Pardotセグメンテーションリストの作成方法|効果的なターゲティング設計

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/10

Pardotでセグメントを作成したいけれど、どの機能を使えばいいか分からない...

B2B企業のマーケティング担当者やMA運用者の多くが、「Pardot(現Account Engagement)でリードをセグメント化したいが、スタティックリストとダイナミックリストの違いが分からない」「効果的なセグメント設計の方法を知りたい」といった課題を抱えています。Pardotのセグメンテーションリストは、リードナーチャリングの精度を高める重要な機能ですが、適切に活用するには仕組みと使い分けの理解が必要です。

この記事では、Pardotセグメンテーションリストの基本的な仕組み、スタティックリストとダイナミックリストの違い、作成手順、B2Bリードナーチャリングに最適化したセグメント設計パターン、よくあるミスと回避策を解説します。

この記事のポイント:

  • Pardotは2022年にAccount Engagementに名称変更(本記事では両方の名称を併記)
  • スタティックリストは手動管理、ダイナミックリストは条件で自動更新される
  • スコアなど頻繁に変化する条件はダイナミック、問い合わせフォーム通過など変わらない条件はスタティックが適している
  • Growth月額150,000円〜、Premium月額1,800,000円(2025年時点)
  • リスト更新は即座に反映されない場合があり、メール配信タイミングに注意が必要

1. Pardotセグメンテーションリストとは?基本的な仕組みと役割

(1) Account Engagement(旧Pardot)におけるセグメンテーションの重要性

Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforceが提供するB2B向けマーケティングオートメーション(MA)ツールです。セグメンテーションリストは、見込み客(プロスペクト)を条件で分類し、ターゲティングされたマーケティング施策を実行するための中核機能です。

セグメンテーションリストの役割:

  • ターゲティングの精度向上: 購買ステージ・業種・行動データ等でプロスペクトを分類し、適切なメッセージを配信
  • メールマーケティングの効率化: 興味関心の高いセグメントにのみメールを送信し、開封率・クリック率を向上
  • リードスコアリングとの連携: スコアの高いプロスペクトを営業チームに引き渡す際のフィルタリング
  • Engagement Studioでのナーチャリング: 購買ステージに応じた自動シナリオを実行

(2) プロスペクト管理とリストの関係

プロスペクトとは: Account Engagementで管理する見込み客のことです。メールアドレスで一意に識別され、属性(企業名、役職、業種等)、行動データ(メール開封、Webページ閲覧、フォーム送信等)、スコアが記録されます。

リストとプロスペクトの関係: リストは、プロスペクトの集合体です。1つのプロスペクトは複数のリストに所属できます。

例:

  • プロスペクトA: 「製造業」リスト、「スコア50以上」リスト、「Webサイト訪問者」リストに所属
  • プロスペクトB: 「IT業界」リスト、「問い合わせフォーム送信者」リストに所属

(3) セグメンテーションルールとオートメーションルールの違い

Account Engagementには、プロスペクトを条件で抽出する2つの仕組みがあります。

セグメンテーションルール:

  • 1回のみ実行: 過去のプロスペクトに対して一括処理を行う
  • 用途: 過去データの一括整理(例: 過去6ヶ月間にWebサイトを訪問したプロスペクトを「興味あり」リストに追加)
  • 実行タイミング: 手動で「今すぐ実行」をクリック

オートメーションルール:

  • 継続的に実行: 条件を満たすプロスペクトに対して随時アクションを実行
  • 用途: リアルタイムの自動化(例: フォーム送信したプロスペクトに自動でタグ付け、営業チームに通知)
  • 実行タイミング: 条件を満たしたタイミングで自動実行

2. スタティックリストとダイナミックリストの違いと使い分け

(1) スタティックリスト(静的リスト)の特徴と適用シーン

スタティックリストの特徴:

  • 手動管理: プロスペクトの追加・削除を手動またはセグメンテーションルールで実行
  • 条件変化に非対応: 条件を設定しても、自動では更新されない
  • 固定メンバー: 一度リストに追加されたプロスペクトは、手動で削除しない限り残り続ける

適用シーン:

  • 問い合わせフォーム通過: 「2024年11月の問い合わせ」など、一度条件を満たしたら変わらない場合
  • イベント参加者: 「2024年Webinar参加者」など、過去のイベント参加履歴
  • 特定キャンペーン対象者: 手動で選定した特定のプロスペクトグループ

(2) ダイナミックリスト(動的リスト)の特徴と適用シーン

ダイナミックリストの特徴:

  • 条件で自動更新: 設定した条件に基づき、プロスペクトが自動的に追加・削除される
  • リアルタイム反映: 条件を満たしたプロスペクトは自動で追加、満たさなくなったプロスペクトは自動で削除
  • 手動追加・削除不可: ダイナミックリストは条件のみで管理されるため、手動での追加・削除はできない

適用シーン:

  • リードスコアリング: 「スコア50以上」など、頻繁に変化する条件
  • 購買ステージ: 「直近30日以内にWebサイトを訪問」など、期間条件がある場合
  • 属性変化: 「役職が部長以上」など、属性が変化する可能性がある場合
  • マーケティングキャンペーン: ナーチャリングシナリオで、スコアや行動に応じて自動的にセグメントを切り替えたい場合

(3) 使い分けの判断基準(スコア・属性変化の頻度)

使い分けの判断基準:

条件の種類 推奨リストタイプ 理由
スコア50以上 ダイナミック スコアは頻繁に変化するため
直近30日以内にWebサイト訪問 ダイナミック 期間条件があり、時間経過で変化するため
2024年11月の問い合わせ スタティック 一度条件を満たしたら変わらないため
イベント参加者 スタティック 過去の参加履歴は変わらないため
役職が部長以上 ダイナミック 属性が変化する可能性があるため
手動選定したVIP顧客 スタティック 手動管理が必要なため

重要なポイント: ダイナミックリストは手動での追加・削除ができないため、用途を明確にしてから選択する必要があります。例えば「スコア50以上かつ手動で追加したVIP顧客」というリストを作成したい場合、ダイナミックリストでは実現できません。この場合はスタティックリストを使用し、セグメンテーションルールで定期的に更新する必要があります。

3. セグメンテーションリストの作成手順(Lightning UI)

(1) リスト作成の基本手順(マーケティング→セグメンテーション→リスト)

Account Engagement(Lightning UI)でリストを作成する基本手順は以下の通りです:

手順1: リスト作成画面を開く

  1. Account Engagementにログイン
  2. 「マーケティング」タブをクリック
  3. 左メニューから「セグメンテーション」→「リスト」を選択
  4. 「+リストを追加」ボタンをクリック

手順2: リスト基本情報を入力

  • リスト名: 分かりやすい名前を設定(例: 「2024年11月問い合わせ」「スコア50以上」)
  • フォルダ: リストを整理するフォルダを選択(キャンペーンごとに作成推奨)
  • 説明: リストの目的・条件を記載(後から見返す際に便利)

手順3: リストタイプを選択

  • スタティックリスト(静的リスト)またはダイナミックリスト(動的リスト)をチェックボックスで選択

(2) スタティックリストの作成方法と条件設定

スタティックリスト作成手順:

  1. リストタイプで「スタティックリスト」を選択
  2. 「保存」をクリックしてリストを作成
  3. プロスペクトを追加する方法を選択:
    • 手動追加: プロスペクト一覧から個別に選択
    • インポート: CSVファイルでプロスペクトを一括インポート
    • セグメンテーションルールで一括追加: 条件を設定してプロスペクトを一括抽出(後述)

セグメンテーションルールで一括追加する手順:

  1. 「オートメーション」タブをクリック
  2. 左メニューから「セグメンテーションルール」を選択
  3. 「+セグメンテーションルールを追加」をクリック
  4. 条件を設定:
    • プロスペクトの条件: 「フォーム送信日が2024年11月1日〜2024年11月30日」
    • アクション: 「リストに追加」→ 作成したスタティックリストを選択
  5. 「保存」をクリック
  6. 「今すぐ実行」をクリックして一括処理を実行

(3) ダイナミックリストの作成方法と条件設定

ダイナミックリスト作成手順:

  1. リストタイプで「ダイナミックリスト」を選択
  2. 「プロスペクトの条件」を設定:
    • 「スコアが50以上」
    • 「直近30日以内にWebサイトを訪問」
    • 「業種が製造業」
    • 「役職が部長または課長」
  3. 条件をAND/ORで組み合わせ:
    • AND: すべての条件を満たすプロスペクトのみ抽出
    • OR: いずれかの条件を満たすプロスペクトを抽出
  4. 「保存」をクリック

ダイナミックリストの条件は自動で反映: 設定した条件に基づき、プロスペクトが自動的に追加・削除されます。ただし、更新は即座に反映されない場合があるため、メール配信のタイミングには注意が必要です。

(4) タグ活用によるキャンペーン整理のベストプラクティス

タグの役割: タグを活用してキャンペーンごとにフォーム・ランディングページ・メール・リストを整理すると、後の振り返りが容易になります。

タグ付けの例:

  • キャンペーン名: 「2024年11月Webinar」
  • タグ: 「202411_webinar」
  • タグ付け対象: フォーム、ランディングページ、メール、リスト

