インテントデータ活用で成果を出すために必要なこと
最も重要なのは、インテントデータの活用で成果を出すには、データ収集の仕組み構築からMA/SFA連携の実装まで一気通貫で取り組むことが不可欠であるということです。
インテントデータとは、ユーザーや企業がWeb上で行う行動データ(検索・閲覧履歴等)で、購買意欲や課題をリアルタイムで示す情報を指します。BtoB企業の営業・マーケティングにおいて、リードの優先順位付けやパーソナライズ配信に活用されています。
2025年のBtoB企業の営業実態調査によると、新規開拓を7割のBtoB企業が重要視する一方、営業リストの精度不足(インテントデータなどのニーズ情報不足)が課題上位に挙がっています。つまり、多くの企業がインテントデータの必要性を感じながらも、適切に活用できていないのが現状です。
この記事で分かること
- インテントデータの基本と3種類(1st/2nd/3rdパーティ)の違い
- BtoB営業・マーケティングでの具体的な活用方法
- ツール導入だけでは成果が出ない理由と、失敗を避けるポイント
- インテントデータ活用の準備ステップとチェックリスト
インテントデータとは何か:基本と種類
インテントデータには、収集方法と提供元によって3つの種類があります。それぞれ特徴と活用方法が異なるため、自社の目的に応じて使い分けることが重要です。
1stパーティデータ(ファーストパーティ) とは、自社で直接収集したデータです。自社サイト訪問ログ、アンケート、MAツール等から取得でき、信頼性が高いのが特徴です。
2ndパーティデータ(セカンドパーティ) とは、パートナー企業から提供されたデータです。比較サイトの行動データ等が該当し、自社データを補完する形で活用されるケースが多いです。
3rdパーティデータ(サードパーティ) とは、外部企業が収集・販売するデータです。広範なリーチが可能ですが、精度確認が必要であり、個人情報保護法などのプライバシー規制への対応も重要になります。
【比較表】インテントデータ種類別活用方法比較表
| 種類 | データソース | 信頼性 | 活用例 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 1stパーティ | 自社サイト訪問ログ、MA、アンケート | 高い | スコアリング、セグメント配信 | 自社顧客に限定される |
| 2ndパーティ | パートナー企業、比較サイト | 中程度 | 補完データとして活用 | 提携先の品質に依存 |
| 3rdパーティ | 外部データ販売企業 | 確認必要 | 新規リード発掘 | プライバシー規制への対応必須 |
Cookie非依存時代と1stパーティデータの重要性
Cookie規制の強化により、1stパーティデータの重要性がますます高まっています。
2024年には、電通がMarketo等のMAツールと独自インテントデータを連携し、Cookie非依存の国内外ターゲティングを実現するソリューションを発表しました。このように、Cookie規制に対応しながらインテントデータを活用する動きが加速しています。
1stパーティデータから段階的に始め、必要に応じて2nd・3rdパーティデータを追加していくアプローチが、リスクを抑えた導入方法として推奨されています。
BtoB営業・マーケティングでのインテントデータ活用方法
インテントデータをBtoB営業・マーケティングで活用する方法は、主にリスト作成の自動化、リードスコアリング、セグメント配信の3つに分類されます。
インテントセールスとは、インテントデータを活用して購買意欲の高い見込み客を特定・優先アプローチする営業手法です。従来の属性情報だけでなく、行動データに基づいて「今、関心を持っている企業」を見つけ出すことができます。
具体的な活用方法としては、以下のようなものがあります。
- ホワイトリスト作成の自動化: インテントデータを活用して、購買意欲の高い企業リストを自動生成する
- リードスコアリングへの連携: MAツールのスコアリング基準にインテント情報を加え、優先順位付けを精緻化する
- セグメント配信: 関心テーマに応じたコンテンツをパーソナライズ配信する
これらの活用には、MA/SFA/CRMとの連携が前提となります。ツール単体ではなく、既存のマーケティング・営業基盤と統合することで初めて成果につながります。
MA/SFA連携によるインテントデータの実装
MA/SFAツールとインテントデータを連携させるには、まずデータ整備(クレンジング)が必要です。
既存のMA/SFA/CRMに蓄積されているデータの品質が低い状態でインテントデータを追加しても、重複や誤情報が混在し、かえって活用が難しくなります。連携前に以下のデータ整備を行うことが重要です。
- 企業名・担当者名の表記揺れを統一する
- 重複レコードを名寄せする
