ROIとは?計算方法・活用シーン・改善施策をわかりやすく解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

マーケティング投資の効果、正しく測れていますか?

「広告費をかけているのに、利益が出ているのかわからない」 「施策ごとの効果を比較したいが、どの指標を見ればいいか迷う」

B2B企業のマーケティング担当者にとって、投資対効果の可視化は常に課題となっています。ROI(投資収益率)は、投じた費用に対してどれだけの利益を得られたかを示す基本指標です。

この記事では、ROIの計算方法から活用シーン、改善施策まで、実務で使える形で解説します。

この記事のポイント:

  • ROIは「利益 ÷ 投資額 × 100」で計算する投資対効果の指標
  • 100%を超えれば黒字、下回れば赤字と判断できる
  • ROASは売上高、ROIは利益額ベースで、最終的にはROIを重視
  • 目安は事業投資で10-20%、マーケティング施策で200-300%だが業種で異なる
  • ROIだけでなく複数指標を組み合わせて総合的に判断することが重要

1. なぜROIがビジネスで重要視されるのか

ROI(Return On Investment)は、投資に対してどれだけのリターンがあったかを数値化する指標です。日本語では「投資収益率」「投資利益率」とも呼ばれます。

ROIが重要視される理由:

予算配分の根拠になる: 限られたマーケティング予算をどの施策に配分すべきか、ROIを比較することで客観的な判断材料が得られます。感覚的な判断から、データに基づく意思決定へ移行できます。

経営層への説明に使える: 「この施策にいくら投資して、いくらの利益が出たか」を明確に示せるため、予算確保の交渉や施策の承認を得やすくなります。

改善サイクルが回せる: ROIを継続的に測定することで、施策の改善ポイントが見えてきます。効果の低い施策を見直し、効果の高い施策に注力する判断ができます。

ただし、ROIはブランド認知度向上や顧客満足度といった定性的な効果を数値化できません。そのため、ROIだけでなく複数の指標を組み合わせて判断することが重要です。

2. ROIの基礎知識:定義と計算方法

(1) ROIの計算式と損益分岐点の考え方

ROIの基本的な計算式は以下の通りです。

ROI = 利益 ÷ 投資額 × 100(%)

マーケティング投資の場合、より詳細に表すと:

ROI = (売上高 - 売上原価 - 投資額)÷ 投資額 × 100

計算例:

  • 投資額: 500万円(広告費)
  • 売上高: 1,500万円
  • 売上原価: 500万円
  • 利益: 1,500万円 - 500万円 - 500万円 = 500万円
  • ROI: 500万円 ÷ 500万円 × 100 = 100%

損益分岐点の考え方:

  • ROI > 100%: 投資額を上回る利益が出ている(黒字)
  • ROI = 100%: 投資額と利益がトントン(損益分岐点)
  • ROI < 100%: 投資額を回収できていない(赤字)
  • ROI = 0%: 利益がゼロ
  • ROI < 0%: 赤字(マイナス利益)

(2) ROIの目安(業種・施策別の違い)

ROIの目安は、投資の種類や業種によって大きく異なります。

事業投資(設備投資、事業開発など): 一般的に**10~20%**が目安とされています。長期的な投資のため、数年単位での回収を前提とした数値です。

マーケティング施策: 施策によっては**200~300%**の高いROIを達成することもあります。短期間で効果が出やすいデジタルマーケティング施策では、比較的高いROIが期待できるケースがあります。

注意点:

  • 業種や企業の状況によって適切なROI水準は異なります
  • 一律の基準ではなく、自社の過去実績や業界平均との比較が重要です
  • 短期的なROIだけでなく、長期的な顧客生涯価値(LTV)も考慮する必要があります

3. ROIの活用シーン:マーケティング投資の効果測定

(1) 広告・コンテンツ施策のROI計算例

B2Bマーケティングにおける主な施策別のROI計算例を紹介します。

リスティング広告の場合:

  • 投資額: 月100万円
  • 獲得リード: 50件
  • 受注率: 10%(5件受注)
  • 平均受注単価: 100万円
  • 売上: 500万円
  • 粗利率: 40%
  • 利益: 200万円
  • ROI: (200万円 - 100万円) ÷ 100万円 × 100 = 100%

コンテンツマーケティングの場合:

  • 投資額: 年間300万円(記事制作・運用費)
  • 獲得リード: 年間200件
  • 受注率: 5%(10件受注)
  • 平均受注単価: 150万円
  • 売上: 1,500万円
  • 粗利率: 40%
  • 利益: 600万円
  • ROI: (600万円 - 300万円) ÷ 300万円 × 100 = 100%

※上記は計算例であり、実際の数値は企業や施策によって異なります。

(2) 施策間比較と予算配分への活用

ROIを活用する最大のメリットは、異なる施策の効果を同じ基準で比較できることです。

活用例:

施策 投資額 利益 ROI
リスティング広告 100万円 100万円 100%
コンテンツマーケティング 300万円 300万円 100%
展示会出展 200万円 100万円 50%
ウェビナー開催 50万円 75万円 150%

この例では、ウェビナー開催のROIが最も高いことがわかります。予算配分を検討する際、ROIの高い施策に重点配分することが一つの判断基準となります。

ただし注意点として:

  • ROIが低くてもブランド認知に貢献している施策もある
  • 施策の成熟度(始めたばかりか、最適化が進んでいるか)も考慮が必要
  • 複数の施策が連携して効果を発揮するケースもある

