Pardotでセグメントを作成したいけれど、どの機能を使えばいいか分からない...
B2B企業のマーケティング担当者やMA運用者の多くが、「Pardot(現Account Engagement)でリードをセグメント化したいが、スタティックリストとダイナミックリストの違いが分からない」「効果的なセグメント設計の方法を知りたい」といった課題を抱えています。Pardotのセグメンテーションリストは、リードナーチャリングの精度を高める重要な機能ですが、適切に活用するには仕組みと使い分けの理解が必要です。
この記事では、Pardotセグメンテーションリストの基本的な仕組み、スタティックリストとダイナミックリストの違い、作成手順、B2Bリードナーチャリングに最適化したセグメント設計パターン、よくあるミスと回避策を解説します。
この記事のポイント:
- Pardotは2022年にAccount Engagementに名称変更(本記事では両方の名称を併記)
- スタティックリストは手動管理、ダイナミックリストは条件で自動更新される
- スコアなど頻繁に変化する条件はダイナミック、問い合わせフォーム通過など変わらない条件はスタティックが適している
- Growth月額150,000円〜、Premium月額1,800,000円(2025年時点)
- リスト更新は即座に反映されない場合があり、メール配信タイミングに注意が必要
1. Pardotセグメンテーションリストとは?基本的な仕組みと役割
(1) Account Engagement(旧Pardot)におけるセグメンテーションの重要性
Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforceが提供するB2B向けマーケティングオートメーション(MA)ツールです。セグメンテーションリストは、見込み客(プロスペクト)を条件で分類し、ターゲティングされたマーケティング施策を実行するための中核機能です。
セグメンテーションリストの役割:
- ターゲティングの精度向上: 購買ステージ・業種・行動データ等でプロスペクトを分類し、適切なメッセージを配信
- メールマーケティングの効率化: 興味関心の高いセグメントにのみメールを送信し、開封率・クリック率を向上
- リードスコアリングとの連携: スコアの高いプロスペクトを営業チームに引き渡す際のフィルタリング
- Engagement Studioでのナーチャリング: 購買ステージに応じた自動シナリオを実行
(2) プロスペクト管理とリストの関係
プロスペクトとは: Account Engagementで管理する見込み客のことです。メールアドレスで一意に識別され、属性(企業名、役職、業種等)、行動データ(メール開封、Webページ閲覧、フォーム送信等)、スコアが記録されます。
リストとプロスペクトの関係: リストは、プロスペクトの集合体です。1つのプロスペクトは複数のリストに所属できます。
例:
- プロスペクトA: 「製造業」リスト、「スコア50以上」リスト、「Webサイト訪問者」リストに所属
- プロスペクトB: 「IT業界」リスト、「問い合わせフォーム送信者」リストに所属
(3) セグメンテーションルールとオートメーションルールの違い
Account Engagementには、プロスペクトを条件で抽出する2つの仕組みがあります。
セグメンテーションルール:
- 1回のみ実行: 過去のプロスペクトに対して一括処理を行う
- 用途: 過去データの一括整理(例: 過去6ヶ月間にWebサイトを訪問したプロスペクトを「興味あり」リストに追加)
- 実行タイミング: 手動で「今すぐ実行」をクリック
オートメーションルール:
- 継続的に実行: 条件を満たすプロスペクトに対して随時アクションを実行
- 用途: リアルタイムの自動化(例: フォーム送信したプロスペクトに自動でタグ付け、営業チームに通知)
- 実行タイミング: 条件を満たしたタイミングで自動実行
2. スタティックリストとダイナミックリストの違いと使い分け
(1) スタティックリスト(静的リスト)の特徴と適用シーン
スタティックリストの特徴:
- 手動管理: プロスペクトの追加・削除を手動またはセグメンテーションルールで実行
- 条件変化に非対応: 条件を設定しても、自動では更新されない
- 固定メンバー: 一度リストに追加されたプロスペクトは、手動で削除しない限り残り続ける
適用シーン:
