PardotとGoogle広告を使っているけれど、広告効果が見えにくい...
B2B企業のマーケティング担当者の多くが、Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)とGoogle広告(旧AdWords)を併用しているものの、両者のデータが分断され、広告ROIを正確に測定できない課題を抱えています。 「どの広告キャンペーンから商談が発生しているのか分からない」「広告費に対する売上が見えない」といった悩みは尽きません。
この記事では、PardotとGoogle広告を連携して広告効果を最大化する方法を、設定手順からROI測定まで徹底的に解説します。
この記事のポイント:
- PardotとGoogle広告を連携することで、Google AdsコストデータとSalesforce商談データを統合し、真のCPL(Cost Per Lead)・ROIを測定できる
- 設定は約3分で完了する3ステップ:①コネクター追加 ②Google Adsアカウント認証 ③Final URL Suffixの設定
- GCLID(Google Click ID)を使用してGoogle Ads クリックデータをSalesforceのリード・商談情報と紐付け、どの広告キャンペーンから商談が発生したかを可視化
- カスタムリダイレクトは非推奨(データ不一致が発生)、MCCアカウントは使用不可(各子アカウントごとに個別設定が必要)
- 2024年はMarketing Cloud Account Engagementへの名称変更、Parallel Tracking対応、ファーストパーティトラッキング対応が進展
1. PardotとGoogle広告の連携で実現できること
Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)とGoogle広告を連携することで、広告効果の可視化と改善サイクルが実現します。
(1) Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)とGoogle Ads(旧AdWords)の関係
Pardot(パルドット)とは:
- Salesforce社が提供するB2B向けマーケティングオートメーションツール
- 2024年時点で、正式名称は「Marketing Cloud Account Engagement」に変更されていますが、引き続き「Pardot」の通称も使用されています
- 主な機能: リード管理、メール配信、リードスコアリング、Webトラッキング、Salesforce CRM連携
Google Ads(旧AdWords)とは:
- Googleが提供する広告配信サービス
- 検索連動型広告(リスティング広告)、ディスプレイ広告、動画広告などを配信
- B2B企業のリード獲得において重要なチャネル
連携の必要性: 従来、Google AdsとPardotは別々に運用され、以下のような課題がありました:
- Google Ads: 広告クリック数・クリック単価は測定できるが、その後の商談化・受注まで追跡できない
- Pardot: リード獲得・育成は管理できるが、どの広告キャンペーンからのリードかが不明確
- 結果: 「どの広告キャンペーンが最も商談・受注に貢献しているか」が分からず、広告費の最適化ができない
(2) Google Ads コネクターでできること・できないこと
Google Ads コネクターは、PardotとGoogle Adsを連携する機能です。
できること:
広告パフォーマンスのレポート表示:
- Google Adsの広告クリック数、クリック単価、コンバージョン数などをPardot内で確認
- Pardot Reports > Connected Apps > Paid Searchから3種類の有料検索レポートを閲覧
CPL(Cost Per Lead)・ROI測定:
- Google AdsコストデータとSalesforce商談データを統合
- どの広告キャンペーンから何件のリード・商談・受注が発生したかを可視化
- リード1件あたりの獲得コスト(CPL)、広告費に対する売上(ROI)を算出
GCLID(Google Click ID)による正確なトラッキング:
- Google Adsの広告クリックを一意に識別するIDを使用
- PardotとSalesforceのリード・商談情報と紐付け、どの広告クリックから商談が発生したかを追跡
できないこと(よくある誤解):
Pardot内でのGoogle Ads管理:
- Google Ads コネクターは分析・レポート機能のみ提供
- Google Ads内での広告作成・編集・予算管理などはできません(Google Adsの管理画面で行う必要があります)
リアルタイムデータ同期:
- Google AdsとPardotのデータ同期には若干のタイムラグがある場合があります
(3) 真のCPL・ROI測定が可能になる仕組み(GCLID活用)
Google Ads コネクターの最大の価値は、「真のCPL・ROI測定」です。