- 古い情報(退職者、移転先など)を更新する
データ整備が完了したら、インテントデータをMAツールに取り込み、スコアリング条件やセグメント条件に反映させます。
インテントデータ活用の成果事例
インテントデータを活用した企業では、営業成果の向上が報告されています。ただし、これらは特定企業の事例であり、成果は業種や既存体制によって異なります。
- アポ獲得率が2.5倍以上向上した事例があります
- 着電率2倍、商談化率1.5倍を達成した事例があります(ベンダー公開事例であり、成功事例に偏っている可能性があります。独立検証はされていません)
- 導入開始から2週間で30件の商談を獲得した事例があります
これらの数値は特定企業の成果であり、業界平均値ではありません。再現性は企業規模・業種・既存のMA/SFA活用レベルに大きく依存します。
よくある失敗:ツール導入だけで成果を期待する
インテントデータを「ツールを買えば使える」と考え、自社のデータ基盤整備や運用設計なしに導入だけを進めてしまうことは、典型的な失敗パターンです。
この考え方が誤りである理由は明確です。インテントデータツールを導入しても、以下の状態では成果につながりません。
- MA/SFAとの連携設定がされていない
- 既存のCRMデータが重複・表記揺れだらけで名寄せできない
- インテントデータを見て行動する運用ルールが決まっていない
ツール導入は手段であり、データ基盤整備と運用設計を含めた一気通貫の取り組みが必要です。
インテントデータ導入の準備ステップ
インテントデータ活用を始めるには、段階的なアプローチが有効です。まず1stパーティデータから始め、運用が安定したら2nd・3rdパーティデータを追加していくことで、リスクを抑えながら活用範囲を広げられます。
準備の流れは以下の通りです。
- 現状把握: 自社のMA/SFA/CRMのデータ品質を確認
- データ整備: クレンジング・名寄せを実施
- ツール選定: 自社の目的に合ったインテントデータツールを選定
- 連携設定: MA/SFAとのデータ連携を設定
- 運用設計: インテントデータを見て行動するルールを策定
- 試験運用: 小規模で検証し、効果測定
- 本格展開: 成果をもとに活用範囲を拡大
【チェックリスト】インテントデータ活用準備チェックリスト
- 自社のMA/SFA/CRMの導入状況を把握している
- 既存CRMデータのクレンジング(重複排除・表記統一)が完了している
- 1stパーティデータ(自社サイト訪問ログ等)の取得設定が完了している
- インテントデータの活用目的(リスト作成・スコアリング等)が明確になっている
- 導入候補のインテントデータツールを比較検討している
- MA/SFAとの連携方法(API連携・手動インポート等)を確認している
- インテントデータを見て行動する担当者・チームが決まっている
- スコアリング条件やセグメント配信のルールを設計している
- 効果測定の指標(アポ率・商談化率等)を定義している
- 3rdパーティデータを使う場合、プライバシー規制への対応を確認している
- 試験運用の期間とスコープを決めている
- 運用定着後の拡張計画を立てている
導入前に確認すべきデータ基盤の状態
自社のデータ基盤がインテントデータ活用に耐えうる状態かを確認することは、導入成功の前提条件です。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- MA/SFAの導入状況: 基盤となるツールが導入・運用されているか
- データの鮮度: 顧客情報が定期的に更新されているか
- データの網羅性: 必要な属性情報(企業名・担当者・業種等)が揃っているか
- データの一貫性: 表記揺れや重複がないか
データ品質に課題がある場合は、インテントデータ導入前にクレンジングを実施することを推奨します。せっかくのインテントデータも、基盤データの品質が低ければ活用されないまま終わってしまいます。
まとめ:インテントデータ活用は一気通貫の取り組みが鍵
インテントデータは、BtoB営業・マーケティングにおいて購買意欲の高いリードを特定し、効率的なアプローチを実現する有力な手段です。
しかし、ツールを導入するだけでは成果は出ません。本記事で解説した通り、以下のステップを一気通貫で進めることが重要です。
- 1stパーティデータから段階的に始める
- 既存のMA/SFA/CRMのデータ整備を行う
- ツール連携と運用ルールを設計する
- 効果測定と改善のサイクルを回す
まずは本記事のチェックリストを活用して、自社の準備状況を点検してみてください。
インテントデータの活用で成果を出すには、データ収集の仕組み構築からMA/SFA連携の実装まで一気通貫で取り組むことが不可欠です。段階的に進めながら、自社に合った活用方法を見つけていくことをおすすめします。
