Salesforce Commerce Cloudとは?EC基盤の機能・特徴・導入メリットを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/15

ECプラットフォームの刷新を検討しているけれど、選択肢が多すぎて分からない...

B2BまたはEC事業の担当者にとって、ECプラットフォームの選定は重要な意思決定です。「グローバル展開を見据えたい」「AIを活用したパーソナライゼーションを実現したい」と考えても、「Salesforce Commerce Cloudは何が違うのか」「自社に合っているのか」と悩む担当者は少なくありません。

この記事では、Salesforce Commerce Cloudの概要、主要機能、B2C/B2Bの違い、Salesforce他製品との連携メリット、導入事例と検討ポイントまで、実践的な情報を解説します。

この記事のポイント:

  • Salesforce Commerce Cloudは、クラウド型SaaS ECプラットフォームで、AI(Einstein)を標準搭載
  • B2C・B2B両対応で、2024年には統合プラットフォーム(ユニファイドコマース)を発表
  • グローバル展開(多言語・複数通貨対応)、ヘッドレスコマースに強み
  • Salesforce他製品(Service Cloud・Marketing Cloud等)との連携で顧客データを一元化
  • 料金はGMVの2%/ユーザー/月で、エンタープライズ向け(中~大手企業、高単価商材に適している)

1. Salesforce Commerce Cloudとは(概要と位置づけ)

(1) クラウド型SaaS ECプラットフォームの定義

Salesforce Commerce Cloudは、Salesforceが提供するクラウド型SaaS ECプラットフォームです。

主な特徴:

  • SaaS(Software as a Service): サーバー管理不要で、クラウド経由で利用できる
  • AI(Einstein)標準搭載: プロダクトレコメンデーション、プレディクティブソート、検索パーソナライズを自動化
  • B2C・B2B両対応: 一般消費者向けECと企業間取引の両方に対応
  • グローバル対応: 世界84カ国で7,300以上のECサイトが稼働(2024年時点)

稼働実績:

  • 99.99%の稼働率で20億人以上の買い物客の取引を支える
  • 日本でも約1年半で40サイトが導入(ユニクロ、資生堂、ワコール等)

(2) 旧名称(Demandware)からの経緯

Salesforce Commerce Cloudは、もともと「Demandware」という名称のECプラットフォームでした。

経緯:

  • 2016年にSalesforceがDemandwareを買収
  • 「Salesforce Commerce Cloud」にリブランディング
  • Salesforceの他製品(CRM、Service Cloud、Marketing Cloud等)との統合が進む

(3) 2024年の次世代Commerce Cloud発表(ユニファイドコマース)

2024年9月、Salesforceは次世代Commerce Cloudを発表しました。

ユニファイドコマースとは:

  • B2C、DTC(Direct to Consumer)、B2Bコマース、注文管理、決済を統合したプラットフォーム
  • チャネル(Web、アプリ、実店舗等)をまたいで一貫したコマース体験を提供

新機能(2024年):

  • Agentforceエージェント: AIエージェントによる自動化支援
    • Merchant(マーチャント支援): ストアフロント管理を自動化
    • Buyer(購入者支援): 購入プロセスを最適化
    • Personal Shopper(パーソナルショッパー): パーソナライズされたショッピング体験を提供
  • In-store Inventory Planning: リアルタイム在庫データと予測で実店舗在庫をWebサイトに表示

2. Commerce Cloudの主要機能とAI活用

(1) Einstein AIによるパーソナライゼーション(レコメンデーション・検索最適化)

Commerce CloudはAI(Einstein)を標準搭載しており、パーソナライズされたコマース体験を自動化します。

Einsteinの主要機能:

  • プロダクトレコメンデーション: 顧客の閲覧履歴・購買履歴に基づき、最適な商品を自動提案
  • プレディクティブソート: 顧客ごとに商品表示順を最適化し、コンバージョン率を向上
  • 検索パーソナライズ: 検索結果を顧客の関心に合わせてカスタマイズ

メリット:

  • コンバージョン率の向上
  • 顧客体験の向上(顧客が欲しい商品を素早く見つけられる)
  • 運用コスト削減(手動でのレコメンデーション設定が不要)

(2) グローバル展開機能(多言語・複数通貨対応)

Commerce Cloudは、グローバル展開を前提とした機能を備えています。

グローバル対応:

  • 多言語対応: サイトを複数言語で展開可能
  • 複数通貨対応: 各国の通貨で価格表示・決済可能
  • 新ブランドサイトへの横展開: テンプレートを活用して、新サイトを効率的に立ち上げ

メリット:

  • グローバルサイトや新ブランドサイトへの横展開を効率化
  • 海外市場への進出をスムーズに実現

導入事例:

  • 富士フイルム: スマートフォン向けECサイト構築後、マレーシア・シンガポールへ海外展開

(3) ヘッドレスコマースとAPIの柔軟性

Commerce Cloudは、ヘッドレスコマースに対応しています。

ヘッドレスコマースとは:

  • フロントエンド(顧客が見る画面)とバックエンド(システム)を分離
  • APIで接続し、柔軟なコマース体験を創出

メリット:

  • 独自のフロントエンドを構築可能
  • モバイルアプリ、IoTデバイス等、多様なチャネルでECを展開できる
  • テンプレートや構成可能ストアフロントを活用して、開発期間を短縮

(4) 2024年追加のAgentforceエージェント(Merchant・Buyer・Personal Shopper)

2024年に導入されたAgentforceエージェントは、AIによる自動化を強化します。

Agentforceエージェントの種類:

  • Merchant(マーチャント支援): ストアフロントの管理を自動化し、運用工数を削減
  • Buyer(購入者支援): 購入プロセスを最適化し、カート放棄率を低減
  • Personal Shopper(パーソナルショッパー): パーソナライズされたショッピング体験を提供

※2024年9月発表の新機能は段階的なリリースの可能性があり、利用可能時期は公式サイトで確認してください。

3. B2C CommerceとB2B Commerceの違い

(1) B2C Commerce:一般消費者向けEC機能

B2C Commerceは、一般消費者向けECサイトに必要な機能を提供します。

主な機能:

  • 商品カタログ管理、検索、レコメンデーション
  • カート、チェックアウトフロー、決済
  • プロモーション、クーポン、ポイント管理
  • 会員管理、マイページ

特徴:

  • 保存済のカートやチェックアウトフローの最適化など、世界中で実績のあるベストプラクティスを活用
  • コンバージョン率向上を重視

(2) B2B Commerce:企業間取引向け機能(複雑な価格設定・承認フロー等)

B2B Commerceは、企業間取引に特化した機能を提供します。

主な機能:

  • 複雑な価格設定: 顧客企業ごとの価格、数量割引、契約価格
  • 承認フロー: 購入申請の承認ワークフロー
  • 見積管理: 見積作成、承認、注文への変換
  • 複数アカウント管理: 親会社・子会社などの階層構造に対応
  • 在庫管理・納期管理: リアルタイム在庫表示、納期回答

特徴:

  • B2B特有の複雑な商習慣に対応
  • 購買担当者の業務効率化

(3) 統合プラットフォームによる両対応の強み

Commerce Cloudは、B2CとB2Bの両方を1つのプラットフォームで提供します。

統合のメリット:

  • B2CとB2Bの両方を展開する企業が、1つのプラットフォームで管理できる
  • 顧客データを一元化し、営業・マーケティング・サポートで活用
  • 2024年発表の次世代Commerce Cloudでは、統合がさらに強化

4. Salesforce他製品との連携メリット

(1) Service Cloudとの連携(カスタマーサポート一元化)

Commerce CloudとService Cloud(カスタマーサポートツール)を連携できます。

連携メリット:

  • 顧客の購買履歴・問い合わせ履歴を一元管理
  • サポート担当者が購買状況を参照しながら対応可能
  • 問い合わせ対応の品質向上と時間短縮

(2) Marketing Cloudとの連携(顧客データ一元化・マーケティング最適化)

Commerce CloudとMarketing Cloud(マーケティングオートメーション)を連携できます。

連携メリット:

  • 顧客の購買履歴・行動データをMarketing Cloudに取り込み
  • パーソナライズされたメールマーケティング、広告配信
  • マーケティング施策の効果測定と最適化

(3) 統合されたCRMによる顧客体験向上

Commerce Cloudは、Salesforce CRMと統合されています。

統合のメリット:

  • 営業・マーケティング・カスタマーサポート・ECサイトの顧客データを一元化
  • 部署をまたいで顧客情報を共有し、一貫した顧客体験を提供
  • 営業担当者がECサイトでの購買履歴を参照し、提案に活かす

5. 導入事例と導入検討時のポイント

(1) 日本での導入実績(ユニクロ、資生堂、ワコール等40サイト)

日本でも約1年半で40サイトが導入されています(2024年時点)。

主要な導入企業:

  • ユニクロ
  • 資生堂
  • ワコール
  • TSI(東京スタイル)

共通点:

  • グローバル展開を目指す中~大手企業
  • 高単価商材を扱う企業
  • ブランド価値を重視する企業

(2) 富士フイルムの海外展開事例(マレーシア・シンガポール)

