データ連携自動化|ツール導入だけでは成果が出ない理由と正しい進め方

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1910分で読めます

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データ連携の自動化でつまずく企業の共通課題

データ連携の自動化は、ツールを導入するだけでなく、連携するシステム間のデータ設計と運用ルールを整備し、必要に応じて実装まで支援できる外部パートナーと組むことで確実に成果につながる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。

「MAとSFAを導入したのに、結局Excelで手作業の転記をしている」「システム間のデータが連携できず、二重入力が発生している」——こうした課題を抱えるMA/SFA導入済み企業は少なくありません。

国内ビジネス・アナリティクス市場(データ統合含む)は2024年度7,830億円(前年比115.9%)、2025年度8,960億円(前年比113.0%)と予測されています。市場が成長する一方で、ツールを導入しただけで終わってしまい、期待した成果が得られないケースも見られます。

データ連携基盤とは、異なるシステム間のデータを統合・管理し、シームレスに連携させるための技術基盤です。

この記事で分かること

  • データ連携ツール(EAI・ETL・iPaaS)の種類と違い
  • 自社に合ったツールの選定ポイント
  • ツール導入だけで成果が出ない理由と解決策
  • データ連携自動化の準備チェックリスト
  • 小規模なPoCから始める進め方

データ連携ツールの種類と特徴|EAI・ETL・iPaaSの違い

データ連携ツールには主にEAI・ETL・iPaaS・RPAの4種類があり、それぞれ処理方式や適した用途が異なります。自社の連携対象と処理要件に応じて選択することが重要です。

EAI(Enterprise Application Integration) とは、企業内アプリケーション間のリアルタイム連携を実現する統合ツールです。イベント駆動型でメッセージングやAPIを活用し、即時性が求められる業務に適しています。

ETL(Extract, Transform, Load) とは、データ抽出・変換・格納をバッチ処理で実現するツールです。データウェアハウス向けの基盤構築に適しており、大量データの定期的な統合処理に強みを持ちます。

iPaaS(integration Platform as a Service) とは、クラウドベースで多様なSaaS/APIをノーコードで柔軟に連携するプラットフォームです。導入のハードルが低く、中小企業でも活用しやすい特徴があります。

RPA(Robotic Process Automation) とは、デスクトップやレガシーアプリの定型業務を自動化するソフトウェアロボット技術です。APIが提供されていないシステムへの連携や、手作業の置き換えに有効ですが、複雑な判断が必要な業務には向きません。

データ連携方式の比較と選び方

各データ連携方式にはそれぞれ得意領域があり、自社の環境や目的に応じた選択が成功の鍵となります。以下の比較表を参考に、自社に適した方式を検討してください。

【比較表】データ連携方式(EAI/ETL/iPaaS)比較表

項目 EAI ETL iPaaS RPA
処理方式 リアルタイム(イベント駆動) バッチ処理 リアルタイム/バッチ 定型操作の自動実行
主な用途 アプリケーション間連携 データウェアハウス構築 SaaS間連携 レガシーシステム連携
適した企業規模 中〜大企業 大企業 中小〜中堅企業 全規模
連携対象 社内基幹システム 大量データの統合 クラウドサービス(SaaS) デスクトップアプリ
導入難易度 高(専門知識必要) 高(専門知識必要) 低〜中(ノーコード対応) 低〜中
初期コスト 低〜中 低〜中
運用負荷 中(メンテナンス必要)
API非対応システム 対応困難 対応困難 対応困難 対応可能

自社に合ったツールの選定ポイント

ツール選定では、まず自社の既存システムとの接続性を確認することが重要です。対応可能なツールを絞り込んだ上で、実際の業務での使い勝手を検証してから導入判断を行います。

具体的な選定ポイントとしては、以下の観点が挙げられます。

  • 既存システムとの接続性: 連携したいシステムにAPIが提供されているか、対応コネクタがあるか
  • 処理要件: リアルタイム連携が必要か、バッチ処理で十分か
  • 運用体制: 専門エンジニアがいるか、ノーコードツールで対応したいか
  • スケーラビリティ: 将来的な連携対象の拡大に対応できるか

Microsoft環境中心の企業であれば、Power Automateが選択肢に入ります。複数のSaaSを連携したい場合は、iPaaSが有力な選択肢となります。いずれの場合も、無料トライアルで実際の業務での使い勝手を確認してから導入判断することを推奨します。

ツール導入だけで成果が出ない理由

データ連携自動化で成果が出ない最大の原因は、ツール導入だけで終わってしまうことです。連携先システムのデータ設計や運用ルールの整備を後回しにしてしまうと、期待した効果は得られません。

よくある失敗パターンとして、「ツールを導入すれば自動的にデータ連携が実現する」と考えてしまうケースがあります。しかし、この考え方は誤りです。

例えば、MAとSFAを連携しようとした場合、以下のような問題が発生することがあります。

  • 両システムのデータ項目の定義が異なり、マッピングが困難
  • 更新タイミングが不明確で、データの整合性が取れない
  • エラー発生時の対応ルールがなく、連携が止まったまま放置される

また、「ノーコードツールなら誰でもすぐ使える」という誤解もあります。ノーコードツールでも、連携するシステム間のデータ項目マッピングや更新タイミングの設計など、基本的なデータ設計の理解は必要です。

連携設計と運用ルール整備のポイント

データ連携を成功させるには、ツール導入前にデータ設計と運用ルールを整備することが不可欠です。以下のポイントを押さえて準備を進めてください。

データ項目のマッピング: 連携元と連携先のデータ項目を洗い出し、対応関係を明確にします。項目名が異なっていても意味が同じものはマッピングし、変換ルールを定義します。

