ダッシュボード設計|使われない原因とMA/SFA連携の実践ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/99分で読めます

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なぜダッシュボードは「作ったのに使われない」のか

ダッシュボード設計を成果につなげるには、デザインの原則だけでなく、データ基盤・MA/SFA連携・運用体制まで含めた一気通貫の設計が不可欠であり、専門家と組むことで「使われるダッシュボード」を実現できる。これが本記事の結論です。

「BIツールを導入してダッシュボードを作ったのに、現場で誰も見なくなった」という声は、多くの企業で聞かれます。作成時には期待を込めて設計したはずが、なぜ使われなくなるのでしょうか。

この記事で分かること

  • ダッシュボードが使われなくなる根本原因
  • 設計時に押さえるべき基本原則と情報設計のポイント
  • BtoBマーケ・営業向けダッシュボードの具体的な設計方法
  • MA/SFA連携を前提としたデータ基盤の設計
  • 自社運用と外部依頼の判断基準

BIダッシュボードとは、複数のデータソースから情報を集約し、チャートやグラフで可視化して意思決定を支援するツールです。しかし、デザイン原則だけを学んでBIツールで形だけのダッシュボードを作り、データ基盤の整備や運用設計を後回しにすると、「作ったが使われない」状態に陥ります。これはダッシュボード設計における典型的な失敗パターンです。

使われるダッシュボードを実現するには、見た目の設計だけでなく、データ基盤の整備から運用体制の構築まで、一気通貫で設計することが必要です。

ダッシュボード設計の基本原則と押さえるべき視点

ダッシュボード設計で最も重要なのは、「誰のため」「どの粒度の意思決定に使うか」「どんなアクションにつなげるか」を設計前に文書化することです。BIツールを触る前に目的を明確にすることで、情報過多や使われないダッシュボードを防げます。

KPIツリー(ROICツリー) とは、売上・単価・LTV・CACなどの指標を階層構造で紐付け、経営指標と事業KPIを連動させる設計手法です。この考え方を取り入れることで、ダッシュボードに表示する指標の優先順位が明確になります。

設計時の実践的な原則として、以下が挙げられます。

  • 主要KPIは3〜5個程度に絞る(補助指標は別タブや下部に配置)
  • 重要情報は左上または中央に配置し、視線の流れ(左上→右下)を意識する
  • 目標達成=緑、要注意=黄、悪化=赤など、意味のあるカラールールを統一する

参考事例として、デジタル庁のJapan Dashboardでは、経済・財政・人口と暮らしに関する約700指標(2025年7月時点で691指標)を7つの大分類・62中分類に整理し、都道府県別に可視化しています。このように、情報を適切に分類・階層化することが、使いやすいダッシュボードの基盤となります。

「指標を増やすほど良いダッシュボードになる」という考え方は誤りです。情報過多は使われなくなる主な原因の一つであり、情報の取捨選択と優先順位付けが重要です。

目的別ダッシュボードの分類(戦略的・分析的・業務用)

ダッシュボードはその目的によって、設計方針が異なります。

  • 戦略的ダッシュボード:経営層向け。月次・四半期単位の更新で、全社KPIや経営指標を俯瞰
  • 分析的ダッシュボード:分析担当者向け。詳細なドリルダウン機能を持ち、原因分析に活用
  • 業務用ダッシュボード:現場担当者向け。日次・リアルタイム更新で、日々のアクションにつなげる

自社でどのタイプのダッシュボードが必要かを最初に明確にすることで、設計の方向性が定まります。

BtoBマーケ・営業向けダッシュボードの情報設計

BtoBマーケティング・営業向けのダッシュボードでは、リード獲得から受注までのファネルを可視化することが重要です。MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で獲得し、営業に引き渡す基準を満たした見込み顧客を指します。

BtoB向けダッシュボードで見るべき主要KPIとしては、以下が挙げられます。

  • リード数・MQL数
  • 商談化率・受注率
  • LTV(顧客生涯価値)・CAC(顧客獲得コスト)
  • パイプライン金額・受注予測

ある企業では、MAツールを活用したリードスコアリングと合わせて、リード獲得数は前年比120%増加し、商談化率も1.5倍に向上した事例があります(ただし、この成果はダッシュボード単体ではなく、MAツール導入を含む複合的な施策の結果です)。

【チェックリスト】ダッシュボード設計セルフチェック

  • 「誰のため」「どの粒度の意思決定」「どんなアクション」を文書化した
  • 主要KPIを3〜5個に絞り込んだ
  • 補助指標の配置場所を決めた
  • ダッシュボードのタイプ(戦略的・分析的・業務用)を明確にした
  • KPIの定義と計算ロジックを統一した
  • データソース(MA/SFA/CRM等)の連携方針を決めた
  • データの更新頻度を定めた
  • 閲覧権限・編集権限を設計した
  • カラールール・視覚化ルールを統一した
  • 運用担当者をアサインした
  • 定期レビュー・改善のサイクルを決めた
  • 利用者へのトレーニング計画を立てた

