セールスマネージャーの役割と求められるスキル|チーム育成・目標達成のための実践ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/5

営業担当者からセールスマネージャーへ昇進したけれど、何から始めればいいか分からない...

B2B企業で営業実績を積み、セールスマネージャー(営業課長・営業部長等)に昇進した方の多くが、「プレイヤーとしては成果を出せたが、マネージャーとして何をすべきか分からない」という壁に直面します。「チーム目標はどう設定する?」「メンバー育成はどうやる?」「自分も売るべき?それとも育成に専念?」といった疑問は尽きません。

この記事では、セールスマネージャーの役割と求められるスキル、プレイヤーとの違い、陥りやすい失敗パターンと対処法を解説します。

この記事のポイント:

  • セールスマネージャーは売上管理だけでなく、人材育成・戦略立案・モチベーション管理が主要業務
  • プレイヤーとマネージャーは全く異なるスキルセットが求められる(個人成績→チーム成績、自分で売る→メンバーに売らせる)
  • 求められるスキルはリーダーシップ・コーチング力・データ分析力・戦略立案力の4つ
  • よくある失敗パターンはプレイングマネージャー化・マイクロマネジメント・非現実的な目標設定
  • トッププレイヤーが優秀なマネージャーになれない理由はマインドセット転換の難しさ

セールスマネージャーとは|営業チームを統率する管理職の役割

セールスマネージャーは、営業チームの最高責任者として、部署やチームを統率し、売上管理・人材育成・戦略立案を担当する管理職です。プレイヤー(個人営業担当者)とは異なり、チーム全体の成果を最大化することが最終目標となります。

(1) セールスマネージャーの定義と位置付け

セールスマネージャーは、以下の責任を担います:

チーム全体の売上目標達成:

  • 個人売上ではなく、チーム全体の売上・受注件数・成約率等の目標管理
  • 目標未達時の原因分析と改善施策の立案・実行
  • 経営層への報告・提案

メンバーの育成・指導:

  • 各メンバーの長所・短所を見極め、個別指導
  • 1on1(1対1の面談)による定期的なフィードバック
  • 研修機会の提供・スキル開発の支援

営業戦略の立案・実行:

  • 市場分析・競合分析に基づく営業戦略の設計
  • 営業プロセス・オペレーションの構築・改善
  • 新規ツール(SFA・CRM等)の導入・活用

(2) 企業規模・業種別のマネージャー像の違い

セールスマネージャーの役割は、企業規模・業種・成長フェーズによって大きく異なります:

企業規模 マネージャー像 主な役割
小規模企業(従業員30名以下) プレイングマネージャー 自ら営業活動を行いながら、少数のメンバーを指導
中堅企業(従業員30-500名) チームマネージャー 営業チーム(5-15名)の目標管理・育成・戦略立案
大企業(従業員500名以上) 営業部長・営業本部長 複数チームの統括、経営戦略への関与、予算管理

※この記事では、中堅企業のチームマネージャー(営業課長・マネージャー職)を中心に解説します。

セールスマネージャーの主要業務|売上管理・人材育成・戦略立案の5つの柱

セールスマネージャーの主要業務は、以下の5つに分類されます(出典: Mazrica, 2024年)。

(1) 目標設定と売上管理|チーム目標の設計とKPI管理

主な業務:

  • チーム全体の売上目標・受注件数・新規顧客獲得数等の設定
  • 各メンバーへの個別目標の割り当て(スキル・経験に応じた調整)
  • KPI(重要業績評価指標)の設定と進捗管理
  • 週次・月次での実績確認と目標との乖離分析

重要なポイント:

  • 非現実的な目標設定はチーム全体のモチベーション低下につながる
  • 各メンバーのスキル・経験・担当エリアを考慮した個別目標設定が重要
  • 目標未達時は原因を分析し、改善施策を速やかに実行

(2) 営業戦略の立案と構築|市場分析・競合分析・アプローチ設計

主な業務:

  • 市場動向・競合他社の分析
  • 自社製品・サービスの強み・弱みの把握
  • ターゲット顧客の明確化(企業規模・業種・課題別)
  • 営業アプローチの設計(新規開拓・既存顧客深耕・パートナー連携等)

重要なポイント:

  • プレイヤー時代の「勘と経験」から、データに基づく戦略立案へ転換
  • 競合他社の動向を把握し、差別化ポイントを明確化
  • 営業戦略はチーム全体に共有し、実行可能な施策に落とし込む