更新タイミングの設計: リアルタイムで同期すべきデータと、バッチ処理で十分なデータを切り分けます。すべてをリアルタイムにする必要はなく、業務要件に応じた適切な更新頻度を設定します。

エラー時の対応ルール: 連携が失敗した場合の通知方法、再実行手順、責任者を事前に決めておきます。エラーを放置すると、データの不整合が蓄積していきます。

運用ドキュメントの整備: 連携の仕様、設定内容、トラブルシューティング手順を文書化します。担当者が変わっても運用を継続できる状態を目指します。

データ連携自動化の進め方と準備チェックリスト

データ連携自動化を成功させるには、連携対象の業務フローを洗い出し、段階的に進めることが重要です。まず準備状況を確認するためのチェックリストを活用してください。

【チェックリスト】データ連携自動化の準備チェックリスト

  • 連携対象のシステムをすべて洗い出した
  • 自動化したい業務フローを特定した
  • 各システムのAPI提供状況を確認した
  • 連携元と連携先のデータ項目を洗い出した
  • データ項目のマッピング表を作成した
  • 更新タイミング(リアルタイム/バッチ)を決定した
  • データ形式の変換ルールを定義した
  • エラー発生時の通知先を決定した
  • エラー発生時の再実行手順を定義した
  • 運用責任者をアサインした
  • テスト環境を準備した
  • 本番移行の判断基準を設定した
  • 運用ドキュメントのテンプレートを用意した
  • 必要に応じて外部パートナーの候補を選定した
  • PoC(概念実証)の範囲を決定した

導入事例として、住信SBIネット銀行は2017年に260業務を自動化し、年間94,830時間を削減しました(ただし、2017年の事例であり、現在の技術環境とは異なる可能性があります)。また、製造・レンタル業の日野興業はシステム間データ連携・転記の自動化で月間170時間を削減した事例があります(企業提供の成功事例であり、独立検証はされていません)。

これらの削減効果の数値は特定企業・業務の事例であり、すべての企業で同程度の効果が得られるとは限りません。自社の業務内容や導入範囲によって効果は異なります。

小規模なPoCから始める進め方

データ連携自動化は、最初から全社規模で進めるのではなく、小規模なPoC(概念実証)から始めることを推奨します。

具体的には、CRMやMAなど単一システムとの連携から開始し、効果を確認してから対象を拡大していく進め方が有効です。PoCで以下の点を検証します。

  • ツールが期待通りに動作するか
  • 想定した業務フローで運用できるか
  • 実際にどの程度の工数削減が見込めるか

参考として、地方自治体のRPA実証では申請発行業務で最大87.1%の時間削減を達成した事例があります(実証事例であり、業務内容や環境により結果は異なります)。

PoCで効果が確認できたら、他の業務や連携対象に段階的に拡大していきます。この際、PoCで得られた知見を運用ドキュメントに反映し、スケールさせる際の再現性を高めることが重要です。

まとめ|データ連携自動化は設計と運用が成否を分ける

本記事では、データ連携自動化の進め方について、ツールの種類から選定ポイント、成功のための準備事項まで解説しました。

本記事の要点

  • データ連携ツールにはEAI・ETL・iPaaS・RPAがあり、それぞれ得意領域が異なる
  • ツール選定では既存システムとの接続性、処理要件、運用体制を確認する
  • ツール導入だけでは成果が出ない——データ設計と運用ルールの整備が不可欠
  • 準備チェックリストを活用して、導入前に必要事項を確認する
  • 小規模なPoCから始め、効果を確認してから拡大する

次のステップとして、本記事のチェックリストを活用して自社の準備状況を診断してみてください。連携対象のシステムと自動化したい業務フローを洗い出すことから始めましょう。

改めて強調すると、データ連携の自動化は、ツールを導入するだけでなく、連携するシステム間のデータ設計と運用ルールを整備し、必要に応じて実装まで支援できる外部パートナーと組むことで確実に成果につながります。

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よくある質問

Q1データ連携ツールのEAI・ETL・iPaaSの違いは何ですか?

A1EAIはリアルタイムでのアプリケーション間連携、ETLはバッチ処理でのデータ統合(データウェアハウス向け)、iPaaSはクラウドベースでSaaS間をノーコードで連携するツールです。自社の連携対象と処理要件に応じて選択します。

Q2データ連携自動化でどのくらい業務時間を削減できますか?

A2効果は業務内容や導入範囲により異なります。事例では、住信SBIネット銀行が年間94,830時間を削減(2017年、260業務を自動化)、日野興業が月間170時間を削減した報告があります。ただし、すべての企業で同程度の効果が得られるとは限りません。

Q3ノーコードツールなら誰でもすぐにデータ連携を構築できますか?

A3ノーコードツールでも、連携するシステム間のデータ項目マッピングや更新タイミングの設計など、基本的なデータ設計の理解は必要です。ツール操作は簡易化されていますが、連携設計の専門性は別途求められます。

Q4データ連携自動化を始めるにはまず何をすべきですか?

A4まず連携対象のシステムと、自動化したい業務フローを洗い出します。次に既存システムとの接続性を確認し、対応可能なツールを絞り込みます。小規模なPoC(概念実証)で効果を確認してから本格導入に進むことを推奨します。

Q5データ連携自動化にRPAは使えますか?

A5RPAはデスクトップ操作やレガシーシステムへの連携に有効です。ただし、複雑な判断が必要な業務や大量データのバッチ処理には向きません。EAI・ETL・iPaaSと組み合わせて使うケースが多いです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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