MA/SFA連携を前提としたデータ基盤設計

ダッシュボードの品質は、その背後にあるデータ基盤の品質に依存します。CDP(顧客データプラットフォーム) とは、SFA、CRM、MAなど複数のシステムに分散する顧客データを統合・一元化するプラットフォームです。

近年は、CDPを導入してSFA/CRM/MAのデータを統合した上でダッシュボード化する流れが加速しています。これにより、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで一気通貫でデータを追跡できるようになります。

実際の導入効果として、以下のような事例が報告されています。

  • 効果測定用ダッシュボード設計により、月間リード数が100件以上増加した事例がある
  • ダッシュボード導入と合わせて月のリード数が1件から60件に増加し、インバウンド経由の売上が約5倍に増加した事例がある(ただし、これらはダッシュボード単体の効果ではなく、MA/SFA連携やコンテンツマーケティングなど複合的な施策の結果です)

データ基盤設計では、日次バッチ連携で前日データが自動反映される仕組みを導入することで、データ鮮度とコストのバランスを取ることが一般的です。

データ連携のよくある課題と解決策

データ基盤を整備する際によく発生する課題と、その解決策を整理します。

データの分散 複数システムに同じ顧客情報が存在し、整合性が取れていない状態。名寄せルールを策定し、マスターデータを一元管理することで解決します。

更新頻度の不一致 システムごとにデータ更新のタイミングが異なり、ダッシュボード上で矛盾が生じる状態。更新タイミングを統一するか、最終更新日時を明示することで混乱を防ぎます。

定義の不統一 「リード」「商談」などの定義が部門ごとに異なる状態。全社共通の定義を文書化し、計算ロジックを統一することが重要です。

ダッシュボード設計を自社で行うか外部に依頼するかの判断基準

ダッシュボード設計を自社で行うか、外部の専門家に依頼するかは、多くの企業が悩むポイントです。判断にあたっては、社内リソースの有無、データ基盤の成熟度、スピードの優先度、継続的な改善体制の構築可能性を考慮する必要があります。

専門家に依頼するメリットとしては、以下が挙げられます。

  • データ基盤設計から運用定着まで一気通貫で対応できる
  • 「作ったが使われない」リスクを事前に回避できる
  • 社内にノウハウを蓄積しながら伴走してもらえる

一方で、社内にデータエンジニアやBIツールの経験者がいる場合は、自社運用の方がコストを抑えられるケースもあります。

【比較表】自社運用 vs 外部依頼

比較項目 自社運用 外部依頼
初期コスト 低(人件費のみ) 高(コンサル費用発生)
導入スピード 遅い(学習コストあり) 速い(専門知識あり)
設計品質 担当者のスキルに依存 一定品質を担保
運用定着 自走しやすい 伴走で定着支援
改善サイクル 内製で柔軟に対応 追加費用が発生する場合あり
推奨ケース 社内にBI経験者がいる場合 短期間で成果を出したい場合

まとめ:使われるダッシュボードを実現するために

本記事では、ダッシュボード設計の基本原則から、BtoBマーケ・営業向けの情報設計、MA/SFA連携を前提としたデータ基盤設計、そして自社運用か外部依頼かの判断基準まで解説しました。

使われるダッシュボードを実現するためのポイントを整理します。

  • 設計前に「誰のため」「どの粒度の意思決定」「どんなアクション」を文書化する
  • 主要KPIは3〜5個に絞り、情報過多を避ける
  • デザインだけでなく、データ基盤・運用体制まで一気通貫で設計する
  • 定期的なレビューと改善サイクルを回す

ダッシュボード設計を成果につなげるには、デザインの原則だけでなく、データ基盤・MA/SFA連携・運用体制まで含めた一気通貫の設計が不可欠です。専門家と組むことで、「作ったが使われない」リスクを回避し、意思決定や行動につながる「使われるダッシュボード」を実現できます。

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よくある質問

Q1ダッシュボード設計で最初に決めるべきことは何ですか?

A1「誰のため」「どの粒度の意思決定に使うか」「どんなアクションにつなげるか」の3点を文書化することが最優先です。BIツールを触る前に目的定義を行うことで、情報過多や使われないダッシュボードを防げます。

Q2ダッシュボードに表示するKPIは何個が適切ですか?

A2主要KPIは3〜5個程度に絞ることが推奨されます。補助指標は別タブや画面下部に配置し、情報過多を避けることで、利用者が迷わず意思決定できるダッシュボードになります。

Q3ダッシュボードを作ったのに現場で使われない原因は?

A3主な原因は、目的定義の不足、情報過多、データ基盤の未整備、運用設計の欠如です。デザインだけでなく、データの整備から運用体制の構築まで一気通貫で設計する必要があります。

Q4BtoBマーケティング向けダッシュボードで見るべき指標は?

A4リード数、MQL数、商談化率、受注率、LTV、CACなどが主要指標です。MAツールと連携することで、リードスコアリングの効果や商談化率の推移も可視化できます。

Q5ダッシュボード設計を外部に依頼するメリットは何ですか?

A5データ基盤設計から運用定着まで一気通貫で対応でき、「作ったが使われない」リスクを回避できます。社内にリソースがない場合や、短期間で成果を出したい場合に有効な選択肢です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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