(3) 人材育成とメンバー指導|1on1・研修機会の提供・スキル開発

主な業務:

  • 1on1(1対1の面談)の定期実施(週次または月次)
  • 各メンバーの商談同行・ロールプレイによる実践指導
  • 研修機会の提供(社内研修・外部セミナー・オンライン学習等)
  • 商談プロセス・提案書・プレゼン資料のレビュー・フィードバック

重要なポイント:

  • 各メンバーの長所・短所を見極め、個別にモチベーションを与える方法を見出す
  • 画一的な指導ではなく、個別対応が効果的(出典: Cyzen, 2024年)
  • トッププレイヤーの成功パターンをチーム全体に共有・横展開

(4) モチベーション管理|個別対応・強化と動機付け

主な業務:

  • 各メンバーのモチベーション状態の把握
  • 目標達成時の称賛・インセンティブ設計
  • 目標未達時の励まし・改善支援
  • チーム全体の一体感醸成(定例会議・チームイベント等)

重要なポイント:

  • メンバーによってモチベーション要因は異なる(金銭的報酬・承認・成長機会等)
  • 個別対応を怠ると、メンバーの成長が停滞し、チーム全体の成果に影響
  • 定期的な1on1でメンバーの状態を把握し、早期に問題を察知

(5) 営業プロセスの検証と改善|データ分析・オペレーション最適化

主な業務:

  • SFA(営業支援システム)・CRM(顧客関係管理)を活用した営業活動の可視化
  • リード獲得から受注までのプロセス分析(どこでボトルネックが発生しているか)
  • 成約率・商談化率・リードタイム等のKPI分析
  • 営業プロセス・オペレーションの改善施策の立案・実行

重要なポイント:

  • データ分析力が2024年以降、セールスマネージャーに求められるスキルとして重視されている(出典: eセールスマネージャー、2024年)
  • SFA・CRMを活用し、「感覚」ではなく「データ」に基づく改善施策を実行
  • 営業プロセス全体を俯瞰し、ボトルネックを特定・解消

セールスマネージャーに求められるスキル|リーダーシップ・コーチング・データ分析

セールスマネージャーには、プレイヤーとは異なるスキルセットが求められます。

(1) リーダーシップ|チームを牽引し、ビジョンを示す力

主なスキル:

  • チーム全体のビジョン・目標を明確に示す
  • メンバーを鼓舞し、困難な状況でもチームを牽引
  • 意思決定力(目標未達時の改善策、新規施策の採用等)
  • 経営層への報告・提案・交渉

習得方法:

  • リーダーシップ研修・マネジメント研修の受講
  • 他部門の優秀なマネージャーとの情報交換
  • 書籍・オンライン学習(例: 「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」等)

(2) コーチング・育成力|メンバーの長所を見極め、個別指導

主なスキル:

  • 各メンバーの長所・短所の見極め
  • 1on1での効果的なフィードバック(傾聴・質問・承認)
  • 目標設定の支援(SMARTゴール設定等)
  • 商談同行による実践的な指導

習得方法:

  • コーチング研修の受講
  • 1on1の定期実施(週次または月次)による実践
  • メンバーとの信頼関係構築(心理的安全性の確保)

(3) データ分析力|SFA・CRMを活用した営業活動の可視化

主なスキル:

  • SFA・CRMの活用(営業活動の記録・分析)
  • KPI設定・測定・分析(売上・受注率・商談化率等)
  • 営業プロセスのボトルネック特定
  • データに基づく改善施策の立案

習得方法:

  • SFA・CRM(例: Salesforce、eセールスマネージャー、HubSpot等)の公式トレーニング受講
  • 営業データの可視化(ダッシュボード作成・レポート作成)
  • データ分析ツール(Excel、BIツール等)の活用スキル習得

(4) 戦略立案・プロセス設計力|営業プロセス全体の設計・改善

主なスキル:

  • 市場分析・競合分析
  • 営業戦略の立案(ターゲット顧客・アプローチ方法・差別化ポイント)
  • 営業プロセス設計(リード獲得→商談化→受注→継続取引)
  • 営業ツール(SFA・CRM・MA等)の選定・導入

習得方法:

  • 営業戦略立案の書籍・セミナー受講
  • 他社の成功事例・ベストプラクティスの研究
  • セールスマネジメントモデルの活用(体系的なスキル習得)

プレイヤーとマネージャーの違い|マインドセット転換の重要性

セールスマネージャーに求められるのは、プレイヤー時代とは全く異なるマインドセット(考え方・価値観)です。

(1) 個人成績からチーム成績へ|評価基準の転換

プレイヤー時代:

  • 評価基準: 個人の売上・受注件数・成約率
  • 目標: 自分の目標達成
  • 関心: 自分の商談・顧客

マネージャーとして:

  • 評価基準: チーム全体の売上・受注件数・成約率
  • 目標: チーム全体の目標達成
  • 関心: チーム全体の営業活動・メンバーの成長

マインドセット転換のポイント:

  • 自分の成績ではなく、チーム全体の成績を最優先
  • 自分が売るよりも、メンバーが売れるように支援することが重要
  • 「自分が一番売れる」という意識から、「チームで最大の成果を出す」という意識へ

(2) 「自分で売る」から「メンバーに売らせる」へ

プレイヤー時代:

  • 自分で顧客と商談し、自分で受注する
  • 個人のスキル・経験・人脈が成果を左右
  • 時間の使い方: 商談・提案書作成・顧客対応

マネージャーとして:

  • メンバーに商談させ、メンバーが受注できるように支援
  • チーム全体のスキル・プロセス・ツールが成果を左右
  • 時間の使い方: 1on1・戦略立案・プロセス改善・データ分析

マインドセット転換のポイント:

  • 自分が売るのではなく、メンバーが売れる仕組みを作る
  • メンバーの商談同行・フィードバックに時間を使う
  • プレイヤー時代の成功パターンをチーム全体に横展開

(3) トッププレイヤーが優秀なマネージャーになれない理由

「トッププレイヤーが優秀なマネージャーになれない」という課題は、多くの企業で見られます(出典: Sherpa Works, 2024年)。

理由:

  • スキルセットの違い: プレイヤーとしてのスキル(個人で売る力)とマネジメントスキル(チームに売らせる力)は全く異なる
  • マインドセット転換の難しさ: 「自分が売る」から「メンバーに売らせる」への転換が難しい
  • 育成の経験不足: プレイヤー時代は個人プレーが中心で、育成経験がない
  • 無意識の比較: 「自分ならもっと上手くできる」という意識から、メンバーを過小評価してしまう

対処法:

  • セールスマネジメントモデルを活用して、体系的にマネジメントスキルを習得(出典: Sherpa Works, 2024年)
  • マネジメント研修・コーチング研修の受講
  • 経験豊富なマネージャーからのメンタリング
  • マインドセット転換の重要性を認識し、意識的に行動を変える

セールスマネージャーが陥りやすい失敗パターンと対処法

セールスマネージャーが陥りやすい失敗パターンと、その対処法を解説します。

(1) プレイングマネージャー化|自ら売りすぎて育成を怠る

失敗パターン:

  • 自分が売った方が早いため、自ら商談に出てしまう
  • メンバー育成に時間を割かず、チーム全体のスキルが向上しない
  • 短期的には成果が出るが、長期的にはチームが育たない

対処法:

  • マネージャーの役割は「自分で売る」ではなく「メンバーに売らせる」と認識
  • 自分の時間の使い方を見直す(商談時間を減らし、1on1・育成に時間を割く)
  • メンバーの商談同行・フィードバックを優先
  • 自分が売るのは、新規市場開拓・重要顧客対応等の限定的なケースのみ

(2) マイクロマネジメント|過度な管理でメンバーの主体性を奪う

失敗パターン:

  • すべての商談に同行し、細かく指示を出す
  • メンバーの自主性・創意工夫を奪い、モチベーション低下
  • メンバーが「言われたことしかやらない」状態になる

対処法:

  • メンバーに裁量を与え、失敗を許容する文化を作る
  • 目標・方向性を示し、具体的な手法はメンバーに任せる
  • 商談同行は「指示」ではなく「フィードバック」の機会と位置づける
  • 定期的な1on1で進捗確認し、困っている時だけ支援

(3) 目標設定の誤り|非現実的な目標設定によるモチベーション低下

失敗パターン:

  • 経営層からの目標をそのままメンバーに割り振る
  • 各メンバーのスキル・経験を考慮せず、画一的な目標設定
  • 目標未達が続き、チーム全体のモチベーションが低下

対処法:

  • 各メンバーのスキル・経験・担当エリアを考慮した個別目標設定
  • 目標達成可能性(ストレッチ目標だが達成可能)を考慮
  • 目標設定時にメンバーと対話し、納得感を得る
  • 目標未達時は原因を分析し、改善施策を速やかに実行

