Marketoでフォームを作成したいけれど、どこから始めればいいか分からない...
Marketo(Adobe Marketo Engage)を導入したものの、リード獲得フォームの作成方法や、デザインのカスタマイズ方法が分からず悩んでいる担当者は多いでしょう。また、「プログレッシブプロファイリング」や「フォームフィールドの動的切り替え」など、高度な機能をどう活用すれば良いか迷っている方もいるかもしれません。
この記事では、Marketoフォームの基本的な作成手順から、デザインのカスタマイズ方法、高度な機能の活用、外部サイトへの埋め込みまで、実践的な手順を解説します。
この記事のポイント:
- Marketoフォームはフォームアセットから「新規作成」で簡単に作成できる
- 「プレーン」テーマを選ぶと余分なCSSが少なく、カスタマイズしやすい
- プログレッシブプロファイリングで再訪時に新しい質問を表示し、段階的にプロファイル情報を充実できる
- 外部サイトに埋め込んだフォームはMarketoで承認すると自動的に反映される
- 2024年1月にjQueryが1.xから3.xに更新され、カスタムフォーム実装に影響の可能性あり
1. Marketoフォーム作成の前に知っておくべき基礎知識
Marketoフォームを作成する前に、Marketoの基礎知識とフォームの特徴を押さえておきましょう。
(1) Marketo(Adobe Marketo Engage)とは
Marketo(マルケト)は、Adobeが提供するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。2018年10月にAdobeがMarketo社を買収し、現在の正式名称は「Adobe Marketo Engage」です。
Marketoの特徴:
- 全世界5,000以上の導入実績: グローバル企業から中堅企業まで幅広く導入
- 高いカスタマイズ性: 複雑な業務フローにも対応できる柔軟性
- 日本ユーザーコミュニティの活発さ: 情報交換や勉強会が活発で、日本語の情報も豊富
- リード管理・育成の強力な機能: スコアリング、ナーチャリング、プログレッシブプロファイリングなど
Marketoは、B2B企業のリード獲得・育成に特に強みを持つMAツールとして知られています。
(2) Marketoフォームの特徴とメリット
Marketoフォームには、他のフォーム作成ツールにはない独自の機能があります。
Marketoフォームの主な機能:
- リード情報の自動蓄積: フォーム送信時にリード情報がMarketoデータベースに自動保存される
- プログレッシブプロファイリング: 再訪ユーザーに対して、前回とは異なる質問を表示し、段階的にプロファイル情報を充実させる
- フォームフィールドの動的切り替え: ユーザーの入力内容に応じてフィールドの表示・非表示を動的に切り替える
- 外部サイトへの埋め込み: 自社サイトにMarketoフォームを埋め込み、承認すると自動的に反映される
- スコアリング連携: フォーム送信などの行動にスコアを設定し、リードの関心度を数値化
これらの機能により、単なる「お問い合わせフォーム」以上の価値を提供できます。
(3) フォームの利用パターン:ランディングページごとの新規作成 vs 共通フォーム
Marketoフォームは、ランディングページごとに新規作成するか、複数ページで共通のフォームを使うか選択できます。
ランディングページごとの新規作成:
- メリット: ページの目的に応じて最適なフォーム項目を設定できる
- デメリット: フォーム数が増え、管理が煩雑になる
- 向いているケース: ホワイトペーパー、ウェビナー、トライアルなど、目的が明確に異なるページ
複数ページで共通フォーム:
- メリット: フォーム管理が簡単、修正時に一括で反映できる
- デメリット: ページごとに最適化できない
- 向いているケース: 資料請求、お問い合わせなど、似た目的のページ
用途に応じて使い分けましょう。
2. Marketoフォームの基本的な作成手順
Marketoフォームの作成は4ステップで完了します。
(1) ステップ1:フォームアセットから「新規作成」を選択
Marketoにログインし、以下の手順で進めます:
- 左メニューから[デザインスタジオ]を選択
- [フォーム]を選択
- [新規]>[新規フォーム]をクリック
これでフォーム作成画面が開きます。
(2) ステップ2:フォーム名を入力して作成
フォーム作成画面が開いたら、以下を入力します:
必須項目:
- フォーム名: 管理しやすい名前を付ける(例: 「ホワイトペーパーDLフォーム」「ウェビナー申込フォーム」)
- 保存先フォルダ: フォームを保存するフォルダを選択
オプション項目:
- 説明: フォームの用途を記載(他のメンバーが分かりやすいように)
入力後、[作成]ボタンをクリックすると、フォーム編集画面が開きます。
(3) ステップ3:フォームフィールドの追加と設定
フォーム編集画面で、フォームに表示する項目(フィールド)を追加します。
標準フィールドの追加:
- 左側のパネルから標準フィールド(姓、名、メールアドレス、会社名、電話番号等)をドラッグ&ドロップで追加
カスタムフィールドの追加:
- 標準フィールドにない項目(例: 興味のあるトピック、導入予定時期等)を追加できる
- ただし、カスタムフィールドは作成後に変更できない部分があるため、計画的に作成する必要がある
