MAツール選びで「使いこなせない」を防ぐために
MAツールの選び方で成功するには、機能や料金だけでなく、SFA/CRM連携のしやすさと自社の運用体制に合った設計ができるかで選ぶことで、導入後の「使いこなせない」を防ぎ、マーケティング成果につなげられます。
MAツールとは、マーケティング活動(リード獲得・育成・商談化)を自動化・効率化するソフトウェアです。
国内MAツール市場は多くの選択肢があり、2026年1月のDataSign調査によると、シェアはBowNow 23.0%、HubSpot 20.3%、Marketing Cloud Account Engagement 13.4%の順となっています。これだけ多様なツールが存在する中で、「どれを選べばいいかわからない」「導入しても使いこなせないのでは」という不安を抱える担当者は少なくありません。
この記事で分かること
- MAツールの基本機能と導入で実現できること・できないこと
- MA選びでよくある失敗パターンと回避法
- 機能・価格・連携性の比較ポイントと価格帯の相場
- SFA連携・運用体制を見据えた選定基準
- MA選定前の自社状況確認チェックリスト
MAツールとは|基本機能と導入で得られること
MAツールは、見込み顧客の獲得から育成、商談化までのマーケティング活動を効率化するためのツールです。主要な機能として、リード管理、スコアリング、メール配信の自動化、Webサイト上の行動追跡、分析レポートなどがあります。
リードナーチャリングとは、見込み顧客を段階的に育成し、購買意欲を高めていくマーケティング手法です。MAツールを活用することで、顧客の行動に応じたコンテンツ配信やフォローアップを自動化できます。
リードスコアリングとは、見込み顧客の行動・属性に点数を付け、確度の高い顧客を精査する機能です。Webサイトの閲覧履歴やメール開封状況などに基づいてスコアを算出し、営業へ引き渡すタイミングを判断する材料になります。
MAツール導入で実現できること・できないこと
MAツールを導入することで、マーケティング業務の効率化やリードの可視化が期待できます。ただし、「MAツールを導入すればマーケティングが自動化される」というのは誤解です。
実現できること
- リード情報の一元管理と可視化
- メール配信の自動化(シナリオに基づく配信)
- 見込み顧客の行動追跡とスコアリング
- 営業への確度の高いリード引き渡し
導入だけでは実現できないこと
- コンテンツ(メール文面、ホワイトペーパー等)の自動生成
- 運用体制の自動構築
- 営業部門との連携体制の確立
MAツールはあくまで業務を支援するツールであり、運用体制の整備やコンテンツ制作は引き続き必要です。導入だけでは成果は出ないという点を理解しておくことが重要です。
MA選びでよくある失敗パターンと回避法
MAツール選びでよくある失敗は、「機能が多いツール」「有名なツール」「価格が安いツール」という表面的な基準だけで選び、導入後にSFA連携や運用体制の問題で活用できなくなるパターンです。
失敗パターンの典型例
- 機能が多いツールを選んだが、使いこなせる人がいなかった
- 有名なツールを選んだが、自社のSFAと連携できなかった
- 価格が安いツールを選んだが、必要な機能が不足していた
- 導入後の運用体制を考えずに契約し、放置状態になった
これらの失敗を回避するためには、導入前に自社の状況を整理し、本当に必要な要件を明確にすることが重要です。
【チェックリスト】MA選定前の自社状況確認チェックリスト
- MA導入の目的(リード獲得強化、ナーチャリング効率化など)が明確になっている
- 現在のリード数と今後の獲得目標を把握している
- 運用を担当するチームメンバーと工数が確保できている
- 配信するコンテンツ(メール文面、ホワイトペーパー等)の準備計画がある
- 既存のSFA/CRMツールとの連携要件を整理している
- 営業部門へのリード引き渡し基準(スコア、行動条件など)を検討している
- 月額予算の上限を設定している
- 導入後の効果測定指標(KPI)を決めている
- 無料トライアルで検証する時間を確保できる
- 導入後のサポート体制(ベンダー側・社内側)を確認している
- 将来的な機能拡張や連携先の追加を想定している
- 社内稟議に必要な情報(費用対効果、競合比較など)を整理している
導入前に確認すべき自社の状況
MAツールを選定する前に、自社のマーケティング成熟度と運用体制を確認することが重要です。無料トライアルを活用して、自社業務との適合性を検証してから本契約することをおすすめします。
特に以下の点を事前に整理しておくと、ツール選定がスムーズになります。
- 現在のリード獲得チャネル(Web、展示会、紹介など)
- リードに対する現在のフォロー方法と課題
- 営業部門との連携状況(リードの引き渡し方法、フィードバック有無)
- 既存システム(SFA、CRM、MA等)の有無と連携要件
MAツール選定の比較ポイント|機能・価格・連携性
MAツールを比較する際は、機能・価格・連携性の観点から自社に合ったものを選ぶことが重要です。価格帯は企業規模やツールの機能によって大きく異なります。
