「セールスハブ」とは?2つの異なるサービスを理解する
「セールスハブ」という用語で検索すると、2つの異なるサービスが見つかります。どちらも営業活動を支援するツールですが、目的と機能が大きく異なります。
1. Saleshub(セールスハブ): 企業が顧客紹介を依頼し、サポーターが知人を紹介するリファラル営業プラットフォーム。ユーザー数5万人突破、ベテラン層がベンチャー企業を支援する仕組み。
2. HubSpot Sales Hub(セールスハブ): HubSpot社が提供するCRM(顧客関係管理)を基盤としたSFA(営業支援システム)。顧客管理、案件管理、営業分析などの機能を提供。
この記事では、両サービスの定義、機能、料金、使い分けの判断基準を、B2Bデジタルプロダクト企業の営業企画担当者・マーケティング担当者向けに詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 「セールスハブ」には2つの異なるサービスがある(Saleshub、HubSpot Sales Hub)
- Saleshubはリファラル営業(顧客紹介)に特化、成果報酬型で初期費用無料
- HubSpot Sales HubはSFA(営業プロセス管理)に特化、サブスクリプション型で無料版あり
- 新規顧客開拓にはSaleshub、営業プロセス管理にはHubSpot Sales Hub
- 両方を併用して新規開拓と営業管理を最適化する企業も多い
Saleshub(リファラル営業プラットフォーム)の基礎知識
(1) Saleshubの定義と仕組み(人脈を活用した顧客紹介)
Saleshubは、企業が顧客紹介を依頼し、サポーターが知人を紹介するリファラル営業プラットフォームです。
仕組み:
- 企業が紹介依頼を掲載: 自社のサービス・製品への紹介依頼をプラットフォームに掲載します。
- サポーターが知人を紹介: プラットフォームに登録している「サポーター」(上場企業の元代表・役員など経験豊富なベテラン層が中心)が、自分の人脈から適切な顧客を紹介します。
- アポイントまたは成約で報酬発生: 紹介が成立し、アポイントまたは成約に至った場合、企業はサポーターに協力金(お祝い金)を支払います。
従来のリファラル営業の課題(制度設計の難しさ、紹介者との契約書の煩雑さ)を解決し、仕組み化を簡単にしたのがSaleshubの特徴です。
(2) 主な機能(紹介依頼・サポーター登録・報酬管理)
Saleshubの主な機能は以下の通りです:
企業向け機能:
- 紹介依頼の掲載と管理
- サポーターとのメッセージング
- 報酬(協力金)の設定と支払い管理
サポーター向け機能:
- 紹介依頼の検索と閲覧
- 自分の人脈から適切な顧客のマッチング
- 紹介実績と報酬の確認
紹介が成立しなければコストは発生しないため、リスクを抑えた新規顧客開拓が可能です。
(3) 料金体系(初期費用無料・成果報酬型35%)
Saleshubの料金体系は以下の通りです:
初期費用・掲載料・月額利用料: 全て無料
手数料(成果報酬型): サポーターへ支払う報酬(協力金)の35%+消費税を手数料として企業が負担します。
計算例: サポーターへの報酬が10万円の場合、企業は追加で35,000円+消費税(3,500円)= 38,500円を手数料として支払います。合計: 138,500円。
紹介が成立しなければコストは発生しないため、初期投資を抑えた新規顧客開拓が可能です。ただし、手数料率(35%)や報酬額は変更される可能性があるため、公式サイトでの確認を推奨します。(この記事は2024年11月時点の情報です)
HubSpot Sales Hub(SFA営業支援ツール)の基礎知識
(1) HubSpot Sales Hubの定義と特徴(CRM基盤のSFA)
HubSpot Sales Hubは、HubSpot社が提供するCRM(顧客関係管理)を基盤としたSFA(営業支援システム)です。
特徴:
- CRMとの連携により、顧客情報を一元管理
- 営業活動の自動化・効率化
- 無料版から有料版まで段階的に導入可能
- HubSpotの他のHub(Marketing Hub、Service Hub等)と統合して活用可能
営業プロセス全体を可視化し、データに基づいた営業活動の改善を支援します。