従来の測定方法の問題点:
- Google Ads側では「広告クリック→コンバージョン(フォーム送信)」までしか追跡できない
- その後、リードが商談化したか、受注したかが分からない
- 結果: 「広告費1万円で10件のリードを獲得」は分かるが、「そのうち何件が商談化し、いくらの売上になったか」が不明
Google Ads コネクター連携後の測定:
- Google Adsの広告がクリックされると、GCLID(Google Click ID)が生成される
- ユーザーがランディングページでフォーム送信すると、GCLIDがPardotに送信される
- PardotがリードをSalesforce CRMに連携する際、GCLIDも一緒に送信
- Salesforce CRMで商談が発生・受注すると、そのGCLIDから「どの広告キャンペーンからの商談・受注か」が分かる
- Pardotレポートで、広告キャンペーンごとの「リード数・商談数・受注数・売上」を一覧表示
測定できる指標:
- CPL(Cost Per Lead): リード1件あたりの獲得コスト = 広告費 ÷ リード数
- CPA(Cost Per Acquisition): 商談1件あたりのコスト = 広告費 ÷ 商談数
- ROI(Return On Investment): 投資対効果 = (売上 - 広告費) ÷ 広告費 × 100%
これにより、「広告費10万円で50件のリードを獲得、そのうち5件が商談化、2件が受注して売上200万円」といった全体像が可視化されます。
2. Google広告コネクターの設定手順(3ステップ)
Google Ads コネクターの設定は約3分で完了します。
(1) ステップ1:コネクター追加(Pardot Plus以上で無料利用可能)
前提条件:
- Pardot Plus、Advanced、Premiumエディションのいずれかを契約していること(Google Ads コネクターは無料で利用可能)
- Pardotの管理者権限があること
- Google Ads アカウントがあること
手順:
- Pardotにログイン
- Pardot Settings(設定)> Connectors(コネクター)に移動
- 「+ Add Connector」(コネクター追加)をクリック
- 「Google Ads」を選択
(2) ステップ2:Google Adsアカウント認証
手順:
- Google Adsアカウントへのアクセスを許可
- 連携したいGoogle Ads アカウントを選択(複数アカウントがある場合は、連携したいアカウントを選ぶ)
- 「許可」をクリック
注意点:
- MCCアカウント(My Client Center、マネージャーアカウント)は使用不可です
- Google Adsのマネージャーアカウントで複数の子アカウントを管理している場合、各子アカウントごとに個別に設定が必要です
(3) ステップ3:Final URL Suffixの設定(アカウントレベル推奨)
Final URL Suffixは、Google Ads広告クリック時にURLに追加されるパラメータで、Pardotトラッキングに必要です。
手順(Google Ads管理画面):
- Google Adsにログイン
- Settings(設定)> Account Settings(アカウント設定)に移動
- Tracking(トラッキング)セクションの「Final URL suffix」欄に以下を入力:
pi_ad_id={creative}&pi_keyword_id={keyword}&pi_ad_position={adposition} - 「Save」(保存)をクリック
設定レベルの推奨:
- アカウントレベルでの設定を推奨します(全広告に自動適用される)
- キャンペーンレベルや広告グループレベルでも設定可能ですが、設定漏れのリスクがあります
(4) 設定完了までの所要時間(約3分)
上記の3ステップは、約3分で完了します。設定完了後、数時間〜24時間以内にPardotレポートにデータが表示され始めます。
3. レポート機能とROI測定方法
Google Ads コネクター連携後、Pardot内でどのようにレポートを確認し、ROIを測定するかを解説します。
(1) 3種類の有料検索レポート(Pardot Reports > Connected Apps > Paid Search)
Pardotでは、以下の3種類の有料検索レポートが利用可能です:
1. Paid Search Campaign Report(有料検索キャンペーンレポート):
- Google Adsのキャンペーンごとの広告パフォーマンス
- 表示項目: キャンペーン名、クリック数、クリック単価、リード数、商談数、受注数、売上
2. Paid Search Ad Report(有料検索広告レポート):
- 広告ごとの詳細なパフォーマンス
- 表示項目: 広告名、クリック数、クリック単価、リード数、CPL
3. Paid Search Keyword Report(有料検索キーワードレポート):
