新入社員がすぐに辞めてしまう...オンボーディング設計が課題
新入社員や中途入社者の早期離職に悩む企業は少なくありません。特にリモートワーク環境では「組織になじめない」「何を相談していいか分からない」といった課題が顕在化しています。このような課題を解決するために注目されるのが「オンボーディング支援」です。
この記事では、オンボーディング支援の基本概念から、OJTとの違い、プログラム設計のフレームワーク、大手企業の実践事例まで、カスタマーサクセス・CS担当者やHR担当者が押さえておくべき情報を解説します。
この記事のポイント:
- オンボーディングは新入社員を組織になじませ、早期離職を防止する施策
- OJTは業務指導に特化、オンボーディングは組織適応全般を支援(範囲が広い)
- 一般的には3ヶ月程度のプログラムで、OJT・OFFJT・1on1・メンター制度を組み合わせる
- サイボウズやメルカリなど大手企業が体系的なオンボーディングプログラムを導入
- HRテクノロジー(e-learning、動画研修)を活用し、人事担当者の負荷を軽減
1. なぜ今オンボーディング支援が重要なのか
オンボーディングは、新入社員や中途入社者を企業にとって有用な人材に育成する施策やプロセスです。近年、以下のような理由でオンボーディング支援の重要性が高まっています。
注目される背景:
- 従業員の定着に課題を感じる企業が増加している
- リモートワーク環境では新入社員の適応が難しくなり、孤立感や不安が生じやすい
- 早期離職による採用コストの損失が大きく、定着率向上が経営課題となっている
- 即戦力としての活躍を早期に実現するための体系的な支援が求められている
(参考: リクルートマネジメントソリューションズ「オンボーディングとは?目的・導入方法・実施のポイント・事例」)
特に2025年2-3月には複数の企業がオンボーディング研修プログラムを実施しており、SmartHRやサイボウズ、メルカリなど大手企業が体系的なプログラムを導入しています。
(参考: 日本の人事部「【2025年版】 オン・ボーディング支援サービスの種類と比較ポイント」)
2. オンボーディング支援の基礎知識
(1) オンボーディングの定義と目的
オンボーディングは、新入社員や中途入社者を組織になじませ、有用な人材に育成するための施策全般を指します。
オンボーディングの目的:
- 早期離職の防止と定着率の向上
- 組織文化・業務プロセスへの理解促進
- 即戦力としての早期活躍の実現
- 新入社員の不安軽減とモチベーション向上
オンボーディングに含まれる施策:
- OJT(業務指導)
- OFFJT(座学研修)
- 1on1ミーティング(上司との定期面談)
- メンター制度(先輩社員による継続サポート)
- ランチ・歓迎会などの交流機会
(参考: JMAM「オンボーディングとは?事例5選|実施のポイントやメリットも解説」)
(2) OJTとの違い(範囲・役割)
オンボーディングとOJT(On-the-Job Training)は、しばしば混同されますが、以下のような違いがあります。
OJT:
- 業務に関する指導を行い、新入社員を即戦力として働けるようにすること
- 実務を通じたスキル習得に特化
オンボーディング:
- 組織になじませることを目的とした施策全般
- OJTはオンボーディングプログラムの一部
- 業務スキルだけでなく、組織文化・価値観の理解、人間関係構築も含む
取り組み範囲の違い:
- オンボーディング > OJT(オンボーディングの方が範囲が広い)
(参考: リクルートマネジメントソリューションズ「オンボーディングとは?目的・導入方法・実施のポイント・事例」)
3. オンボーディングプログラムの設計
(1) 実施期間と段階別の施策
オンボーディングプログラムは、一般的に3ヶ月程度の期間で段階的に実施されます。
1ヶ月目: 組織理解・基礎研修
- 会社の理念・ビジョン・組織文化の理解
- 基本的な業務フロー・システムの習得
- 部署・メンバーとの顔合わせ
2ヶ月目: 業務実践・スキル習得
- OJTによる実務指導
- 担当業務の範囲を徐々に拡大
- 1on1ミーティングで進捗確認・不安の解消
3ヶ月目: 自走への移行
- 一人で業務を遂行できる状態を目指す
- フィードバックを受けながら改善
- 次の目標設定
(参考: HRプロ「サイボウズやメルカリなど気になる『オンボーディング』の企業事例、施策を一挙紹介」)
(2) OJT・OFFJT・1on1・メンター制度の組み合わせ
効果的なオンボーディングでは、複数の施策を組み合わせることが重要です。
OJT(業務指導):
- 実務を通じたスキル習得
- 現場の先輩社員が直接指導
OFFJT(座学研修):
- 製品理解・営業研修・組織理解などの体系的な学習
