MAツールを導入したものの、使いこなせていないと感じていませんか?
B2Bマーケティング担当者の中には、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入したものの、「機能が多すぎて何から始めればいいか分からない」「期待した成果が出ない」という悩みを抱える方が少なくありません。特に、高機能なMAツールであるマルケト(Adobe Marketo Engage)は、使いこなせば大きな成果が期待できる一方で、学習コストが高いという声もあります。
この記事では、マルケトを使ったマーケティングオートメーションの実践方法を、具体的なワークフロー(リード獲得→スコアリング→ナーチャリング→営業連携)に沿って解説します。導入効果・成功事例・注意点も網羅的にお伝えします。
この記事のポイント:
- マルケトは世界6,000社以上が導入するMAツールで、Gartner Magic Quadrant 2024でリーダーに選出されている
- リード獲得(フォーム・LP)→スコアリング→ナーチャリング→営業連携(Salesforce等)→効果測定の5ステップで実践可能
- 成功事例では受注率5倍、商談数8倍、契約数前年比1120%などの成果が報告されている
- UIや設定が複雑で学習コストが高いため、専任担当者の配置とコミュニティ活用が推奨される
- 導入費用は1万件のリード数で年間約200万円が目安。事前にROI試算が重要
1. マルケト(Marketo Engage)によるMAが注目される理由
マルケト(Adobe Marketo Engage)は、マーケティングオートメーション市場で代表的なツールの一つです。
(1) 国内MA市場の成長(上場企業導入率14.6%、2018年比2倍)
国内のMA市場は急速に成長しています。Nexalの調査によると、2023年時点で上場企業のMA導入率は14.6%で、2018年と比較して約2倍に増加しました。この成長の背景には、デジタルマーケティングの重要性が高まり、見込み客の育成(リードナーチャリング)を効率化する必要性が認識されていることがあります。
※出典: Nexal「2023 上期 国内63万社 MAツール実装調査」
(2) Adobe Marketo EngageのMA市場ポジション(Gartnerリーダー選出)
マルケトは、Gartner Magic Quadrant for B2B Marketing Automation Platforms 2024において、Adobeが リーダー(Leaders) に選出されています。この評価は、製品の実行能力とビジョンの完成度の両面で高く評価されていることを示しています。
マルケトは世界6,000社以上、国内でも多数の企業に導入されており、B2B・B2C両方に対応可能な汎用性の高いMAツールです。
※出典: Gartner「Magic Quadrant for B2B Marketing Automation Platforms 2024」
2. マルケトでできること:主要機能の全体像
マルケトは、マーケティング活動を可視化・自動化するための豊富な機能を提供します。
(1) メールマーケティング
マルケトの中核機能の一つが、メールマーケティングです。以下の機能を備えています:
- セグメント配信: 顧客の属性や行動に応じて配信リストを自動生成
- A/Bテスト: 件名・本文・配信時間などを複数パターンで比較
- パーソナライゼーション: 顧客ごとに最適化されたメール内容を自動生成
- 配信タイミング最適化: AIがメール開封率を最大化する配信時間を予測
これらの機能により、手動では困難な大規模かつきめ細かいメールマーケティングが実現できます。
(2) リードスコアリングとナーチャリング
リードスコアリング は、見込み客(リード)の関心度や購買意欲を数値化する機能です。以下の行動をスコアとして記録できます:
- Webサイト訪問(ページ閲覧、資料ダウンロード等)
- メール開封・クリック
- セミナー参加
- フォーム送信
スコアが一定値を超えたリードを「ホットリード」として営業部門に引き渡すことで、商談化率を向上させます。
リードナーチャリング は、見込み客を育成し、購買意欲を高める活動です。マルケトでは、リードの行動や属性に応じて自動的にメールを配信し、段階的に情報提供を行います。
(3) ソーシャルメディア管理とデジタル広告連携
マルケトは、メール以外のチャネルでもマーケティング活動をサポートします:
- ソーシャルメディア管理: Facebook、Twitter、LinkedInなどのSNS投稿を一元管理
