ROASとは?広告費用対効果の計算方法と改善施策を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/17

ROASとは?広告運用における重要性

「広告を出稿しているけれど、本当に費用対効果が見合っているのか分からない」「広告費をどこに配分すべきか判断する指標がほしい」──こうした課題を抱える広告運用担当者は少なくありません。ROAS(ロアス)は、広告費用対効果を測定し、投資判断を行うための重要な指標です。

この記事のポイント:

  • ROASとは、広告費に対する売上の費用対効果を示す指標(Return On Advertising Spend)
  • 計算式は「広告からの売上÷広告費×100(%)」で、100%を基準に判断する
  • ROASは売上ベース、ROIは利益ベースの指標で、両方を併用することが重要
  • 一般的にECサイトで300%以上、BtoBサービスで400〜600%以上が目安
  • ターゲティング精度向上、クリエイティブ最適化、予算配分の見直しでROASを改善できる

ROAS(ロアス) とは、「Return On Advertising Spend」の略で、広告費に対する売上の費用対効果を示す指標です。「広告費1円に対していくらの売上があったか」を測定します。

ROASが広告運用で重要な理由は、以下の3点に集約されます:

1. 広告費回収率の可視化 ROASを計測することで、「広告費を回収できているか」「どれくらいの売上が生まれているか」が数値で明確になります。ROASが100%未満の場合、広告費が売上を上回っており、広告単体では赤字を意味します。

2. 広告媒体・キャンペーンの比較 Google広告、Facebook広告、Instagram広告など、複数の広告媒体を運用する場合、媒体別にROASを計測することで、どの媒体が最も効果的かを比較できます。

3. 予算配分の最適化 ROASが高い媒体・クリエイティブ・キーワードに予算を集中させることで、限られた広告費を最大限に活用できます。

2. ROASの計算方法と損益分岐点の考え方

(1) 基本の計算式と具体例

ROASの基本的な計算式は以下の通りです:

ROAS(%)= 広告からの売上 ÷ 広告費 × 100

または、倍数で表現する場合:

ROAS(倍)= 広告からの売上 ÷ 広告費

計算例:

  • 広告費:10万円
  • 広告からの売上:40万円
  • ROAS = 40万円 ÷ 10万円 × 100 = 400%(または4倍)

この場合、「広告費1円に対して4円の売上が発生した」ことを意味します。

ROASの判断基準:

  • ROAS 100%未満:広告費が売上を上回っており、赤字
  • ROAS 100%:広告費と売上が同額(利益はゼロまたはマイナス)
  • ROAS 100%以上:売上が広告費を上回っているが、利益が出ているかは原価次第

(2) 損益分岐点ROASの算出

重要なのは、ROASが100%以上であっても、利益が出ているとは限らない点です。原価を考慮した損益分岐点ROASを算出する必要があります。

損益分岐点ROASの計算式:

損益分岐点ROAS = 販売単価 ÷ (販売単価 - 原価) × 100

この値を下回ると、広告経由の販売が赤字になります。

計算例:

  • 販売単価:10,000円
  • 原価:6,000円(粗利率40%)
  • 損益分岐点ROAS = 10,000円 ÷ (10,000円 - 6,000円) × 100 = 250%

この場合、ROASが250%未満だと利益が出ていないことになります。自社の原価構造を把握し、損益分岐点ROASを算出することが重要です。

3. ROASとROI・CPAの違いと使い分け

広告効果測定には、ROAS以外にもROIやCPAといった指標があります。それぞれの違いを理解し、適切に使い分けることが重要です。

(1) ROI(投資収益率)との違い

ROI(Return On Investment) は、投資収益率を示す指標で、投じた費用に対してどれだけの利益を上げられたかを測定します。

ROIの計算式:

ROI(%)= (売上 - 売上原価 - 投資額) ÷ 投資額 × 100

または、シンプルに:

ROI(%)= 利益 ÷ 投資額 × 100

ROASとROIの主な違い:

指標 分子 意味
ROAS 売上 広告費1円に対する売上
ROI 利益 広告費1円に対する利益

重要なポイント: ROASが良好でも、ROIが低い(または マイナス)場合は、売上は立っているが利益が出ていない状態です。原価が高い商材では、ROASとROIの両方を確認する必要があります。

使い分けの例:

  • ROASが高いが利益が出ていない → 原価削減や価格戦略の見直しが必要
  • ROASが低いがROIが良好 → 高利益率商材で、少ない売上でも利益が確保できている

(2) CPA(獲得単価)との違い

CPA(Cost Per Action / Acquisition) は、コンバージョン1件あたりに費やした費用を表す指標です。

CPAの計算式:

CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数

ROASとCPAの主な違い:

指標 測定対象 適用シーン
ROAS 売上(金額) ECサイト、有料サービスなど、売上が直接発生する場合
CPA コンバージョン件数 資料請求、リード獲得など、金銭的成果以外も測定する場合

使い分けの例:

  • ECサイト(商品購入)→ ROASで売上を測定
  • BtoBリードジェネレーション(資料請求)→ CPAでリード獲得コストを測定
  • BtoBサービス(有料プラン契約)→ ROASで売上を測定

4. 業界別・ビジネスモデル別のROAS目安

ROASの適正値は、業界やビジネスモデルによって大きく異なります。

(1) EC・BtoCサービスの目安

一般的なECサイト:

  • 目標ROAS: 300〜500%(3〜5倍)
  • 損益分岐点ROAS: 利益率により異なる(粗利率30%なら約333%、粗利率50%なら200%)

高単価商品(家電、家具など):

  • 目標ROAS: 200〜400%
  • 理由: 客単価が高く、購入頻度が低いため、やや低めのROASでも利益を確保しやすい

低単価・高頻度商品(日用品、食品など):

  • 目標ROAS: 400〜600%
  • 理由: 客単価が低く、利益率も低いため、高いROASが求められる

(2) BtoBサービスの目安

BtoBリードジェネレーション(資料請求・ウェビナー申込など):

  • CPAで測定することが一般的(ROASは直接算出しにくい)
  • 目標CPA: リード1件あたりのLTV(顧客生涯価値)の10〜30%程度

BtoBサービス(有料プラン契約):

  • 目標ROAS: 400〜600%(4〜6倍)
  • 理由: 契約までのリードタイムが長く、営業コストもかかるため、高めのROASが必要

重要な注意点: これらはあくまで一般的な目安です。自社の原価構造、利益率、顧客獲得戦略により、適切なROAS目標値は大きく異なります。損益分岐点ROASを算出し、自社に合った目標を設定しましょう。

※2024年11月時点の目安です。市場環境や広告プラットフォームの仕様変更により変動する可能性があります。

5. ROAS改善のための実践的な施策

(1) ターゲティングの精度向上

ターゲティングを精緻化することで、無駄な広告費を削減し、ROASを向上できます。

具体的な施策:

  • オーディエンスの絞り込み: 年齢、性別、地域、興味関心などで絞り込み、購入意欲の高いユーザーに広告を配信
  • リターゲティングの活用: 一度サイトを訪問したユーザーや、カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーに再度広告を配信
  • 類似オーディエンスの活用: 既存顧客と似た属性のユーザーに広告を配信

注意点: ターゲティングを絞りすぎると、リーチ数が減少し、新規顧客獲得数が減る可能性があります。ROASと顧客獲得数のバランスを取ることが重要です。

(2) クリエイティブ・CVボタンの最適化

広告のクリエイティブ(画像・動画・テキスト)と、ランディングページのCVボタンを最適化することで、コンバージョン率を高め、ROASを改善できます。

クリエイティブ最適化の施策:

  • A/Bテストの実施: 複数のクリエイティブを比較し、最も効果的なものを特定
  • 訴求内容の見直し: 商品の特徴だけでなく、ユーザーのメリット(「時短」「コスト削減」など)を訴求
  • 動画広告の活用: 静止画よりも動画の方がエンゲージメントが高い傾向

CVボタン最適化の施策:

  • 文言の工夫: 「購入する」より「今すぐ購入する」「限定価格で購入」の方がクリック率が高い傾向
  • デザインの改善: ボタンの色、サイズ、位置を最適化
  • 「〇円以上で送料無料」の設定: 客単価を上げることでROASを向上

実績例: CVボタンの文言やデザインを工夫するだけでも、大きなROAS改善が見込めることが報告されています。

(3) 予算配分と媒体選定の見直し

ROASの高い媒体・クリエイティブ・キーワードに予算を集中させることで、全体のROASを向上できます。

具体的な施策:

  • 媒体別ROAS分析: Google広告、Facebook広告、Instagram広告など、各媒体のROASを計測
  • キーワード別ROAS分析: 検索広告の場合、キーワードごとにROASを計測し、効果の低いキーワードを除外
  • 時間帯・曜日別の分析: 顧客の行動パターンを分析し、効果的な時間帯に広告を集中

予算配分の最適化例:

  • Google広告のROAS: 500%
  • Facebook広告のROAS: 300%
  • Instagram広告のROAS: 200%

→ Google広告に予算を多く配分し、ROASの低いInstagram広告の予算を削減または停止

注意点: ROASだけを追求すると、顧客獲得数が減少し、長期的なビジネス成長を阻害する可能性があります。ROAS、ROI、CPAなど複数の指標を総合的に評価することが重要です。

6. まとめ:効果的なROAS活用のポイント

ROASは、広告費用対効果を測定し、投資判断を行うための重要な指標です。

重要なポイント:

  • ROASは「広告からの売上÷広告費×100(%)」で算出し、100%を基準に判断する
  • ROASは売上ベース、ROIは利益ベースの指標で、両方を併用することが重要
  • 損益分岐点ROASを算出し、自社の原価構造に合った目標を設定する
  • 一般的にECで300%以上、BtoBで400〜600%以上が目安(業界・利益率により異なる)
  • ターゲティング精度向上、クリエイティブ最適化、予算配分の見直しでROASを改善できる

次のアクション:

  • 現在の広告キャンペーンのROASを計測する
  • 自社の原価構造を把握し、損益分岐点ROASを算出する
  • 媒体別・クリエイティブ別・キーワード別にROASを分析する
  • ROASの低い媒体・キーワードを見直し、予算配分を最適化する
  • ターゲティング・クリエイティブ・CVボタンのA/Bテストを実施する
  • ROASだけでなく、ROI・CPAも併せて総合的に評価する

効果的なROAS活用により、広告費用対効果を最大化し、持続的なビジネス成長を実現しましょう。

よくある質問

Q1ROASの適正値はどれくらい?

A1一般的にECサイトで300%以上、BtoBサービスで400〜600%以上が目安とされています。ただし、利益率により適切な値は大きく異なります。自社の損益分岐点ROASを算出して判断することが重要です。例えば、粗利率40%の商材なら損益分岐点ROASは250%となります。

Q2ROASとCPAはどう使い分ける?

A2売上が直接発生する場合(ECサイトでの商品購入、有料サービスの契約など)はROASを使用し、資料請求やリード獲得など金銭的成果以外を測定する場合はCPAを使用します。BtoBではリードジェネレーションにCPAを使い、有料プラン契約にROASを使うのが一般的です。

Q3ROASが高いのに利益が出ないのはなぜ?

A3ROASは売上をベースに算出するため、利益を考慮していません。原価が高い商材では、ROASが高くても利益が出ないことがあります。例えば、ROAS300%でも粗利率が30%未満なら赤字です。ROASだけでなく、ROI(利益ベース)も併せて確認することが重要です。

Q4ROASを測定するにはどのツールを使えばよい?

A4Google広告、Facebook広告、Instagram広告などの広告プラットフォームには標準でROAS測定機能が搭載されています。また、Google Analytics 4(GA4)と連携することで、より詳細な分析が可能です。複数媒体を一元管理する場合は、データ統合ツール(Looker Studio、Tableauなど)の活用も有効です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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