Marketoとインサイドセールス連携の重要性
Marketo(Adobe Marketo Engage)を導入したものの、「獲得したリードを営業にうまく引き渡せない」「インサイドセールスの架電効率が上がらない」といった悩みを抱えていませんか?
B2B企業のマーケティング担当者やインサイドセールス担当者の多くが、MAツールと営業活動の連携に課題を感じています。「スコアリングしたリードをどう活用すればいいの?」「MarketoとSFAはどう連携する?」「Marketo Sales Connectって何?」といった疑問は尽きません。
この記事では、Marketoを活用したインサイドセールスの実践方法、MA×SFA連携による商談化率向上のポイント、成功事例まで、実務で使える具体的な手順を解説します。
この記事のポイント:
- MarketoとSFA(Salesforce、kintone等)を連携することで、インサイドセールスがホットリードを効率的にリストアップし、スコアを参照しながら架電できる
- Marketo Sales Connect(MSC)を活用すると、送信メールがSFAに自動記録され、過去のコミュニケーションを手動で記録する手間が省ける
- MAツールのスコアリング機能でリードを選別し、スコアの高い順に優先的にアプローチすることで架電効率が向上
- Marketoのステップメール配信後、ユーザーアクションに基づいてインサイドセールスがコールやメールで追客することで商談獲得率が向上
- マーケティング部門とインサイドセールス部門の間でデータとインサイトをリアルタイムで共有することで、組織横断の連携が強化される
Marketoとインサイドセールス連携の重要性
(1) マーケティングと営業の分業体制
B2B企業のデジタルマーケティングが進化する中、マーケティング部門と営業部門の分業体制が定着しています。特にインサイドセールスは、電話・メール・Web会議など非対面で行う営業活動で、マーケティングが獲得したリードを効率的に商談化する役割を担います。
インサイドセールスの主な役割:
- マーケティング施策で獲得したリードの選別・育成
- スコアの高いリード(ホットリード)への優先的なアプローチ
- 商談化の見込みが高いリードをフィールドセールスに引き渡し
MAツール(Marketo等)を活用することで、リード優先順位付け、自動ナーチャリング、データ一元管理による効率化が実現します。
(2) Marketoがインサイドセールスを重視する理由
Marketo社自身、日本市場において2014年にインサイドセールス組織をゼロから立ち上げました。同社がインサイドセールスを重視する理由は以下の通りです:
効率的なリード育成:
- マーケティング施策で大量に獲得したリードすべてにフィールドセールスが対応するのは非効率
- インサイドセールスが選別・育成することで、商談化率が向上
スケーラブルな営業体制:
- 対面営業より低コストで多くのリードにアプローチ可能
- MAツールとの連携で自動化・効率化を実現
マーケティングと営業の橋渡し:
- リアルタイムでデータ・インサイトを共有
- マーケティング施策の効果を営業成果に直結させる
Marketo社は「7つの要素のフレームワーク」(ミッション、ロール、KPI、オペレーション等)を開発し、BDRチーム(注力企業担当)とSDRチーム(その他担当)の2チーム体制で運営しています。
Marketoの基本機能とインサイドセールス活用
(1) スコアリング機能でリードを選別
Marketoのスコアリング機能は、見込み顧客の属性と行動を数値化し、購買可能性の高さを評価する手法です。インサイドセールスはこのスコアを参照し、優先順位をつけて架電します。
スコアリングの2軸:
属性スコア(Demographic Scoring):
- 企業規模(従業員数・売上高)
- 業種・業態
- 部署・役職
行動スコア(Behavioral Scoring):
- Webサイト訪問回数・閲覧ページ
- メール開封・クリック
- 資料ダウンロード・ウェビナー参加
スコアが一定の閾値(例:70点以上)を超えたリードを「ホットリード」としてインサイドセールスに引き渡します。スコアの高い順に優先的にアプローチすることで、架電効率が向上します。
(2) ステップメール配信とアクション追客
Marketoはステップメール(自動配信メールシリーズ)を設定できます。インサイドセールスは、ステップメール配信後のユーザーアクションに基づいて、タイミング良くコールやメールで追客します。
ステップメール配信の流れ:
1. 初回接触:
- 資料ダウンロード後、お礼メールを自動送信
- 製品・サービスの概要を紹介
2. 関心喚起:
- 2-3日後、事例紹介メールを送信
- 具体的な活用方法を解説
3. 行動促進:
- 1週間後、ウェビナー案内やデモ申込を促進
4. アクション検知と追客:
- メール開封・クリック、ページ訪問を検知
- インサイドセールスが電話やメールでフォローアップ
この自動ナーチャリングにより、見込み客の関心を段階的に引き上げ、商談獲得率が向上します。
(3) ホットリードの効率的なリストアップ
MarketoとSFA(Salesforce、kintone等)を連携することで、インサイドセールスがホットリードを効率的にリストアップできます。
リストアップの手順:
1. Marketoでスコアリング:
- 属性スコア + 行動スコアで総合評価
- 閾値を超えたリードを自動抽出
2. SFAに自動連携:
- リード情報がSFAに自動登録
- スコア、行動履歴も同期
3. インサイドセールスが架電:
- SFAでスコアの高い順にソート
- 行動履歴を参照しながら架電
- 「先日、ウェビナーにご参加いただきましたが…」と自然な会話が可能
データ一元管理により、散乱・紛失を防止し、効率的にアプローチできます。
Marketo Sales Connect(MSC)の活用
(1) MSCとは何か
Marketo Sales Connect(MSC)は、インサイドセールス向けアプリで、メールテンプレート管理・開封検知・SFA自動記録が可能です。
MSCの主な機能:
- メールテンプレートをカテゴリ別に整理・登録
- メール開封やクリックを検知し、タイミング良くフォローアップ
- 送信メールが統合SFAに自動記録され、手動記録が不要
MSCを活用することで、インサイドセールスの活動効率が大幅に向上します。
(2) メールテンプレート管理と開封検知
MSCでは、メールテンプレートをカテゴリ別に登録し、状況に応じて使い分けることができます。
テンプレート例:
初回コンタクト:
- 「お問い合わせありがとうございます」
- 製品・サービス概要を簡潔に紹介
フォローアップ:
- 「先日のウェビナー、いかがでしたか?」
- 追加情報の提供や個別相談の提案
リマインド:
- 「デモのご案内」
- 具体的なアクションを促進
開封・クリック検知:
- メールが開封されたタイミングで通知
- クリックされたリンクを確認
- 関心の高いタイミングで架電できる
これにより、インサイドセールスは効果的なタイミングでフォローアップできます。
(3) SFA自動記録による業務効率化
MSCから送信したメールは、統合SFA(Salesforce等)に自動記録されます。
従来の手動記録の課題:
- メール送信後、SFAに手動で記録する必要がある
- 記録漏れや記録の遅延が発生
- コミュニケーション履歴が不完全
MSCの自動記録のメリット:
- 送信と同時にSFAに記録
- 記録漏れがなく、完全な履歴管理
- 手動記録の時間が削減され、本業に集中できる
過去のコミュニケーションを手動で記録する手間が省け、業務効率が大幅に向上します。
(4) 導入事例:ユーザベースの成果
ユーザベース社は、Marketo Sales Connectを活用し、以下の成果を達成しました:
メール送信量の増加:
- MSC導入後、インサイドセールスチームのメール送信量が大幅に増加
- 70%以上のメンバーがテンプレート機能を利用
プロセス可視化とチームづくり:
- メール開封率やクリック率をリアルタイムで確認
- データに基づいた改善サイクルを確立
- チーム全体でベストプラクティスを共有
※導入事例の成果は企業規模・業種・既存体制により異なります。
MA×SFA連携の実践方法
(1) MarketoとSalesforce/kintoneの連携
Marketoは主要なSFAツールと連携可能です。代表的な連携パターンは以下の通りです:
Marketo × Salesforce:
- 最も一般的な連携パターン
- リード情報、商談情報、活動履歴を双方向で同期
- スコアリング結果をSalesforceに反映
Marketo × kintone:
- kintoneの柔軟性を活かしたカスタマイズが可能
- Marketo Engageの情報をkintoneに反映し、インサイドセールスが架電時に活用
- 問い合わせフォームからの登録情報がSFAに自動登録
連携により、マーケティングと営業の間でデータとインサイトをリアルタイムで共有できます。
(2) リード情報の自動連携とスコア参照