4. ROIとROAS・CPAとの違いと使い分け

(1) ROIとROASの違い(利益額vs売上高)

ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費用対効果を測る指標です。ROIとの違いを理解しておくことが重要です。

計算式の違い:

  • ROI = 利益 ÷ 投資額 × 100(利益ベース)
  • ROAS = 売上高 ÷ 広告費 × 100(売上ベース)

具体例:

  • 広告費: 100万円
  • 売上: 500万円
  • 原価: 300万円
  • 利益: 100万円

この場合:

  • ROAS = 500万円 ÷ 100万円 × 100 = 500%
  • ROI = (100万円 - 100万円) ÷ 100万円 × 100 = 0%

ROASが500%と高く見えても、ROIは0%(利益ゼロ)というケースがあります。ROASが良くてもROIが悪ければ、実際には利益が出ていません。最終的な判断には、売上ベースのROASより利益ベースのROIを重視することが推奨されます。

(2) CPAとの関係と併用のポイント

CPA(Cost Per Acquisition)は、1件の顧客獲得にかかった費用を示す指標です。

計算式:

  • CPA = 投資額 ÷ 獲得件数

ROIとCPAの使い分け:

  • CPA: 獲得効率を見るのに適している(「1件あたりいくらで獲得できたか」)
  • ROI: 最終的な利益貢献を見るのに適している(「投資に見合う利益が出たか」)

併用のポイント: CPAが低くても、獲得した顧客の質(LTVや解約率)が悪ければROIは低くなります。CPAで効率を管理しつつ、ROIで最終的な利益貢献を確認する使い方が効果的です。

5. ROI改善の具体的施策

(1) コスト削減によるROI向上

ROIを改善する最も直接的な方法は、投資額(コスト)を削減することです。

コスト削減のアプローチ:

広告費の最適化:

  • 効果の低いキーワード・ターゲティングを停止
  • 入札戦略の見直し(自動入札の活用など)
  • 広告クリエイティブのA/Bテストで効率改善

制作・運用コストの見直し:

  • 内製と外注のバランス最適化
  • テンプレート活用による制作効率化
  • 既存コンテンツのリパーパス(再活用)

ツールコストの精査:

  • 使用頻度の低いツールの解約
  • 類似機能を持つツールの統合
  • 年間契約による割引活用

(2) ターゲット明確化とアップセル・クロスセル

コスト削減だけでなく、売上・利益を増やすアプローチも重要です。

ターゲット明確化: 成約率の高い顧客セグメントを特定し、そこに集中投資することで効率を高めます。

  • 過去の成約データから優良顧客の特徴を分析
  • ペルソナの見直しと精緻化
  • リードスコアリングによる優先順位付け

アップセル・クロスセルの強化: 既存顧客への追加販売は、新規獲得より効率的にROIを高められる場合があります。

  • アップセル: 上位プラン・オプションの提案
  • クロスセル: 関連製品・サービスの提案

高品質なコンテンツ提供: 潜在顧客との信頼関係を築き、長期的な購買につなげることで、投資回収期間を通じたROI向上を目指します。

6. まとめ:ROI活用の注意点とチェックリスト

ROIはマーケティング投資の効果を測る基本指標ですが、活用にあたっては注意点があります。

ROI活用の注意点:

  • 定性的効果は測れない: ブランド認知、顧客満足度などはROIに反映されない
  • 計算式のバリエーション: 企業によって定義が異なる場合がある(統一基準の設定が必要)
  • 短期視点の罠: 短期ROIだけを追うと、長期的な成長投資が疎かになる
  • 施策の連携効果: 複数施策の相乗効果はROI単体では見えにくい

ROI活用チェックリスト:

  • 計算式と対象範囲を社内で統一しているか
  • 施策ごとにROIを定期的に測定しているか
  • ROASやCPAなど他指標と組み合わせて判断しているか
  • コスト削減と売上増加の両面からROI改善を検討しているか
  • 長期的なLTV(顧客生涯価値)も考慮しているか

次のアクション:

  • 主要なマーケティング施策のROIを計算してみる
  • 施策間で比較し、投資配分の見直しを検討する
  • ROI以外の評価指標(LTV、NPS等)も整理する
  • 改善余地の大きい施策から具体的なアクションを実行する

ROIは万能な指標ではありませんが、投資判断の基本として押さえておくべき重要な指標です。自社の状況に合わせて活用し、マーケティング投資の効果を継続的に高めていきましょう。

よくある質問

Q1ROIの計算式を教えてください

A1ROI =(売上高 - 売上原価 - 投資額)÷ 投資額 × 100(%)で計算します。100%を超えれば黒字、下回れば赤字と判断できます。

Q2ROIとROASのどちらを見ればよいですか?

A2ROASは売上高ベース、ROIは利益額ベースの指標です。ROASが高くてもROIがマイナスなら実際には赤字なので、最終的な判断にはROIを重視することが推奨されます。

Q3ROIの目安はどれくらいですか?

A3事業投資では10-20%、マーケティング施策では200-300%が一般的な目安です。ただし業種や施策によって大きく異なるため、自社の過去実績や業界平均との比較が重要です。

Q4ROIだけでマーケティングを判断してよいですか?

A4ブランド認知や顧客満足度など定性的効果はROIに反映されません。LTV(顧客生涯価値)やNPS(顧客推奨度)など複数の指標と組み合わせて総合的に判断することが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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