富士フイルムは、Commerce Cloudを活用して海外展開を実現しました。

導入背景:

  • スマートフォン向けECサイト構築
  • 海外市場(マレーシア、シンガポール)への進出

導入効果:

  • 多言語・複数通貨対応により、海外展開をスムーズに実現
  • グローバル対応の強みを活用

※導入事例の効果は企業規模・業種により異なります。

(3) 料金体系(GMVの2%/ユーザー/月)と導入コスト

Commerce Cloudの料金体系は、GMV(流通取引総額)ベースです。

料金:

  • GMVの2%/ユーザー/月(年間契約が必要)
  • アクセス課金のため、客単価が低い場合はコストが見合わない可能性がある

注意点:

  • 海外決済方法への対応には、カートリッジ(部品)の組み込みが必要で、追加開発コストが発生する可能性がある
  • 機能が豊富な分、導入・運用には専門知識が必要で、学習コストや開発リソースが必要

※料金体系は変更される可能性があるため、具体的な見積もりは公式サイトで確認してください。

(4) 向いている企業(グローバル展開、中~大手、高単価商材)

Commerce Cloudが向いている企業は以下の通りです。

向いている企業:

  • グローバル展開を目指す中~大手企業
  • 高単価商材を扱う企業(客単価が高い)
  • Salesforceの他製品(CRM、Marketing Cloud、Service Cloud等)をすでに利用している企業
  • AI機能(Einstein)を活用してコンバージョン率を向上させたい企業
  • ヘッドレスコマースで独自のフロントエンドを構築したい企業

向いていない可能性がある企業:

  • 小規模ECサイト(アクセス数が少ない)
  • 低単価商材を大量に販売する企業(GMV課金のため、コストが見合わない可能性)
  • 導入・運用の専門知識・リソースがない企業

6. まとめ:Commerce Cloudが向いている企業とは

Salesforce Commerce Cloudは、AI(Einstein)を標準搭載し、グローバル展開に強みを持つエンタープライズ向けECプラットフォームです。B2C・B2B両対応で、2024年には統合プラットフォーム(ユニファイドコマース)を発表し、さらに進化を続けています。

成功させるポイント:

  • 目的を明確にする: グローバル展開か、AI活用か、Salesforce他製品との連携か、目的を明確にする
  • 料金体系を確認: GMVの2%/ユーザー/月で、自社のビジネスモデルに合うか検証
  • 導入体制を整備: 専門知識を持つパートナー企業の活用、社内リソースの確保
  • 段階的に導入: 小規模で試して効果を測定してから本格展開

次のアクション:

  • 自社のEC戦略を整理する(グローバル展開、AI活用等)
  • Commerce Cloudの公式サイトで最新情報を確認する
  • Salesforce公式またはパートナー企業にデモ・見積もりを依頼する
  • 導入事例(ユニクロ、資生堂、富士フイルム等)を参考にする

Salesforce Commerce Cloudを適切に活用し、顧客体験の向上と売上拡大を実現しましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。Salesforce Commerce Cloudの機能・料金は変更される可能性があるため、導入時は公式サイトで最新情報を確認してください。

よくある質問

Q1Salesforce Commerce Cloudの料金はどれくらいですか?

A1GMVの2%/ユーザー/月で、年間契約が必要です。アクセス課金のため、客単価が低い場合はコストが見合わない可能性があります。具体的な見積もりは公式サイトで確認してください。

Q2ShopifyやEC-CUBEなど他のECプラットフォームとの違いは何ですか?

A2AI機能(Einstein)の標準搭載、グローバル展開への強み、Salesforce他製品(Service Cloud、Marketing Cloud)との連携が特徴です。エンタープライズ向けで、機能が豊富な分、導入・運用には専門知識が必要です。

Q3どのような企業に向いていますか?

A3グローバル展開を目指す中~大手企業、高単価商材を扱う企業、Salesforceの他製品(CRM、Marketing Cloud等)をすでに利用している企業に向いています。小規模ECや低単価商材の場合、コストが見合わない可能性があります。

Q4B2CとB2Bの両方に対応していますか?

A4対応しています。B2C Commerceは一般消費者向けEC機能、B2B Commerceは企業間取引向け機能(複雑な価格設定、承認フロー等)を提供します。2024年には両方を統合したユニファイドコマースが発表されました。

Q52024年の新機能(Agentforceエージェント)はいつから使えますか?

A52024年9月に発表されましたが、段階的なリリースの可能性があります。利用可能時期は公式サイトで最新情報を確認してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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