- e-learningや動画研修で効率化
1on1ミーティング:
- 上司と部下が1対1で定期的に面談
- 進捗確認・不安の解消・フィードバック
メンター制度:
- 先輩社員が新入社員の相談役となり、継続的にサポート
- 業務以外の悩みも相談できる関係構築
(参考: JMAM「オンボーディングとは?事例5選|実施のポイントやメリットも解説」)
(3) HRテクノロジーの活用
HRテクノロジーを活用することで、マネジメント層や人事担当者の負荷を軽減できます。
HRテクノロジーの種類:
- e-learning: オンラインで研修を受講できるシステム
- 動画研修: 業務プロセスを動画で学習
- コミュニケーションツール: SlackやTeamsなどで質問・相談を円滑化
- 総合型管理システム: 進捗管理・フィードバック記録を一元管理
(参考: 日本の人事部「【2025年版】 オン・ボーディング支援サービスの種類と比較ポイント」)
4. 成功のポイントと企業事例
(1) 大手企業の事例(サイボウズ・メルカリ等)
大手企業では、体系的なオンボーディングプログラムが構築されています。
サイボウズの事例:
- 3ヶ月程度のプログラムを実施
- 製品理解・組織理解・営業研修を段階的に実施
- 1on1ミーティングとメンター制度で継続的にサポート
メルカリの事例:
- UI/UXデザイナーなど専門職に対しても、入社3ヶ月で自走できるプログラムを構築
- 業務スキルだけでなく、組織文化の理解も重視
SmartHRの事例:
- 企業規模別のオンボーディング実践ガイドを公開
- 小規模企業から大企業まで、規模に応じたプログラムを提案
(参考: HRプロ「サイボウズやメルカリなど気になる『オンボーディング』の企業事例、施策を一挙紹介」、SmartHR Mag.「SmartHRの事例から学ぶ企業規模別『オンボーディング』実践ガイド」)
(2) 新卒・中途採用別の設計ポイント
新卒と中途採用では、オンボーディングの内容を調整する必要があります。
新卒の場合:
- 社会人としての基礎(ビジネスマナー・報告連絡相談)から開始
- 業務スキルの習得に時間をかける
- 同期との交流機会を設け、横のつながりを作る
中途採用の場合:
- 組織文化・業務プロセスの理解に重点を置く
- 前職との違いを明確にし、早期適応を支援
- 即戦力として期待される部分と、サポートが必要な部分を明確化
(参考: 人事院「オンボーディング支援」)
5. 導入時の注意点と失敗を防ぐポイント
(1) リモートワーク環境での課題と対策
リモートワーク環境では、新入社員の孤立感や不安が生じやすいため、以下の対策が有効です。
課題:
- 対面でのコミュニケーション機会が少なく、質問しづらい
- 組織文化や人間関係を理解する機会が限られる
- 進捗が見えにくく、フィードバックが遅れる
対策:
- e-learning・動画研修を活用し、自分のペースで学習できる環境を整備
- オンライン1on1を定期的に実施(週1回程度)
- Slackなどのコミュニケーションツールで気軽に質問できる雰囲気を作る
- 定期的なオンライン交流会(ランチ会・雑談タイム)を設ける
(参考: Asana「オンボーディングとは?プロセスを体系化する方法 [2025]」)
(2) 現場負荷の軽減策
オンボーディングは現場のマネジメント層や先輩社員に負荷がかかるため、以下の対策が重要です。
負荷軽減策:
- HRテクノロジーで研修の一部を自動化(e-learning、動画研修)
- メンター制度で役割を分散し、特定の社員に負担が集中しないようにする
- オンボーディング用のマニュアル・FAQ・動画を整備し、繰り返し使える資産にする
- 人事部門が進捗を一元管理し、現場への負荷を可視化・調整する
(参考: 日本の人事部「【2025年版】 オン・ボーディング支援サービスの種類と比較ポイント」)
6. まとめ:自社に合ったオンボーディング設計
オンボーディング支援は、新入社員や中途入社者の早期離職を防止し、定着率を向上させるための重要な施策です。OJT・OFFJT・1on1・メンター制度を組み合わせ、3ヶ月程度のプログラムで段階的に支援することが一般的です。
次のアクション:
- 現在の離職率・定着率を分析し、課題を特定する
- 新卒・中途採用別にオンボーディングプログラムを設計する
- HRテクノロジー(e-learning、動画研修)の導入を検討する
- 大手企業の事例を参考に、自社に合った施策を選定する
※オンボーディングの効果は企業規模・業種により異なります。事例は2024-2025年時点の情報です。最新の手法やツールは各社公式サイトをご確認ください。
自社に合ったオンボーディング設計で、早期離職防止と新入社員の早期活躍を実現しましょう。