- キーワードごとのパフォーマンス
- 表示項目: キーワード、クリック数、クリック単価、リード数、商談数
レポートの閲覧方法:
- Pardotにログイン
- Pardot Reports > Connected Apps > Paid Searchに移動
- 見たいレポートを選択
- 期間フィルター(過去30日、過去90日など)を設定
(2) Google AdsコストデータとSalesforce商談データの統合
Google Ads コネクターにより、Google Adsのコストデータ(広告費、クリック単価)とSalesforce CRMの商談データ(商談金額、受注確率、クローズ日)が統合されます。
データ統合の流れ:
- Google Adsで広告が配信され、ユーザーがクリック → Google AdsコストデータがPardotに送信
- ユーザーがランディングページでフォーム送信 → PardotがリードをSalesforce CRMに連携
- 営業担当者がSalesforce CRMで商談を作成・更新 → 商談データがPardotに反映
- Pardotレポートで、広告キャンペーンごとの「広告費・リード数・商談数・受注数・売上」を一覧表示
統合データの活用例:
- キャンペーンAは広告費10万円でリード50件獲得、そのうち商談5件、受注2件で売上200万円
- キャンペーンBは広告費10万円でリード100件獲得したが、商談1件、受注0件
- 結論: キャンペーンAの方が商談化率・受注率が高く、ROIが高い
(3) CPL(Cost Per Lead)とROIの可視化
Pardotレポートでは、以下の指標が自動計算されます:
CPL(Cost Per Lead):
CPL = 広告費 ÷ リード数
例: 広告費10万円でリード50件獲得 → CPL = 10万円 ÷ 50件 = 2,000円/件
CPA(Cost Per Acquisition):
CPA = 広告費 ÷ 商談数
例: 広告費10万円で商談5件獲得 → CPA = 10万円 ÷ 5件 = 2万円/件
ROI(Return On Investment):
ROI = (売上 - 広告費) ÷ 広告費 × 100%
例: 広告費10万円で売上200万円 → ROI = (200万円 - 10万円) ÷ 10万円 × 100% = 1,900%
これらの指標をキャンペーンごと、広告ごと、キーワードごとに比較することで、どの広告施策が最も効果的かを判断できます。
4. 連携時の注意点とトラブルシューティング
Google Ads コネクター連携時によくある誤解や問題点を解説します。
(1) カスタムリダイレクトは非推奨(データ不一致が発生)
カスタムリダイレクトとは: Pardotの機能で、外部リンクをPardot経由でリダイレクトし、クリック数をトラッキングする機能です。
なぜ非推奨なのか: 2024年1月に複数の専門家が指摘しているように、Google Ads トラッキングにカスタムリダイレクトを使用すると、以下の問題が発生します:
- Marketing Cloud Account Engagement(Pardot)とGoogle Adsのクリック数・コンバージョン数が一致しない
- データの信頼性が低下し、正確なROI測定ができない
推奨される方法:
- Final URL Suffix方式を使用する(上記ステップ3で解説)
- カスタムリダイレクトは使用しない
(2) MCCアカウントは使用不可(各子アカウントごとに個別設定が必要)
MCCアカウント(My Client Center)とは: Google Adsのマネージャーアカウントで、複数の広告アカウントを一括管理する機能です。
Pardot連携での制約:
- MCCアカウントはPardot連携に対応していません
- 各子アカウントごとに個別にGoogle Ads コネクター設定が必要です
対処法: 複数のGoogle Adsアカウントを管理している場合は、各アカウントごとに:
- Pardotでコネクター追加
- Google Adsアカウント認証
- Final URL Suffix設定 を繰り返す必要があります。
(3) Pardot内でGoogle Ads管理はできない(よくある誤解)
よくある誤解: 「Google Ads コネクターを設定すれば、Pardot内でGoogle Ads広告を作成・編集できる」
実際: Google Ads コネクターは分析・レポート機能のみを提供します。広告の作成・編集・予算管理などは、引き続きGoogle Adsの管理画面で行う必要があります。
(4) データ同期のタイムラグと対処法
タイムラグが発生する理由: Google AdsからPardot、PardotからSalesforce CRMへのデータ同期には、数時間〜24時間のタイムラグが発生する場合があります。
対処法:
- リアルタイムデータを期待せず、日次〜週次でのレポート確認を推奨
- 重要な意思決定(広告予算配分など)は、数日分のデータを見てから行う