フィールド設定のポイント:
- 必須項目の設定: 必ず入力してほしい項目(メールアドレス、会社名等)を「必須」に設定
- フィールドラベルの編集: ユーザーに分かりやすいラベルに変更(例: 「Email Address」→「メールアドレス」)
- プレースホルダーの設定: 入力例を表示し、ユーザーの入力を助ける
(4) ステップ4:フォームの承認と公開
フォームの設定が完了したら、承認して公開します。
承認手順:
- 右上の[フォームアクション]をクリック
- [承認]を選択
- 承認後、フォームがランディングページや外部サイトで利用可能になる
注意点:
- 承認前のフォームは公開されない(プレビューのみ可能)
- 承認後に修正した場合は、再度承認が必要
- 外部サイトに埋め込んだフォームは、Marketoで承認すると自動的にサイトに反映される
3. フォームデザインのカスタマイズ方法
Marketoフォームは、デザインをカスタマイズして自社のブランドイメージに合わせることができます。
(1) フォームテーマの選択:「プレーン」テーマがおすすめの理由
Marketoフォームには複数のテーマが用意されていますが、カスタマイズするなら「プレーン」テーマがおすすめです。
「プレーン」テーマの特徴:
- 余分なCSSが少なく、編集しやすい
- シンプルなデザインで、カスタムCSSで自由にスタイリングできる
- 初期設定の影響を最小限に抑えられる
テーマの変更方法:
- フォーム編集画面で[フォーム設定]をクリック
- [テーマ]から「プレーン」を選択
- 保存
(2) カスタムCSSの編集方法
フォームのデザインをカスタマイズするには、カスタムCSSを編集します。
カスタムCSSの編集手順:
- フォーム編集画面で[フォームアクション]をクリック
- [カスタムCSSの編集]を選択
- CSS編集画面が開くので、独自のCSSを記述
- プレビューで確認しながら調整
- 保存
カスタマイズの例:
/* フォーム全体の幅を調整 */
.mktoForm {
width: 500px !important;
margin: 0 auto;
}
/* 入力フィールドのスタイル */
.mktoForm input[type="text"],
.mktoForm input[type="email"] {
border: 1px solid #ccc;
border-radius: 4px;
padding: 10px;
}
/* 送信ボタンのスタイル */
.mktoForm button {
background-color: #007bff;
color: white;
padding: 10px 20px;
border: none;
border-radius: 4px;
}
(3) フォームボタンのカスタマイズ(サイズ、フォント、配置)
フォームの送信ボタンは、ユーザーのアクションを促す重要な要素です。
ボタンカスタマイズの例:
/* ボタンのサイズを大きくする */
.mktoForm button {
width: 100%;
font-size: 18px;
font-weight: bold;
}
/* ボタンを中央配置 */
.mktoButtonRow {
text-align: center;
}
(4) 初期設定が強いMarketoフォームの上書きテクニック
Marketoフォームは初期設定が強く、CSSで上書きするのが大変な場合があります。
上書きのテクニック:
- !important を使う: CSSプロパティに
!importantを追加して優先度を上げる - 詳細度を上げる: セレクタを具体的にして詳細度を上げる(例:
.mktoForm .mktoButtonRow button) - ブラウザの開発者ツールで確認: どのCSSが適用されているか確認し、上書きする
例:
/* 初期設定を上書き */
.mktoForm button {
background-color: #ff0000 !important;
}
4. フォームの高度な機能と最適化
Marketoフォームには、リード獲得を最大化するための高度な機能があります。
(1) プログレッシブプロファイリング:再訪時に新しい質問を表示
プログレッシブプロファイリングは、再訪ユーザーに対して、前回とは異なる質問を表示し、段階的にプロファイル情報を充実させる機能です。
メリット:
- 初回訪問時はフォーム項目を少なくし、入力ハードルを下げる
- 再訪時に追加情報を取得し、リードの詳細プロファイルを構築
- ユーザー体験を損なわず、情報を段階的に収集できる
設定方法:
- フォーム編集画面で、フィールドを選択
- [プログレッシブプロファイリング]を有効化
- 優先順位を設定(初回表示する項目、2回目以降に表示する項目を順番付け)
例:
- 初回訪問: 名前、メールアドレス、会社名(3項目)
- 2回目訪問: 役職、従業員数、導入予定時期(3項目)
- 3回目訪問: 興味のあるトピック、予算、現在の課題(3項目)
この設定により、ユーザーに負担をかけずに詳細なプロファイルを構築できます。
(2) フォームフィールドの動的切り替え:条件による表示・非表示制御
ユーザーの入力内容に応じて、フォームフィールドの表示・非表示を動的に切り替えることができます。
活用例:
- 「業種」で「IT業界」を選択した場合のみ、「使用しているツール」フィールドを表示
- 「導入予定時期」で「3ヶ月以内」を選択した場合のみ、「予算」フィールドを表示