- 問い合わせフォーム通過: 「2024年11月の問い合わせ」など、一度条件を満たしたら変わらない場合
- イベント参加者: 「2024年Webinar参加者」など、過去のイベント参加履歴
- 特定キャンペーン対象者: 手動で選定した特定のプロスペクトグループ
(2) ダイナミックリスト(動的リスト)の特徴と適用シーン
ダイナミックリストの特徴:
- 条件で自動更新: 設定した条件に基づき、プロスペクトが自動的に追加・削除される
- リアルタイム反映: 条件を満たしたプロスペクトは自動で追加、満たさなくなったプロスペクトは自動で削除
- 手動追加・削除不可: ダイナミックリストは条件のみで管理されるため、手動での追加・削除はできない
適用シーン:
- リードスコアリング: 「スコア50以上」など、頻繁に変化する条件
- 購買ステージ: 「直近30日以内にWebサイトを訪問」など、期間条件がある場合
- 属性変化: 「役職が部長以上」など、属性が変化する可能性がある場合
- マーケティングキャンペーン: ナーチャリングシナリオで、スコアや行動に応じて自動的にセグメントを切り替えたい場合
(3) 使い分けの判断基準(スコア・属性変化の頻度)
使い分けの判断基準:
| 条件の種類 | 推奨リストタイプ | 理由 |
|---|---|---|
| スコア50以上 | ダイナミック | スコアは頻繁に変化するため |
| 直近30日以内にWebサイト訪問 | ダイナミック | 期間条件があり、時間経過で変化するため |
| 2024年11月の問い合わせ | スタティック | 一度条件を満たしたら変わらないため |
| イベント参加者 | スタティック | 過去の参加履歴は変わらないため |
| 役職が部長以上 | ダイナミック | 属性が変化する可能性があるため |
| 手動選定したVIP顧客 | スタティック | 手動管理が必要なため |
重要なポイント: ダイナミックリストは手動での追加・削除ができないため、用途を明確にしてから選択する必要があります。例えば「スコア50以上かつ手動で追加したVIP顧客」というリストを作成したい場合、ダイナミックリストでは実現できません。この場合はスタティックリストを使用し、セグメンテーションルールで定期的に更新する必要があります。
3. セグメンテーションリストの作成手順(Lightning UI)
(1) リスト作成の基本手順(マーケティング→セグメンテーション→リスト)
Account Engagement(Lightning UI)でリストを作成する基本手順は以下の通りです:
手順1: リスト作成画面を開く
- Account Engagementにログイン
- 「マーケティング」タブをクリック
- 左メニューから「セグメンテーション」→「リスト」を選択
- 「+リストを追加」ボタンをクリック
手順2: リスト基本情報を入力
- リスト名: 分かりやすい名前を設定(例: 「2024年11月問い合わせ」「スコア50以上」)
- フォルダ: リストを整理するフォルダを選択(キャンペーンごとに作成推奨)
- 説明: リストの目的・条件を記載(後から見返す際に便利)
手順3: リストタイプを選択
- スタティックリスト(静的リスト)またはダイナミックリスト(動的リスト)をチェックボックスで選択
(2) スタティックリストの作成方法と条件設定
スタティックリスト作成手順:
- リストタイプで「スタティックリスト」を選択
- 「保存」をクリックしてリストを作成
- プロスペクトを追加する方法を選択:
- 手動追加: プロスペクト一覧から個別に選択
- インポート: CSVファイルでプロスペクトを一括インポート
- セグメンテーションルールで一括追加: 条件を設定してプロスペクトを一括抽出(後述)
セグメンテーションルールで一括追加する手順:
- 「オートメーション」タブをクリック
- 左メニューから「セグメンテーションルール」を選択
- 「+セグメンテーションルールを追加」をクリック
- 条件を設定:
- プロスペクトの条件: 「フォーム送信日が2024年11月1日〜2024年11月30日」
- アクション: 「リストに追加」→ 作成したスタティックリストを選択
- 「保存」をクリック
- 「今すぐ実行」をクリックして一括処理を実行
(3) ダイナミックリストの作成方法と条件設定
ダイナミックリスト作成手順:
- リストタイプで「ダイナミックリスト」を選択
- 「プロスペクトの条件」を設定:
- 「スコアが50以上」
- 「直近30日以内にWebサイトを訪問」
