CRMを導入したいけれど、開発コストや技術スキルがネック...
顧客管理を効率化したいと考えているB2B企業の多くが、CRM導入に悩んでいます。「Salesforceは高額すぎる」「社内にエンジニアがいない」「自社の業務フローに合うツールがない」といった課題を抱える担当者は少なくありません。
近年、プログラミング不要でCRMを構築できる「NoCode CRM」が注目されています。kintone、Zoho CRM、HubSpot CRM、Airtableなど、多様なツールが登場し、中小企業でも手軽に顧客管理システムを導入できるようになりました。
この記事では、NoCode CRMの基礎知識から主要ツールの比較、導入手順まで、B2B企業の実務担当者向けに詳しく解説します。
この記事のポイント:
- NoCode CRMはプログラミング不要で顧客管理システムを構築できる手法
- 主要ツールはkintone(国内25,000社超導入)、Zoho CRM、HubSpot CRM、Airtableなど
- 導入コストは無料〜月額数千円/ユーザーが相場
- 小規模企業ほどNoCode CRMのメリットが大きい
- 大規模データや複雑なワークフローには限界があるため、事前に要件を整理することが重要
1. NoCode CRMが注目される背景とは
NoCode CRMが注目される背景には、企業のデジタル化ニーズと技術的ハードルのギャップがあります。
従来、CRMを導入するには大きく2つの選択肢がありました。1つはSalesforceやMicrosoft Dynamicsなどの大規模CRMを導入する方法、もう1つは自社開発でCRMを構築する方法です。しかし、いずれも初期費用が数百万円〜数千万円、導入期間も数ヶ月〜1年以上かかるケースが一般的でした。
2024年以降、ノーコード/ローコードソリューションへの移行が加速しています。市場調査によると、企業が市場変化に迅速に対応し競争優位性を獲得するための手段として、NoCodeツールの採用が増加傾向にあります。特にB2Bスタートアップや中小企業において、「ビジネスに合わせてツールを作る」という発想が広がっています。
2. NoCode CRMの基礎知識とメリット・デメリット
(1) NoCodeとLowCodeの違い
NoCodeとLowCodeは混同されがちですが、明確な違いがあります。
NoCode(ノーコード):
- プログラミング知識が完全に不要
- ドラッグ&ドロップやポイント&クリックで設定
- 既製テンプレートを活用した視覚的インターフェース
- 操作が簡単だが、カスタマイズの自由度に制限あり
LowCode(ローコード):
- 最小限のコード記述で開発可能
- NoCodeより柔軟なカスタマイズが可能
- 一部の技術スキルが必要(変数、条件分岐の理解など)
- 複雑な業務要件にも対応しやすい
自社の技術リソースと業務要件の複雑さに応じて、どちらを選ぶかを検討することが重要です。
(2) NoCode CRMのメリット:コスト削減・迅速な導入
NoCode CRMの主なメリットは以下の通りです。
コスト面:
- 初期費用0円〜(従来型CRMの10分の1以下)
- 月額料金も1ユーザーあたり数千円が相場
- エンジニア人件費が不要
導入スピード:
- 即日〜数週間で利用開始可能
- 従来型CRMの導入期間(数ヶ月〜1年)と比較して大幅に短縮
- インストールやプログラミング設定が不要
運用面:
- 現場担当者が自ら設定変更可能
- 業務フローの変更に柔軟に対応
- IT部門への依頼待ち時間を削減
(3) NoCode CRMのデメリット:拡張性・複雑な業務への対応
一方で、以下のような限界があることも理解しておく必要があります。
機能面の制限:
- 複雑なワークフロー(多段階の承認フローなど)への対応が難しい
- 大規模データ(数十万件以上)の処理に制限がある場合がある
- 外部システムとの連携に制約があるケースも
セキュリティ・ガバナンス:
- 高度なセキュリティ要件(金融機関レベル)には対応しにくい
- データの保存先・管理体制が限定される場合がある
拡張性:
- 事業規模の拡大に伴い、機能が不足する可能性
- ローコードやフルコードへの移行が必要になるケースも
3. 主要NoCode CRMツール8選の比較
(1) kintone:国内導入25,000社超の実績