MA×SFA連携により、以下のデータが自動的に同期されます:
リード基本情報:
- 氏名、会社名、部署、役職、連絡先
- 企業規模、業種、所在地
スコアリング情報:
- 属性スコア、行動スコア、総合スコア
- スコア履歴(いつスコアが上昇したか)
行動履歴:
- Webページ訪問履歴
- メール開封・クリック履歴
- 資料ダウンロード、ウェビナー参加
架電履歴:
- 架電日時、対応内容、次回アクション
インサイドセールスはSFAでこれらの情報を参照し、優先度ごとにアプローチを分け、効率的に商談化できます。
(3) データ管理の複雑さと運用ルール整備
MA×SFA連携は機能を広げますが、データ管理が複雑になります。
よくある課題:
データの重複:
- 同じリードがMarketoとSFAに別々に登録される
- 名寄せルールの設定が必要
データの不整合:
- Marketoで更新した情報がSFAに反映されない(同期タイミングのズレ)
- 双方向同期の設定ミス
データクレンジングの必要性:
- 古いデータ、不要なデータが蓄積
- 定期的なクレンジングが必須
運用ルールの整備:
- どちらのシステムをマスターとするか明確化
- データ入力ルールの統一
- マーケティングと営業で目的・使用方法を共有
データ管理がさらに複雑になるため、データクレンジングと運用ルールの整備が必須です。
成功事例と運用のポイント
(1) マルケト社の組織構築(BDR/SDRの2チーム体制)
Marketo社は、インサイドセールス組織を以下の2チーム体制で運営しています:
BDR(Business Development Representative):
- 注力企業担当(新規開拓型)
- ターゲット企業リストに基づき、能動的にアプローチ
- 大型案件を狙う
SDR(Sales Development Representative):
- 反響型インサイドセールス
- 問い合わせや資料請求に対応
- 中小案件を効率的に商談化
7つの要素のフレームワーク:
- ミッション、ロール、KPI、オペレーション、ツール、プロセス、教育
- これらを明確化することで、組織を効率的に運営
この体制により、企業規模や案件規模に応じた最適なアプローチが可能になります。
(2) 製造業(ホリバ・ステック)での活用事例
2024年10月、Marketo Japan MUGでレガシー製造業(ホリバ・ステック)のインサイドセールス運営事例が紹介されました。
製造業での活用ポイント:
- 従来の対面営業中心からデジタル営業への転換
- Marketoを活用したリード育成と選別
- インサイドセールスが効率的に商談化
製造業など従来の営業スタイルが根付いている業界でも、MAツールとインサイドセールスの連携により、デジタル営業転換が進んでいます。
(3) マーケティングと営業の共通認識構築
MA×SFA連携を成功させるには、マーケティング部門と営業部門の共通認識構築が不可欠です。
共通認識構築のポイント:
定期ミーティング:
- 月1回、マーケティングとインサイドセールスで会議を設定
- リードの質、商談化率、受注率を共有
MQL定義の合意:
- 「どのスコアのリードを営業に渡すか」を明確化
- 営業が対応可能な件数を考慮
フィードバックループ:
- 営業から「渡されたリードの質はどうか?」をヒアリング
- マーケティング施策の改善に反映
マーケと営業で目的・使用方法を共有しないと、ツールが十分に活用されません。組織横断の連携強化が成功の鍵です。
まとめ:Marketoで商談化率を高める
Marketoを活用したインサイドセールスの実践により、リードの優先順位付け、自動ナーチャリング、データ一元管理による効率化が実現します。
次のアクション:
- Marketoのスコアリング機能を活用し、ホットリードを自動抽出する
- Marketo Sales Connect(MSC)を導入し、メールテンプレート管理と開封検知を実現する
- MarketoとSFA(Salesforce、kintone等)を連携し、リード情報・スコア・行動履歴を同期する
- BDR/SDRの2チーム体制を検討し、企業規模や案件規模に応じた最適なアプローチを設計する
- マーケティングと営業の定期ミーティングを設定し、共通認識を構築する
- データクレンジングと運用ルールを整備し、データ品質を維持する
適切なMA×インサイドセールス連携により、商談化率の向上とマーケティングROIの最大化を実現しましょう。
※最新の機能や料金は、Adobe Marketo Engage公式サイトで確認してください。(この記事は2025年1月時点の情報です)