- 「業種が製造業」
- 「役職が部長または課長」
- 条件をAND/ORで組み合わせ:
- AND: すべての条件を満たすプロスペクトのみ抽出
- OR: いずれかの条件を満たすプロスペクトを抽出
- 「保存」をクリック
ダイナミックリストの条件は自動で反映: 設定した条件に基づき、プロスペクトが自動的に追加・削除されます。ただし、更新は即座に反映されない場合があるため、メール配信のタイミングには注意が必要です。
(4) タグ活用によるキャンペーン整理のベストプラクティス
タグの役割: タグを活用してキャンペーンごとにフォーム・ランディングページ・メール・リストを整理すると、後の振り返りが容易になります。
タグ付けの例:
- キャンペーン名: 「2024年11月Webinar」
- タグ: 「202411_webinar」
- タグ付け対象: フォーム、ランディングページ、メール、リスト
タグ管理のベストプラクティス:
- タグを細かく作りすぎると管理が煩雑になるため、タグ付けルールを事前に決めてExcel等で整理することが推奨されます
- キャンペーンごとに統一されたタグ命名規則を設定(例: YYYYMM_キャンペーン名)
- 定期的にタグ一覧を見直し、不要なタグを削除
4. B2Bリードナーチャリングに最適化したセグメント設計パターン
(1) 購買ステージ別セグメント(認知・検討・比較・購買)
購買ステージに応じてセグメント化し、適切なコンテンツを配信することでナーチャリングの精度が向上します。
セグメント例:
認知ステージ(スコア0-20):
- 条件: 「スコアが0-20」「Webサイト訪問回数1-2回」
- 配信コンテンツ: 業界トレンド、基本的なノウハウ記事
検討ステージ(スコア21-50):
- 条件: 「スコアが21-50」「Webサイト訪問回数3回以上」「資料ダウンロード済み」
- 配信コンテンツ: ホワイトペーパー、導入事例、製品比較資料
比較ステージ(スコア51-80):
- 条件: 「スコアが51-80」「製品ページ閲覧済み」「問い合わせフォーム閲覧(未送信)」
- 配信コンテンツ: 製品詳細資料、無料トライアル案内、FAQ
購買ステージ(スコア81以上):
- 条件: 「スコアが81以上」「問い合わせフォーム送信済み」
- アクション: 営業チームに自動通知、商談設定のフォローメール送信
(2) 業種・企業規模別セグメント
業種や企業規模によって課題・ニーズが異なるため、セグメント化が有効です。
業種別セグメント例:
- 製造業: 「生産管理効率化」「サプライチェーン最適化」のコンテンツ配信
- IT業界: 「API連携」「セキュリティ対策」のコンテンツ配信
- 小売業: 「在庫管理」「顧客分析」のコンテンツ配信
企業規模別セグメント例:
- 中小企業(従業員100人未満): 「低コスト」「簡単導入」のメッセージ
- 中堅企業(従業員100-1000人): 「スケーラビリティ」「部門間連携」のメッセージ
- 大企業(従業員1000人以上): 「エンタープライズ機能」「グローバル展開」のメッセージ
(3) 行動データ別セグメント(メール開封・Webページ閲覧・フォーム送信)
メール開封行動別セグメント:
- 高エンゲージメント: 直近3回のメールすべて開封 → 頻繁なメール配信OK
- 中エンゲージメント: 直近3回のメールのうち1-2回開封 → 週1回程度のメール配信
- 低エンゲージメント: 直近3回のメール未開封 → メール配信頻度を下げる、件名を工夫
Webページ閲覧行動別セグメント:
- 製品ページ閲覧者: 製品詳細資料、無料トライアル案内を配信
- 事例ページ閲覧者: 類似業種の導入事例を配信
- 料金ページ閲覧者: 見積もり依頼、導入相談の案内を配信
フォーム送信行動別セグメント:
- 問い合わせフォーム送信者: 営業チームに自動通知、即座にフォローアップ
- 資料ダウンロード者: 関連資料、次のステップのコンテンツを自動配信
(4) Engagement Studioでのセグメント活用例
Engagement Studioは、ナーチャリングシナリオを視覚的に設計・実行できるAccount Engagementの機能です。
Engagement Studioでのセグメント活用例:
- エントリーポイント: 「資料ダウンロード者」リストのプロスペクトがEngagement Studioに追加される
- 待機期間: 3日間待機
- メール配信1: 導入事例メールを配信