5. 2024年最新トレンドとベストプラクティス
2024年時点での最新トレンドとベストプラクティスを紹介します。
(1) Marketing Cloud Account Engagementへの名称変更
2024年時点で、Pardotは正式に「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更されました。
変更の背景:
- Salesforce Marketing Cloudファミリーの一部として統合
- 他のMarketing Cloud製品(Marketing Cloud Engagement、Marketing Cloud Personalisation等)との連携強化
実務への影響:
- 機能は変わらず、引き続き「Pardot」の通称も使用されています
- Salesforce公式ドキュメントでは「Marketing Cloud Account Engagement」と表記されていますが、設定画面やレポートでは「Pardot」表記も残っています
(2) Parallel Tracking対応で高速化と正確性を両立
Parallel Tracking(並列トラッキング)とは: Google Adsの高速トラッキング方式で、ページ読み込みとトラッキングを並列処理します。
従来の方式(シリアル):
- 広告クリック
- Google Adsトラッキングサーバーにアクセス(数百ミリ秒の遅延)
- ランディングページが表示される
Parallel Tracking方式:
- 広告クリック
- ランディングページが即座に表示される(同時にGoogle Adsトラッキングサーバーにバックグラウンドでアクセス)
メリット:
- ページ読み込み速度が向上(ユーザー体験改善、直帰率低下)
- トラッキングの正確性も維持
PardotはParallel Trackingに対応済みで、Final URL Suffix設定により正確なトラッキングが可能です。
(3) サードパーティCookie廃止対応(ファーストパーティトラッキング)
サードパーティCookie廃止の影響: Googleは2024年末以降にChromeでサードパーティCookieを廃止する予定でしたが、延期されています。ただし、将来的には廃止される見込みです。
Pardotの対応: Pardotはファーストパーティトラッキング(自社ドメインを使用したトラッキング)に対応済みです。
ファーストパーティトラッキングの仕組み:
- Pardotトラッキングコードを自社ドメイン(例: track.example.com)に設置
- サードパーティCookie規制の影響を受けず、トラッキングが継続可能
(4) BigQueryとの連携によるMA・CRM・広告データ統合分析
2024年のトレンド: BigQuery(Googleのクラウドデータウェアハウス)との自動連携により、MA・CRM・広告データを統合分析できる環境が整備されつつあります。
統合分析の例:
- Pardotのリードデータ + Salesforce CRMの商談データ + Google Adsの広告データ → BigQueryに統合
- BIツール(Looker、Tableau等)で高度な分析ダッシュボードを構築
- 例: 「業種別・役職別のCPL・ROI」「広告キャンペーンごとのLTV(顧客生涯価値)」などを分析
6. まとめ:広告効果を最大化するポイント
Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)とGoogle広告を連携することで、広告効果の可視化とROI最大化が実現します。
成功のポイント:
- Google Ads コネクター設定は約3分で完了(①コネクター追加 ②Google Adsアカウント認証 ③Final URL Suffix設定)
- GCLID(Google Click ID)により、Google AdsクリックからSalesforce商談・受注までを追跡し、真のCPL・ROIを測定
- カスタムリダイレクトは非推奨(データ不一致が発生)、Final URL Suffix方式を使用
- MCCアカウントは使用不可、各子アカウントごとに個別設定が必要
- Pardotレポートで3種類の有料検索レポートを活用し、キャンペーンごと・広告ごと・キーワードごとのROIを比較
次のアクション:
- Pardot Plus以上のエディションを契約していることを確認
- Google Ads コネクターを3ステップで設定(約3分)
- Final URL SuffixをGoogle Adsのアカウントレベルで設定
- 数日〜1週間後にPardotレポートでデータを確認
- CPL・ROIが高いキャンペーンに広告予算を集中投下
効果的なPardot・Google広告連携で、広告ROIを最大化し、B2Bマーケティングの成果を向上させましょう。
※この記事は2024年時点の情報です。Google Ads コネクターの機能は更新される可能性があるため、最新情報はSalesforce公式ドキュメントでご確認ください。
