンツの質・CTA最適化・フォローアップ強化が共通ポイント
- 成功事例を真似ても成果が出ない原因は、「施策がターゲットに刺さっていない」(40.9%)、「フォローアップ不十分」(25.0%)など、MA/SFA連携設定の不足にある
- 事例を自社で再現するには、MA/SFA連携設定でデータ統合・スコアリング・シナリオ設計・インサイドセールス連携を実装することが必要
- パッケージツールとフルスクラッチ開発の選択は、業界特化要件、データ連携の複雑性、予算・リソース、長期運用コストを基準に判断する
改めて結論を述べます。リード獲得事例の成功は、施策を真似るだけでなく、MA/SFA連携設定で事例と同じデータ統合を実装し、パッケージツールの限界を見極めてフルスクラッチ開発を組み合わせることで再現できます。
事例分析シートで自社に適した事例を選び、MA/SFA実装チェックリストで設定を進めることで、事例と同等の成果を目指してください。施策だけでなく、データ統合とフォローアップの自動化まで実装することが、リード獲得成功の鍵となります。