設定方法:
- フォーム編集画面で、条件によって表示するフィールドを選択
- [可視性ルール]を設定
- 「このフィールドが[特定の値]の場合に表示」という条件を設定
この機能により、ユーザーに関連性の高い質問のみを表示し、フォーム離脱率を低下させることができます。
(3) フォーム遷移先の動的設定:ユーザー入力に応じた分岐
フォーム送信後の遷移先を、ユーザーの入力内容に応じて動的に設定できます。
活用例:
- 「興味のあるトピック」で「製品A」を選択した場合、製品Aの詳細ページに遷移
- 「興味のあるトピック」で「製品B」を選択した場合、製品Bの詳細ページに遷移
設定方法:
- フォーム編集画面で[フォーム設定]を選択
- [フォロー遷移先]で「動的」を選択
- 条件を設定(例: 「興味のあるトピック」が「製品A」なら「https://example.com/product-a」に遷移)
この機能により、ユーザーの興味に応じたコンテンツを表示し、コンバージョン率を向上させることができます。
(4) 2024年1月のjQuery更新(1.x → 3.x)の影響と対応
2024年1月のMarketoリリースで、フォームで使用されるjQueryがバージョン1.xから3.xに更新されました。
影響:
- カスタムフォーム実装(独自のJavaScriptでフォーム動作をカスタマイズしている場合)に影響がある可能性
- jQuery 3.xで非推奨になった機能を使用している場合、動作しなくなる可能性
対応方法:
- カスタムJavaScriptを使用している場合は、jQuery 3.xで動作するか検証
- jQuery 1.xと3.xの互換性の違いを確認し、必要に応じて修正
- Marketo公式ドキュメントの「リリースノート - 2024年1月」を参照
標準のMarketoフォーム機能のみ使用している場合は、影響はほぼありません。
5. 外部サイトへのフォーム埋め込み
Marketoフォームは、自社サイトに埋め込んで利用できます。
(1) 埋め込みコードの取得と設置方法
埋め込みコードの取得:
- フォーム編集画面で[フォームアクション]をクリック
- [埋め込みコード]を選択
- 表示されたコードをコピー
埋め込みコードの設置:
- 自社サイトのHTMLファイルを開く
- フォームを表示したい箇所に、コピーした埋め込みコードをペースト
- 保存してサイトを公開
(2) Marketoで承認すると自動的にサイトに反映される仕組み
埋め込みコードで設置したフォームは、Marketoで承認すると自動的にサイトに反映されます。
仕組み:
- 埋め込みコードには、フォームIDが含まれる
- サイト訪問時、Marketoサーバーから最新のフォーム情報を取得
- Marketoで承認したフォームが自動的に表示される
メリット:
- サイトのHTMLを編集せずに、Marketoでフォームを更新できる
- 複数サイトに埋め込んでいる場合も、Marketoで一括管理できる
(3) 埋め込みフォームの特定方法と修正テクニック
外部サイトに埋め込まれたフォームを特定し、修正する方法を知っておくと便利です。
フォームIDの特定方法:
- ブラウザの開発者ツールを開く(F12キー)
- HTMLソースから
form id="mktoForm_[数字]"を検索 - 数字部分がフォームIDです
Marketoでフォームを検索:
- Marketoで[デザインスタジオ]>[フォーム]を開く
- 検索ボックスにフォームIDを入力して検索
- 該当フォームを開いて編集
この方法で、どのサイトにどのフォームが埋め込まれているか特定し、効率的に管理できます。
6. まとめ:Marketoフォーム作成で成果を出すために
(1) フォーム作成の基本を押さえる
Marketoフォームは、以下の4ステップで簡単に作成できます:
- フォームアセットから「新規作成」を選択
- フォーム名を入力して作成
- フォームフィールドの追加と設定
- フォームの承認と公開
まずは基本的なフォームを作成し、実際に動作を確認することから始めましょう。
(2) 段階的なカスタマイズと最適化
フォーム作成に慣れたら、段階的にカスタマイズと最適化を進めましょう。
段階的アプローチ:
- 基本フォーム: 標準フィールドのみで作成
- デザインカスタマイズ: 「プレーン」テーマ + カスタムCSSで自社ブランドに合わせる
- 高度な機能活用: プログレッシブプロファイリング、動的切り替えを導入
- 継続的な最適化: A/Bテストでフォーム項目数やデザインを改善
(3) 日本ユーザーコミュニティの活用
Marketoは日本ユーザーコミュニティが活発で、情報交換や勉強会が盛んです。
活用方法:
- Marketoユーザーグループに参加し、他社の事例を学ぶ
- Adobe公式ドキュメント(Experience League)で最新情報を確認
- オンラインフォーラムで質問・情報交換
コミュニティを活用することで、効率的にスキルアップできます。
次のアクション:
- まずは基本的なフォームを1つ作成してみる
- 「プレーン」テーマでデザインをカスタマイズしてみる
- プログレッシブプロファイリングを試してみる
- A/Bテストでフォーム項目数を最適化する
Marketoフォームは、適切に設計・運用することで、リード獲得を最大化できる強力なツールです。まずは基本から始めて、段階的に高度な機能を活用していきましょう。