- 分岐: メール開封したプロスペクトとしなかったプロスペクトで分岐
- 開封した場合: スコア+10、次のステップへ
- 開封しなかった場合: 7日間待機後、別の件名でメール再送
- メール配信2: 無料トライアル案内メールを配信
- 条件分岐: スコアが50以上のプロスペクトを営業チームに通知
5. セグメンテーション設計でよくあるミスと回避策
(1) ダイナミックリストでの手動追加・削除の誤解
よくあるミス: 「ダイナミックリストで自動更新されているが、特定のVIP顧客を手動で追加したい」と考えてしまう。
誤解: ダイナミックリストは条件のみで管理されるため、手動での追加・削除はできません。
回避策:
- VIP顧客を手動で管理したい場合は、スタティックリストを使用
- または、ダイナミックリストの条件に「タグにVIPを含む」を追加し、VIP顧客には手動でタグ付け
(2) リスト更新タイミングとメール配信のズレ
よくあるミス: ダイナミックリストの条件を変更後、即座にメール配信を実行してしまう。
問題: リスト更新は即座に反映されない場合があり、意図したプロスペクトに配信されない可能性があります。
回避策:
- ダイナミックリストの条件変更後は、数時間〜1日程度の余裕を持ってメール配信スケジュールを設定
- 配信前にリストのプロスペクト数を確認し、期待する数と一致しているか確認
(3) タグの作りすぎによる管理の煩雑化
よくあるミス: キャンペーンごとに細かくタグを作成しすぎて、どのタグをどのキャンペーンで使ったか分からなくなる。
問題: タグが増えすぎると、後から振り返る際に混乱します。
回避策:
- タグ付けルールを事前に決める(例: YYYYMM_キャンペーン名)
- Excel等でタグ一覧を管理し、どのキャンペーンでどのタグを使ったか記録
- 定期的にタグ一覧を見直し、不要なタグを削除
(4) データ品質の低下とセグメント精度への影響
よくあるミス: プロスペクトの属性データ(業種、企業規模等)が不完全なまま、セグメント条件に使用してしまう。
問題: 属性データが不完全だと、セグメントの精度が低下し、適切なターゲティングができません。
回避策:
- フォーム項目を必須にして、重要な属性データを必ず取得
- データクレンジング(データの重複・誤りの修正)を定期的に実施
- Salesforce Leads/Contactsとの連携を活用し、営業チームが入力した属性データを同期
6. まとめ:効果的なターゲティングを実現するセグメント設計
Account Engagement(旧Pardot)のセグメンテーションリストは、B2Bリードナーチャリングの精度を高める重要な機能です。スタティックリストとダイナミックリストを適切に使い分け、購買ステージ・業種・行動データに基づいたセグメント設計を行うことで、メール開封率・リード獲得率の向上が期待できます。
本記事のまとめ:
- スタティックリストは手動管理、ダイナミックリストは条件で自動更新される
- スコアなど頻繁に変化する条件はダイナミック、問い合わせフォーム通過など変わらない条件はスタティックが適している
- リスト作成は「マーケティング」→「セグメンテーション」→「リスト」→「+リストを追加」から実行
- 購買ステージ・業種・行動データ別にセグメント化し、Engagement Studioで自動ナーチャリング
- リスト更新は即座に反映されない場合があり、メール配信タイミングに注意が必要
次のアクション:
- 既存のリストを見直し、スタティック/ダイナミックの使い分けが適切か確認する
- 購買ステージ別のセグメントを設計し、ダイナミックリストで自動化する
- Engagement Studioでナーチャリングシナリオを設計し、セグメント別のメール配信を自動化する
- メール開封率・クリック率を測定し、セグメント設計を継続的に改善する
- タグ付けルールを整備し、キャンペーン管理を効率化する
セグメンテーションリストは一度設計して終わりではなく、プロスペクトの行動データを分析しながら継続的に改善することが重要です。スコアリング、行動トラッキング、Engagement Studioと組み合わせることで、より精度の高いB2Bリードナーチャリングを実現できます。
※この記事は2025年12月時点の情報です。Account Engagementの機能・料金は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