タグ管理のベストプラクティス:

  • タグを細かく作りすぎると管理が煩雑になるため、タグ付けルールを事前に決めてExcel等で整理することが推奨されます
  • キャンペーンごとに統一されたタグ命名規則を設定(例: YYYYMM_キャンペーン名)
  • 定期的にタグ一覧を見直し、不要なタグを削除

4. B2Bリードナーチャリングに最適化したセグメント設計パターン

(1) 購買ステージ別セグメント(認知・検討・比較・購買)

購買ステージに応じてセグメント化し、適切なコンテンツを配信することでナーチャリングの精度が向上します。

セグメント例:

認知ステージ(スコア0-20):

  • 条件: 「スコアが0-20」「Webサイト訪問回数1-2回」
  • 配信コンテンツ: 業界トレンド、基本的なノウハウ記事

検討ステージ(スコア21-50):

  • 条件: 「スコアが21-50」「Webサイト訪問回数3回以上」「資料ダウンロード済み」
  • 配信コンテンツ: ホワイトペーパー、導入事例、製品比較資料

比較ステージ(スコア51-80):

  • 条件: 「スコアが51-80」「製品ページ閲覧済み」「問い合わせフォーム閲覧(未送信)」
  • 配信コンテンツ: 製品詳細資料、無料トライアル案内、FAQ

購買ステージ(スコア81以上):

  • 条件: 「スコアが81以上」「問い合わせフォーム送信済み」
  • アクション: 営業チームに自動通知、商談設定のフォローメール送信

(2) 業種・企業規模別セグメント

業種や企業規模によって課題・ニーズが異なるため、セグメント化が有効です。

業種別セグメント例:

  • 製造業: 「生産管理効率化」「サプライチェーン最適化」のコンテンツ配信
  • IT業界: 「API連携」「セキュリティ対策」のコンテンツ配信
  • 小売業: 「在庫管理」「顧客分析」のコンテンツ配信

企業規模別セグメント例:

  • 中小企業(従業員100人未満): 「低コスト」「簡単導入」のメッセージ
  • 中堅企業(従業員100-1000人): 「スケーラビリティ」「部門間連携」のメッセージ
  • 大企業(従業員1000人以上): 「エンタープライズ機能」「グローバル展開」のメッセージ

(3) 行動データ別セグメント(メール開封・Webページ閲覧・フォーム送信)

メール開封行動別セグメント:

  • 高エンゲージメント: 直近3回のメールすべて開封 → 頻繁なメール配信OK
  • 中エンゲージメント: 直近3回のメールのうち1-2回開封 → 週1回程度のメール配信
  • 低エンゲージメント: 直近3回のメール未開封 → メール配信頻度を下げる、件名を工夫

Webページ閲覧行動別セグメント:

  • 製品ページ閲覧者: 製品詳細資料、無料トライアル案内を配信
  • 事例ページ閲覧者: 類似業種の導入事例を配信
  • 料金ページ閲覧者: 見積もり依頼、導入相談の案内を配信

フォーム送信行動別セグメント:

  • 問い合わせフォーム送信者: 営業チームに自動通知、即座にフォローアップ
  • 資料ダウンロード者: 関連資料、次のステップのコンテンツを自動配信

(4) Engagement Studioでのセグメント活用例

Engagement Studioは、ナーチャリングシナリオを視覚的に設計・実行できるAccount Engagementの機能です。

Engagement Studioでのセグメント活用例:

  1. エントリーポイント: 「資料ダウンロード者」リストのプロスペクトがEngagement Studioに追加される
  2. 待機期間: 3日間待機
  3. メール配信1: 導入事例メールを配信
  4. 分岐: メール開封したプロスペクトとしなかったプロスペクトで分岐
    • 開封した場合: スコア+10、次のステップへ
    • 開封しなかった場合: 7日間待機後、別の件名でメール再送
  5. メール配信2: 無料トライアル案内メールを配信
  6. 条件分岐: スコアが50以上のプロスペクトを営業チームに通知

5. セグメンテーション設計でよくあるミスと回避策

(1) ダイナミックリストでの手動追加・削除の誤解

よくあるミス: 「ダイナミックリストで自動更新されているが、特定のVIP顧客を手動で追加したい」と考えてしまう。

誤解: ダイナミックリストは条件のみで管理されるため、手動での追加・削除はできません。

回避策:

  • VIP顧客を手動で管理したい場合は、スタティックリストを使用
  • または、ダイナミックリストの条件に「タグにVIPを含む」を追加し、VIP顧客には手動でタグ付け