(2) 主要機能(顧客管理・案件管理・営業分析・AI売上予測)
HubSpot Sales Hubの主要機能は以下の通りです:
顧客管理(コンタクト管理): 顧客情報を一元管理し、過去のやり取りや商談履歴を記録します。
案件管理(パイプライン管理): 営業プロセスを段階的に可視化し、各案件の進捗状況を管理します。ボトルネックを特定し、成約率の改善が可能です。
営業分析(レポート・ダッシュボード): 営業活動のデータを分析し、KPI(受注率、商談化率、平均商談期間など)を可視化します。
AI売上予測: 過去のデータやパターンをAIが分析し、将来の売上を予測します。営業活動の優先順位付けに活用できます。
メール機能とコールトラッキング: メールの自動化、開封・クリック追跡、通話の記録・分析が可能です。
これらの機能により、営業活動の効率化と成約率の向上が期待できます。
(3) 料金プラン(無料版・Starter・Professional・Enterprise)
HubSpot Sales Hubの料金プランは以下の通りです:
無料版(Free): 基本的なCRM機能とSFA機能を無料で利用可能。小規模企業やSFA導入の初期段階に適しています。
Starter: 月額数千円〜(ユーザー数により変動)。メール自動化、レポート機能などが追加されます。
Professional: 月額数万円〜(ユーザー数により変動)。パイプライン管理、AI売上予測、高度な営業分析などが利用可能です。中堅企業に適しています。
Enterprise: 月額十数万円〜(ユーザー数により変動)。カスタマイズ性が高く、大企業向けの機能が提供されます。
※料金プランは2024年3月に改訂されており、執筆時点を明記し公式サイトで最新情報を確認してください。
SaleshubとHubSpot Sales Hubの比較と使い分け
(1) 目的と用途の違い(新規顧客開拓 vs 営業プロセス管理)
SaleshubとHubSpot Sales Hubは、目的と用途が大きく異なります:
Saleshub:
- 目的: 新規顧客開拓(リファラル営業)
- 用途: 人脈を活用した顧客紹介、アポイント獲得
- 強み: 成果報酬型でリスクが低い、ベテラン層の人脈を活用できる
HubSpot Sales Hub:
- 目的: 営業プロセス管理(SFA)
- 用途: 顧客管理、案件管理、営業活動の自動化・効率化
- 強み: 営業プロセス全体を可視化、データに基づく改善が可能
Saleshubは「新規顧客をどう開拓するか」、HubSpot Sales Hubは「既存の営業プロセスをどう効率化するか」に焦点を当てています。
(2) コスト構造の違い(成果報酬型 vs サブスクリプション型)
料金体系も大きく異なります:
Saleshub:
- コスト構造: 成果報酬型
- 初期費用: 無料
- 月額費用: 無料
- 手数料: 成約時の報酬の35%+消費税
- 特徴: 紹介が成立しなければコストは発生しない
HubSpot Sales Hub:
- コスト構造: サブスクリプション型
- 初期費用: 無料(導入支援は別途有料の場合あり)
- 月額費用: 無料版あり、有料版は数千円〜数十万円/月
- 特徴: 導入すれば毎月固定費が発生する
Saleshubはリスクを抑えた新規開拓が可能ですが、紹介が増えると手数料がかさむ可能性があります。HubSpot Sales Hubは固定費が発生しますが、営業チーム全体で活用すればコストパフォーマンスが高まります。
(3) 使い分けの判断基準
以下の判断基準で使い分けることを推奨します:
Saleshubが適している場合:
- 新規顧客開拓を強化したい
- リファラル営業の仕組みを導入したい
- 初期投資を抑えたい(成果報酬型でリスクを抑えたい)
- ベテラン層の人脈を活用したい
HubSpot Sales Hubが適している場合:
- 営業プロセスを可視化・効率化したい
- 既存顧客のフォローアップを強化したい
- 営業活動のデータ分析・改善を行いたい
- 営業チーム全体で情報を共有したい
両方を併用する場合: Saleshubで新規顧客を開拓し、獲得した顧客をHubSpot Sales Hubで管理・フォローアップする。新規開拓と営業管理を分けて最適化する企業も多く見られます。
