Marketoスコアリング設定の完全ガイド|設計・運用のベストプラクティス

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/9

Marketoスコアリング設定の完全ガイド:設計・運用のベストプラクティス

Marketo導入済みのB2B企業で、「リードスコアリングを設定したいが、どう設計すればよいかわからない」「営業から『スコアが実態と合わない』と指摘される」といった悩みを抱えていませんか。

スコアリングはMAツールの中核機能ですが、適切に設計・運用しなければ、営業部門との連携がうまくいかず、せっかくのリードを活かせません。この記事では、Marketoスコアリングの仕組み、設計方法、設定手順、運用のベストプラクティス、よくある失敗パターンと対処法まで、実務担当者が知っておくべきポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • スコアリングは「行動スコア」と「属性スコア」を分けて管理し、前者で見込み度、後者で顧客の魅力度を把握
  • 点数設定は受注に最も近い行動を最大点として、そこから逆算して設計
  • スマートキャンペーンで加点・減点を自動化し、マイトークンで点数を一元管理
  • 営業部門との認識合わせとスコア精度の継続的検証が成功の鍵
  • スコアインフレや営業とのズレなど、よくある失敗を事前に回避する

1. Marketoスコアリングとは:リード優先順位付けの仕組み

Marketoスコアリングは、見込み客(リード)の購買可能性を数値化し、営業部門への引き渡し優先順位を判断する機能です。

(1) リードスコアリングの目的と効果

総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、企業のデジタルマーケティング投資は年々増加しており、MAツールの活用も拡大しています。その中で、リードスコアリングは以下の目的で活用されます:

主な目的:

  • 営業優先順位の明確化: 購買確度の高いリードを優先的に営業に渡す
  • マーケティング効率化: リードナーチャリング(育成)の対象を絞り込む
  • 部門間連携の強化: マーケティングと営業の共通指標を作る

期待される効果:

  • ホットリード(購買確度の高い見込み客)の取りこぼし防止
  • 営業の商談化率向上(低スコアリードへの無駄なアプローチ削減)
  • マーケティングROIの可視化

ただし、SHANONの記事「MAで必須の『スコアリング』はかなり難しい」にあるように、スコアリングには明確な正解がなく、試行錯誤と継続的な改善が必要です。

(2) 行動スコアと属性スコアの違い

Marketoスコアリングは「行動スコア」と「属性スコア」の2種類に分けて管理するのが一般的です。

項目 行動スコア 属性スコア
何を測る 見込み度(購買確度) 顧客の魅力度(企業規模・役職等)
評価対象 Webサイト訪問、メール開封、資料請求等 企業規模、業種、役職、予算等
変動 頻繁に変動 変動しにくい
目的 いつ営業に渡すかの判断 誰を優先するかの判断

ポイント:

  • 行動スコアで「今、興味を持っているか」を判断
  • 属性スコアで「自社にとって魅力的な顧客か」を判断
  • 両方を組み合わせて総合的に優先順位を決定

(3) Marketoスコアリングの特徴と他MAツールとの違い

Marketoスコアリングの主な特徴は以下の通りです:

Marketoの特徴:

  • スマートキャンペーンで加点・減点を自動化
  • マイトークンで点数設定を一元管理(プログラム画面で設定点数を一覧確認可能)
  • CRM・SFA(Salesforce等)とリアルタイム連携

公式ドキュメント「シンプルなスコアリング | Adobe Marketo Engage」では、Marketoの基本的なスコアリング設定手順が解説されています。

2. Marketoスコアリングの設計方法:行動スコアと属性スコア

スコアリング設計は、行動スコアと属性スコアをそれぞれ設計し、閾値(営業引き渡し基準)を設定する流れで進めます。

(1) 行動スコアの設計:受注に最も近い行動から逆算

行動スコアの設計では、「受注に最も近い行動」を最大点として設定し、そこから逆算して他の行動の点数を決めます。

設計例:

行動 点数 理由
見積もり依頼 +20点 受注に最も近い行動
無料トライアル申込 +15点 高い購買確度
導入事例ダウンロード +10点 導入検討段階
セミナー参加 +8点 課題認識段階
ホワイトペーパーDL +5点 情報収集段階
Webサイト訪問 +1点 初期関心段階
メール開封 +1点 初期関心段階

ポイント:

  • 自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズ
  • 受注データを分析し、「どの行動をしたリードが受注しやすいか」を把握
  • 点数設定に迷う場合はスモールスタートで始めて、運用しながら調整

(2) 属性スコアの設計:BANT条件を基準に

属性スコアは、BANT条件(Budget・Authority・Needs・Timeframe)を基準に設計します。

設計例:

属性 点数 理由
企業規模(従業員1,000人以上) +10点 予算が潤沢
役職(部長以上) +8点 決裁権あり
業種(IT・製造業) +5点 自社サービスとの親和性
企業規模(従業員100人未満) +3点 予算が限定的
役職(担当者) +3点 決裁権限定的

ポイント:

  • 自社の理想顧客像(ICP: Ideal Customer Profile)を明確にする
  • 過去の受注データから、「どういう属性の企業が受注しやすいか」を分析
  • 属性スコアは変動しにくいため、初期設定で慎重に設計

(3) 閾値(営業引き渡し基準)の設定方法

閾値とは、「何点以上のリードを営業に引き渡すか」の基準です。

閾値設定の考え方:

  • 営業が全件対応できる場合:閾値不要、全リードを渡す
  • 営業が全件対応できない場合:スコアで優先順位付けし、高スコアから渡す

設定例:

  • 合計スコア50点以上:ホットリード(即座に営業フォロー)
  • 合計スコア30-49点:ウォームリード(マーケティング部門が育成)
  • 合計スコア29点以下:コールドリード(継続的な情報提供)

MarketOneの記事「リードスコアリングとは何か?基礎知識や方法論を解説」では、BtoBマーケティングにおける閾値設定のポイントが詳しく解説されています。

(4) 複数商材を扱う場合のスコアリング設計

複数商材を扱う企業では、商材ごとに別のスコアフィールドを作成し、それぞれの購買確度を個別に管理する方法が推奨されます。

設計例:

  • 商材A用スコアフィールド(例:製品Aスコア)
  • 商材B用スコアフィールド(例:製品Bスコア)
  • 総合スコアフィールド(全商材の行動を合算)

この方法により、リードがどの商材に興味を持っているかを把握し、営業が適切な商材でアプローチできます。

3. Marketoでのスコアリング設定手順

Marketoでのスコアリング設定は、スマートキャンペーンを作成し、「スコアを変更」フローアクションで加点・減点を自動化します。

(1) スマートキャンペーンの作成

スマートキャンペーンは、Marketoの自動化機能の核となるツールです。

作成手順:

  1. 「マーケティング活動」タブを開く
  2. プログラムを選択(またはデフォルトプログラム)
  3. 右クリック→「新規スマートキャンペーン」を選択
  4. キャンペーン名を入力(例:「行動スコア_ホワイトペーパーDL」)

(2) トリガーとフィルターの設定

トリガーは「いつ」スコアを変更するかを定義します。

トリガー例:

  • フォーム記入(例:ホワイトペーパーDLフォーム送信時)
  • Webページ訪問(例:料金ページ訪問時)
  • メールクリック(例:セミナー案内メールのリンククリック時)

フィルターは「誰に」スコアを付与するかを絞り込みます(必要に応じて設定)。

(3) 「スコアを変更」フローアクションの設定

フローアクションで実際のスコア変更を設定します。

設定手順:

  1. 「フロー」タブを開く
  2. 「スコアを変更」アクションを追加
  3. スコアフィールドを選択(例:行動スコア)
  4. 変更値を入力(例:+5)

公式チュートリアル「リード/人物スコアリングプログラムの作成方法 | Adobe Marketo Engage」では、ステップバイステップの設定手順が動画で解説されています。

(4) マイトークンを活用した点数管理

マイトークンは、プログラム内で共通の変数を設定する機能です。点数設定にマイトークンを使用すると、プログラム画面で設定点数を一覧確認できて便利です。

マイトークン設定例:

  • {{my.Score_Whitepaper}} = 5
  • {{my.Score_Seminar}} = 8
  • {{my.Score_Trial}} = 15

フローアクションでマイトークンを参照することで、点数変更時に各キャンペーンを個別に修正する必要がなくなります。

4. スコアリング運用のベストプラクティス

スコアリングは設定して終わりではなく、継続的な検証と改善が成功の鍵です。

(1) スコアリング精度の検証と改善サイクル

スコアリング精度は、高スコアリードの商談化率・受注率を定期的に測定して検証します。

検証項目:

  • 商談化率: スコア50点以上のリードのうち、何%が商談化したか
  • 受注率: スコア50点以上のリードのうち、何%が受注したか
  • 営業フィードバック: 「スコアが高いのに実態が伴わない」といった意見

改善サイクル:

  1. 月次でスコアリング精度を測定
  2. 営業部門からフィードバックを収集
  3. 点数設定を調整(行動スコア・属性スコアの見直し)
  4. 閾値を調整(営業が対応できる件数に応じて)

SATORIの記事「スコアリングとは?目的や採点基準、精度を高めるやり方」では、精度向上の実践的なノウハウが解説されています。

(2) 営業部門との連携と認識合わせ

スコアリングが機能しない最大の原因は、マーケティング部門だけで設計し、営業現場の感覚とズレが生じることです。

連携のポイント:

  • スコアリング設計時に営業部門を巻き込む
  • 「どういうリードが受注しやすいか」を営業にヒアリング
  • スコアの意味と閾値を営業部門と合意
  • 定期的な振り返り会議で認識をすり合わせ

(3) 経過時間を考慮したスコア調整(減点ルール)

行動スコアは「いつ行われたか」も考慮が必要です。古い行動は購買確度が下がっている可能性があるため、経過時間に応じて減点するルールを設定します。

減点ルール例:

  • 最終行動から3ヶ月経過:スコアを-10点
  • 最終行動から6ヶ月経過:スコアを-20点
  • 最終行動から1年経過:スコアをリセット(0点に戻す)

この仕組みにより、古いリードが高スコアのまま残ることを防ぎます。

(4) AIと機械学習による自動スコアリングの活用

近年、AIと機械学習による自動スコアリングの活用が進んでいます。大規模データからの予測モデリングにより、人間が設計するよりも高精度なスコアリングが可能になるケースもあります。

自動スコアリングのメリット:

  • 受注データから自動的に最適なスコア配分を学習
  • 複雑なパターンの検出(例:特定の行動の組み合わせで受注確度が高まる)
  • 継続的な学習により精度が向上

注意点:

  • 一定量のデータ(数千〜数万リード)が必要
  • ブラックボックス化しやすく、営業への説明が難しい

5. よくある失敗パターンと対処法

スコアリング運用でよくある失敗パターンと、その対処法を紹介します。

(1) スコアインフレ:全員が高得点になる問題

問題:

  • すべてのリードが高スコアになり、優先順位付けができなくなる
  • 営業が「ホットリードが多すぎて対応できない」と混乱

原因:

  • 加点が多すぎる(減点ルールがない)
  • 閾値が低すぎる

対処法:

  • 減点ルールを設定(経過時間、ネガティブアクション等)
  • 閾値を引き上げる
  • 行動の点数を見直す(すべての行動を加点しない)

(2) 営業との認識ズレ:スコアと実態が合わない

問題:

  • 営業から「スコアが高いのに実態が伴わない」と指摘される
  • スコアリングが信用されず、活用されなくなる

原因:

  • マーケティング部門だけで設計し、営業の感覚とズレている
  • 行動スコアと属性スコアのバランスが悪い

対処法:

  • 営業部門を設計段階から巻き込む
  • 営業から「どういうリードが受注しやすいか」をヒアリング
  • 定期的な振り返り会議でスコアリング精度を検証

(3) 初期設計に時間をかけすぎて運用開始が遅れる

問題:

  • 完璧なスコアリングを目指して初期設計に数ヶ月かける
  • 運用開始が遅れ、リード対応の機会損失が発生

原因:

  • スコアリングに明確な正解があると誤解している
  • 試行錯誤と改善のサイクルを想定していない

対処法:

  • スモールスタートで始める(シンプルなスコアリングでOK)
  • 運用しながら改善する前提で設計
  • 3ヶ月ごとに見直しサイクルを組む

BowNowの記事「MAツールのスコアリングとは?仕組みからMA初期の設計で失敗を防ぐ方法まで徹底解説!」では、初期設計の失敗パターンが詳しく解説されています。

(4) スコアを絶対視してしまう

問題:

  • スコアが低いリードを無視してしまう
  • スコアが高くても実際の購買確度が低い場合を見逃す

原因:

  • スコアリングを完璧な指標と誤解している
  • 営業の直感や個別事情を軽視している

対処法:

  • スコアは優先順位付けのツールであり、絶対的な指標ではないと認識
  • 営業の直感や個別事情も考慮
  • スコアが低くても重要なリードは営業がフォロー

6. まとめ:スコアリングを成功させる3つのポイント

Marketoスコアリングは、見込み客の購買確度を数値化し、営業部門への引き渡し優先順位を判断する強力な機能です。一方で、適切に設計・運用しなければ、営業現場とのズレやスコアインフレといった問題が発生します。

スコアリングを成功させる3つのポイント:

  1. 行動スコアと属性スコアを分けて管理

    • 行動スコアで見込み度、属性スコアで顧客の魅力度を把握
    • 受注に近い行動から逆算して点数を設計
  2. 営業部門との連携と認識合わせ

    • 設計段階から営業を巻き込む
    • 定期的な振り返り会議でスコアリング精度を検証
    • スコアを絶対視せず、営業の直感も尊重
  3. 継続的な検証と改善

    • 商談化率・受注率を定期的に測定
    • 営業フィードバックを基に点数設定を調整
    • スモールスタートで始めて、運用しながら改善

次のアクション:

  • 公式ドキュメント「リードスコアリング完全ガイド | Adobe Marketo Engage」で詳細を確認
  • 過去の受注データを分析し、「どの行動・属性が受注に寄与するか」を把握
  • 営業部門とスコアリング設計について議論
  • シンプルなスコアリングでスモールスタート

Marketoスコアリングを効果的に活用することで、マーケティングROIの最大化と営業部門との強固な連携を実現しましょう。

よくある質問

Q1行動スコアと属性スコアはどう配分すべきですか?

A1行動スコアで見込み度、属性スコアで顧客の魅力度を把握します。配分は企業により異なりますが、行動スコア重視で設計するのが一般的です。受注データを分析し、「どの行動をしたリードが受注しやすいか」を把握することが重要です。

Q2何点以上のリードを営業に渡すべきですか?

A2閾値は企業により異なります。営業が全件対応できる場合は閾値不要ですが、全件対応できない場合はスコアで優先順位付けし、高スコアから渡します。スコアを絶対視せず、営業の直感や個別事情も考慮することが重要です。

Q3スコアリングの精度をどう検証・改善すればよいですか?

A3高スコアリードの商談化率・受注率を定期的に測定し、営業フィードバックを基に点数設定を調整します。月次でスコアリング精度を測定し、3ヶ月ごとに見直しサイクルを組むことが推奨されます。

Q4複数商材を扱う場合のスコアリング設計はどうすればよいですか?

A4商材ごとに別のスコアフィールドを作成し、それぞれの購買確度を個別に管理する方法が推奨されます。総合スコアフィールドも設けることで、全体の購買確度も把握できます。

Q5スコアリングが機能しない場合の原因は何ですか?

A5マーケティング部門だけで設計し営業現場とのズレが生じている、スコアインフレが発生している、古い行動データが残っている、行動スコアと属性スコアのバランスが悪いなどが主な原因です。営業部門を設計段階から巻き込み、継続的な検証と改善が必要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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