(2) リスト更新タイミングとメール配信のズレ

よくあるミス: ダイナミックリストの条件を変更後、即座にメール配信を実行してしまう。

問題: リスト更新は即座に反映されない場合があり、意図したプロスペクトに配信されない可能性があります。

回避策:

  • ダイナミックリストの条件変更後は、数時間〜1日程度の余裕を持ってメール配信スケジュールを設定
  • 配信前にリストのプロスペクト数を確認し、期待する数と一致しているか確認

(3) タグの作りすぎによる管理の煩雑化

よくあるミス: キャンペーンごとに細かくタグを作成しすぎて、どのタグをどのキャンペーンで使ったか分からなくなる。

問題: タグが増えすぎると、後から振り返る際に混乱します。

回避策:

  • タグ付けルールを事前に決める(例: YYYYMM_キャンペーン名)
  • Excel等でタグ一覧を管理し、どのキャンペーンでどのタグを使ったか記録
  • 定期的にタグ一覧を見直し、不要なタグを削除

(4) データ品質の低下とセグメント精度への影響

よくあるミス: プロスペクトの属性データ(業種、企業規模等)が不完全なまま、セグメント条件に使用してしまう。

問題: 属性データが不完全だと、セグメントの精度が低下し、適切なターゲティングができません。

回避策:

  • フォーム項目を必須にして、重要な属性データを必ず取得
  • データクレンジング(データの重複・誤りの修正)を定期的に実施
  • Salesforce Leads/Contactsとの連携を活用し、営業チームが入力した属性データを同期

6. まとめ:効果的なターゲティングを実現するセグメント設計

Account Engagement(旧Pardot)のセグメンテーションリストは、B2Bリードナーチャリングの精度を高める重要な機能です。スタティックリストとダイナミックリストを適切に使い分け、購買ステージ・業種・行動データに基づいたセグメント設計を行うことで、メール開封率・リード獲得率の向上が期待できます。

本記事のまとめ:

  • スタティックリストは手動管理、ダイナミックリストは条件で自動更新される
  • スコアなど頻繁に変化する条件はダイナミック、問い合わせフォーム通過など変わらない条件はスタティックが適している
  • リスト作成は「マーケティング」→「セグメンテーション」→「リスト」→「+リストを追加」から実行
  • 購買ステージ・業種・行動データ別にセグメント化し、Engagement Studioで自動ナーチャリング
  • リスト更新は即座に反映されない場合があり、メール配信タイミングに注意が必要

次のアクション:

  1. 既存のリストを見直し、スタティック/ダイナミックの使い分けが適切か確認する
  2. 購買ステージ別のセグメントを設計し、ダイナミックリストで自動化する
  3. Engagement Studioでナーチャリングシナリオを設計し、セグメント別のメール配信を自動化する
  4. メール開封率・クリック率を測定し、セグメント設計を継続的に改善する
  5. タグ付けルールを整備し、キャンペーン管理を効率化する

セグメンテーションリストは一度設計して終わりではなく、プロスペクトの行動データを分析しながら継続的に改善することが重要です。スコアリング、行動トラッキング、Engagement Studioと組み合わせることで、より精度の高いB2Bリードナーチャリングを実現できます。

※この記事は2025年12月時点の情報です。Account Engagementの機能・料金は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1スタティックリストとダイナミックリストの違いは何ですか?

A1スタティックリストは手動またはセグメンテーションルールで追加・削除を管理します。ダイナミックリストは設定した条件に基づき自動でプロスペクトが追加・削除されます。スコアなど頻繁に変化する条件はダイナミック、問い合わせフォーム通過など変わらない条件はスタティックが適しています。

Q2ダイナミックリストはどのような条件で使うべきですか?

A2スコアリング、属性変化など頻繁に変化する条件の場合にダイナミックリストが最適です。条件を満たさなくなると自動で削除されるため、マーケティングキャンペーンのターゲティングに便利です。

Q3リストの更新にどのくらい時間がかかりますか?

A3即座には反映されない場合があります。メール配信のタイミングには注意が必要で、特にダイナミックリストの条件変更後は余裕を持ったスケジュール設定が推奨されます。

Q4セグメンテーションルールとオートメーションルールの違いは何ですか?

A4セグメンテーションルールは1回のみ実行され、過去のプロスペクトに対して一括処理を行います。オートメーションルールは継続的に実行され、条件を満たすプロスペクトに対して随時アクションを実行します。

Q5Account Engagementの料金はいくらですか?

A5Growth月額150,000円〜、Premium月額1,800,000円です(2025年時点)。Advanced以上でAI機能(Einstein)が利用可能です。最新の料金プランは公式サイトで確認することが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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