サイボウズが提供するkintoneは、国内で最も普及しているNoCode業務アプリプラットフォームの1つです。
特徴:
- 国内導入企業数25,000社超
- 中小企業・支店展開している業種に強い
- 日本語サポートが充実
- 自社専用の顧客管理アプリを柔軟に作成可能
料金(2024年時点):
- スタンダードコース:月額1,650円/ユーザー
- ライトコース:月額858円/ユーザー
向いている企業:
- 日本語サポートを重視する企業
- 業務アプリを複数構築したい企業
- 社内の非エンジニアが設定・運用を担当する企業
(2) Zoho CRM:機能・価格バランス型
Zoho CRMは、機能と価格のバランスに優れたCRMとして評価されています。
特徴:
- ドラッグ&ドロップでフォーム作成・ワークフロー設定が可能
- マーケティングオートメーション機能も統合
- 多言語・多通貨対応
- 豊富な外部連携(Google Workspace、Microsoft 365など)
料金(2024年時点):
- 無料プラン:3ユーザーまで
- スタンダード:月額1,680円/ユーザー
- プロフェッショナル:月額2,760円/ユーザー
向いている企業:
- コストパフォーマンスを重視する企業
- グローバル展開を視野に入れている企業
- マーケティング機能も一元管理したい企業
(3) HubSpot CRM:無料から始められる高機能CRM
HubSpot CRMは、無料で使える高機能CRMとして世界的に利用されています。
特徴:
- 無料プランでも基本的なCRM機能を利用可能
- マーケティング・営業・カスタマーサービスを統合
- 直感的なUI/UX
- 豊富な教育コンテンツ(HubSpot Academy)
料金(2024年時点):
- 無料プラン:ユーザー数無制限
- Starter:月額1,800円〜
- Professional:月額96,000円〜
向いている企業:
- まず無料で試してから検討したい企業
- インバウンドマーケティングに注力している企業
- 教育コンテンツを活用して自社で学習したい企業
(4) Airtable・Glide・Bubble:カスタムCRM構築向け
より柔軟なカスタマイズを求める場合は、以下のツールが選択肢となります。
Airtable:
- スプレッドシートとデータベースを組み合わせたプラットフォーム
- 豊富なテンプレートからCRMを構築可能
- API連携が充実
- 無料プラン:1,200レコードまで
Glide:
- スプレッドシートからモバイルアプリを構築可能
- 営業チームのモバイル利用に適している
- 簡易的なCRMアプリを素早く作成可能
Bubble:
- Webアプリケーションをノーコードで構築
- 見込み顧客管理とプロジェクト進捗の一元管理が可能
- 最もカスタマイズ性が高いが、学習コストも高め
(5) 料金プラン比較表
以下は主要ツールの料金比較です(2024年時点)。
| ツール名 | 無料プラン | 有料プラン(最安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| kintone | なし | 月額858円/ユーザー | 国内実績No.1 |
| Zoho CRM | 3ユーザーまで | 月額1,680円/ユーザー | 機能・価格バランス |
| HubSpot CRM | ユーザー無制限 | 月額1,800円〜 | 無料でも高機能 |
| Airtable | 1,200レコードまで | 月額$20/ユーザー | カスタマイズ性 |
| Adalo | 機能制限あり | 月額$36〜 | モバイルアプリ |
※料金は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
4. NoCode CRMの構築手順と導入ステップ
(1) 現状の顧客管理プロセスの評価
NoCode CRM導入の第一歩は、現状の顧客管理プロセスを評価することです。
評価すべきポイント:
- 現在どのように顧客情報を管理しているか(Excel、紙、既存ツール)
- どの業務プロセスに課題があるか(入力の手間、情報の分散など)
- 改善すべき優先順位は何か
具体的な確認項目:
- 顧客データの件数(数百件か、数万件か)
- 管理したい項目(基本情報、商談履歴、対応履歴など)
- 利用するチームメンバーの人数とITスキル