- デジタル広告連携: Google広告、Facebook広告の配信・効果測定
- Webパーソナライゼーション: 訪問者の属性・行動に応じてWebコンテンツを最適化
これらを横断的に管理することで、クロスチャネルマーケティングを実現できます。
(4) 外部ツール連携(Salesforce、Zoom、Slack等700以上)
マルケトは700以上の外部ツールとシームレスに連携可能です:
- CRM/SFA: Salesforce、Microsoft Dynamics CRM
- ウェビナー: Zoom、Webex
- コミュニケーション: Slack、Chatwork
- 分析: Google Analytics、Tableau
特にSalesforceとの連携は強力で、マーケティング部門と営業部門のスムーズな商談引き継ぎを実現します。
※出典: Adobe「Marketo Engage マーケティングオートメーション」
3. マルケトを使ったMA実践ワークフロー
マルケトを活用したマーケティングオートメーションの実践ワークフローを、5ステップで解説します。
(1) リード獲得:フォームとランディングページ
目的: Webサイト訪問者を見込み客として獲得
具体的な施策:
- マルケトのフォーム作成機能で資料ダウンロードフォームを作成
- ランディングページ(LP)を作成し、SEO対策やWeb広告で集客
- フォーム送信時に自動でリードとして登録
設定例:
- フォーム項目: 会社名、氏名、メールアドレス、役職、興味のあるトピック
- LP: 「○○ホワイトペーパー無料ダウンロード」
(2) スコアリング:購買意欲の数値化
目的: リードの関心度を数値化し、優先順位をつける
具体的な施策:
- 行動スコア: 資料ダウンロード(+10点)、Webページ閲覧(+5点)、メール開封(+3点)
- 属性スコア: 企業規模(従業員500名以上は+20点)、役職(決裁権者は+15点)
- 合計スコアが50点以上を「ホットリード」と定義
設定例:
- スコアリングルール: Webページ閲覧回数 × 5点 + メール開封回数 × 3点
- ホットリード基準: 合計50点以上かつ直近30日以内の活動あり
(3) ナーチャリング:パーソナライズドメール配信
目的: 見込み客を育成し、購買意欲を高める
具体的な施策:
- スコアに応じて自動的にメールを配信
- リードの興味に応じてコンテンツを出し分け(例: 興味トピックが「MA」なら「MAガイド」を配信)
- ステップメール: 資料ダウンロード後、3日後→7日後→14日後に段階的に情報提供
設定例:
- ナーチャリングプログラム: 「MAツール導入検討者向け育成」
- メールシーケンス: Day 0(ダウンロード直後)→ Day 3(活用事例紹介)→ Day 7(比較表提供)→ Day 14(無料相談案内)
(4) 営業連携:Salesforce連携による商談化
目的: ホットリードを営業部門に引き渡し、商談化
具体的な施策:
- スコアが50点以上のホットリードを自動的にSalesforceに連携
- 営業担当者に通知メール送信
- 営業活動履歴をマルケトとSalesforceで双方向同期
設定例:
- 連携ルール: スコア50点以上 → Salesforceリード作成 → 担当営業にSlack通知
- 営業フォローアップ: 3営業日以内の初回アプローチを推奨
(5) 効果測定:ROI分析とレポーティング
目的: マーケティング活動の効果を測定し、改善
具体的な施策:
- キャンペーンごとの効果測定(リード獲得数、商談化率、受注率)
- ROI計算: (売上増加額 − 導入費用)÷ 導入費用 × 100
- ダッシュボードで可視化し、経営層に報告
設定例:
- KPI: リード獲得数(月間100件)、商談化率(10%)、受注率(20%)
- ROI: 投資額100万円 → 売上増加200万円 → ROI 100%
4. 導入効果と成功事例
マルケトを導入した企業では、具体的な成果が報告されています。
(1) 成功事例:受注率5倍、商談数8倍、契約数前年比1120%等
MA導入企業の成功事例では、以下のような成果が報告されています:
- 受注率5倍: リードスコアリングにより優先度の高いリードに営業リソースを集中
- 商談数8倍: ナーチャリングにより見込み客の育成期間が短縮
- 契約数前年比1120%: クロスチャネルマーケティングで接点を増やし、成約率向上
※出典: BowNow「マーケティングオートメーションの事例18選」、ワンマーケティング「MA成功&失敗事例13選」
これらの成果は、MAツールを「導入しただけ」では実現できません。明確な目標設定と顧客の購買行動理解が前提となります。