各サービスの活用事例と導入ポイント
(1) Saleshubの活用事例(ベンチャー企業の新規開拓支援)
Saleshubは、特にベンチャー企業やスタートアップの新規顧客開拓に活用されています。
活用例:
- SaaS企業: 新規リード獲得のためにSaleshubを活用し、ベテラン層の人脈から大手企業への紹介を獲得。
- BtoB企業: 既存の営業チームでカバーできない業界や企業規模へのアプローチにSaleshubを活用。
- 新規事業: 新規事業立ち上げ時に、初期顧客の獲得にSaleshubを活用。
ユーザー数5万人突破を記念してトップページをリニューアルし、ベテラン層がベンチャー支援を行うプラットフォームに進化しています。
(2) HubSpot Sales Hubの活用事例(営業プロセスの自動化・効率化)
HubSpot Sales Hubは、営業プロセスの自動化と効率化に活用されています。
活用例:
- 営業チームの情報共有: 顧客情報や商談履歴をHubSpot Sales Hubで一元管理し、営業チーム全体で共有。
- 商談の進捗管理: パイプライン管理機能で各案件の進捗を可視化し、ボトルネックを特定・改善。
- 営業活動の自動化: メール自動配信、タスク管理、リマインダー設定などで営業担当者の業務負荷を軽減。
- データドリブンな意思決定: 営業分析レポートとAI売上予測で、データに基づく営業戦略の立案が可能。
2024年の営業戦略トレンドは「AI、セールスイネーブルメント、DSR(デジタルセールスルーム)」が中心となっており、HubSpot Sales HubのAI機能はこのトレンドに合致しています。
(3) 導入時の注意点とリスク
両サービスを導入する際の注意点は以下の通りです:
Saleshub導入時の注意点:
- 紹介者の人脈に依存するため、紹介できる顧客の質や量に限界がある可能性がある
- 手数料率(35%)を考慮した報酬設計が必要
- 紹介経由の顧客が自社のターゲットと合致しているか確認する体制が重要
HubSpot Sales Hub導入時の注意点:
- 無料版では機能が限られるため、有料版への移行タイミングを検討する必要がある
- 営業チーム全体で活用するには、研修やオンボーディングが必要
- 他のツール(MA、BIツール等)との連携を事前に確認する
どちらのサービスも、自社の営業課題と目的を明確にしてから導入することが成功の鍵です。
まとめ:営業課題に応じた「セールスハブ」の選び方
「セールスハブ」という用語は、2つの異なるサービスを指します:
Saleshub(リファラル営業プラットフォーム):
- 企業が顧客紹介を依頼し、サポーターが知人を紹介する仕組み
- 初期費用・月額費用は無料、成果報酬型(手数料35%+消費税)
- ユーザー数5万人突破、ベテラン層の人脈を活用できる
- 新規顧客開拓に適している
HubSpot Sales Hub(SFA営業支援ツール):
- CRM基盤のSFA(営業支援システム)
- 顧客管理、案件管理、営業分析、AI売上予測などの機能
- 無料版から有料版(Starter・Professional・Enterprise)まで段階的に導入可能
- 営業プロセス管理・効率化に適している
選び方の判断基準:
- 新規顧客開拓を強化したい場合: Saleshub
- 営業プロセスを可視化・効率化したい場合: HubSpot Sales Hub
- 両方を併用: Saleshubで新規開拓、HubSpot Sales Hubで営業管理
2024年の営業戦略トレンドは「AI、セールスイネーブルメント、DSR(デジタルセールスルーム)」が中心です。自社の営業課題と目的を明確にし、適切な「セールスハブ」を選択しましょう。
次のアクション:
- 自社の営業課題を明確化する(新規開拓 or 営業プロセス管理)
- Saleshubの公式サイトで最新の料金・手数料を確認する
- HubSpot Sales Hubの公式サイトで最新の料金プラン・機能を確認する
- 無料版やトライアルで実際に試す
- 両方を併用する場合の運用体制を検討する
営業課題に応じた「セールスハブ」を戦略的に活用し、営業活動の効率化と成果向上を実現しましょう。