(4) 個別対応の不足|画一的な指導によるメンバー成長の停滞

失敗パターン:

  • すべてのメンバーに同じ指導方法を適用
  • 各メンバーの長所・短所を把握せず、画一的な育成
  • メンバーの成長が停滞し、離職率が上昇

対処法:

  • 各メンバーの長所・短所を見極め、個別にモチベーションを与える方法を見出す(出典: Cyzen, 2024年)
  • 1on1の定期実施でメンバーの状態を把握
  • モチベーション要因は人それぞれ(金銭的報酬・承認・成長機会等)
  • 個別対応により、メンバーの成長を加速

まとめ|優秀なセールスマネージャーになるための実践ステップ

セールスマネージャーは、売上管理だけでなく、人材育成・戦略立案・モチベーション管理が主要業務です。プレイヤーとは全く異なるスキルセット(リーダーシップ・コーチング力・データ分析力・戦略立案力)とマインドセット転換が求められます。

(1) セールスマネジメントモデルで体系的にスキル習得

実践ステップ:

  1. マインドセット転換: 「自分で売る」から「メンバーに売らせる」への意識転換
  2. スキル習得: マネジメント研修・コーチング研修の受講、書籍・オンライン学習
  3. 1on1の定期実施: 週次または月次でメンバーと1対1の面談を実施
  4. SFA・CRM活用: 営業活動を可視化し、データに基づく改善施策を実行
  5. 営業プロセス改善: ボトルネックを特定し、プロセス全体を最適化
  6. セールスマネジメントモデル活用: 体系的な手法・フレームワークを学ぶ(出典: Sherpa Works, 2024年)

(2) 2024年のトレンド|データ分析力・デジタルツール活用の重視

2024年以降、セールスマネージャーに求められるスキルとして、データ分析力とデジタルツール活用が重視されています(出典: eセールスマネージャー、2024年)。

最新トレンド:

  • インサイドセールスマネージャーの需要増加: リモート営業体制の構築が重要に
  • データ分析力の重視: SFA・CRMを活用した営業活動の可視化・改善
  • デジタルツールの活用: AI・自動化ツールによる営業プロセスの効率化

次のアクション:

  • 自分の役割を明確化する(売上管理・人材育成・戦略立案・モチベーション管理・プロセス改善)
  • マインドセットを転換する(個人成績→チーム成績、自分で売る→メンバーに売らせる)
  • マネジメントスキルを体系的に習得する(研修・書籍・オンライン学習・メンタリング)
  • 1on1を定期実施し、メンバーの状態を把握・個別支援
  • SFA・CRMを活用し、データに基づく営業プロセス改善を実行
  • 失敗パターン(プレイングマネージャー化・マイクロマネジメント等)を避ける
  • 最新トレンド(データ分析力・デジタルツール活用)をキャッチアップ

優秀なセールスマネージャーになるためには、プレイヤー時代とは異なるスキル・マインドセットの習得が不可欠です。体系的な学習と実践を重ね、チーム全体の成果を最大化しましょう。

よくある質問

Q1セールスマネージャーの主な役割と業務内容は何ですか?

A1目標設定と売上管理、営業戦略の立案、人材育成とメンバー指導、モチベーション管理、営業プロセスの検証と改善の5つが主要業務です。チーム全体の成果を最大化することが最終目標となります。

Q2営業担当者からセールスマネージャーになるために必要なスキルは何ですか?

A2リーダーシップ、コーチング・育成力、データ分析力、戦略立案・プロセス設計力の4つが主要スキルです。プレイヤーとは異なるスキルセットが求められるため、体系的な学習が必要です。

Q3トッププレイヤーが優秀なマネージャーになれないのはなぜですか?

A3プレイヤーとしてのスキル(個人で売る力)とマネジメントスキル(チームに売らせる力)は全く異なるためです。マインドセットの転換と適切な育成プログラムが不可欠です。

Q4セールスマネージャーが陥りやすい失敗パターンは何ですか?

A4プレイングマネージャー化(自ら売りすぎて育成を怠る)、マイクロマネジメント(過度な管理)、非現実的な目標設定、画一的な指導による個別対応の不足が主な失敗パターンです。

Q5効果的な人材育成とモチベーション管理の方法は何ですか?

A5各メンバーの長所・短所を見極め、個別にモチベーションを与える方法を見出すことが重要です。1on1の定期実施、明確な目標設定、研修機会の提供、SFA・CRMでの活動可視化が効果的です。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。