- 連携が必要な外部システム(メール、カレンダー、会計ソフトなど)
(2) 必要機能の洗い出しとツール選定
評価結果をもとに、必要な機能を洗い出してツールを選定します。
基本機能(どのツールにも共通):
- 顧客情報の登録・編集・検索
- 商談・案件管理
- タスク・ToDo管理
- レポート・ダッシュボード
追加機能(ツールによって差がある):
- メール配信・トラッキング
- ワークフロー自動化
- 外部ツール連携(Slack、Google Workspaceなど)
- モバイルアプリ対応
選定時のチェックポイント:
- 使いやすさ(デモやトライアルで確認)
- カスタマイズオプション
- 統合機能(既存ツールとの連携)
- サポート体制(日本語対応の有無)
(3) データ移行とテスト運用
ツール選定後、データ移行とテスト運用を行います。
データ移行の手順:
- 既存データの棚卸し(不要データの削除、重複排除)
- CSVファイルへのエクスポート
- 新CRMへのインポート(多くのツールでCSVインポート対応)
- データの整合性確認
テスト運用のポイント:
- まず少人数(2〜3名)で1〜2週間試用
- 業務フローに沿った操作を一通り実施
- 問題点・改善点を洗い出し
- 全社展開前に設定を調整
5. 導入時の注意点とNoCode CRMの限界
(1) 大規模データ・複雑なワークフローへの対応
NoCode CRMには、以下のような限界があることを理解しておく必要があります。
データ量の制限:
- 無料プランは数百〜数千レコードに制限されることが多い
- 数十万件以上のデータを扱う場合、パフォーマンスが低下する可能性
- 大規模データにはエンタープライズCRM(Salesforceなど)を検討
ワークフローの複雑さ:
- 多段階の承認フロー
- 複雑な条件分岐
- リアルタイムの大量データ処理
これらの要件がある場合は、ローコードツールやフルコードでの開発を検討すべきです。
(2) 無料プランと有料プランの機能差
無料プランは機能制限があるため、導入前に確認が必要です。
よくある制限:
- ユーザー数の上限
- レコード数の上限
- 外部連携機能の制限
- サポートレベルの制限
- ストレージ容量の制限
確認すべきポイント:
- 自社の利用想定で無料プランの制限に引っかからないか
- 有料プランへの移行タイミングと追加コスト
- 長期的なコストシミュレーション
(3) オープンソースとSaaS型の選択基準
NoCode CRMには、SaaS型とオープンソース型があります。
SaaS型(kintone、Zoho CRM、HubSpotなど):
- メリット:すぐに利用開始可能、サポートが充実、アップデート自動適用
- デメリット:月額費用が発生、カスタマイズに限界、データが外部サーバーに保存
オープンソース型(Appsmith、Budibaseなど):
- メリット:ライセンス費用が無料、カスタマイズの自由度が高い、自社サーバーにデータ保存可能
- デメリット:技術サポートが限定的、自社での運用・保守が必要、セットアップに技術スキルが必要
自社の技術リソースとセキュリティ要件に応じて選択することが重要です。
6. まとめ:企業規模・目的別おすすめツール選定
NoCode CRMは、プログラミング不要で顧客管理システムを構築できる手法として、特にB2Bスタートアップや中小企業にとって有効な選択肢です。
企業規模別のおすすめ:
小規模企業(従業員10人未満):
- HubSpot CRM(無料プラン):まず無料で始めたい場合
- Zoho CRM(無料プラン):3ユーザーまでなら無料
中小企業(従業員10〜100人):
- kintone:日本語サポートを重視する場合
- Zoho CRM(有料プラン):コストパフォーマンス重視
成長企業(従業員100人以上):
- HubSpot CRM(Professional以上):マーケティング機能も統合したい場合
- 将来的なSalesforce等への移行も視野に
次のアクション:
- 自社の顧客管理プロセスを評価する
- 3〜5社の無料トライアルを試す
- 実際の業務フローで操作性を確認する
- 導入コストと期待効果を試算する
※この記事は2024年12月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