(2) 効果を最大化するポイント(明確な目標設定、顧客の購買行動理解)
MA導入の効果を最大化するには、以下のポイントが重要です:
明確な目標設定:
- KPIを定量化(リード獲得数、商談化率、受注率など)
- 達成期限を設定(半年後に商談化率10%達成など)
顧客の購買行動理解:
- カスタマージャーニーマップを作成し、顧客の意思決定プロセスを可視化
- 各段階で必要なコンテンツを用意
専任担当者の配置:
- MAツールの運用に専任担当者を配置し、継続的な改善を推進
- コミュニティ(ユーザー会・分科会・オンラインコミュニティ)を活用してナレッジを共有
5. 導入時の注意点とハードル
マルケト導入には、以下のような注意点とハードルがあります。
(1) 学習コストの高さ(UIや設定の複雑性)
マルケトはUIや設定が複雑で、学習コストが高いという評価があります。ITreviewのユーザーレビューでは、「初心者が慣れるまでは難しい」「設定が複雑」といった声が見られます。
対策:
- 導入初期はベンダーや代理店の導入支援サービスを活用
- ユーザーコミュニティ(ユーザー会・分科会・オンラインコミュニティ)でナレッジを共有
- まずは基本機能(メール配信、フォーム作成等)から始め、段階的に高度な機能を習得
※出典: ITreview「Adobe Marketo Engageの評判・口コミ 全178件」
(2) 専任担当者の必要性(運用属人化リスク)
専任のマーケティング担当者がいないと、運用が属人化しやすいというリスクがあります。
対策:
- 専任担当者を1〜2名配置
- ドキュメント化を徹底し、運用ノウハウを共有
- 定期的に社内勉強会を開催
(3) 導入費用(1万件で年間約200万円が目安)
マルケトの料金は公開されておらず、リード件数やオプションにより変動します。一般的な目安として、1万件のリード数で年間約200万円と言われています。
対策:
- 導入前にROI試算を行い、費用対効果を評価
- 初期段階は基本プランから始め、効果が実証されてから上位プランに移行
- 他のMAツール(HubSpot、SATORI等)とも比較検討
※この記事は2025年12月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があります。公式サイトで最新情報を確認してください。
(4) コミュニティ活用によるナレッジ共有(ユーザー会・分科会)
マルケトは以下の3つのコミュニティを提供しており、ユーザー同士のナレッジ共有が活発です:
- ユーザー会: 定期的にオフラインで開催、導入事例の共有
- 分科会: テーマ別の勉強会(ABM、メールマーケティング等)
- オンラインコミュニティ: 質問・回答、Tips共有
これらのコミュニティを活用することで、学習コストを抑え、効率的に運用ノウハウを習得できます。
6. まとめ:マルケト導入に向いている企業の条件
マルケト(Adobe Marketo Engage)は、世界6,000社以上が導入する高機能なMAツールで、リード獲得→スコアリング→ナーチャリング→営業連携→効果測定の5ステップで実践できます。成功事例では受注率5倍、商談数8倍、契約数前年比1120%などの成果が報告されています。
ただし、UIや設定が複雑で学習コストが高いため、専任担当者の配置とコミュニティ活用が推奨されます。導入費用は1万件のリード数で年間約200万円が目安で、事前にROI試算が重要です。
(1) 中堅〜大企業でリード数が多い企業
マルケトは、以下のような企業に適しています:
- 従業員200名以上の中堅〜大企業
- リード数が1万件以上(または今後増加予定)
- マーケティング部門に専任担当者を配置できる
(2) Salesforce等のSFA・CRMを既に導入済みの企業
マルケトはSalesforce等との連携が強力なため、既にSFA・CRMを導入済みの企業にメリットが大きいです。
(3) 予算とROI試算のポイント
予算:
- 初期費用: 導入支援費用含め100〜200万円
- 年間費用: 200万円〜(リード数により変動)
ROI試算:
- ROI = (売上増加額 − 導入費用)÷ 導入費用 × 100
- 目標: ROI 100%以上(投資額以上の売上増加)
次のアクション:
- 自社のマーケティング課題と目標を明確にする
- マルケト・HubSpot・SATORI等の無料デモやトライアルを試す
- ROI試算を行い、費用対効果を評価する
- コミュニティ(ユーザー会・分科会)に参加してナレッジを収集する
マルケトを効果的に活用し、マーケティングオートメーションで成果を最大化しましょう。