中小BtoB企業向けMAツールの月額相場は1.5〜6.5万円程度です。具体的には、Kairos3は15,000円〜、List Finderは45,000〜65,000円程度となっています。また、SATORIは月額148,000円、初期費用30万円で、BowNowは月額36,000円〜で無料版もあります。
大企業向けMAツール(Marketing Cloud Account Engagement等)は月額15〜52.8万円程度が相場です。
ただし、価格は変動するため、最新情報は各ツールの公式サイトで確認することをおすすめします。
企業規模別の価格帯と選定の目安
企業規模によって適切な価格帯と選定基準が異なります。
中小企業(従業員50-300名程度)向け
- 月額1.5〜6.5万円程度の国産ツールからスモールスタートが可能
- 無料版や無料トライアルで試せるツールを活用
- 高機能・高価格が必ずしも最適とは限らない
大企業向け
- 月額15〜52.8万円程度の機能が充実したツール
- グローバル対応や高度な分析機能が必要な場合に検討
重要なのは、価格だけでなく自社の運用体制やSFA連携のしやすさを考慮することです。
SFA連携・運用体制を見据えた選定基準
MAツール選定で最も重視すべきは、SFA/CRM連携のしやすさと自社の運用体制への適合性です。MA単体の機能ではなく、営業部門への引き渡しまで含めた一気通貫の視点で選定することが、導入後の活用率を高める鍵になります。
各ツールの導入実績を参考情報として紹介すると、2026年1月時点でBowNowは14,000社以上、Kairos3は2,000アカウント以上、SATORIは1,500社以上、List Finderは1,800社以上に導入されています。ただし、導入社数やシェアだけでツールの優劣は判断できません。自社要件との適合性が最も重要です。
成功事例として、BowNow導入の広告会社ではマーケティング自走体制を構築し、新規顧客売上3倍を達成したという報告があります。ただし、これはベンダー発表の一例であり、すべての企業で同様の成果が得られるわけではありません。
【比較表】目的別MAツール選定マトリクス
| 導入目的 | 重視すべき機能 | 価格帯の目安 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| リード獲得強化 | フォーム作成、LP作成 | 月額1.5〜6.5万円 | 自社サイトとの連携のしやすさ |
| ナーチャリング効率化 | メール自動配信、シナリオ設計 | 月額3〜15万円 | シナリオ設計の柔軟性 |
| ホットリード抽出 | スコアリング、行動追跡 | 月額3〜15万円 | SFA連携のしやすさ |
| 営業連携強化 | SFA/CRM連携、リード引き渡し | 月額3〜52.8万円 | 既存SFAとのAPI連携可否 |
| 匿名顧客の可視化 | 匿名顧客追跡、企業特定 | 月額3〜15万円 | IPアドレスからの企業特定機能 |
| 大規模運用 | 高度な分析、グローバル対応 | 月額15〜52.8万円 | カスタマイズ性、サポート体制 |
※価格帯は参考値であり、最新情報は各ツール公式サイトで確認してください。
インサイドセールス連携を見据えた設計
MAツールを最大限活用するためには、インサイドセールスや営業部門との連携設計が不可欠です。マーケティングと営業の分断を防ぐために、以下の点を事前に設計しておくことが重要です。
リード引き渡し基準の設計
- MQL(Marketing Qualified Lead)の定義:どのような行動・属性のリードを営業に引き渡すか
- スコアリング基準:どの行動に何点を付与するか
- 引き渡しタイミング:スコアが何点に達したら営業へ通知するか
連携体制の構築
- 営業からのフィードバックをMAに反映する仕組み
- 定期的なレビューミーティングの設定
- SFA/CRMとのデータ連携(双方向同期が理想)
これらを導入前に設計しておくことで、「MAツールを導入したが営業に活用されない」という事態を防げます。
まとめ|自社に合ったMAツールを選ぶために
本記事では、MAツールの基本から選定の比較ポイント、SFA連携・運用体制を見据えた選定基準までを解説しました。
MAツール選びで重要なのは、機能や料金だけでなく、SFA/CRM連携のしやすさと自社の運用体制に合った設計ができるかどうかです。「機能が多い」「有名」「価格が安い」という表面的な基準だけで選ぶと、導入後に活用できないリスクがあります。
まずは本記事のチェックリストを活用して自社の状況を整理し、無料トライアルで実際の業務との適合性を検証してから導入を決定することをおすすめします。運用体制の構築やSFA連携の設計に不安がある場合は、導入支援の専門家に相談することも選択肢の一つです。
MAツールは機能や料金だけでなく、SFA/CRM連携のしやすさと自社の運用体制に合った設計ができるかで選ぶことで、導入後の「使いこなせない」を防ぎ、マーケティング成果につなげられます。
